私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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漫画だと石の壁とか平気で壊しちゃう、ちょーつおいビー●マン。
現実だとコロコロ転がるのが関の山の全然つおくないビー●マンだけど、どうにか空中を飛ばせないか試行錯誤して練習したものです。

練習結果?
怒られたよ。察して。


疲れた体を癒すのは美味しいご飯とだらっとする時間。━━そして魂揺さぶるビーファイトだよね!構えろ!お前の魂を込めて!はい、みんな一緒に!ビィィィファイト!!の巻き

個性成長訓練を始めて十時間と半。

途中食事休憩を二回挟んだものの、基本的に個性をぶっ続けて使った皆は歩く屍と化していた。

かく言う私も治まらない頭痛に悩まされながら、生まれたての子羊の様に足ガクガクである。━━━え?足使う事あったかって?個性訓練が思ったより楽だったから、スクワットしたり腿あげしたりしてたらね、それがね、思いの外ね・・・五時間前の私の馬鹿ぁ!

 

もはや宿舎に帰る元気もない私は、いつもの背中に背負われる事を迷わず選択。今は愛馬爆号の背中に持たれかかったまま、押し寄せる頭痛と戦っていた。

 

「いつも、すまないねぇ」

「どこのババァだ、てめぇは」

 

希代の悪タレなかっちゃんはこんな時も口悪い。

少しは労ってくれても良かろうものを。

まぁ、背負ってくれているのだから、そこは感謝だけども。たまにはお礼してあげようかねぇ。

 

確かポケットに・・・お?

 

「・・・飴ちゃんあげようねぇ」

「だから何処のババァなんだ、てめぇは・・・んで、これは飴じゃねぇ。ビー玉だろうが・・・つか、なんでビー玉持ってんだ」

「昨日寝る前に入れといたの・・・洸太きゅんと遊ぼうかと思って」

「聞き方が悪かったな。なんで高校生にもなって、ビー玉持ち歩いてんだ。てめぇは」

 

かっちゃんが不思議な事を聞いてきた。

そんな事決まってるのに。

 

私はポケットのそれを見せつけてやった。

小学生の時に玩具屋のおじさんから(格安で)受け継がれた、ゴリゴリにチューンアップを施した限定ビー●マンを。

 

「だって、いつビーファイト申し込まれるか分からないからね!」

「見たことねぇわ、ビーファイトしてるやつ。━━━つか、なんかポケットが膨らんでると思ったら何入れてんだ。てめぇは」

 

分からないじゃない!

確かに私もこれまでビーファイターに会った事はない。けど、明日もしかしたら会えるかもしれないじゃない!ビーファイトを挑まれるかも知れないじゃない!真のビーファイターに!!カブトとかクワガタじゃない、ビー●マン持ったビーファイターに!!

 

そう熱を持って話すと「あのクソ重いバッグの中身見せろ、馬鹿」と言われた。

 

断る、見せないぃ!!

絶対怒るから!!

 

 

 

 

 

 

そんな話をしながら数分。

宿舎に辿り着くとピクシーボブとラグドールが待ち構えていた。ラグドールは私を見るとにゃーとポーズをとってくる。勿論にゃーと返しといた。

 

にゃーし終えると、今度はお茶子と視線が合った。

 

「・・・それ、なんなん?」

「いや、知らないけど」

「よう返したな、ニコちゃん」

 

なんかね、ノリでね。うん。

私、あの人と仲良くなれると思う。

ぶっちゃけ一目見たときから思ってたけど。

 

A組・B組全員が宿舎前に集合するのを見計らい、プッシーキャッツな二人が案内を始めた。大人しくついて行くと、沢山のテーブルが置かれた炊事場へと辿り着く。

そして目につくテーブルに乗せられた山盛りの食材、食器、調理器具。

 

うん、嫌な予感しかしない。

 

嫌な気配をびんびんに感じているとピクシーボブが食材を指差す。

 

「さぁ、昨日言ったね『世話焼くのは今日だけ』って!!」

 

ピクシーボブの隣、ラグドールが激しく荒ぶりながら続けた。

 

「己で食う飯くらい、己でつくれ!!カレー!!」

 

生徒側から抗議の声はあがらない。

小さく返事をするだけだ。

 

勿論私は抗議の声をあげようとしたんだけど、かっちゃんに太腿つねられたので止めといた。何故に分かるんだ、かっちゃん。昨日も疑問に思ってたけど、なんで分かるの?エスパー?

 

楽しそうにこちらを茶化してくるラグドールに親近感を覚えていると、眼鏡が何かに気づいたようでブツブツ言い始めた。救助の一環で飯炊きする事もあるかも・・・らしい。

 

・・・まじか。

 

 

 

 

そんなこんなで眼鏡を中心にお夕飯作りが始まった。

私はその天才的な味覚を期待され、あっちこっちを手伝った後で味見係りに就任。

頑張る皆を温かい目で見守る事に。

 

・・・うん?違うよ?邪魔だから追い出されたとか、そういうのじゃないから。指とか切ってないし?血塗れの野菜?洗ったから大丈夫。この絆創膏?気がついたらついてたの。だから私じゃないよ、違うよ。お米とか研いだし。いや、まぁ、半分排水口に流したけど。

 

・・・何かやらせて下さい。

 

やることを失った私は一人テーブルでビーファイトする事にした。カレーの箱とか合ったから、それを的にしてパシュンパシュンする。一分で飽きた。超つまんない。一人でやるもんじゃないな。

 

「轟ー!こっちも火ぃちょーだい」

 

あしどんの声が聞こえる。

火なら私も使えるじゃろがい!

そう思って視線を送ると目を逸らされた。

こんにゃろめぇい!

 

ドンマイのアホがかっちゃんに火点けをお願いしてる姿も見てしまう。見事に薪を爆発四散させるかっちゃん。言わんこっちゃない。

 

だから、私に頼めよ!!

そう思いを込めて視線を送ると目を逸らされた。

この野郎ぅ・・・!!

 

やることないか探すと、これから火を点けそうな百と目が合う。百ならきっと、そう思って視線を送ると微笑みが返ってきた。

 

「皆さん!人の手を煩わせてばかりでは火の起こし方も学べませんよ」

 

そう言ってチャッカマンらしき物を出す百。

私に笑顔を見せながらカチッ、と火を点けた。

 

そんなの出すくらいなら、私にやらせろ!!

百が一番質悪いんですけどぉぉぉぉ!!なんの笑顔だったの!?嫌味!?嫌がらせ!?

もう言ってやれ!耳郎ちゃん!そんなん出すくらいなら、私に頼めよと!!なに首横に振ってんの!?縦に振ってよぉーーー!

 

いっその事、轟の仕事を奪ってやろうかと思ったけど、柔らかい表情で火を点ける姿を見てると気が引けた。あんなに嫌っていた炎を、ようやく誰かの為に使えるようになったのだ。それを邪魔するのはあまりに忍びない。

 

暇過ぎて苔が生えそうだなぁと考え始めた頃、お手伝いする洸太きゅんを発見した。

えっちらおっちら、頑張って荷物を運ぶ洸太きゅん。

頑張りやさんな洸太きゅん。

 

うん、決めた、洸太きゅんと遊ぼう。

 

味見係りを近くにいたサイドテに託し、私はビーファイターとしての証を片手に洸太きゅんの元にダッシュ。昨日の件もあって逃げられると思っているので、最初からハントしていくスタイルでいく。

 

案の定私に気づいた洸太きゅんは逃げようとしたけど、そんな事は勿論させない。引き寄せる個性で洸太きゅんの軽い体をこちらに飛ばし、がっちりキャッチした。

キャッチした洸太きゅんから、なんかお日様の匂いがする。嫌いじゃない匂いだ。

 

「離せっ、よ!!何だってつんだ!!おい!」

「うん?いやぁ、暇だったからさ。ご飯が出来るまでおねーさんと遊ぼうー!洸太きゅん!」

「ふざけんな!俺はヒーロー目指すような連中とはつるまねぇ!!」

「なら大丈夫だ。遊ぼう!」

「はぁ?!」

 

喚く洸太きゅんと一緒にテーブルに戻り、私の相棒を渡す。限定品だから丁重に扱う事も忘れず伝える。

やり方と即席で作ったバトルルールを説明し、いざ開戦。ゲーム内容は至って簡単。私の陣地に立てた五つの的を制限時間以内に全部倒したら洸太きゅんの勝ち。私はそれを割り箸と紙で作ったブロッカー人形を使い、制限時間内守りきったら勝ち。そういう遊びだ。

 

「なんだよ、こんなの・・・今時こんなのやってるやつ・・・てか、なんでこんなの持ってんだよ。高校生じゃないのかよ」

「さぁ、こい!!私を打ち倒してみろぉ!!」

「んで、どんだけやる気なんだよ!子供か!!」

 

文句を言いながらもビーファイトと掛け声をかければビー玉を発射してきた。しかし絞め打ちがいまいちで威力がない。軟弱な玉はブロッカー人形で跳ね返してやる。

勢いよく跳ね返ったビー玉が洸太きゅんの頬をかすっていった。

 

「あっぶな!なんだよそれ!紙だろ!なんでそんなに激しく返ってくんだよ!」

「紙だけど、何枚も重ねてあるし。しっかし、貧弱よのぉ。こわっぱめが。これだと一つも的を倒せなくて終わるかなぁ?威勢がいいのはお口だけかなぁ?」

「くっ!!んだと!」

 

本能かどうか、洸太きゅんは知らずに絞め打ちを身に付けた。鋭い一発が的に迫る。

しかし、そこは大人の双虎にゃん。付け焼き刃など効かないとばかりに弾き返してやる。今度は近くに置いてある余ったナベにぶつかった。

 

「ぬぅぅぅーーー!なんだよ!子供相手に本気になんなよ!!今のはスルーしとくとこだろ!」

「自分で言ってたら世話ないねぇ!!私は意味もなく負けるのが嫌いなんだよ!だから、勝つ!相手が子供でも耄碌してるおじいちゃんでも、たとえ人語を喋っちゃう天然記念物的な天才ネズミが相手でも、手加減なんてものはしない!!全力で叩き潰す!!」

「どんだけ本気なんだよ!てか、天才ネズミってなんだ!?」

 

それから段々と要領を覚えていった洸太きゅんの攻勢は中々に厄介で、五つある内の二つの的がやられた。周りに置かれた物を使ったリフレクトショットは反則だと言いたい。尤も途中から引き寄せる個性をこっそり使ってバトルしたので、それ以上的が倒される事はなかったが・・・ふぅ、強敵であった。

 

「つーか!個性使ったろ!お前!!さっき変な曲がり方したぞ!!」

「ほわい?ワタシ、ニホンゴ、ワカラナーイ」

「分かってたろさっき!!」

 

洸太きゅんは怒りから私の相棒を叩きつけようとしたので「壊したら弁償」と伝えておく。すると意外と冷静なのかそっとテーブルに相棒を置いた。

そしてキッと私を睨んでくる。

 

「そんなにひけらかしたいかよ、力」

「力?ああ、個性の事?━━んじゃ次からなしにしよ。今回は私の勝ちだけど。今回は、私の勝ちだけども」

「どんだけ勝ちに執着してんだよ!子供相手だぞ!つか、もうやんねぇから!!バーカバーカ!!気持ち悪いんだよ、お前ら!個性伸ばすとか張り切ってさ!!いい気になんなよ!」

 

敗者らしい捨て台詞を吐いた洸太きゅんは、いつの間にか来ていたマンダレイの元へ真っ直ぐに駆けていった。そしていつものようにマンダレイの後ろに隠れると睨んでくる。

 

「この・・・頭パー子!!」

「誰の頭がパーだ、こらぁぁぁぁ!!」

 

泣くまで追い回してやった。

普通にマンダレイに怒られた。

私も泣いた。

 

 

 

 

 

 

そして、その後のお夕飯タイム。

瀬呂ドンマイのデリカシーのない言葉のせいで百も泣いた。何を言われたかは・・・言わないでおく。百の為にも。

 




教えて!ふたにゃん先生!!

Q:けっきょく、ドンマイくんはモモちゃんになにをいったの?

A:百の名誉の為にも言えないなぁ。〇〇〇みてぇ、って言われたんだけど・・・言えないなぁ、やっぱり。まぁ、それでも敢えて、敢えていうなら、そうだね。うん。百の創造物は━━━●んこじゃないよ━━━って事かな(*ゝ`ω・)

もちゃこ「ニコちゃん、全部ゆーとるのと同じや」

A:Oh!れありー?

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