私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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おまた、おまた( *・ω・)ノ

ふぅー今日もなんとか間に合ったぜぇ!
やっぱり、あれだね、この投稿した後の、やりきった感が堪らないね(*´ω`*)

飯が旨い(*ゝ`ω・)



この恨み晴らさでおくべきかぁ!え?復讐なんて何も生まない。やるべきじゃない?バカ野郎!何か生みたいなら工作するわ!これはな!これは!私がスッキリしたいからやるんだよぉぉ!の巻き

長きに渡る激闘。

その道のりはあまり遠く、多くの者が絶望から膝を折る苦難の旅であった。

けれどその度に私達は支え合い、肩を並べ進んだ。

時に手を貸し、時に肩を貸し、時に励まし・・・時にはお茶目な悪戯で気を紛らわせたり。

悪戯については何故か怒られたけど。

 

そうやって暗黒の森を進むこと7時間。

 

私達はついに辿り着いた。

帰るべき合宿場というなの楽園へと。

 

 

「やーーーっと来たにゃん」

 

 

聞こえたその声に重いからだを引きずりながら顔をあげる。そこには出発前にみた三十路ネココス達の姿があった。

 

私は余っている全エネルギーを使い、皆へと声を掛ける。

 

「皆ぁぁぁぁぁ!!今こそふくしゅーの時である!!決起せよ!決起せよ!決起せよぉぉぉ!!旗を掲げ叫ぶのだ!!悪しき三十路共に鉄槌をぉぉぉ!!」

 

肩をびくつかせたネココス達。

私はそれを見ながら百に無理して作って貰った『三十路討伐連合』の旗を掲げ突撃する。その途中かっちゃんが背中に乗れと言わんばかりに手招きしてくるので、喜んで我が愛馬『爆号』に騎乗し突撃を命じた。

 

━━がしかし、皆の足取りが重い。

今回ばかりはかっちゃんの足も取りも━━━━。

 

「どした!!爆号!!元気だせよぉ!!突撃だよぉ!!と・つ・げ・き!!」

「喧しい、大人しくおぶさってろ」

「ぬぅぅぅぅ!!走ってよぉぉぉぉ!!」

 

肩を掴んで体を揺すってせがむ。

けれどかっちゃんは冷たい反応しか返してこない。

私は愕然である。

 

それならばと紅白饅頭に目をやったけど、普通に首を横に振られた。

 

な、なんだってぇぇぇぇ!?

 

「・・・かっちゃん、下ろしていいよ」

「その後どうする気だ」

「一人でも三十路を討伐する」

「離せるか、馬鹿」

 

ぎゅうっと足が完全固定された。

こ、こやつめ!!いやに大人しくおぶってくれたと思えば、全ては私を捕らえる為だったとでも言うのか!?

はなせぇぇぇい!!このぉぉぉ!!くそっ、憎き三十路共がそこにいるのにぃぃぃ!!

 

「・・・ば、爆、爆豪くん。ニコちゃん、離したらあかんよ」

「言われんでも分かっとるわ」

 

お茶子までだと!?

━━━━━━まさか!!

 

そう思って皆の顔を見た。

予想通り皆の顔に復讐心は欠片も見えない。

どころか、人によっては安堵の表情すら浮かべている。

 

抜かったわ!!

 

なんでそんな簡単に諦められるんだ!熱くなれよ!ふくしゅーしようよ!鞄に蛇のオモチャとか入れようよ!夜中に枕元でお経をエンドレスで流してやろうよ!三十路ネタで顔真っ赤にさせようよぉ!!僕たち私たちの7日間戦争始めようよぉ!!━━━と必死に訴えたけど、皆に疲れた顔された。

 

「あははは、元気だねぇ君は」

「ねこねこねこ、体力お化けだねぇ。まぁ、それをおぶっている彼のがその上を行くけど」

 

楽しそうに笑うネココス達にかっちーん。

何を笑っているのだ!このにゃんこババァ共ぉ!

 

皆が頼りにならないならと一人でもやる。

そう思って頑張って脱出しようとしたけど、かっちゃんの馬鹿力から抜けられない。いつの間にこんなに力つけてんだコイツぅぅぅぅ。

 

「はなせぇぇぇ!」

「ふぐっ!!おまっ、やめろや!!」

 

こうなったら落とすしかないと旗を投げ捨て、空いた両手で首を締め上げる。

けれどぎゅうっと本気で締めたつもりでも、いまいち力が入らない為にくっついただけに終わってしまう。体力を使い過ぎたせいで絞め落とす力も残ってないらしい。

くちおしやぁぁぁ。

 

 

「ごふぅっ!!ぐぅぅ」

「うわっ、ピクシーボブ!?」

 

 

突然そんな声と共に水色ネココスが膝をついた。

その表情をみれば何かしらダメージを受けたのが分かる。外傷がないから精神的なものだとは思うけど・・・実際は何が効いたのか分からない。

 

「これが若さ━━━悔しいぃ、マンダレイ!どうして私は学生じゃないの!!あの時ぃ、あの時大人しく告白を受けていればぁぁぁぁぁ!!━━━今から返事しても大丈夫かな?」

「頭を冷やしなさい?それに彼はこの間結婚したでしょ」

「うぐぁぁぁぁ!!」

 

二人の話の流れは見えない。

けど、水色ネココスが苦しんでいるのだけは分かった。実に可哀想。実に憐れ。

 

まぁ、取り敢えずこれだけは言っておこう━━━━ざまぁ━━━ったぁ!?あれぇ!?包帯先生!?何故に!?いつの間に・・・最初からここに?居たっ、いたたたた!?頬っぺたつねらないれぇぇぇぇぇぇ!

 

 

 

 

 

 

 

結局、かっちゃんの背中から脱出出来なかった私はおぶさったまま話を聞くことになった。赤色ネココス、マンダレイの言うことにゃ三時間は自分達ならという話で元よりこんなもんだと思っていたらしい。その時点でこのおばはんとか思ったけど、文句言おうとしたらかっちゃんに太ももつねられたので黙っておいた。痛い。

 

話はマンダレイから水色ネココスことピクシーボブに移る。ピクシーボブ曰く、最初に飛び出していった四人、私やかっちゃん、紅白饅頭や眼鏡は優秀であるとの評価を受けた。私だけ人間性に問題アリと言われたけど。

勿論喧嘩を買いにいったけど、かっちゃんに太ももつねられたので止めておいた。同じところばっかり・・・痛いんだよぉ。

 

婚期がアレなピクシーボブに紅白饅頭と眼鏡がツバつけられてる姿を"うわぁ"と思いながら見ていると、隅っこにいるミニかっちゃんこと洸太を見つけた。

手を振るとそっぽ向かれた。

 

「かっちゃん、かっちゃん」

「んだよ。また面倒な事じゃねぇだろうな」

「私をなんだと思ってんの?大丈夫、面倒な事じゃないから。あの子捕まえるの手伝って」

「面倒事以外のなにものでもねぇーじゃねぇか」

 

もろに拒否されてしまった。

なんでや、かっちゃん。

 

「先っちょだけ?ね?」

「捕まえるののに先っちょもクソもあるか。放っておいてやれや」

「えぇ、でもさぁ」

 

かっちゃんと話してる内に洸太はさっさと建物の中に入っていってしまった。こっちを少しも見ようとしない姿に、少しだけ寂しく思う。

 

「━━━はぁ、兎に角、今は止めとけ。もっと嫌われんぞ」

「・・・うーん、仕方ないかぁ」

 

もっと仲良くしたかったんだけどねぇ。

 

 

 

 

 

 

ネココス二人の話も終えた後、包帯先生の指示を受けバスから荷物を下ろして私達は早速用意された部屋に行く。女子部屋として用意されたそこは、七人寝るのに程よい広さの和室。畳の匂いがいい感じな場所だった。

私は誰よりも先に端っこに陣取る。普段なら真ん中をチョイスする私だが、何故だかこういう時は部屋の端を取りたくなるのだ。

 

私の隣にお茶子が荷物を置き、その隣に梅雨ちゃんが荷物を置いた。私の枕側になる向かいには百が荷物を置く。百の隣には耳郎ちゃん、あしどんと順番に並び、それじゃぁと言って葉隠は三人と三人で分かれている間、皆のど真ん中に寝そべった。

 

「足、どっちに向ける気?」

 

あしどんの問い掛けに、葉隠は私と百を見てきた。

 

「そっち、って言ったら、怒る?」

「足つぼ押す」

「ひぃ!!ニコやんのつぼ押し!!!」

 

葉隠が震えた。

 

「それじゃ三奈ちゃんの方━━━」

「擽っても良いなら・・・」

「ひぃっ、どっちにも悪戯かましてくる子がスタンバってる!?」

 

結局葉隠はあしどんの隣に荷物を置いた。

やれば良かったのに、ど真ん中。

ね、耳郎ちゃん?

 

そう耳郎に視線を送るとイヤホンをくねらせた。

何気、耳郎ちゃんもノリノリだったみたいだ。

命拾いしたな葉隠。

 

部屋に荷物を置いた後は直ぐに食事らしいので皆で食堂へと向かった。遅れると飯抜きだと言っていたので、ちょっと早足。

 

食堂へと着くとB組連中の姿も見えた。

私らと同じくまだ女子達しかいないようだ。

何となしに見てたらサイドテと目があったので手を振っておく。

 

「お、緑谷達も来たのか!お疲れ!」

「おっつー。そっちもボチボチ?」

「儲かりまっかーって?はは。いやぁ、参ったよ。崖下ったり、魔獣倒したり、森突っ切ったり・・・あんたらも同じ?」

「まぁ、大体一緒じゃないの?私らも大変だったよ。ブドウは漏らすし、三十路は適齢期で焦ってるし、おやつは取られるし━━━あ、でも後でケーキバイキングになるんだったら得したかな?」

「いや、苦労した事、一つも一致してないんだけど。ていうか、ケーキバイキングってなに?」

 

サイドテと話してるとうちの童貞共が来たのでばいちゃして自分達が座る場所にもどる。

それから程なくしてB組の童貞共も現れ、いよいよ夕御飯タイム。

 

並べられた料理の前で皆がお腹を鳴らす中、腕を組んだやけに風格あるムキムキ男が現れる。

 

「B組諸君は知っているだろうが、改めて自己紹介させて貰う!!我はプッシーキャットが一人、虎!!一週間、貴様らを鍛える者の一人だ!!よく覚えておけぃ!!実の所もう一人いるが、今は所用で外している、それは後程紹介しよう━━━まぁ、何はともあれ、初日を乗り越えた貴様らに褒美を与える!心して心行くまで食すがよい!!」

 

バン、と空気が震えるほどの勢いある合掌。

全員の肩がびっくりして揺れる。

 

「手を合わせよ!!少年少女達!!我に合わせて血肉に変わる食材達に感謝の言葉を示せぇ!!いただきます!!!!」

 

その声に皆が手を合わせ声をあげた。

「いただきます」と。

 

そうして始まった夕食、それは戦場であった。

おかわりの声が飛び交い、おかずの奪い合いが各所で勃発。醜い争いがそこら中で蔓延する。

助け合いしてた連中がいまや敵とは、なんとも皮肉だ。

 

ここまで皆が荒れるのはお昼を抜きにした影響もあったかも知れないけど、個性をフルに使った事が一番の原因だと思う。特に百とお菓子くんは個性使用にもろ影響するタイプ。碌に必要な食べ物を摂取せず個性を使ったせいで、今その失った分を取り返さんと凄い勢いで食べてる。

 

リアクション的に切島とか上鳴とかのが食べてるように見えるけど、淡々と山盛りのご飯と大量の唐揚げを飲み込むように食べている百には絶対勝てないだろう。

 

「おい、双虎」

「ん?」

 

声を掛けられたのでそこへと視線を移す。

するとかっちゃんがマッシュポテトが入ったお碗を手にしていた。

 

「いらない」

 

それ、きゅうりinしてる。

私は見たから知ってる。

騙されない。

 

「きゅうりなら抜いといた。これで食えんだろが」

 

見ればかっちゃんの前にあるお碗の中に、抜かれたきゅうり達が顔を覗かせていた。

わざわざ抜いてくれたみたいだ。

 

「本当に全部取れてる?」

「ねぇよ。肉ばっか食ってねぇで野菜も食え、ボケ」

「まぁ、うん。ありがと」

「けっ!」

 

マッシュポテトを受けとると、何か視線を感じた。

そこへと顔を向ければ、向かい側に座ってたお茶子と目が合う。

 

「どした?」

「いやぁ・・・なんでも。また爆豪くんが甘やかしとると思っただけや」

 

お茶子の言葉にかっちゃんが顔を真っ赤にして吠えた。

 

「誰が甘やかしてるっつんだ、こら!丸顔!!」

「爆豪くん以外いないが?」

「っせぞ、クソ眼鏡!!てめぇには聞いてねぇ!!」

 

食べるのに忙しい私は仲良く話し始めたかっちゃん達を放っておき、貰ったマッシュポテトを見た。

信じてない訳ではないんだけど、一応マッシュポテトの中身を確認しておく。あったらヤなので。

すると、ほんの少し、ちっちゃい欠片が二つほど残っていた。

ほら見ろ、これだ。

 

これだからきゅうり好きな奴は・・・。

 

私はそれを箸で掴む。

本当は触りたくもないけど、そこは我慢する。

 

「かっちゃん」

「あ!?んだ・・・・あ?」

 

差し出されたきゅうりの欠片に、かっちゃんはポカンとした。

 

「あーん」

 

丁度良い感じに開いていたので、そのまま口にきゅうりを捩じ込んでおく。かっちゃんは口の中に置かれたきゅうりをポカンとしながらも咀嚼して飲み込んだ。

 

「おう?」

 

なんか周りが静かになったので見渡してみる。

目の前に眼鏡を筆頭にその隣に座るお茶子と梅雨ちゃんも完全停止していた。

 

というか、A組が全員こちらガン見で止まっていた。

 

そんな中、それまで沈黙を守っていたかっちゃんの口から「はぁ?」という気の抜けた声が聞こえてくる。

 

「はぁ?・・・・はぁぁぁ?はぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

いや「はぁ」じゃなくて、「あーん」だってば。

三段活用か、おい。

よく分からないかっちゃんを眺めてたら、袖を引っ張られた。見れば鼻息の荒いブドウの姿がある。

 

「緑谷、マジかよ・・・オイラにもしろよ、あーん」

「いや、しないわ。確かにもう一個処理したいきゅうりという名の悪魔がいるけど・・・天地がひっくり返ってもしないわ。地球に迫る隕石をあんたが命懸けでぶっ壊してくる対価として要求されても、しないわ」

「なんでよぉぉぉぉ!!どんだけやなんだよぉぉぉぉ!!」

 

だってねぇ・・・。

 

四つん這いで慟哭するブドウを眺めてると、ガタッと紅白饅頭が立ち上がった。

なんか凄く嫌な予感がする。

 

私は残ったきゅうりの欠片を取り、先程と同じようにかっちゃんに突っ込もうとしたけど━━━顔を俯かせてプルプルするかっちゃんに入れられそうにも無かった。

こちらに歩いてくる紅白饅頭の姿が見えた。

嫌な予感しかしない。

 

その時、荷物を抱えた洸太きゅんが、私の直ぐ後ろを通る。

 

「洸太きゅん!良いところにきた!!」

「?あんだよ━━━」

「あーんだよ!!」

 

こちらを向いて生意気な言葉を吐こうとした口に、最後のきゅうりを捩じ込んだ。

洸太きゅんは目を白黒させながらも突っ込まれたきゅうりを飲み込み━━━━そして放心する。

 

その様子にもしかして私と同族だったのかと思い、声を掛けてみた。

もし同族なら素直に謝ろうと思ったのだ。

 

「洸太きゅん?大丈夫?仲間?」

 

大丈夫かなぁ?と顔色を見ようとしたら、またしゅぱぱぱっと逃げられた。

前と同じようにマンダレイの後ろに隠れ、思いっきり睨み付けてくる。

 

「おまっ、お前っ!!本当っ、嫌いだ!!!」

 

おう!?嫌われちまったぜぇ!?

やっぱり同族だったか!

 

洸太きゅんはそのまま逃走。

追いかけようとしたけど、それはお茶子に止められた。

今はそっとしておけとの事。

 

大人しく椅子に座り直すと背後に気配を感じた。

見なくても分かる、あいつやん。

 

「緑谷、俺が━━━━」

「いや、大丈夫。間に合ってる。間に合った」

「━━━そうか」

 

洸太きゅん、ごめんな。

そんで、さんきゅー。

 

なんか、死ぬほど恥ずかしい事を回避出来たような気がする。マジでさんきゅー。

 

 


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