私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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気がついたら65万字もかいてんねんな。自分。
ぼくはぁ、アホやなぁ(*´ω`*)

んで、今週のエンデヴァー可愛い。
なにあれ。




へい!そこの、なんか、こう、なんとも言えないジーパンの人!!まともな人には見えな・・・七三具合に人の良さが滲み出てるジーパンの人!!取り敢えず助けろ下さい!!え?八二だって?どっちでもいいわ!の巻き

最近クレオパトラを降すレベルに進化した唯一無二の最強美少女な私は、緑谷双虎16歳。言わずと知れた折寺の生き女神である。

最近幼馴染みに自撮り映像つきでSNSする事がマイブームな私は今、得体の知れない工場を全力疾走していた。

 

もうあれだ、マジもんの全力疾走。

生まれて初めてレベルの疾走。

心臓バクバクの息ハァハァである。

 

息苦しいよぉ、双虎ちゃん、体力には自信あったけど、そんなの関係なしに苦しいよぉ。

短距離100の世界新出しちゃいそうだよぉ。

そのまま報道関係者にインタビューされちゃうよぉ。

CMとかに引っ張りだこにあって、よく分からないアイドルとかと熱愛報道されちゃうよぉ。きっと「ノーコメントで」「事務所を通して下さい」とかマイクに向かって言っちゃうよぉ。

 

━━━はっ!そんな事言ってる場合じゃなかった!!

 

ふと振り返って見ると、黒マスクの姿はない。

ぶっちゃけ逃げ切れたとは思えないので、遊ばれてる事山のごとしだと予想。

 

だけど逃げるという選択以外は選べない。

少しでも確率をあげるなら、これは間違いなく最善手の筈だから。

 

相手がただのボンクラなら仲間になったふりして施設の重要書類とかデータ引っこ抜いて、発目の楽しいパソコン教室で教わったブラクラかまして、警察に通報してから力技で脱出とかしてるけど、黒マスクにはそれは駄目だ。何が駄目って、まず仲間になりますなんて言った日にはその時点で改造されかねない危険性がある。「君の為だから、ね?」とか善意を全面に押し出して平気で言いそう。

強行脱出とかもそもそも無理。強いもん、絶対止められる。

パソコンも見た感じセキリュティーヤバそうだから下手に弄れない。無理無理。

 

だから、アホの手マンに引き渡された後か、もしくは誰かが救助にきた時だけが、逃げるチャンスだとは思ってた。

 

「これで助けに来たのが、ガチムチなら良いんだけど・・・」

 

嫌な予感が頭を過った私は手首の所でカチャカチャとなるそれに目を向けた。あの日、肝だめし当日、女子会に参加出来なかった残りのB組女子に自慢したくて、そっとポケットに忍ばせておいたかっちゃんブレスレット。

 

今にして思えば、あのダサマスクとの戦闘中よく落とさなかったと心底思う。あれだけ派手に動いておいて、よくぞ落ちなかったよ。うん、まじで。私の短パンのポッケ強い。

 

まぁ尤も、捕まった後でブレスレットが今も私の手元にあるのが、あの黒マスクの気紛れだと思うと微妙な気分になる。

 

実際の所は分からない。状況から考えてそうじゃないかなって話。

私が知ってるのは目が覚めた時にはワケわからん部屋に寝てて、クソ高そうなワンピ着せられてて、枕元に髪どめとかブレスレットとかその日に身に付けてた物が置いてあったのを見ただけだから。黒マスクはその事に関して何にも言ってきてないし・・・まぁ、きっと碌でもない理由で渡してきてるとは思うけど。

 

少し撫でてみるとブレスレットはやっぱり少しだけ傷がついてた。歪んでる気もする。あの戦闘の最中ポケットにあったんだから当然かも知れない。壊れなかっただけ御の字だと思う。

 

大切にすると言った手前、ボロボロにしまった事に思う所はある。悪かったなぁと。

でも、あの時持ち出した事に後悔はない。

 

 

「━━━ありがとう、かっちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジダッシュで通路の角をドリフトしながら曲がると、脳みそ野郎の保管所の所に人影が見えた。

無残に破壊された壁、そこにあるジャイアントねーちゃん。

何処かで見たような気がするそれに私は目一杯の大声をあげた。

 

「へるっ、へるぷみーーーー!!黒マスクをつけた年中無休で黒スーツ着込む、全身も腹の中も真っ黒くろすけな変質者に追い掛けられてるのぉ!!」

 

全部言い切った所で、ジャイアントねーちゃんの前にある人影が目についた。そして失敗した事を知る。

そこにいたのは脳みそ丸見え野郎を鷲掴むスーツ姿のシャチ人間。ヤクザ。

首筋までジーパンですっぽり包んだジーパン狂。変態。

裸の女の人を拐おうとする猫耳つけた筋肉ムキムキのおっさん。何処かで見たような見てないような・・・ないな!

それはどう見ても、総合的に考えても、堅気では無かった。

 

「やっべっ!!カチコミ系か!!しくった!!」

 

全身の筋肉とバネをフル動員して急ブレーキ。

別方向へと体の向きを変える。

引き寄せる個性で別の脱出候補である窓に向けて体を引っこ抜━━━━こうとしたけど、私の体はそれより早くジーパンマンの方へと引っ張り込まれた。なんか体も拘束されてる。

 

気がつけばジーパンマンに抱っこされてた。

 

「すまない。あまりに機敏に逃げようとするからヴィランかと思ったんだ。君は━━━━」

「きゃぁぁぁぁぁ!!いやぁぁぁぁぁ!!犯されるぅぅぅぅぅ!!変な所を執拗に触ってくるぅぅぅぅ!」

「あっ、違う!!そんな事はしないとも!!」

 

隙が出来た所で頭突きを喰らわせる。

地味に効いたっぽく、ジーパンマンがふらつく。

 

バランスを崩した所でジーパンマンの腕から何とか脱出し地面に着地。腕の拘束が緩くなったので止めにアッパーを放ったけど、今度はシャチヤクザに拳を止められてしまった。あうち。

 

「落ち着け。我々はヒーローだ。緑谷双虎」

「・・・ヤクザじゃなくて?」

「ヴィランよりヴィランらしいなんて呼ばれる事もあるが、歴としたヒーローだ。私も、彼もな。と言うより、ヒーロー科でありながらナンバー4を知らないとはな」

 

シャチヤクザの視線を追うと、鼻を押さえたジーパンマンと目が合う。そしてジーパンマンは涙目で頷いてきた。

 

「あ、ああ。誤解させた事はすまなく思う。私はベストジーニスト。ヒーローだ」

「それならそうと言ってくれれば良いのに・・・」

「それより早く君の頭突きがきたんだが」

 

そう言えば、あの時なんか言おうとしてたな。

 

「でも、拘束してくるから・・・」

「言い訳をするつもりはないが、あれだけ早く逃げ出す者を怪しくないと思うだろうか?君が私達に声を掛けてから君が次の行動をとるまで、一秒もなかったんだが」

 

・・・・・ふむ。

 

「まぁ、それより」

「それよりではないのだが」

 

喧しいジーパンはスルーしてシャチヤクザへと視線を向ける。するとシャチヤクザは「話を聞こう」と言ってくれた。話が早くて助かる。

 

シャチヤクザにボス系の性犯罪者がいる事と強い脳みそ野郎がいる事、それと知っている限りの施設の構造を伝えた。途中ジーパンマンか口を挟みそうにしてたが、話がややこしくなるから控えて貰う。

 

「━━━と、取り敢えずそんなとこ」

「ああ、今はそれで十分だ。後の詳しい話は警察にでも聞かせてやってくれ。━━━虎!いつまでそこで狼狽えている!!ラグドールと緑谷双虎を連れ先に行け!!それと向こうの連中にも連絡を!!」

 

シャチヤクザの声に裸の女の人を抱える、猫耳をつけた筋肉ムキムキのおっさんがこっちを見てくる。うわって思ったけど、良く良く見たら合宿の時のおっさんだった。

ほっ、なら大丈夫・・・大丈夫ばないな。状況あんまり変わってないもんな。

 

「す、すまぬ。ギャングオルカ。緑谷女子、こちらへ。外に警察も控えている」

 

ちょっと近寄るのがあれだけど警察もいるならと猫耳ムキムキの所へ━━━行こうとしたら嫌な足音を聞いた。

部屋にぶちこまれている時、散々聞いた事のある硬質なコツコツという響きだ。

 

「何処に行くんだい、双虎ちゃん?連れないなぁ、黙って行こうとするなんて」

 

視線を向けた先、薄暗がりの中に黒マスクの姿があった。

 

「きゃぁぁ!!変態きたぁぁ!!ヤクザぁぁぁ!!」

「ヤクザではないと言っただろう!!」

 

私の声にシャチヤクザとジーパンマンが同時に動き出す。ジーパンマンは手を翳し、シャチヤクザはその巨体に似合わない加速で接近していく。

 

ジーパンマンの個性はよく分からないけど、その様子から服を操ってるように思う。ギチギチに締められたボンレスハムな黒マスクと、さっき自分がされた感覚からそんな気がする。

 

「ちょっ、ベストジーニストさん!またいきなり!」

「今度は問題ない!!奴は敵だ!!ギャングオルカ!!」

 

ジャイアントねーちゃんになじられたジーパンマンが怒鳴り声をあげ、シャチヤクザは応えるように拳を振りあげる。

 

「オオォォッ!!」

 

拳がぶつかり鈍い音が鳴り響く。

けど、苦痛の声をあげたのはシャチヤクザの方だった。

 

「ナんだ、これはっ!?」

 

シャチヤクザは血に濡れた拳を懐に抱え後退りする。

対する黒マスクは傷一つもなく、体は拘束されたままの姿だった。

 

「・・・衝撃反転、という個性でね。どうかな、君の本気の一撃を、その身に受けた感覚は。勉強になったろう?普段君が、誰に何をしているのか━━━━さて、今度はこっちの番だ」

 

余裕すら滲むその姿に背筋が寒くなる。

どうしようもなく嫌な予感がする。

 

黒マスクが手を翳した。

翳された腕は風船のように膨らむ。

 

得体の知れない何かをそこに感じ、妨害しようと黒マスクの脳に引き寄せる個性を発動━━━したけど、手の感触が鈍い。対策されてるのは把握してたけど、さっきより頑丈になってるとか反則だと言いたい。

仕方がないので腕が天井に向くよう、全力で引き寄せる個性をフルスロットル発動する。

 

 

「━━━ッ!!」

 

 

その瞬間、ジーパンマンに引き寄せられた時のように体が飛んだ。 視線を向ければ必死の形相のジーパンマンの横顔が見えた。

 

 

 

次の瞬間、暴風が吹き荒れる。

黒マスクの腕から放たれたソレは地面をまくりあげ、直線上にある何もかも巻き込んで破壊していく。

その圧倒的なまでの破壊力は、ガチムチが一度見せた必殺技と重なって見えた。

 

でも、これで三度目だ。

 

一度目、ガチムチにぶちかまされた。

二度目、黒マスクにぶちかまされた。

 

どちらもなすすべなく吹き飛ばされるだけに終わったけど、そう何度もやられる程私は凡人ではない。回転する視界の中、暴風に耐えている支えになりそうな物を見つけ引き寄せる個性を発動。回転の勢いを減速させる。

減速させた後は足裏と地面に引き寄せる個性を発動。

不屈の乙女力で引き寄せ着地、手のひらと地面にも引き寄せる個性を使い吸着させ体を限界まで伏せる。

 

豪風が背中を通り過ぎていく。

ワンピースが風に煽られ暴れる。

きっとネトオク無理なレベルでビリビリだろう。

くそぅ。

 

何とか耐えきり顔をあげると、工場が跡形も無くなっていた。黒マスクが腕を向けていた先、直線上数百メートルに渡って地面が深く抉り飛ばされ、工場近くにあったであろう建物はドミノ倒しのように崩れ落ちている。

 

助けにきたであろうヒーロー達の姿は見えない。

漠然と抱いていたガチムチがいない事への不安は、最悪の形で的中していた。

 

「せっかく弔が自分で考え、自分で導き始めたんだ。野暮な真似はしないで欲しいものだね」

 

この場の雰囲気とそぐわない軽い口調。

声に視線を向ければ宙に浮いた黒マスクの姿。

 

「さて、まずは、ささやかではあるが援軍を送ろうかな」

 

黒マスクが手を広げると、地面に散らばっていた脳みそ野郎共が泥みたいな物に飲み込まれて消えていった。言葉の意味がそのままなら、ワープ系の個性である事が分かる。

 

「次は、弔達を出迎えようか━━━━おや?」

 

黒マスクが手元を見た。

視線を追えば黒マスクのスーツが腕を締め上げているように見えるから。ふと視線を落とせばボロボロになりながらも立ち上がる、ジーパンマンの姿があった。

 

「驚いた。思ったより頑丈だね、ナンバー4。そのタフネスが、僕の攻撃を最後まで避けなかった理由かな?」

「頑丈か・・・そう見えるか、ヴィラン」

「ははっ、いやぁ。満身創痍といった所かなぁ?それでも致命傷は避けた。流石だよ。僕は双虎ちゃん以外、消し飛ばすつもりだったんだ」

 

黒マスクの手がパチパチと打ち合う。

 

「皆の衣服を操り瞬時に攻撃範囲の外へと寄せた。判断力、技術・・・並みの神経じゃない。━━━まぁ、尤も君一人が特別という訳でもないようだけどね。ねぇ、双虎ちゃん」

 

名前を呼ばれてぞくりとした。

こちらを振り向きもしないのに、見られている気がする。

 

「発射角度、僅かだけどずらされた。驚いたよ。想定通りなら、十分耐えきれた筈だからね。真似事レベルとはいえ君もヒーローの道を歩く者。余計に備えておくべきだったと反省してるよ」

 

黒マスクがジーパンマンにむけて腕を構えた。

掛けられた拘束なんてないかのように、滑らかに。

引き寄せる個性で腕を地面に引っ張ったけど微動だにしない。

 

「二度目はないようにするさ」

 

腕から二発目が放たれた直後、シャチヤクザがジーパンマンの前に滑り込む。

そして、耳をつんざくような音を放った。

 

放たれたそれらはぶつかり霧散する。

 

「空気の弾丸か。厄介な攻撃だ。だが、溜めがなければ俺でも防げるぞ。ヴィラン・・・!!」

「ははっ、まったく。本当に余計な事ばかりする連中だ。これだから君達は嫌いなんだ」

 

大きな音と共に地面が揺れる。

振り返ればボロボロのジャイアントねーちゃんがいた。

足元に猫耳おっさんとか他のヒーローの姿もある。

 

「ベストジーニストさん!一言くらい、声かけて下さいよ!!死ぬかと思いましたよ!頭打ちましたよ!」

「そんな・・・時間は、なかったろう」

 

言い合う姿に黒マスクは深い溜息をついた。

 

「少し早いが仕方ない。おいで脳無」

 

その声に反応してか、黒マスクが現れた闇の奥から片目の脳みそ丸見え野郎が現れた。

見開かれた目に正気の色はない。

 

「確か君は、気分で義眼を変えていたんだったね?ほら、僕からのプレゼントだ。それを付けて遊んできなさい」

 

黒マスクから渡されたソレを本来左目があったであろう場所に差し込み、脳みそ丸見え野郎は咆哮をあげた。獣のようなそれに人であった頃の面影はない。

 

「ア、ソ・・・ボウ・・・・アソボウ!!」

 

義眼を差し込んだそいつは体から赤い繊維を溢れ出させた。触手のように蠢くそれは体に絡み付き力強く脈動する。

 

『俺の個性"筋肉増強"。言葉の通り、筋肉を増やして強化する、それだけの個性だ』

 

腹の立つやつだった。

洸太きゅん泣かすうんこ野郎だった。

マスクのセンスがクソな奴だった。

 

『化け物だな、お前』

 

けど、こんな姿にされて良い訳はない。

クソはクソだけど、人間だった。

 

「あんたが化け物になって、どうすんのよ。ダサマスク」

 

咆哮が響く。

化け物に成り果てたそいつの。

強く荒々しく、けれど意思の籠ってない悲しいだけの咆哮が。

 

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