私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
雄英高校の洗礼を受けた翌日。
普通に遅刻した私は職員室にて、包帯先生の前で正座させられていた。
「もう昼だが・・・。緑谷、何か言うことはあるか」
「はい、ありまぁす!」
私は指折り数えた。
「一つ、二つ、三つ、四つ・・・」
「多いな」
「五つ、六つ、七つ・・・」
「言い訳が増える程、俺の説教は長くなるぞ」
「寝坊しました!!」
背に腹は変えられないと羞恥に耐えて頭を下げると、「何を数えてたんだ、お前は」と包帯先生から溜め息を頂いた。許す感じかな?許す感じだよね?許してくれよぉ。
包帯先生は頭を掻いた後、私の頭にチョップを叩き込んできた。体罰ぅ!!と思ったけど余計な事を言うと更に長引きそうだし、チョップも手加減されていたので言わぬが吉とお口をチャック。
こういう時、やっぱり出来る女は違うよね。(自画自賛)
「・・・一応こっちにも連絡が来てる。痴漢にあったんだって?」
おっと、その話もきてんのか。
知ってたんならお人が悪いでやんす。
「そうなんすよ!痴漢が出やがりまして、あ、もち、全国百万人のJK代表として完膚なきまでにボコボコにしときました!!それはもう、雄英の誇りにかけて!!」
パッカーンと良い音がなり、私の完璧なポニーテールがその名が体を現すが如くぶるんと揺れた。
そして痛い。
「やり過ぎだ、馬鹿。痴漢した奴の腕を捻りあげた流れで脇固めに持っていく奴があるか。あとな、なんの関係もない乗客にレフリーの要求したり、乗客を煽って盛り上げようとしたり、乗客全員で合唱カウントするのも止めろ。・・・警察から今回は少し正義感が行き過ぎたとして多目に見るが、学校側から厳重注意をするようにとお達しがきてる。いいな。」
「はぁーい。さーせん」
「はぁ、まったく。お前な・・・」
再び溜め息をついた包帯先生は眉間の皺を指で伸ばしながら私を見た。完全に下心丸出しの厭らしい目だった。
━━━ので、近くにいた女の先生を引き寄せ盾にした。
「ちょ、いきなり何?」
「いえ、盾が必要だったので━━━はっ!」
引き寄せた先生をよく見ればボンキュボンの全身タイツという超絶級のエロの人だった。これは駄目だ、余計に見られてしまう。レズ絡みのエロを妄想される。
私は近くにあった誰かのコートを手にとり、エロ先生と一緒に被った。
「対スケベ視線緊急対策奥義、雄英二人羽織り!!」
ガッシーンという効果音がついた気がする。
というか、私が言った。
「え、えぇ?えぇ!?」
混乱する顔担当の先生に、私は言うべき事を伝える。
「先生!決め台詞!決め台詞ぅ!!」
「決め台詞?!えっと━━━━悪い子ちゃんはお仕置きよ!!」
「ミッドナイトさん、馬鹿の馬鹿な行動に付き合わないで下さい。つけ上がりますので」
その後、滅茶滅茶怒られた。
ミッドナイト先生とはマブダチになった。
「そう言う訳だから、かっちゃんお昼を奢って」
「どういう訳だこらぁ!!一つ足りとも理解出来ねぇぞ、おい!!」
わんわんと喚く幼馴染かっちゃん。
食堂でもお構い無しのその態度に痺れる憧れるぅ。いや、やっぱり憧れないわ。頑張って考えて見たけど、無理だわ。うん。
「まぁまぁ、良いではないか良いではないか。白米に落ち着きたいんだ、私は」
「てめぇこら!押すなっ!俺様はもう昼飯買ってあんだよ!見ろ、あそこにっ━━━あっ、こらぁ!財布に触んな!!」
照れ屋さんのかっちゃんの財布からお札を一枚頂戴し、券売機へと差し込む。白米に落ち着きたい私は牛丼を選ぶと見せかけて、寿司を頼んだ。特上握り金千円ポッキリである。おーお買い得ー。
「おい、釣りだせ・・・てめぇ何全部使ってンだ!?」
「Oh~?ワタシニホンゴワカリマセーン。スシタベターイ」
「やっすい外人やってんじゃねぇぞ、てめぇ!!つーか、お前は母親から昼飯代毎回貰ってんだろ!!てめぇで出しやがれ!!」
「オ昼代~?アレハ~登校中二~シュークリーム二変ワリマシタ~」
「だったら昼は控えろや!!」
かっちゃんを引き連れながら食券を窓口に出すと、そう時間も掛からずカウンターにお寿司が出てきた。板に乗ってる本格派だ、とても美味しそう。
コックに「お米だよね」と親指を立てたら、「分かってるね、お米だよ」と返ってきた。やっぱり、時代はお米だった。
そのままかっちゃんの確保した席へと行くと、かっちゃんと向かい合う所に赤髪をツンツンさせた男臭い男の子がいた。
「よぉ!緑谷って言ったよな!すげぇな、爆豪相手にそんなとか!」
妙に馴れ馴れしいなコイツ。
何処と無く見覚えがあるが、はて。
「あ、この間ナンパしてきた━━━」
「ッザケンナ!てめぇ、こらぁ!!誰に断ってナンパしてんだぁぁぁらぁぁぁぁ!!」
「ちげぇよ!!やってねぇわ!緑谷も直ぐそうやって爆豪を煽るの止めろぉ!!」
かっちゃんに胸ぐら掴まれてガクガクされた赤髪はちょっと涙目で抗議してきた。どうやら、この間のナンパ野郎とは別人のようだ。ん、いや、そもそもナンパされて無かったな。━━━━てへぺろ。
「で、結局、誰?」
「うおぉ、まじか。ふざけてるのかと思ったらマジで覚えられてねぇ。いや、確かに自己紹介とかしてねぇけどさ。まぁいいや、おれは同じA組の切島鋭児郎。一応、個性把握テストで緑谷の五個下だったんだけど、覚えはねぇよな?」
「うん、全然」
「もちっと言葉選んでくれよ、流石のおれでも傷つくぜ」
がくっと項垂れる切島。
隙だらけだったので、カツ丼のカツを一切れ貰っておいた。
うまうま。
「で、何だって切島はかっちゃんと一緒メシしてんの?楽しい?ドM?」
「ドMじゃねぇーよ。んー、別に爆豪とメシ食うつもりは無かったんだけどよ、他に適当な席がなくてさ。知らねぇーやつと食うくらいなら、少しでも知ってるやつとって感じでこうなった」
「ふぅん、もの好きだねぇ」
私が切島と同じ状況になったら、間違いなく他の知らない人の所にいくわ。普通に。
だってかっちゃんだよ?あのいつも爆発してるかっちゃんだよ?避けるよ普通。扱い方分かんないもん。
そんな私はかっちゃんの隣にしれっと座り、早速お昼ご飯を頂くことにする。この豪華なお昼ご飯を見てると、授業一つも出てないけどなんか凄く頑張った気がする。
あれ、頑張ったのかな、私。
「かっちゃん、お茶欲しい」
「うっせぇ!黙って食えねぇのかてめぇは!!」
怒号をあげながら自分の為に買ったであろう炭酸ジュースの蓋をあけ、食堂に備え付けてある紙コップに半分ついでくれるかっちゃん。流石みみっちい事にかけて他の追随を許さない。全部奢らない所がかっちゃんらしい。
「これでも飲んでろクソがっ!!」
「お茶じゃないけど、我慢してやろう」
「何様なんだごらぁ!!」
「っかしいなぁ。爆豪が急にすげぇー良い奴に見えてきた」
なんかほざいてる切島。
取り敢えず眼科に行けと言いたい。
「━━━にしてもよ、緑谷何してたんだ今まで。午前中全部すっぽかしてたろ?」
「すっぽかしたとか、失礼な。ちょっと寝坊しただけだって」
「どんだけぐっすり寝てたんだよ」
「そんなに寝てないって。寝たのが・・・かっちゃんにイタ電した時だから、何時だっけ?」
「2時だろクソが!!」
「8時間きっかり」
「10時起床かよ、のんびりし過ぎだろ」
苦笑いを浮かべる切島を横目に、私はどのお寿司から食べていくか考える。マグロかサーモンか、それが問題だ。でもまぁ、これは排除しとくか。
「ほい、かっちゃん」
「━━ああん?あんだよ、もがっ!?」
牛丼にがっついてたかっちゃんを呼び、振り向いた所にかっぱ巻きを捩じ込んでやる。
かっぱ巻きを口に突っ込まれたかっちゃんは目を白黒させながらもそれを食い尽くした。私は死ぬほどきゅうりが嫌いなので、僕らのかっちゃんが好き嫌いしない良い子で本当に良かった。
思ったより美味しかったのか、おかわりを要求するようにメチャ私の顔を見てくるかっちゃん。なんだその顔、つばめか。可愛い(小並感)。
ふぅむ、仕方ないなぁ。
「ほい、かっちゃん」
「あ!?お、おお、もがっ」
折角お金を出したかっちゃんが一口しか食べられないのは可哀想。なのでかんぴょう巻きもあげた。別に嫌いじゃないけど好きでもないからあげた。
あとはー。
「ほい、かっちゃん」
「もがっ」
イクラもあげてやった。
きゅうりが乗ってたからね。
こんな物食えたもんじゃない、豚の餌にも劣る。
邪魔物を葬った後は楽しいお昼タイム。
好きな物から食べていくスタイルな私はマグロから口にした。うめぇー。なんだこれ、うめぇー。100円寿司とは格が違うな。
「緑谷達って仲いいな、本当」
なんか血迷ってる切島。
取り敢えず仲が良いという言葉を辞書で引いてこいと言いたい。
豪華なお昼ご飯に舌鼓を打った私はやり切った感と共に帰ろうとしたが、かっちゃんに捕まりあえなく教室へと連行された。
午後はヒーロー基礎学らしい。
なんだろ、すげぇ帰りたい。