私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
メリッサだけは後でちょろっと出すつもりだったけど、いる(*´ー`*)?
本編送らせてまで、いるぅ(*´ー`*)?
期末試験終了後。
怪我の手当てをする為、りかばぁの出張保健室に行くと先にクリアしていた轟達の姿があった。
大分先に終わったのか治療も終え、りかばぁとモニターを見てる。・・・ガチムチばれてないよね?いや、私が気にする事じゃないけども。
「轟、百。おつー」
片手をあげて軽く声を掛けると轟は相変わらずの無表情で、百は笑顔で返事を返してくれた。
「緑谷さん、お疲れ様です。条件達成おめでとうございます」
「いやぁ、えへへ。・・・もしかして見てた?」
「はい。思ったより早く終わりましたので、皆さんの姿を拝見させて頂いてました。勿論緑谷さん達も。━━ですが、オールマイトの最後の一撃の後カメラが故障してしまったようでクリアの瞬間は見逃してしまいました。どのようにお勝ちに?」
りかばぁに視線を送ると口元に人差し指を置いた後、しっしっと手を振られた。
こっち見ないで余計な事も言うなって事だろうと思う。
さすばぁ、抜かりがないぜ。あ、でも、さっきのガチムチへの助言の借りは忘れてないから・・・ないから!
「━━ま、色々あったにょ。取り敢えず先に休ませてぇ。かっちゃん重くて」
「あ、ごめんなさい。・・・と、爆豪さん大丈夫ですの?さっきからピクリともしませんけど」
「ああ、これ?大丈夫、大丈夫。ちょっとガチムチのパンチの余波を良い感じで受けちゃって、空中でスムージーになるんじゃないか位シェイクされただけだから」
「だとしたら、大丈夫ではありませんわ」
そう、私は今かっちゃんをおんぶしてる。
ガチムチに任せようにもヒョロガリにジョブチェンジしちゃったし、ロボに任せるのも何だかなぁと思ってこうなった。━━━それにかっちゃんが目を覚ました時、色々と説明する役が必要だし、そういった意味でも私が側にいた方が都合が良いし・・・まぁ、ついでみたいな?うん。
まったく世話が焼ける幼馴染だじぇ。
私の背中に顔を預けたかっちゃんを、百が珍しいものを見るように覗きこんでくる。相当珍しかったのか、凄い見られてる。多分眉間の皺とかないのが違和感あるんだろうな。
あしどんとかなら写メ撮りそうな顔だもんね。
分からんではない。
かっちゃんを近くにあったベッドに捨てて、空いてるベッドに私も寝転ぶ。りかばぁに診察され始めたかっちゃんをぼやぁと眺めながら今日という日を思い返せば、溜まっていた疲れがどっと肩に押し寄せてきた。流石に疲れた。かっちゃん程でもないけど。すげーしんどい。
対して寝心地の良くない簡易ベッドでゴロゴロしてると轟が飲み物を持ってきてくれた。
「最後のラッシュ、凄かったな。作戦勝ちって所か?」
私は頑張って起き上がり、差し出されたそれを貰う。
そっと口をつけて見ればお茶だった。
スポドリが良かった。
「そうでもないって、運が良かっただけ。それに大体かっちゃんのお陰だしね。最後のラッシュだって、私は合わせただけで大したことしてないよ」
私が立てた作戦には幾つか欠点がある。
その最たる物が時間だった。
作戦に必要不可欠だった『かっちゃん汁』を調達する時間だ。
あの作戦で使う汗の量はかなりの物だった。籠手キャノン一つのフルチャージ分と導火線であり囮である偽装涙分。加えてガチムチを倒せるレベルの爆発を起こす、かける分の汗。かっちゃんが元よりチャージしていた使わない手榴弾から汗を抽出しても、それでもかなりの量が足りなかった。
ガチムチが早い段階で攻めてきたら、犠牲なしには勝てなかっただろう。
「そうなのか?」
「作戦に使用する分のかっちゃん汁・・・かっちゃんが頑張ってモモあげして汗を作らなかったら無理だった。話にならなかったと思う」
作戦開始時間ギリギリまで汗を作る為、私の提案通りモモあげしてたかっちゃんの勇姿は、今も瞼の裏に焼き付いてる。
そんな風に感慨に耽ってると、轟の不思議そうな声が聞こえてきた。
「途中からしか見てないからな、どういった経緯でああなったか知らないんだが・・・見てて不思議に思った事がある。なんでモモあげだったんだ。他にもあっただろう」
なんてつまらない事言うんだ、この紅白饅頭は。
そんなの決まってるだろう。
「一番絵面が面白いから!!」
「良かった。ちゃんと緑谷だった」
どういう意味だ、のらぁ!!
それからりかばぁに軽く治療された後、轟達の試験内容聞いたり、とっておきのオペレーションの解説受けたり、百から「轟さんとはお付き合いなさいませんの?勿体ない!」とガチトーンで聞かれたり色々してると、疲れきったお茶子達が帰って来た。
私がやっほーと声を掛けるとお茶子がダッシュしてきて、その勢いのまま抱き着かれた。
「ニコちゃぁぁぁぁん!!」
「うぇ!?どした、どした。どうどう。落ち着くんやで、お茶子」
「ふわっとした関西弁も今は許すから、ちょっとこのまままでいさせてぇぇ!!頭とか撫でてぇぇぇ!!」
私の胸の中で咆哮するお茶子から視線を外し、出入り口にいた外国人を見た。外国人は私の視線に気づいて、変なポーズを取ってくる。なんだ、あいつ。喧嘩売ってんのかな?
頭を撫で撫でする事暫く、復活したお茶子が顔をあげた。良い笑顔だった。
「すっきりした、もう大丈夫!」
「よく分かんないけど、大丈夫ならいいや」
落ち着いたお茶子から事情を聞くと、外国人のアオヤマが『なんなん!?』って事しかしなくて凄く疲れたらしい。ストレスマッハだったらしい。相性って大切だよね。うん。・・・しかし、お茶子が『なんなん!?』って言っちゃうレベルの『なんなん?』が何なのか凄く気になる。お茶子が言いたくなさそうだから、聞かないけどさ。
なんなん?アオヤーマ?
「てか、ニコちゃん。抱き着いた時、めちゃええ匂いしたんやけど、期末試験受けてきたんだよね?」
「めっちゃ受けてきたで。てか、ええ匂いする?汗臭くない?」
「これが産まれもった女性力の差か・・・神さんが憎い」
なんか神様が憎まれた。
そのまま他の人も待ってようかと思ったけど、お茶子を交え女子三人でお喋りしてたらりかばぁにモニタールームから追い出された。五月蝿いとのこと。
そもそも治療する為の場所だし、お喋りする所じゃないから仕方ないけどね。
「はぁ、私大丈夫やろか」
出張保健室から出て少し、お茶子が重たい溜息をついた。経過報告の放送で、お茶子達が条件達成したのを聞いていた私は不思議に思った。
はて、何が不安なのか。
「条件達成したんでしょ?」
「したのは、したんやけど・・・」
チラリとお茶子が百を見た。
百は申し訳なさそうに頷く。
「確かに。あの内容ですと、少々」
「はぁぁぁ、そだよねぇぇぇ」
ガクーと項垂れたお茶子の頭を撫でながら、百にお茶子の試験内容を聞いてみた。こざーと説明を受けた私は、すべてを察しお茶子の頭を抱き締めてあげた。
「お土産は買ってくるよ!」
「大丈夫ってゆーてよ!!そこは!!」
そんな事言ってもな。
限りなく不合格臭いもん。
「あ、緑谷だ!おーい!」
涙目でプンスコするお茶子を宥めてると、喋らない岩っっぽい奴にお姫様抱っこされた耳郎ちゃんがやってきた。
その後ろに梅雨ちゃん達の姿も。
私とお茶子はまるで合図でもあったかのようにスマホを手にした。
そしてこちらに手を振る耳郎ちゃんに向け、これまた合図でもあったかのようにパシャる。
連続フラッシュ。
乱れフラッシュ。
最初フラッシュの眩しさで不思議そうに頸を傾げていた耳郎ちゃんだったが、自分の格好を思い出したのか顔を真っ赤にさせた。
「うわっ!?止めろってば!!これはそういうのじゃないからー!!ちょっとプレゼントマイクの音攻撃で、その!頭がクラクラするから、それで口田が!!」
「あらやだ聞いたぁ?お茶子ー。耳郎ちゃん照れるぅ」
「そうやね、テレテレや。ごちそうさまやね。三奈ちゃんに送ったらな」
「せやな」
「違うって言ってんでしょーが!!こらぁっ!てか、芦戸は止めろぉ!!本気で!!」
無慈悲に送信ボタンを押す。
すると数十秒後に返信が返ってきた。
百から聞いた話だとあしどん達は条件は不達成。映像を見た感じだと深く落ち込んでいたという。
そんなあしどんが、どんな返事を返してきたか・・・。
気になって確認ボタンを押すと、そこには絵文字満載の楽しそうな文が返ってきていた。それはそれは楽しそうな、踊るような文が。ムードメーカーなあしどんらしい、スマホ越しだというのに笑顔すら幻視してしまう楽しい色鮮やかな文が。
私とお茶子を手を打ち合わせ、友情を確かめ合うように手を握り合わせる。女の友情だって素晴らしい。だってこんなに人を幸せに出来る。
「友の笑顔を救ったね、お茶子」
「せやね、ニコちゃん」
「うちの笑顔も救えコラぁぁぁぁ!!」
その後、耳郎ちゃんの元に、あしどんからの大量のメールが届いたのは言うまでもない。
そんなこんなで無事期末試験も終わり、皆とさよならバイバイした私はかっちゃんと帰っていた。
いつもと同じよう隣に並んで帰ってるけど、今日は少しだけ違う所がある。ふと視線を落とせば、私の手を握るかっちゃんの手が見えた。
勿論これは握りたくて握ってる訳じゃない。
これは仕方なくなのだ。
「はなせや」
声に視線をあげれば顰めっ面のかっちゃんがいた。
「じゃぁ、大人しく迎えに来て貰えば良かったじゃん」
「・・・一人で帰れるわ」
「そんなフラフラで帰れる訳ないでしょ?だからこうして私が付き添う事になったんだし」
タフネスに定評のあるかっちゃんも今日ばかりはフラフラ。ガチムチとガチンコしたり、汗溜める為に体を動かし続けたり、りかばぁの矢鱈と体力使う治療受けてたり・・・やった事を考えれば今こうして立ってる事のほうが不自然だ。
意地っ張りも程ほどにしないと死ぬぞ、かっちゃん。
「それにさ、今更でしょ。もうすぐ貴方の家に着きますけどぉ?」
「だからだろうが。もう大丈夫だっつんだよ」
そう言って私の手を振り払おうしてくる。
かっちゃんの腕にいまいち力が入ってないので、ブラブラするだけで終わる。なんかこの構図、手を繋いで帰る子供みたい。幼稚園児みたい。
そんな事を思ってると、たまたま向いから歩いてくる小さいお子様カップルに「おててつないでるー!いっしょだねー!」と手を振られた。
かっちゃんの抵抗が更に強くなった。
勿論ブラブラしただけで終わる。
無駄な抵抗パート2。
「そんなにやなの?」
「っせぇわ、ボケ」
仕方ないので手を離してやるとやっぱりふらつく。
私がその様子をじっと見つめてやると、そっぽ向いて誤魔化してきた。騙されると思うなよ。
「かっちゃん、手」
暗に支えてやるから手をだせやと言ってみたが、かっちゃんは両手をポケットに突っ込みふらつきながら歩き出した。無視しやがったなこの野郎と、メラッと怒りの炎が燃え上がりそうになったけど頑張って耐えた。言っても病人みたいなもの。暴力は駄目だ。
なので仕方なしにかっちゃんの腕に自分の腕を差し込む。ぎょっとしたかっちゃんが振り払おうとしたので、その腕をぎゅっと胸の所で抱え込んでやった。
「おまっ!?や、止めろやっ!」
「知らなーい。もう知らなーい。大人しく手掴んでないかっちゃんが悪ーい。━━あんまり動かさないでよ?こそばゆい。まぁ、私のお胸様を堪能したいなら、話は別だけどね?」
そう言ってやれば、かっちゃんは大人しくなった。
相変わらずこういうのに弱いなぁ。
本当に素人童貞なのか?
「かっちゃん実は童貞?」
「誰が童貞だこら!!」
やっぱり違うんだ。
誰とやったんだろ。
同級生とかじゃ、ないよね?
むーーー・・・・。
それからかっちゃん家に着くまで、かっちゃんの初体験について追求しまくったけど結局何も教えてくれなかった。ついでにファーストキスについても聞いたけど、そっちも空振りに終わった。
これはいよいよ、かっちゃんの中学の時の友達に聞かないといけませんね。
覚悟しろかっちゃん!今に暴き立ててやるかなぁ!!ふははは!