私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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そんなに需要がなさそうなので、映画編はやらなーい!

後で気が向いたらやるかも知れんけど、今回は流れでちょっと触れるだけにしとくわ(*´ω`*)


一つ終れば次の何かがやってくる。二つ終ればその次の何かがやってくる。そんな何かの為に毎回頑張ってる私はもうくたくただよ。━━え、あ、今眠いのはそれとは全然関係ないけどね。ふぁあ・・・ぐぅ。の巻き

期末試験も無事に終わった翌日。

可愛いの代名詞たる私は今日も今日とてかっちゃんに起こされてしっかり登校中。

電車に揺られながら何度目になるか分からない欠伸をかいた私は、隣にいるかっちゃんの肩を借りてウトウトさせて貰う。ちょっと嫌な顔されたけど、くたくたなので勘弁して欲しい所だ。

 

どうしてそんなに疲れてるかというと、前日色々あったのだ。

 

前日、私は久しぶりに地元の友達と連絡をとった。

当然なんとなく連絡をとった訳じゃない。かっちゃんのアノ話を聞こうとしたのだ。まぁ、気がついたら別の話で盛り上がってて、その件のがついでみたいになってたけど。

 

久しぶりに連絡をとったその子は、中学の時と比べると大分垢抜けてる感じだった。声のトーンから軽かった。ちゃっかり彼氏なんかが出来ちゃってて、なおかつやっちゃったらしい。

全然羨ましくないんだけど、やっぱりそういう流れの話になったので、経験者の話に耳を貸してみた。するとやっぱり、最初は地獄のように痛いらしい。それはそれは、痛いらしい。なんだったら、焼けた鉄の棒を突っ込まれるクラスの痛みらしい。

 

勿論そんな言葉を真に受ける私ではない。賢いからね。私は。騙されない。ちゃんと知ってるし?保健体育で習ったし?幾らなんでもね、焼けた鉄の棒はない。ないよ。あはは。いってもちゃんとそれをする部分だからね?間違った使い方じゃないもんね。ないよ、あはは。

 

 

━━━もう暫くはフリーでいいやと思ったけど。

 

 

まぁ、そんな話をしながらも、当初の予定であったかっちゃんの初体験についても一応調査しておいた。丁度その友達がかっちゃんの友達とも付き合いのある奴なので、私の代わりに問い詰めて貰った。

 

けれど、どんなに追い詰めてもかっちゃんの友達から聞けたのは、一言『察して』という言葉だけだったみたい。

私には分からなかったけど、友達はその言葉の意味に気づいたみたいで『ははーん』とか言ってた。何が分かったのか聞いても中々教えてくれなくて、最終的には『あんたが一番知ってるでしょうが』との事を言われた。

 

友達との電話を切った後、ジョギングしながら、お風呂に入りながら、夕飯を食べながら、テレビを見ながら、お布団に入りながら考えたけど全然分からなかった。私が知ってるって誰だ?ってなった。

いっその事、かっちゃんに聞いちゃおっかな?とも思ったけど、前日に軽くあしらわれてるので無駄に終わる可能性が高いし、下手に警戒されて教えてくれなくなりそうなので我慢せざるを得なかった。

それで結局、その事が気になり過ぎて寝れなくて、今こうなってると言うわけなのだ。

 

よく考えたら、かっちゃんのせいじゃないか。

なら肩くらい貸すべきだな。うん。

 

 

・・・ぐぅ。

 

 

 

「」

 

 

「━━━っ」

 

 

「━━━━━━双虎」

 

聞き慣れた声に重たい瞼を開けてみる。

すると、かっちゃんが不機嫌そうに見下ろしていた。

ふと気がついたけど、なんか目線が高くなってる気がする。

 

「・・・おっきくなった?」

「・・・はぁぁっ!?何処で、な、何言ってんだてめぇは!!?寝ぼけてんのか!?次着くぞごらっ!!」

 

そう言われて今いる所を確認する。

入り口付近のモニターに私達が降りる駅の名前が出ていた。教えられた通りに次みたいだ。

 

「ふぁぁーーあふ・・・本当だ」

「分かったら寄り掛かるの止めろや」

「ふぁーい」

 

・・・ぐう。

 

「寝るんじゃねぇ!!」

「いたっ」

 

ゴスっと、頭に衝撃が走った。

知能指数が減る程では無かったけど地味に痛い。

痛みに顔をあげれば構えられた手刀と、やっぱり目線の高くなったかっちゃんの顔があった。

 

自分の頭の天辺に手を置き、かっちゃんの方へと高さを変えないように動かす。とん、と手が当たったのは前に比べた時よりずっと下。

 

「ほら、おっきくなってる。ね?」

 

そう教えてあげると、かっちゃんが顰めっ面になった。

 

「・・・知っとるわ」

「教えてくれても良いのに」

「何だって教えんだ?大きくなりましたってか?あ?アホか」

 

そう言われると、確かにアホっぽい。

幼馴染だからといって背が伸びた報告は普通しないか。私もおっぱい大きくなりましたとは報告しなかったし・・・いや、したな。自慢しにいったな。スポブラから普通のブラジャーに進化した時、二時間くらい自慢してやったな。

 

まぁ、別になんでもいいか。

 

そんなこんなで電車を降りる時、何故だか盛大に「はぜろ」との大合唱を貰った。

ほら、かっちゃん。はぜてやれ。ファンがいるよ、ファンが。そっちじゃない?じゃぁ、どっちよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かっちゃんと一緒に教室に入ると、暗い顔した四人のクラスメートがお出迎えしてきた。

試験、駄目だった組の、四人━━━略してSD4の面々である。

 

他のクラスメート達はこのSD4の扱いについてどうすべきか決めあぐねているようで、誰も声を掛けない。何でも言っちゃう梅雨ちゃんですら、その雰囲気に何も言えずに心配そうに見るばかり。今回ばかりは、委員長と副委員長も無力だった。

 

そんな中、四人を慰めようと同じく駄目臭い、勇者ドンマイこと瀬呂が立ち上がる。

 

「ま、そんな落ち込む事ねぇって。な?条件達成しなくてもよ、もしかしたら別の所で評価とかされてるかもしんねぇじゃん?」

 

瀬呂の言葉に上鳴が顔をあげた。

絶望の表情だった。

 

「別の所ってなんだよ・・・俺達、ほぼ何も出来ずに終わったんだけど。基本的に逃げ回ってただけなんだけど。校長の居場所どころか、出口すら見つけられなかったんだけど。何処を評価されんだよ。気休めみたいな言葉で希望を見せようとするなよコンチクショー!!待ってるのは補習地獄だ!!貴様の偏差値を数えろバカー!!」

 

上鳴から放たれた平和のピース。

目潰しが勇者ドンマイを襲う。

クリティカル、勇者ドンマイは倒れた。

 

「いてぇ!!何すんだ、上鳴この野郎!人が慰めてやってんのに!てかな!俺も不安なんだよ!峰田のお陰でクリアしたけど、俺ほぼ寝てただけで終わってんの!何一つしてないの!これで合格とか貰える気しねーんだって!!」

「知るかぁ!!それでもクリアペアだろこの野郎ー!!同情するなら、なんか色々くれ!!可愛い彼女とかくれ!!」

「落ち着けよ、峰田みたいな事いってんぞ」

 

馬鹿な男達は放っておいて、あしどんの所へ向かった。

私がいくと他の女子ーずも重い腰をあげてくる。

そして、私の後ろに並んだ。

 

・・・私を盾にするな。

 

鉄壁じゃないんだぞ。

私だって、怖いんだぞ。

話し掛けるの。

 

耳郎ちゃんのスキャンダルで一時期元気を取り戻していたあしどんだったけど、もうその笑顔は何処にも見受けられない。

 

「あしどん?」

「ニコ、皆・・・土産話っ、ひぐ、楽しみに・・・うぅ、してるっ・・・がら!」

 

駄目だ、重症だ。

 

「えまーじぇんしー!ふぉーめーしょんコイバナモード!!」

 

私の合図と共に女子ーずが頷き、あしどんを加えて輪を作る。いつもなら率先して話し始めるあしどんが泣いてるので、私から話す事になった。

昨日仕入れたネタもあるので丁度良かった気もしない。

 

当然話したのはかっちゃんの訳分からん話ではなく、彼氏ありの友達の話。あっち系の話になると、キャーキャー言いながらも皆興味深々といった様子だった。

あしどんも涙目ながらではあったけど葉隠とグイグイきた。お茶子はむっつりだった。

 

痛いらしい事については百に辞書を引いて貰ったけど、個人差があって痛い人は痛いらしいとの事しか分からなかった。でも焼けた鉄の棒はないのでは?との事。

そうだと思ってたよ、私は。

 

あと、耳郎ちゃんと梅雨ちゃんは恥ずかしそうにしてた。あの二人思ったより純情ちゃんだったみたい。

 

 

 

 

 

あしどんの元気を少しだけ取り戻してからちょっと。

予鈴が鳴り終えたと同時に包帯先生がやってきた。

小脇になんかの資料が抱えられてる。

 

軽い挨拶を済ませた包帯先生は早速期末試験の結果について話始めた。

 

 

「残念ながら赤点が出た・・・従って━━━」

 

 

SD4の面々に緊張が走る。

耳に息をかけられたかっちゃんの額に青筋が走る。

 

 

「━━━━林間合宿は全員で行きます」

 

 

「「「「どんでんがえしきたぁ!!!!」」」」

 

 

SD4が魂の叫びを響かせる。

私のおでこにはデコピンの衝撃が響く。

いったい。

 

「静かにしろ。━━えー筆記の方は赤点ゼロ。実技で切島・上鳴・芦戸・砂藤・・・あと瀬呂が赤点だ」

 

静かにぶった切られた瀬呂が机に突っ伏す。

なんか小さい声で「ですよね。クリアしたら合格とは言ってなかったもんな」と呟いてる。

 

私の所では勝たないと駄目って言われたのに。

まぁ、教師力ポンコツなガチムチの事だから、間違えてたんだろうと思うけど。

 

包帯先生の説明によって試験はクリアの事実より、こっそり与えていた課題とどう向き合うかを見るようにしてたらしい。もしかしたら、私とかっちゃんはちゃんと協力するかを見られてたのかも。

 

包帯先生の話を聞いて尾白が「本気で叩き潰すと仰っていたのは」と疑問を口にすれば、「追い込むため」だとの回答が返ってきた。そら、そやろな。他に理由ないもん。

 

「━━ま、そもそもだ。林間合宿は強化合宿。赤点取った奴こそここで力をつけてもらわにゃならん。つまりは、合理的虚偽ってやつさ」

 

「「「「ゴーリテキキョギー!!!!」」」」

 

うるっさ、SD4うるっさ。

元気になったなぁ、本当に。

あ、瀬呂が雑ざった。

SD5だね。

 

そんなSD5を横目に眼鏡がいらないチャチャを突っ込んだ。信頼がどうとか言ってる。

そのせいかどうかは分からないけど、包帯先生の鋭い視線がSD5の面々に向けられた。

 

「━━━全部が嘘ってわけじゃない。赤点は赤点だ。いまはしゃいでる連中には、林間合宿中別途に補習時間をもうけてる。ぶっちゃけ、学校に残って補習するよりキツイからな。覚悟しとけ」

 

SD5の顔が死んだ。

分かりやすいくらい暗い。

あしどん、頑張れ。

 

「━━で、だ。林間合宿のしおりを配る前に、緑谷」

 

林間合宿の話をしながらかっちゃんと戯れると、急に名前を呼ばれた。

なんじゃろと顔をあげるとSD5に向けていたような視線がこちらに突き付けられていた。

嫌な予感しかしない。

 

「な、なんで御座いますでしょうか。お代官様」

「誰がお代官様だ。・・・テスト結果に問題はなかった。実技も概ね問題はない。体育祭の結果もそこに加味した上、先生方でお前の処遇について協議していたのだが昨日その結論がようやく出た。夏休みの件だが━━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━補習免除が決定した」

 

 

「どんでんがえしきたぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

思わずかっちゃんに抱きついた私は、その興奮を伝えたくてガクガク揺らしてやった。

めちゃ睨まれたけど、そんな事はどうでもいい。

後で唐辛子煎餅奢ってあげちゃうから許せぇ。

 

ふぁぁぁぁーはぁっはーーー!!!

 

「かっちゃぁぁぁぁぁん!!ふぁぁぁっはっーー!」

「何語喋ってんだ、おい!!つか、止めろや!揺らすなボケ!離れろゴラァ!!頭をグリグリ押し付けんな!!いてぇだろうが!!」

「いぇぇぇぇはっほぉっーー!!」

「幾らなんでも歓喜し過ぎだろ!!普通に授業受けてるやつは普通に貰える休みだぞ!?おい馬鹿聞け!!」

 

この世の春を謳歌してたら、急に背筋が寒くなる。

びっくりして視線を原因と思われる場所に向けると、怒りに満ちた包帯先生の目が見つめていた。

 

「緑谷。今すぐ静かにしろ・・・でないと」

 

私は直ぐ様かっちゃんの掌も使って口を押さえた。

掌の四枚重ね。声が漏れることなし。

私の姿を見た包帯先生は溜息をついた後、鋭い視線と共に口を開く。

 

「・・・正直に言えば、補習したいのは山々なんだが、先生方も暇じゃなくてな。今回は見送る事にした。代わりに、課題は出す。林間合宿の時に提出しろ。もしやってなかったら━━━━━その時は一学年の間、毎週の日曜日を補習日にしてやる。分かったな?」

 

ぞっとする提案に首を全力で縦に振っておいた。

あれはマジな目だ。怖い。

 

それから林間合宿について色々説明があった。

レクについて聞いたら、お前は遊ぶ事しか考えてないのかとキツイご指摘を受けた。是非もないけど、言ったら怒られそうなので笑顔だけ返しておいた。めちゃ睨まれた。

 

少しの夏休みを挟んだのちの一週間の林間合宿。

なんやかんや今から楽しみだ。

ワクワクしながらしおりを眺めてると、ふとある一文に気がついた。買わないといけないやつを見つけたのだ。

 

「━━━かっちゃん、かっちゃん」

「んだ。っせぇぞ」

「明日買い物いこうよ」

「はぁ?・・・ちっ、なに買うんだよ」

 

私はしおりを開きながら、その一文を指差して見せる。

 

「水着。サイズ的に去年の無理だし。選ぶの手伝ってよ?かっちゃんセンス良いしさ」

「・・・はぁ?んで、俺が水着なんざえら・・・ぶ・・・・っ!!?はっ、はぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

「どうしたん!?爆豪くん!?」

「けろ、また緑谷ちゃんが何かしたのね」

 

そのかっちゃんの大声を切っ掛けに、あれよあれよと話は進み、明日の休みA組みんなで買い物にいく事が決まったのだった。

 

 


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