私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
ギャグ「シリアス!」ウデガシィ
はくびしん「シリアス!」アシガシィ
シリアル「にいさん!」アタマガシィ
シリアス「死にたくねぇよ・・・つか、皆して変な所持ちすぎじゃね?・・・あれ?皆どうしたの?なんでそんな、怖いかおしてててて、ちょっ、捻らないで!なんでそん━━たたたっ、ま、曲がらないから!そんなに!あ、あれかな!?もしかしてあれかな!?ごめん!や、やり過ぎたのは分かってる!でもっ、でも!!僕が頑張らないと成立しなかったじゃないすか!!━━━━━━━━━━アッーーーー!!!」
シリアスの残機、あと・・・。
黒霧にワープゲートを開かせ、僕達はそこへと辿り着いた。うっすらと照らされたそこに見えるのは機材の数々。それとチューブに繋がれた何十個もの長方形の鋼鉄のケース。
「・・・なんなの、ここ」
僕の後ろを歩いていたマグネが声をあげた。
ナンセンスな質問、実に愚問だ。
「僕の玩具箱さ」
「玩具箱・・・?」
疑問符が浮かんでる様子のマグネと違い、彼女達は僕の言葉の意味を理解したようだ。さとい子達だ。弔にあげるのが少しだけ惜しくなる。
「玩具箱って何なのよ」
「覗いて見たら良い。大丈夫、彼らは大人しくて良い子達だからね」
僕の言葉にマグネは不思議そうにしながらも箱の上から覗き、飛び退けるように体を後退させた。余程驚いたのだろう、狼狽えているのが手に取るように分かる。
「ちょっ、何なのよこれ!まさか、全部そうなの!?ニュースで見たわよ、これ脳無とかいう化け物でしょ!まさかここ、脳無の・・・!?」
「そうだよ。ここは脳無達の母胎さ」
勿論これが全てという訳ではない。
ここにあるのはほんの一部。それもミドルレンジクラスの駄作しか保管してない場所だ。
それを彼女達に伝えるつもりはないが・・・その様子を見るとそこまで疑う余裕はなさそうだ。
「・・・さ、行こう。見せたいのはこの先にあるんだ」
少し歩いた先、彼女に見せたかったそれへと辿り着いた。大きめの布が被さったそれに、弔のお友達は視線を向ける。
肝心の彼女は俯いたままだ。
僕は彼女の顎にそっと手をあて、ゆっくりと上げる。
怯えながらも光の消えていない真っ直ぐな瞳が、僕を見つめた。弱々しく、さりとて強さの滲む良い瞳だ。
「君は見るべきだ。いや寧ろ、君だけは、ね」
被さったそれを取り払い彼女へと見せる。
すると彼女が目を見開いた。
理解が早い。
彼女が理解するのと同時に、弔のお友達が息を飲むのが聞こえた。特にマグネの動揺が大きい。
どうやら彼女は、人並みの常識を持つ人物らしい。
「━━━どういうつもりかしら?随分と悪趣味な物を見せてくれるわね・・・!」
荒らげた声に怒りを感じた。
恐らく、こんな男でも仲間とでも思っていたんだろう。おめでたい頭を持っているなと、そう思わずにいられない。
自分が何処に足を踏み入れているのか、彼女はまだ分かってないらしい。
「悪趣味なんてとんでもない。これは彼の希望だったんだよ?僕は夢を叶えてあげただけさ」
三人の視線の先にあるのは円柱のガラスケース。
液体に満たされたそこには、脳が剥き出しになった片目の脳無が一体浮かんでいる。ここにある、ただ一つのハイエンドクラスの脳無だ。━━━とはいえ調整ミスでミドルレンジに限りなく近い駄作でもある。
きちんと時間をかけて仕上げれば面白い物になったのだろうが、何分急ぎで作ったせいで思っていた以上に品質が落ちてしまった。
玩具としてなら、上出来といえるが。
「双虎ちゃん、彼はね、君のせいでこうなったんだ。分かるかい?」
コンっ、と手の甲でガラスを叩けば半覚醒状態の彼がピクリと反応を示す。
「僕はね、頼まれたんだ。四肢を焼き尽くされた、彼に。偶然助けた僕に、彼は泣いて頼んできたよ。もう一度歩ける足と、もう一度戦える腕が欲しいってね」
双虎ちゃんの瞳が揺れる。
「可哀想だった。胸を打たれた。━━━だからね、こうして彼に手を施してあげたんだ。歩けるように、戦えるように。まぁ、少しだけ不幸な事があって、彼は物を考えられなくなっちゃったけど」
胸の所に置いてある手が強く握られる。
「ああ、でも自業自得かも知れないね。彼は沢山の人を不幸にした。きっと五体満足でいたら、今も誰かを傷つけたかも知れない。良かった、良かった。双虎ちゃんは正しい事をしたんだ。本当に良かったよ。傷つけられた皆が感謝するね」
彼女の鼓動が早くなるのが分かる。
体温が上昇するのも。
「ありがとうって━━━━」
その瞬間、彼女から溢れる物が変わった。
怯えの色を残したままだが、確かに戦う者の気配へと。
強い瞳が僕を見つめる。
ああ、やっぱり君はいいな。
大抵の者は道を間違える。
とるに足らないような些細な事を切っ掛けにして、人は容易く信念やモラルをねじ曲げ捨て去ってしまう。
楽な方へと流れるのが人の常であるなら、それはあまりに当たり前の事で論じるまでもない事実だ。
だからこそ、緑谷双虎のような存在は稀有と言える。
僕ら側に立つ才能と気質を持ちながら、光の差す道を選び続ける彼女という存在は。
「どうしたのかな?双虎ちゃん。良いことをしたんだ、笑った方が良い。君は笑顔が良く似合う」
本来歩むべき道を踏み外した理由は、きっと僕だったのだろう。
けれど、今そこに居続けるのは、君の意思がさせる事だ。君は今、仕方がなかったと笑わなかった。君はこの状態でまだ、これが正しくないと怒る事が出来る。
その手に握った装飾品が理由かな?
それともあのふくよかなお母様が理由かな?
はたまた身に付けた才能が理由かな?
二日という時間を与えられ、冷静になれたからかな?
それがなんであれ、君はまた抗った。
恐怖に立ち向かい己の性と立ち向かい、健気にもそこに立ち、そして歩んだ。
素晴らしいことだ。
「緑谷双虎ちゃん、僕は君をいとおしく思うよ」
本当に心の底から思う。
そして同時に、この上なく不快に思うよ。
あの子によく似た瞳を持つ君が。
思わずその細い首に手を伸ばし、捻り切りたくなる程に━━━━━。
「━━━っ!!なによっ!!?」
「わっ、わわ!なんです!?」
突然大きな音と共に地面が揺れ、監視の二人が悲鳴をあげる。状況を確認しようと知覚機能の出力をあげた瞬間、目の前が僅かにぐらついた。
そしてその直後、仮面越しに衝撃が走る。
引き戻される彼女の足を僅かに捉えたが、直ぐにカーテンのように広がる熱の塊が現れ視界を遮ってしまう。
「ははっ、まったく。悪い子だ」
炎を空気ごと弾き飛ばす。
追尾機能も有ったようだが、ある程度小さく散らしてしまえば効力も切れるようで空間に霧散していく。
だが、炎の先に彼女の姿はない。
ならば━━━━。
そう思って来た道を見れば、飛び去る彼女の背中とこちらに向かって飛ぶ機材の数々が見えた。
「彼が手こずる訳だ」
飛び込んでくる機材を蹴散らしながら思う。
中々に目敏いと。
ここに来るまでの間、ただ黙ってついてきた訳ではないらしい。きちんと武器になりそうな物を把握していたようだ。
いや何より、あの騒ぎに対し躊躇いもなく行動した事実を誉めるべきか。騒ぎが起こるのがわかっていた━━━というより、信じていたといった所だろうか。でなければあの速さで逃げる訳がない。
そして僕が対策している事を前提としていながら、脳への干渉を止めない所もまた小賢しい所だ。
実際、それさえなければ体に馴染んでいない"あの個性"も使えただろうから、馬鹿にも出来ない━━━━
「ばぁぁぁか!ばぁぁぁか!ばぁぁぁぁか!!変態ハゲのロリコン腐れスーツ狂変質者ぁ!!何日おんなじスーツきてんだよ!ノーセンスか!いい歳こいて馬鹿の一つ覚えに同じスーツ着て何っ!?怖いの!?服のセンスを晒すのが怖いの!?勝負出来ない男とか、カッコ悪いんですけどぉぉ!!ネーミングセンスクソなのに自信満々に言っちゃうかっちゃんの13倍ダサイんですけど!!そもそもいい歳こいてそうなのに僕僕煩いわ!!坊っちゃんか!お坊っちゃん様か!!もしかしてブリーフ穿いてます!?ダっサイんですけどぉ!!━━て言うか、ご飯くらいちゃんとだせや!!餓死させるつもりか!!育ち盛り舐めんな!!水だけまともとか、馬鹿なんじゃないのぉ!!もう頼まれたって来てやらないからなぁ!!この服は貰うけど!!ブランド物御馳走です!ざーす!!ネトオクに出させて貰います!!けどなぁ、ベタベタ触ってきた事はツカッチーとガチムチに言いつけてやるから!!覚悟しとけ性犯罪者!!言っとくけどツカッチーは兎も角、ガチムチはマジだからな!マジでマジだから!●●●に●●●を突っ込まれて死ぬほど●●●●させられるからぁ!!ざまぁ!!」
━━━まったくもって愉快極まりないな。
というか、オールマイトは同性愛者だったのか。
道理で長い間独り身な訳だ・・・なんてね。
そういう類いの事は調べはついてる。
だからまず彼女の勘違いだろう。
だろうが・・・まさか、本当にあるのかい?
「・・・ふぅ。それにしても、助かる見込みが出た途端これだ。現金だな、彼女は。弔の手に余るだろうが・・・まぁ、そこは自分自身で学んで貰うとするか」
遊びはそこまでだ。
対象を設定。
個性を発動━━━━。
不意に胸元からアラームが鳴り、僕は個性の発動を止めた。鳴り出したそれは弔の使っているアジトに、何か異常が起きた事を告げてくれるモノ。
マスクについてる無線機に触れれば、黒霧の切羽詰まった声が響いてきた。
そこに紛れて、虫酸の走る彼の声も。
「・・・脳無、来なさい」
僕の声にガラスケースを突き破り脳無が隣へと立つ。
軽く触れ様子を見たが、やはり完成とはほど遠い存在だ。
これで何処まで彼を止めれるかは分からないが、僕が万全でない以上ある程度は削って貰わねばならない。
ここに来るであろう、彼を。
「さて、先ずは、こちらのお客様からもてなさねばならないかな」
足を踏み出した僕に弔のお友達が立ち塞がるように立った。マグネの下がった腕が目につく。恐らく、彼女に突破された際、何らかの攻撃を受けたのだろう。
それに対してトガヒミコは服に小さい焦げがあるのみ。戦闘要員として優秀なのは、やはり彼女の方らしい。
「すまない、今君達に構っている時間がないんだ」
「状況の説明くらいして欲しいものね。何が起きたのよ?」
二人の様子を見て引く気がないのが分かった僕は、優しくその事を伝える事にした。
「なんの事はないさ。僕らはヴィラン。なら訪ねてくるのは当然彼らさ━━━━ヒーロー達のお出ましだよ」
◇◇◇
『どーもぉ、ピザーラ神野です』
テレビでマスコミに集られる雄英の教師を眺めていると、ノックと共にそんな間抜けな声が部屋に響いた。
「・・・おい、誰だ」
何処の間抜けがと今いる奴等を見れば、心当たりがありそうな顔をしている者はいない。俺に見られてスピナーの肩が揺れたが、そういった類いの動揺ではないので除外。あれはただ小心なだけだ。
空気を読んだ黒霧がドアへと向かったその瞬間、轟音が鳴り響き壁が吹き飛ぶ。
そして立ち上る埃と瓦礫の中に、赤青黄三色で彩られた影が見えた。
「━━━おまっ、え・・・!」
それが誰か理解した直後、その影の後ろから伸びてきた木の枝に体が締め付けられる。そこにいた全員が同じように。
自らを捕らえている物の正体に気づき荼毘が動きを見せるが、黄色い衣装に身を包んだ老人の一撃に意識を刈り取られる。
「はやるなよ━━━炎小僧」
滑るように部屋に着地した老人は部屋を見渡して口を開く。
「思ったよりすくねぇな、ヴィラン連合。伊口秀一、分倍河原仁、迫圧紘━━━それと引石健磁、渡我被身子だったか。二人はどうした、えぇ?」
名前を呼ばれた連中が肩を揺らす。
それに対し三色を身に纏う侵入者は、自分達の存在を誇示するように胸をはり立ち上がった。
「ヴィラン達よ、我々がきた・・・!!」
平和の象徴。
ヒーロー社会のシンボル。
「オールマイトッ!!」
俺が殺すべき、その男が。
更新遅くてごめんね(*ゝ`ω・)
あのね、きいて、言い訳を。
まじで忙しいの。
取り敢えず、徹夜してくるね!