私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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今号のジャンプにて発覚。
B組のきのこちゃん、思ったより可愛いノコ。
次回の活躍、気になるノコ。

いや、語尾のノコは違和感しかねぇな。
なんだってあんな話しずらい語尾を・・・。
いや、可愛いんだけども。


にゃんこは可愛がりすぎてはいけない。撫で撫でも程々じゃないと嫌われちゃうからね。え?それなら離せって?あはは、がきんちょはにゃんこじゃないからね!てか、何言ってんだ、このこのー、うりうりーー!の巻き

バスの旅が始まって一時間。

 

私達A組ーずを乗せたバスは見張らしのいい空き地に止まった。ちょっとした展望台のようなそこには車が一台止まっているだけで何も置いてない。てっきりトイレ休憩が何かかと思っていただけに、その止まった意図に疑問を持った。ブドウなんて股間を押さえてWC捜索に首をキョロキョロしてる。

 

「・・・つか何ここ。パーキングじゃなくね?」

 

切島ののんびりした言葉。

何を呑気にと思わずにいられない。

私は最大限警戒する。

包帯先生の動きに。

 

無駄を嫌う合理主義者な我等が包帯先生が、意味もなくこんな場所で止まる訳がない。考えられる最悪は━━━目の前の見張らしのいい景色。

 

いきなり森に放り込まれて、サバイバルとかやらせられないよね?

 

こんな時の為に火打ち石と16徳マルチツールは携帯してる。山に行くということでとあるジャングルで買ったやつだ。

ぶっちゃけ、火を吹けるから火打ち石買う意味無いんだけど・・・とあるサバイバーのネット画像を見たら買わずにはいられなかった。チャッチャッて火を付けたい。虫食べるのはのーせんきゅーだけど。

 

ウーマン・VS・ワイルド!!

配信しちゃおっかな!!

 

「ね!かっちゃん!」

「何がだ・・・?」

 

かっちゃんにはこの冒険心が分からないらしい。

残念ボーイめが。

 

 

 

「よーう、イレイザー!!」

 

 

不意にあがった声に、包帯先生が頭を下げた。

 

「ご無沙汰してます」

 

包帯先生が頭を下げた方へと視線をやると、ネココスした二人の女性の姿がそこにあった。

 

「煌めく眼でロックオン!」

 

シュバッと、赤色ネココス女性が腰を落とし両腕を横へと突き出す。

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

シュビッと、水色ネココス女性が片足をあげて猫っぽい構えで手を上げる。

 

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」

 

ビシッ、と二人のポーズが重なる。

特撮ヒーローなら背後で爆発が起こるような場面だろう。なんか楽しそう。交ざりたい。

 

そんな二人の背後に子供の姿が見えた。

子供の頃のかっちゃんみたいな、目付きの鋭い生意気そうな子どもが。

何処と無く赤色ネココスと似てるから、子供かなんかだろうな。

 

気になったけど、他の人達はその事に何も言わないみたいなので私も口を閉じておいた。目があったから手は振っといたけど。・・・あ、こら、がきんちょ。そっぽ向いてんじゃねーよ。振り返せ!全力で!!子供らしく・・・本当、かっちゃんみたいだな。

 

 

「今回お世話になるプロヒーロー。『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ』の皆さんだ」

 

包帯先生から説明され、梅雨ちゃんが何かに気づいたような顔をした。

 

「けろっ、大した事じゃないわ。以前テレビで見たことのある人達だったから」

「そうなの?」

「確か、四人で構成された山岳救助を中心に活動してるヒーローチームだった筈よ。結構ベテランだった筈だけど・・・10年以上だったと思うわ」

 

「心は18ぃ!!」

 

梅雨ちゃんと私の間に割り込むように、水色ネココスが入ってきた。凄い形相してる。

水色ネココスはネコグローブを私達二人の顔面に押し付け「心は?」とドスの利いた声で確認させてきた。

 

怯えた梅雨ちゃんの「18」が聞こえる。

 

解放された梅雨ちゃんを横目に私は計算してみた。

多分高校出るまではヒーロー活動をしてない筈。

なら、10年来のベテランとなると自然そうなる。

 

「心は18、体はアラサー。その名もプッシーキャッツ」

「いにゃぁぁぁぁぁぁ!!言わないでぇぇぇ!」

 

水色ネココスが膝から崩れた。

ちょっと泣いてる。

私は優しさから、そっと肩に手をおいた。

 

「大丈夫。泣かなくて大丈夫ですって。歳は誰でもとるんですから。OKOK」

「そう、そうかなぁ!?今からでも大丈夫かなぁ!?結婚出来るかなぁ!?」

「大丈夫じゃないですか。・・・知らないけど」

「中途半端に慰めないでぇ!!確信持って言ってよ!」

 

アラサーでも結婚出来るとは思うけど、ぶっちゃけこんなコスして山の中でポーズとっちゃう人がまともな人と結婚出来るとは思えない。てか、いま彼氏いなそうな時点でかなり危ういと思うけど。

 

「ねぇ!誰か紹介してよぉぉぉ!!若くてイケメンで将来有望そうな、そんな男教えてよぉぉぉ!!」

 

こら、結婚できねぇわ。

無理だわ。

 

「聞こえてるんですけどぉぉ!?うわぁぁぁん!憎い!若い子が憎いぃぃぃ!!」

 

あ、声に出てたにゃ。ごめんにゃ。

水色ネココスを泣かせてたら、赤色ネココスが困った顔してこっちにきた。

 

「ピクシーボブ。なにしてんの。子供相手に」

「うえぇぇぇぇん!マンダレイ!聞いてよ!この子が言っちゃいけない事をいったぁぁぁ!!結婚出来ないとか!!言う!?普通!面と向かって!?」

「そんな風に絡んでたら言われるわよ、まったく」

 

呆れたように溜息をついた赤色ネココスは私に軽く頭を下げた。

 

「ごめんね、迷惑かけて。私はマンダレイ。で、こっちがピクシーボブ。この子、婚期逃してて、ちょっとね」

「婚期逃したとか言うなぁ!私はこれからだぁ!」

「あーうん、そうだね」

 

水色ネココスはあれだけど、赤色ネココスは流石に余裕が違うな。人妻子持ちはやっぱり強い。

 

「紹介してあげれば良いじゃないですか。旦那さんの友達とかでも?」

「旦那?いや、私も・・・あ、もしかして私子持ちに見えた?あはは、あの子の事よね?違うのよ。あれは従甥でね・・・洸太!こっち来て挨拶しな。合宿中一緒なんだから」

 

赤色ネココスの手招きにがきんちょは顰めっ面でこちらに来た。益々ちっちゃい頃のかっちゃんだな。その刺々しさとかそっくり。

 

「よろしくね?」

 

頭を撫でようとしたら払われた。

めちゃ睨んでくる。

どんだけかっちゃんなんだ、こいつは。

 

「ヒーローになりたい連中とつるむ気はねぇ━━━━ふべっ!?」

「もぅぉぉ!なにこいつーーー!超かっちゃんなんですけどー!」

 

懐かない猫感に思わずキュンとした私は、生意気ながきんちょをぎゅっとしてやった。固まるがきんちょの頭を帽子越しに撫で撫でしてやると、凄い抵抗してくる。

それもまた可愛くてぎゅっとしてやった。

 

本当、ちっちゃい頃のかっちゃんを思い出すなぁ。

 

同年代としてはクソ可愛くもないクソガキだったけど、なんでかっちゃんが光己さんに猫ッ可愛がりされていたのか今何となく分かった。

確かに、これは可愛い。

 

「はなっ、せよ!この!痴女かよ!!」

「生意気な事言う口はーこれかなぁー?」

「いででででででで!?」

 

生意気な事を口言うを引っ張ってやる。

幾ら可愛いとはいえ悪口は許さん。

誰が痴女だ、誰が。

 

私が可愛がってるとA組女子ーずの面々が集まってきた。皆もがきんちょに興味深々だったみたいで、めちゃほっぺをつつきまくる。がきんちょの顔がどんどん赤くなっていく。照れてんのか、一丁前に。

 

「あはは!本当だ、ミニ爆豪だね!これは!」

「爆豪くんもこれくらいちっちゃっかったら可愛いのにー!」

「ほんまやね。こんくらいやったら、暖かい目で見れんのになぁ」

 

がきんちょをこねくり回す馬鹿スリーwithお茶子とは違い、梅雨ちゃん達は少し離れた所から見てきた。

 

「けろっ、その辺で止めてあげて緑谷ちゃん。可哀想よ」

「そうですわ。緑谷さん」

「一応そんなんでも男なんだからさ、考慮してやんな」

 

三人に言われてがきんちょを見てみると、目の端に涙を浮かべちょっと泣きそうになっていた。

泣くのを我慢する姿とか、本当かっちゃん。

 

可哀想だったので離してやれば、しゅぱぱぱっと走って逃げていった。猫みたい。可愛い。

さっと、赤色ネココスの後ろに隠れると凄い睨んできた。

 

「お前っ!!嫌いだっ!!」

 

おおう、嫌われてしまった。

残念無念、また来週━━━じゃ駄目だな。帰っちゃうもん、来週は。また明日だね。

 

がきんちょとバイバイしてると頭をスパンキングされた。痛い。知能指数が5は減った。振り向けばやはり包帯先生がいる。修羅な顔してた。

 

「いつまでも何やってる・・・!」

「っさっせんしたぁぁぁ!!」

 

 

 

 

皆が話を聞く体勢になった所で、赤色ネココスことマンダレイから説明が始まる。なんでもここら一帯はプッシーキャッツの所有地らしい。30歳そこそこで随分と広い土地持ってるもんだと、ちょっと尊敬。四人で共有だとはいえ凄い。やっぱ、ヒーローって儲かるのかね。

 

ガチムチはすかんぴんなのに。

 

「それで、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」

 

指差された方向を見れば、はるか彼方に山が見えた。

切島や瀬呂が思わずあげた「遠っ!!」という言葉に完全同意である。

 

ざわつく皆を他所に、嫌な予感を覚えた私は包帯先生の立ち位置、それとバスの配置を改めて確認する。

そして確信した。

 

生徒達の位置がこの見張らしいい高台から、落としやすい位置に誘導されている事に。

 

「今はAM9:30。早ければ12時前後かしらん」

 

その言葉に皆がぞっとした顔をした。

切島やあしどんがバスに戻ろうと声をあげる。

けど、遅い。

 

「12時半までに辿り着けなかったキティは、お昼抜きね」

 

水色ネココスが地面に手を置く。

瞬間、地面が波打つのが見える。

その光景を前にした私達の耳に、包帯先生の声が聞こえてきた。

 

「悪いね、諸君。合宿はもう始まってる」

 

急激に盛り上がった土の波が逃げ惑う皆を飲み込んでいく。自然災害。そう思わせる程の圧倒的な個性。

土砂はうねりをあげながら、悲鳴と共に皆を崖の下へと運んでいった。

 

「皆━━━━」

 

私は一人、バスの上から皆の無事を願い、そして見送る。気づくのが遅れて誰かを抱えて逃げられなかった私だけど、自分までとか間抜けな事はしない。引き寄せる個性で即行逃げた。お茶子くらいは助けたかったけど、時間なくてダメぽよだった。

 

「・・・緑谷」

 

下から掛かる声に視線を向ければ、包帯先生がジト目で見ていた。

 

「なんですか?」

「取り敢えず、その判断力の早さ、行動力の高さは褒めておいてやる」

 

おお、包帯先生に褒められた。

珍しい事もあるもんだにゃ。

 

「それはどうも~。まぁ、私も成長してるって事ですよ。もっと褒めてくれても良いですよぉ?」

 

胸を張って自慢する━━━━と、目を離した僅かな隙に腕と足に包帯が絡まった。

そっと包帯先生に視線を戻せば包帯が握りしめられていた。

 

「いやぁ!!いやぁぁぁぁ!!包帯先生の意地悪ぅぅぅぅ!!頑張って回避したんだから、良いじゃん!!私は免除で良いじゃん!!」

「喧しい、お前も行ってこい。合宿舐めんな」

「うわぁぁぁぁぁぁん!!包帯先生の鬼ぃぃ!悪魔ぁぁぁ!むっつりスケベぇぇぇ!!」

 

包帯先生の個性のせいで私の引き寄せる個性が発動しない。碌に掴む物のないバスの屋根。私の体はズルズルと引っ張られてしまう。

 

なんたる剛力ぃ!くそっ!普段面倒臭がりで横になってばっかの癖に、無駄に力ありすぎぃぃぃ!!

 

「お前も、行ってこい!!」

「っおおおわぁ!?」

 

一気に引っ張られ、崖へ向かって投げ飛ばされた。

個性が使えないから戻れない。

 

空中でバランスを崩してると、今度は土の波に襲われる。そして皆と同じように崖下へと引きずり落とされた。

 

 

「私有地につき"個性"の使用は自由だよ!」

 

 

マンダレイの声が聞こえてくる。

 

 

「今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!」

 

 

落ちる先、森が見えた。

樹海と言って差し支えのない、緑の群れ。

 

 

「この・・・"魔獣の森"を抜けて!!」

 

 

嬉々としたその声に、私はぷっつんプリン。

だから一応言い返しておく。

 

 

「覚えてっ、覚えておけよぉぉぉぉ!!この三十路共ぉぉぉぉぉ!!帰ったら、そのネタで死ぬほど弄ってやるからなぁぁぁぁ!!」

 

 

土の勢いが増した。

くそぅ。

 


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