私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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なんとか更新したったぜぇ(;・ω・)
間に合わないかとおもた。

このギリギリ感がたまんねぇな(*´ω`*)


ステージ7:スタンド・バイ・ニコ:私達の短い夏休み編
夏休みの宿題を最後にやるやつは基本駄目なやつ。だってね、そういう奴に限って最終日だけじゃ終わらない類いの課題を忘れてるでしょ?絵日記だとか、観察日記だとか、自由研究だとかさ。私は忘れてたもん。の巻き


待ちに待った夏休み初日。

早速遊ぶぞ!っと言いたい所だが、美しく賢しい私はこの日あえて不安の種を潰すため、宿題片手に爆豪さん家を訪れていた。

 

「かっちゃーーーーん!宿題しましょーーー!」

 

元気よくそう声を掛けると、笑顔の光己さんが玄関を開いてくれた。

 

「いらっしゃーい、双虎ちゃん!相変わらず朝から元気ねぇ!」

「おはよございまーす。光己さんも元気ですねぇ・・・て、なんか今日お肌ツヤツヤしてません?」

「おほほ、分かるぅ?流石に双虎ちゃんは目が利くわねぇ。乳液替えてみたのよ。知り合い紹介された物なんだけど、これがまた結構良くてねぇ。帰りに化粧水とセットの試供品あげるから、引子さんと使ってみて頂戴よ」

「母様に?・・・ぷ」

 

思わず鏡の前でポヨポヨの頬っぺたをぺちぺちする母様の姿と、顔だけツヤツヤになったアザラシな母様の姿を想像して笑ってしまう。

やばい、超面白い。

 

「ツヤツヤアザラシ・・・ぷっ、くくく」

「双虎ちゃんも懲りないわね・・・そういう所はうちの馬鹿とよく似てるわ。━━━あ、まさかうちの馬鹿が悪影響を・・・?」

 

光己さんと少し話した後、私はかっちゃんの部屋に向かった。寝てるのかと思ってそっとドアを開けたけど、テーブルの前に腰掛け宿題に勤しむかっちゃんと目があう。流石宿題は最初にやっておく派のかーつきくん。悪戯出来ぬではあーりませんか。

 

「おはよ。起きてたんだ?」

「てめぇと一緒にすんじゃねぇ。こちとら、七時には起きとるわ」

 

それじゃ悪戯は出来ないか。

なにせ私が起きたのは八時過ぎだもんね。

それなら仕方ないとかっちゃんの前に座り、大人しく宿題を拡げた。補習回避分の宿題もあるから、かっちゃんのおおよそ倍の宿題がテーブルに並ぶ。

 

「無言で進めんな」

「そーいう訳だから」

「どーいう訳だ、こら。言葉にしろ・・・はぁ、騒ぐなよ」

 

最初は睨んでたかっちゃんだったけど、私に帰る気がないのを察したのか溜息をついて自分の宿題に取り掛かる。私もそれに続いて宿題を始めた。

 

途中分からない所をかっちゃんに聞きながら進め、宿題を片付けていく。基本的に教科書を参考にすれば分かる問題ばかりなのでそう難しくはない。後は時間と集中力、それとおてての痛みの問題だけだ。

あ、肩も凝るわ。うん。

 

黙々と勉強に励み、気がつけば時刻はお昼に。

コンビニでも行こうかと考えていると、光己さんがお昼を持ってきてくれた。

ニヨニヨしながら光己さんが持ってきたのは二種類のスパゲティ。片方はカルボナーラなんだけど、もう一つが危険な香りを漂わせるミートスパゲティっぽいなにか。何故なにかなのかというと、ミートの中に輪切りにされた大量の唐辛子を見たからだ。

それはミートスパゲティという名の皮を被った、得体のしれない何かだったのである。

 

かっちゃんはそれを迷う事なく選び、何も言わずにそれを口にした。旨いとも不味いとも言わない。黙々と食べるだけ。

 

その姿を横目にカルボナーラを食べていると光己さんが「よくあんなもん食えるわ」と笑っていた。こっちとしては全然笑えないんだけど。狂気の産物だからね。

 

光己さん辛い物嫌いだから、多分味見とか一切してないんだろうなと思う。昔かっちゃんパパとかっちゃん用に激辛カレー作ってる光己さんに聞いた事があるのだが、辛い料理を作るときは味見なしで適当に作ってると言っていた。その時も「よくこんなもん食えるわ」と大爆笑していたのを覚えてる。

 

いや、まぁ、辛い物突っ込む前は味見してる姿はみるんだけどね?うん。

 

 

 

お昼を食べ終えるとまた私らは宿題に戻った。

出来れば今日中に終わらせて、残りの夏休みを全部遊びたい。実際はトレーニングもしなきゃだから、丸々全部が遊びに使える訳でもないんだけども。

 

宿題も三分の一を終えた頃、ふと昨日の百からの連絡を思い出した私はそれを口にした。

 

「明後日さー」

「・・・ああ?」

「予報だと晴れでしょ?」

「予報だ?・・・天気か」

「そー。海行くから空けといてねー」

 

カリカリという文字を書く音が響いていたのだが、それが急に止まった。

 

「・・・はぁ?」

 

不思議そうなかっちゃんの声。

手を止めて視線を向ければ、怪訝そうなかっちゃんの視線があった。

 

「海だ?」

「そう、海。百がねぇ、百パパに頼んで別荘のプライベートビーチを押さえてくれたの。元々女子ーずだけで一泊二日の予定で行くつもりだったんだけどさ、やっぱり海だと変な奴出るでしょ?盾役が欲しくってさぁ」

「・・・プライベートビーチなんだろ?」

「所有地ってだけで囲ったりしてる訳じゃないから、変な奴が紛れる事もあるってさ」

「面倒くせぇ・・・」

 

ああ、うん、やっぱりか。

何となくそう言うとは思ってた。

 

「嫌なら良いけど。一応他にも頼んであるし」

「あ?他だ?」

「うん?そうだけど?轟とか尾白とか切島とか・・・生きてたら瀬呂も来ると思うけど」

「・・・」

 

私がそう言うとかっちゃんの眉間に皺が寄った。

轟の名前を出すと直ぐこれだ。相変わらずかっちゃんは轟の事嫌いだなぁ。

 

「行かないなら━━━」

「行かねぇとは言ってねぇ」

 

それだけ言うとかっちゃんはまた勉強を再開した。

カリカリという音が鳴り始める。

 

「じゃ、水着と着替え持ってきて。他は全部あっちにあるから要らないってさ」

「・・・時間は」

「学校行くくらいの時間出発で良いんじゃない?場所はまだ揉めてるから決まってから連絡する」

「明後日行くのにまだ揉めてんのかよ、馬鹿か」

「だって百が『全員ご自宅にいらっしゃって下さいませ!迎えに行きますわ!』って強情なんだもん。流石に気を使うでしょ」

「・・・面倒くせぇな」

 

百ときたら予定が決まった時からそんな事言ってるのだ。気合い入りすぎてこっちが気を使う。

 

「取り敢えず適当な駅で集まる予定だけど・・・まぁ、後はあしどんの説得しだいだから。それまで待ってて」

「ああ」

 

それからは特に何もなかった。

ただ宿題を終わらせる為に黙々とペンを走らせるだけ。

かっちゃんも特に何も言わず、私と同じように宿題を進めていった。

 

日がすっかり暮れる頃、私は漸く夏休みの宿題をやり終えた。後は補習回避分が丸々残っているのだが、流石にやる気はでない。

 

「かっちゃん、やって」

「知るか、てめぇがやる分だろうが」

 

かっちゃんは夏休みの宿題を終らせた後、悠々自適に読書しながら筋トレを開始していた。あれだけの問題という名の活字と向き合った後、よくまた読書なんてこと出来るなと思う。かっちゃんは頭が可笑しい。

 

「なに読んでんの?」

「さっさと再開しろ、ボケ」

「教えてくれないとやる気でない・・・」

 

かっちゃんは呆れたような溜息を吐いた後、本のカバーを外した。そこに見えたのはヒーロー資格に関するテキスト。私のやる気は轟沈する。

 

「エロ本じゃないのか・・・がっかりした」

「なんでてめぇの前でエロ本読まなきゃなんねんだ。ふざけんな馬鹿。馬鹿な事言ってねぇで再開しろや。今日中に終わらせんだろ」

「そうだけど・・・そのつもりだけど・・・やる気が湧いてこない」

 

明日やろう!とは思えない。

もう明日からは遊びたいのだから。

朝はお昼に起きて、夜は夜更かしして、テレビとか漫画でも読みながら自堕落に生きたいのだから。

 

だから今日なのだ。

今日、そう今日だけ頑張る。

それが大事なのである。

 

「・・・っうっし!やるぞ!頑張れ私!」

「・・・・んだよ」

「応援してよ」

 

もう一声欲しくてじっとかっちゃんを見つめると、面倒臭そうに頭を掻いてから口を開いてきた。

 

「気張れや、馬鹿」

 

言い方はあれだったけど、少しだけ元気は出た。主にこいつ殴りてぇっていう負の感情からではあったけど。

そんなのもあって、私はなんとかやる気と不屈の乙女力を振り絞り、再びカリカリ地獄に身を投じた。その地獄に終止符を打ち、夏休みという天国をその手にする為に。

 

心の中で某有名ボクシング映画のテーマソングを鳴らしながら再開した私のペンは止まる事なく、カリカリ音を掻き鳴らし続けた。途中気分が乗ってきて「生卵二つ持ってきて!今ならいける気がする」とかっちゃんに言ったら「腹壊すから止めとけ」と注意された。腹など壊す物かよ!日本の生卵の衛生さといったら、世界でもトップクラスなんだからなぁ!!━━ってテレビで言ってたような言ってなかったような!!

 

 

それからかっちゃん家で夕飯まで頂き、私は猶も勉強を進めた。段々と意地になってきた。絶対に終わらせる。そして勝ち取って見せるのだ。まっさらな夏休みを。

 

 

そうして勉強すること暫く。

ふと気がつくとかっちゃんがいなかった。

何処に行ったのかと思ったけど、よく考えたらついさっきに風呂に入ってくるとかなんとか言ってたのを思い出した。

 

息抜きに背筋をピンすると、勉強机の上に乗ってるかっちゃんのスマホが目に入る。そして同時に中学の頃、必死にスマホを隠したかっちゃんの姿を思い出した。

 

私はそっとドアを開けて廊下を確認する。

人の気配がない事をよく確認した後、かっちゃんのスマホを手にロック解除を試みた。かっちゃんはアホなのか、ロックの番号は以前と一緒で私の誕生日のままだった。

 

解除した後、そう言えば今年は誕生日プレゼント何も貰ってない事を思い出す。別にあげる義務がある訳ではないけど、毎年何かしらくれたりあげたりしてる。何もなかったのは今年が初めてかもしれない。

 

まぁ、母様とか光己さんとか、お茶子とかから色々貰ったし、別に構わないんだけど。

 

スマホのアプリはあんまり入れてないのかガランとしてる。私なんてゲームアプリだらけだというのに、えらい違いようだ。何が楽しくてスマホ使ってんだろうか、こいつ。

 

そんな事を思いながら画像フォルダをタッチする。

すると懐かしい写真がそこに映った。

 

「おお、中学ん時のだ」

 

そこにあったのは中学の頃、教室で一緒に撮られた写真。写真を撮った友達が写りが良かったと胸を張って送ってきた物で、私のスマホにも入ってるけど貰った時以来まともに見てないので懐かしい。

 

改めて見て思ったけど、この写真は本当によく撮れてる。伊達に「あたいカメラマンになるよ!」と豪語していた写真オタクが撮っただけの事はある。加工とかしてあるのかな?

 

窓から差し込む光の感じとか、カーテンが風に揺れる感じとか、あとは私の超絶美人っぷりとか相俟って幻想的な感じがする。八割私で持ってる写真と言えるけど、何にせよドラマとか漫画のワンシーンみたいだ。それだけにかっちゃんの顰めっ面が目につく。なんだこいつ、少しは嬉しそうにしろよな。

 

他にも何かないかと調べてくと結構あった。

かっちゃん自身写真撮ったりしないのか、構図的に人から撮られた物ばっかりだったけどそれなりの枚数がある。

 

「なついなぁ」

 

どれも基本的に顰めっ面。

たまに笑ってる顔もあったけど、悪人顔でウケる。

ずらーと見てくと、ふとあることに気づいた。

 

結構私と写ってるのが多い?

 

写真の何処に私がいる気がする。

いない時もあるけど、割と出現率が高い。

まぁ、一緒にいる事も多かったってのもあるかもだけど。

 

そう思ってぼんやり眺めていると一枚の写真で手が止まった。それだけ構図が違っていたのである。

 

「・・・うわぁ」

 

あったのは中学の頃、休み時間かなんかで爆睡する私のお間抜けな姿だった。いつ撮られたのか分からない。けどその時の席の関係とか構図から考えて、かっちゃんが撮った物なのは間違いなかった。

 

嫌がらせかなぁとも思ったけど、一度もこの写真を見せられて笑われた記憶はない。それならなんでだろうと凄く疑問だ。後でからかう為にとっておいて忘れてた━━━ううん、なきにしもあらず。

 

こんなもの消去と思って弄ったけど、ロックが掛かってて消せない。これも私の誕生日か?と思ってやったけど、流石に違った。

 

消せなかった事は不服に思いながらも、そろそろかっちゃんのスマホを弄るのに飽きてきた私は、それをきちんと元の位置に戻し次の面白いアイテムを探した。

 

そうして何となしに机を漁ってると、引き出しを開けた所で思わず手が止まる。

 

「お、おお!?」

 

そこには可愛くラッピングされた如何にもプレゼント用の何かがあった。

似合わなっ!!と思わず叫びそうになったが、なんとか飲み込む。大声を出せば流石に勘づかれる。

 

そっと手にとって振ってみるとカチカチ音が聞こえる。

貴金属っぽい。アクセ系かもしれん。

・・・似合わなっ!

 

「だ、誰にあげるんだろう・・・」

 

一瞬私かと思ったけど、誕生日は過ぎてるのでそれはない。箱にプレゼント相手の名前とかないかと調べたけど、書いてあるわけなかった。

 

取り敢えず写メだけ撮っておくかと思った所で、廊下から足音が聞こえてきた。その音の感じからかっちゃんである事を瞬時に察した私はそれを引き出しの中にinして、急いで初期配置に戻る。

 

座った直後、ドアが開き少し湿ったかっちゃんが帰って来た。

 

「うぉかえりぃ!!」

「あ?ああ、んだ、いきなり。つか、まだ居たのか。遅くなる前に帰れや。残りも大して残ってねぇだろ」

 

私の宿題を手にしたかっちゃんはそれをパラパラと捲る。

 

「この間、テスト前に教えてやった事が大半だ。どうしても出来なった所だけ連絡しやがれや」

「えぇ、でもさぁ」

「でも、くそもねぇ。支度しろや」

 

 

 

 

結局少しの宿題を残し、私はかっちゃんに送られて帰る事になった。

帰宅後、帰り際に光己さんから預かった例のブツは母様に無事に渡し、軽くシャワーを浴びてスッキリしてから残りの宿題を終わらせる為、勉強机に座り直す。

 

かっちゃんに言われた通り宿題は難しくなくて、思ったより早く終わりそうだった。

 

ぼやぁと宿題をやってると、かっちゃんの引き出しで見つけたアレが何だったのか気になってきた。

別に誰にあげようと構わないのだけど、誰にあげるつもりなのか。

 

誰かと付き合うかっちゃんを想像したら、あの日、体育祭前に登山した時にかっちゃんと一緒に見た夜景を思い出した。

 

 

「行けなくなる前に、行っとこうかなぁ・・・」

 

 

そう声に出してみると、何だかそれは少しだけ寂しいような気がした。

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