私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
ヘッケラーコックで見敵必殺~(*´ω`*)
スミスウェッソ━━━おっと、もうこんな時間だ。歌ってる場合じゃねぇやな。
さ、今日もぬるりと始まるぜ。
バスの旅が始まっておよそ二時間弱。
アンコールを受けて馬鹿スリーWithお茶子の即興ネタを披露しようとしたその時、窓を見たあしどんが目を見開いて指を差した。
「海だーー!!」
あしどんに釣られて視線を窓に向けると、目的地である真っ青な海が視界の中には入ってきた。
晴天の空の下、太陽の光を反射する海が矢鱈と眩しく映る。
「ヤオモモ!海に直行しようよ!!」
予定だと宿泊先に荷物を届けてから海に行くことになっていたのだが、あしどんは我慢出来なかったみたいだ。
「ふふふ、そんなに焦らなくても海は逃げませんわ。それに別荘は本当に海の側にありますから、荷物を置いてからでも十分遊ぶ時間は確保出来ます。お着替えの事もありますし、やはり一度は別荘の方へと行きましょう?」
「ううぅん、それじゃ仕方ないかぁ。じゃぁさ!ついたら直ぐ荷物置いて、直ぐ着替えよ!ね!」
「分かりました。ですから落ち着いて下さい」
楽しそうに笑う二人を眺めてると裾を引っ張られた。
視線を向ければ梅雨ちゃんが私の服を掴んでた。
なんじゃろか。
「どしたの?」
「けろっ。別に大した事じゃないの。緑谷ちゃんってどんな水着着るのかと思って」
「む?別に教えても良いんだけど・・・またいきなりだね?」
「正直海を見るまで、ここに来た理由を忘れてたわ」
どんだけショック受けてたの、梅雨ちゃんや。
いやまぁ、私も一人でこの高級感溢れるバスに放り込まれたら、ちょっとは気を使うと思うけどさ。
「まぁいいか。私はこの間買ったやつ着るよ。白のビキニ。ホルターネックのやつ」
「ビキニ・・・緑谷ちゃんには似合いそうね」
「梅雨ちゃんも似合うと思うけど。結構あるもんねぇ」
指でつんつんしてみれば梅雨ちゃんのおっぱいはポヨポヨと揺れる。感触がとても良かったので、私はそのままポヨポヨを味わう事にした。最初はされるがままの梅雨ちゃんだったけど次第に顔を赤くさせていき、最終的にはガードされた。
残念、もっとポヨポヨしたかったのにぃ。
「何をするの、緑谷ちゃん。びっくりしたわ」
「びっくりさせてメンゴ。代わりに私の触る?」
「何故だか不毛な争いが始まりそうだから止めておくわ。それに復讐は何も生まないもの」
「哲学だね」
「ニコちゃんは哲学をなんやと思うとるんや」
今日キレッキレのお茶子にツッコまれては私もお手上げだ。大人しく引き下がっておく。触らぬお茶子にツッコミなしだもんね・・・あれ、なんだ、このしっくりくる感じ。私は何かを忘れてるような・・・まぁいいか。
「それはそうと、お茶子はどんなの着るの?この間買わなかったでしょ?」
「え?私?中学の頃買ったやつで、フリルのついた花柄の黄色っぽいワンピだけど」
「えぇぇ、それってこの間聞いてたやつでしょ?なんだってそんな子供っぽいの・・・だったらこの前のビキニ着れば良いのにぃ」
「ええの!私にはまだ早いっちゅうか・・・その、そういうのは見せたい人が出来てからでええと思うし」
「眼鏡に見せれば?」
「なんでや。飯田くんに見せてもしゃーないやん」
だっ、そうです。眼鏡。
慈愛を込めて眼鏡に視線を送ったけど、こっちの話を聞いてなかったのか不思議そうな顔してる。
「どうかしたかい、緑谷くん?」
「んん?いや、別にぃ?」
やっぱりお茶子とは何も無いのだろうか。
前々からその仲のよさから疑っていたけど、ここまで反応ないと違う気がする。友情なのかな、本気で。
眼鏡の不思議そうな顔を見て考えてると、隣に座る紅白饅頭と目があった。朝より顔色が良さそうなので海も行けるだろう。一緒に遊ぼうね!とサムズアップしたら、何故だか目を逸らされた。解せぬ。
と言うか、気のせいかと思ってたけど、なんか朝から無視されてない私?
「ねぇねぇ、かっちゃん」
「・・・んだ、っせぇぞ」
寝こけてたかっちゃんを叩きおこすと、不機嫌そうに眉をひそめた。何となくその皺を指でぐいっと伸ばしてやれば、凄い顔で睨んできた。
ちょっとしたお茶目じゃんか!許せよぉ!
「それよりさ」
「それよりで済ますな━━━で、んだっつんだ?」
「なんか紅白饅頭に無視されるんだけど、なんか知らない?」
「俺に聞くな・・・つか、なんで俺に聞くんだ。クソ眼鏡にでも聞けや」
それはそうなんだろうけどさ。
「眼鏡は紅白饅頭側についてるっぽいから、聞いても教えてくれそうにないんだもん」
「・・・なら、俺はもっと知らねぇだろ」
「仲良くないもんねぇ」
言われてみればそうなんだけど、何となく知ってそうな気がしたんだよね。
紅白饅頭を見てみれば、また目を逸らされた。
「地味に傷つくんですけど・・・かっちゃん、慰めて」
「んで、俺が━━━━━何しろってんだ、おら」
「あーーーー、別に考えてなかった。かっちゃんなりにやってみて。大丈夫、どんなにかっちゃんが慰め下手でも引かないから!多分!」
胸を張ってそう伝えると溜息をつかれた。
しっつれいなやっちゃで。
それでもどう慰めるのか楽しみに待ってると、ワシワシと頭を撫でられた。無骨な手、乱暴な手つき。百点満点中五十点くらいだろうか?うーん、いまいち。
「最近、頭をよく撫でられる気がするなぁ・・・かっちゃんで三人目」
「あ?誰に撫でさせてんだてめぇはよ」
「ツカッチーとガチムチ」
「・・・この間の時だろ。叱られにいって、なんで頭撫でられる流れになんだよ」
それは私に聞かれても?
かっちゃんにワシワシと撫でられてると、ガタンと大きな音が鳴った。音の方を見れば紅白饅頭がこちらを見て立ち上がっている。
ほわい、何事?
隣に座る眼鏡が紅白饅頭の体を掴みなんとか座らせようとしてるけど、紅白饅頭は座る気配なくじっとこちらを見たまま動かない。
何故だか紅白饅頭の背後に変なオーラが━━━いや、威嚇してる紅白カラーの犬が見える。
「轟くん!急にアグレッシブ過ぎるぞ!落ち着きたまえ!いや、確かに、もう少し積極的になった方が良いのではないかと言ったが!」
「大丈夫だ」
「大丈夫ではなさそうだから言っているのだが!?」
なにやってんだろうか、さっきから。
何となしにかっちゃんを見ると怪訝そうな顔をしてた。
煩いのが気に入らないのかとも思ったけど、そうでもなさそうだ。うむ?何だろうか?男同士で伝わる事・・・エロい事かな?これだから男は。
「お茶子ちゃん、もしかして轟ちゃん・・・」
「梅雨ちゃん、言わぬが花って知っとる?」
「けろっ、理解したわ」
それから暫くしてバスは屋敷の前についた。
そこは思ったよりブルジョアな屋敷で、別荘である事を疑いたくなるような立派な建物だった。気になって執事さんに聞いてみると、元々百パパの知り合いの自宅だったらしい。サーフィンを趣味としてる百パパの知り合いが『すぐに海に行ける家が欲しい!』と自宅として建てたようなのだが、入居三ヶ月で飽きて百パパに格安で譲った物なんだとか。
格安って幾らですかと聞いたら、軽く億の話をされたので聞かなかった事にした。お金持ち怖い。
執事のウッチーに案内されて中に入ると、数人のメイドさんが控えており凄く丁寧な挨拶された。百が慌てた様子でプリプリしながら詰め寄っていたので、八百万家のメイドさんなのだろうと思う。
そのままメイドさん達に案内され部屋に。
屋敷の大きさから一人一部屋かと思ったら女子ーずは全員同じ部屋だった。明らかに移動した形跡のあるベッド達。ちらっと百を見ると、不安そうな顔で皆の顔色を窺っていた。
そんなに同じ部屋が良かったとですか?とか問い詰めて困らせてみたい気持ちになったけど、今日の所は黙っておく事にする。あしどんや葉隠も同じ気持ちなのか、私に目配せして深く頷いてきた。
そうだよね、あしどん、葉隠。
忘れた頃に掘り返した方が、ずっと面白くなりそうだもんね。それまで温めておかないとね。
あ、男共は知らん。
執事さんに連れてかれたから。
荷物を置いた私達は海に行くために着替え始める。
あしどんは濃いめの紫色の三角ビキニ。肌の色も映えてエロかった。
葉隠は水玉のタンキニ。ヒーロースーツより服の面積が増えるとはこれ如何に。
百はまさかのパレオ。なんでも最近おしりまわりが気になるらしく、隠したくてそれにしたらしい。━━━それよりも、はち切れんばかりの胸を気にした方が良いと言いたい。
「━━━で、お茶子はマジでそれ?」
私の視線の先には予告通りのワンピを着るお茶子の姿があった。全然高校生っぽさがない。おっぱいがあるからギリ中校生だけど、もしこれがなかったら小学生レベルの色気しかない。
「え、ええやん。というか、これしかあらへんし」
それは尤もなんだけど。
あしどん達に視線をやると私と同じ気持ちだったのか、深い、それは深い溜息をついた。
「なんなん!?もう皆して!そんなんゆーても、これしかないんやからしゃーないやないの!」
プリプリ怒るお茶子にそっと援軍が寄り添う。
そう、もう二人のダサ子達、スクール水着みたいな物を着る梅雨ちゃんと耳郎ちゃんである。
「良いじゃんか、別に。誰に見せる訳でもないし」
「けろ。私もお茶子ちゃんはそのままで良いと思うわ」
「梅雨ちゃん、耳郎ちゃん!」
感極まったのかお茶子は二人を抱き締めた。
そしてこちらにドヤ顔を見せてくる。
そんなに勝ち誇られても・・・。
「そうは言ってもさ、麗日。それはキツイってば。中坊みたいだもん」
あしどんの言葉にお茶子の肩が跳ねた。
「別にビキニ着ろとかは言わないけど、そのデザインはキツイよ。お茶子ちゃん。高校生で」
葉隠の言葉にまたお茶子の肩が跳ねた。
百は焦った様子であしどん達とお茶子達を交互に見ながらオロオロしてる。それでも何とかしようと思ったのか、意を決したように口を開いた。
「けっ、喧嘩はお止め下さい!良いじゃないですか、水着は好きな物を着れば良いのですから!麗日さんはよく似合ってらっしゃいますわ!自信を持って下さいまし!!」
おっと、止めを刺しに来たのか。
百の言葉を受けお茶子が崩れ落ちる。
よく似合ってるという言葉が効いたのだろう。
気持ちの良いくらい止めの言葉だったもんね。
梅雨ちゃんと耳郎ちゃんに支えられたお茶子は虚ろな目で天井を眺めた。敗者の目だった。
「わ、私かて、この感じ見れば、ば、場違いなんくらいは分かる・・・けど、しゃーないやん。これしかないねんもん」
「お茶子ちゃん、しっかりして」
「諦めるなって、麗日!年相応だから!おかしくないって!」
後は頼んだぜ、と格好よく真っ白に燃え尽きたお茶子。
皆は完全敗北を認めたお茶子から耳郎ちゃんへと視線を移す。耳郎ちゃんの肩が跳ねた。
「正直、梅雨ちゃんはらしいからアリだと思うんだよね。でも、耳郎ちゃんのそれはないね。ね、あしどん」
「ねー。てか、響香は恥ずかしがって本命持ってこなかっただけでしょ。あ、梅雨ちゃんはOK。それはファッションだと思うよ」
私とあしどんの言葉に耳郎ちゃんの肩が跳ね、梅雨ちゃんの頬がほんのり桃色に染まる。
その様子を見てた葉隠が胸を張った。
「梅雨ちゃんは似合ってるけど、響香ちゃんはないね!着替えた方が良いよ!」
「少しは遠慮しろ!葉隠えぇ!!」
「うわぁ!?なんで私だけ!?」
狭い部屋の中で始まった追いかけっこを他所に、梅雨ちゃんが私達の方へと近づいてきた。
「緑谷ちゃん、芦戸ちゃん。・・・その、本当に私は大丈夫かしら?」
梅雨ちゃんの言葉に私とあしどんはアイコンタクトする。
「「超カァイイ」」
「け、けろぉ・・・」
ちょっと嬉しそうな梅雨ちゃんが頬っぺたを赤くさせもじもじし始めた。照れてるのかな?可愛い。
それから直ぐ、私達の騒ぎを聞き付けたのかメイドさんがやってきた。
百が騒ぎの事情を話せば「そんな事ですか?でしたら良いものが」と部屋の中にはあるドアを開いた。衣装部屋と教えられていたそこを。
開かれたそこを覗くと、中には大量の水着が並んでいた。サイズもデザインも選り取りみどり。選びたい放題だ。
「これ、どうなさったの?」
「今回の件を聞いた奥様が、百様の為にとご用意なされました」
「まぁ、お母様ったら。そういう時は私の個性でどうとでもすると言いましたのに・・・」
「私共も失礼を承知でそのように伝えたのですが・・・どうしてもと」
「まったく、お母様は・・・ですけれど、丁度良かったですわね」
百は耳郎ちゃんとお茶子に水着の事を説明した。
母親の厚意で用意された物である事、それ故に使わないのは用意してくれた母親に悪いと思う事、二人に似合う水着があるので是非着て欲しい事。
思いやりと優しさによる百の提案に二人は頷かざるを得なくなり、渋々ではあったが水着を着替える事になった。
そう、着替える事になったのである。
「さぁ、耳郎さん!麗日さん!水着を選びましょう!お手伝いしますわ!」
「百さんが、お手伝いなさるなら、私もお手伝いしますわ!おほほほ!」
「あらあら!ニコさんがそうおっしゃるなら、私もお手伝いしますわ!!ホホホ!」
「三奈ちゃんとニコやんがそう言うなら、私も一肌脱いじゃうよぉぉ!!ふぅーー!」
「けろ」
「━━━麗日。ウチは腹括ったよ」
「━━━奇遇やな。私もや、耳郎ちゃん」
この後、皆で二人を着せ替え人形の如くあれこれ着せて、揉みくちゃにしたのは言うまでもない。