私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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おまた( *・ω・)ノ

え?待ってなき?
そうかぁ・・・それは、まぁ!良かろうて!

そもそも自分がやりたくて、勝手にやってる訳ですからなぁぁぁぁ(ふっきれ)!こんなもん、公開オ●ニーですやん!一緒ですやん!

ああぁぁぁぁ!なんだろ!今なら撃てる気がする!
ストレスを右手と左手に集中!!

はぁぁぁぁぁぁどぅけぇぇぇぇぇぇん!!
無理かぁ!!寝る!!



私のオリジンを教えてやろう!!のり弁当、から揚げ弁当、焼き肉弁当、幕の内弁当、生姜焼き弁当、ハンバーグ弁当、とんかつ弁当!!後は知らない!!え、そっちじゃない?あぁ、なる。なら忘れてよし!の巻き

赤い塊が空を裂いて跳ぶ。

音を置き去りするような目にも留まらない速度で跳ぶそれは、腕を十字に構えたシャチヤクザへとぶつかる。

くぐもった声と何かが潰れるような音や堅い物が割れるような甲高い音が響き、踏ん張っていた足を放り出してシャチヤクザはビルの瓦礫へと突き刺さった。

 

「ギャングオルカ!!」

 

ジーパンマンの声が響く。

けど返るものはない。

そこにあるのはぐったりと動かなくなったシャチ人間の姿だけ。

 

「よそ見はいけないよ、ナンバー4」

 

まとわりつくような嫌な声が聞こえ、次に爆発音とジーパンマンの呻き声が聞こえてくる。

ジーパンマンの様子が気になったけど、こっちはこっちでギリギリで見ていられない。嫌な予感は止まらないけど、そっちを気にしていたら目の前の化け物への対処が間に合わなくなる。今は信じるしかない。

 

そうこうしてる内にダサマスクが吼えた。

シャチヤクザを倒した事を喜んでいるように見える。

USJの時みたいに何も考えない奴と違うのかもしれない。違和感は感じていたけど、今ので確信した。感情がある。

 

「がきんちょ!!あんたは逃げなさい!!学生らしく、帰って勉強してきな!!」

 

巨人女ことなんとかデカレディが拳を振り下ろす。

地響きが巻き起こる必殺の一撃。

だけど攻撃されたダサマスクは赤い繊維を束ねた腕でそれを受け止めている。

 

「っ!?嘘でしょ!?」

 

驚愕の声があがった直後、デカレディの拳が大きく弾き返される。バランスを崩したデカレディの顔面に向けてダサマスクが地面を蹴り飛ばし空を駆ける。

腕が大きく膨らむ。私に使った時が子供騙しだと思えるほど、禍々しく巨大に。

 

デカレディは舌打ちと共に体を小さく変え、ダサマスクの突進をかわした。けど、それで終わらなかった。

 

「!!?はぁっ!?」

 

ダサマスクは空間を殴り飛ばし、その勢いを殺したのだ。ガチムチ程ではないけど、確かに空中で止まった。

そして空間をもう一度殴り飛ばし、小さくなったデカレディの脳天目掛け跳んでくる。

 

一度小さくなったデカレディに、もう一度大きくなる仕草は見られない。疲労からか、個性使用のリスクなのかは分からないけど、そのまま放っておけば十中八九無事では済まない。

デカレディが戦えていたのは巨大化による肉体的アドバンテージがあって。

 

引き寄せる個性でデカレディを引っこ抜く。

デカレディの体は宙を舞い、私の足元へと飛んできた。

ダサマスクは何もない地面へと拳を突きだし、爆音や地鳴りと共に粉塵に飲み込まれる。

 

「帰って良いですか?」

「皮肉ってんじゃないわよ」

 

ブスッとしたデカレディ。

軽く体を見たけど大きな怪我はないように見える。

息の荒さや額に浮かぶ汗の量を見ると、もう一度はきつそうだけど。

 

「もう無理ポヨ?」

「はっ!誰が!!プロ舐めんじゃないわよ、高校生」

 

デカレディは体を起こし、大きく深呼吸する。

数回の深呼吸の後「ふん」という空手家みたいな気張り声を発し構えをとると、再び巨大化した。

 

それとほぼ同時に立ち上っていた煙が吹き飛び、ダサマスクの姿が見えるようになる。

獲物を見つけたダサマスクが咆哮をあげる。

 

「あんたに頼むのは筋違いなんだけどさ!!倒れてる連中、戦いに巻き込まれないよう離してくんない!?」

「やっといたけど?まぁ、はじっこに寄せただけだけど」

 

レベル的に戦闘に参加とかむりーと思ってたので、そういう雑務的な事はやっておいた。優秀な自分が怖い。んで、シャチ重かった。

その私の言葉にデカレディは親指をたてる。

 

「よくやった、後でおねーさんがパフェ奢ってあげるわ!!超都会的な、馬鹿みたいに盛った奴!!」

 

デカレディの蹴りがダサマスクの体にぶつかる。

電車の線路のような跡を作りながら、ダサマスクは地面を滑るように吹き飛ばされた。

 

「この程度でっ、死ぬようなたまじゃないわよね!!キャニオンカノン!!」

 

怒声と共に放たれた追撃の跳び蹴り。

ダサマスクの体は回転しながら瓦礫へと吹き飛ぶ。

だけど、シャチヤクザみたいに突き刺さるような事はなかった。団子のように筋繊維で体を覆ったダサマスクは、まるでゴムボールのように跳ね返りデカレディへと迫る。

 

破裂するような音。

痛々しい鈍い音。

 

崩れた落ちたデカレディの奥に、腕を振りきったダサマスクの姿が現れる。

 

私と目が合った瞬間、ダサマスクは宙を跳んだ。

空間を殴り飛ばした勢いで。

 

引き寄せる個性で軌道をずらし、通り過ぎ様に紅炎をぶつける。焦げるような臭いが鼻をつく。

 

「━━━っぐ!!」

 

痛みが走り、意識がとんだ。

暗い空が見える。

 

急いで立ち上がり視線をそこに向ければ、肩が赤くなってる。通り過ぎ様に攻撃したのは私だけではなかったみたいだ。

 

「アソッ、ボウ・・・」

 

声に目を向ける。

ダサマスクは涎を垂らしながらこちらを見ていた。

紅炎をぶつけた腕には焦げ痕が残っていたけど、直ぐに内側から肉が盛り上がり治っていく。

 

「化け物になっちゃったんだね、あんたは。本当に・・・」

 

ダサマスクが膝を曲げたのを見計らい体を横へと引っこ抜く。同時に意識を失った感じのデカレディ(標準)もはじに飛ばしておく。直後ダサマスクが私のいた場所へ拳を叩き込み、地面が蜘蛛の巣状に割れる。

 

飛びながら紅炎を細かく吹く。

弾丸のように飛ぶ炎はダサマスクの体に当たる。

ダメージはあるけど、それ以上に回復が早い。

 

「脳無」

 

聞きたくない声が聞こえた瞬間、ダサマスクの動きが変わった。僅かに感じていた感情が見えなくなり、機械のように私に向かってくる。

 

避けようとしたけど、出来なかった。

急に殴られたような衝撃が後頭部を走り、意識がぶれてしまったから。

 

気がついた時には首を締められる苦しさや痛み、ダサマスクの顔が見えた。

 

「流石に手こずらせてくれる。群れると厄介なのは、昔から変わらないね。━━━脳無」

 

首に掛かっていた力が少しだけ弱まった。

苦しい事に変わらないけど、何とか視線を動かす余裕が出来た。さっきから聞こえる声に目を向ければ、空に佇む無傷の黒マスクがいた。

 

黒マスクに向かっていったヒーローはジーパンマンを合わせて三人。けれど今は倒れたジーパンマンの姿しか見えない。

 

「見てくれ、双虎ちゃん。この無様なヒーローの姿を。これが現実だよ。君が恐れていた現実だ。そうだろう?」

 

黒マスクの真下。

黒い液体が空間から湧き上がる。

一ヶ所じゃない、何ヵ所も。

 

「僕達はまだここにいる」

 

黒い液体から手マンの姿が現れた。

他の液体からも黒モヤやこの間見た、襲撃してきた連中も。

 

 

「君はまだ夢を見るかい?」

 

 

その言葉がどんな意味で掛けられたのか。

黒マスクの性格の悪さを考えれば直ぐに見当がつく。

けど、私の答えはあの時から変わらない。

 

あの時から。

ずっと。

 

 

 

『おれさまがきた!!』

 

 

 

ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物心がつく頃。

私には人より優れてる自覚があった。

同年代の連中と比べてずっと体は動いたし、両親が首を傾げるような事も私には直ぐ理解出来た。

何より、周りの大人の反応を見ていれば、私がどれだけ周りの者と違うのか嫌でも分かった。

 

私が人よりずっと優れていて、そしてそれがあまり望まれるような事でないことも。

 

気づいた時にはそれまで近くにいた人達から遠巻きに見られるようになった。そして母様も私から距離をとるようになっていた。笑った顔を見ることも少なくなって、それを寂しくは思ったけど、仕方ないという気持ちのが大きくて言葉は出なかった。

 

私は人と違うのだから、仕方ないと。

 

でもそれも直ぐに変わった。

どうして私がそんな目で見られなければならないのかと、そう思ったから。

 

切っ掛けは忘れてしまった。

でもいつ思いついたのか分からないその思いは、いつしか当たり前のように頭の中を巡るようになっていた。

自分の方が出来るのに、自分の方が賢いのに。

 

私が特別なのに。

 

そんな思いがグルグルグルグル、ずっと。

 

 

 

そんな頃だった。

私の世界が一変したのは。

 

 

 

個性が発現する時期になり、病院へ個性検査を受けにいった私は、その日黒い服を着た化け物を見た。

検査に飽きて病院内を探検していた時、偶然入ったやけに暗い廊下にそれは佇んでいた。一目で分かった。それが触れてはいけない者であることは。咄嗟に目を合わさないように頭を下げたけど、私に気づいた化け物は笑い声をあげながら頭を撫でてきた。

 

悲鳴が漏れそうになったけど、それは飲み込んだ。

それをしたら最後、殺されると思ったから。

男は私の頭を撫でながら、優しいのに背筋が寒くなるような声で語りかけてきた。

 

『君は賢いなぁ━━━━』

 

永遠にも思える時間。

吐き気と零れそうになる涙をこらえ、気が遠くなり始めた頃。

 

足音と共に通路の奥、影に支配されたそこから老人の声が聞こえてきた。

 

『先生、どうかしたか』

 

その言葉に男の手が離れた。

 

『いやぁ、面白い子がいたから、ついね。彼女は?』

『・・・ん?知らんな。ワシの所に情報が来てない以上、個性発現もまだな子供だろう。それより急いでくれないか。例の検体について伝えたい事があるのだ。面白い事になった』

『ああ、分かってるさ。そう急かさないでくれよ』

 

そういって去っていった男は振り返る事はなかった。

結局私は頭を撫でられ、言葉を投げ掛けられただけで何もされなかった。

それだけだった。

 

けれどそれは、確かに変えていった。

私の世界を。

 

その日から家にいる時間が増えた。

以前頭を巡っていた物はすっかり消えて、頭に過るのは廊下で会った男の言葉。会いさえしなければ、そういう言葉。だから何もしなかった。何も考えないで、じっとしていた。

 

でも、いつまでもそうしてはいられなかった。

母様に外へ連れ出されたから。

 

嫌だったけど、母様の表情を見れば嫌だとは言えなかった。思い詰めた暗い顔。もうずっとそれ以外の顔を見たことがなかった。自分のせいなのは知っていた。

でも、どうしたらいいかなんて分からなかった。特別だと思っていた私はあの男が言うように賢いだけの子供で、自分が思っていたよりずっと何も出来なかったから。

 

公園について他の子の真似をしてブランコに座った。

母様はベンチに座ってどこか遠くを見てる。

楽しくないけど、そうした方がいい気がしてブランコを揺らした。

 

 

『おい、おまえ!!』

 

ブランコを漕ぎ始めてどれくらい経ったのか、突然声が掛けられた。振り向いて見れば金髪のツンツン頭が偉そうに腕を組んでた。

不思議に思っていると金髪のツンツンが大きく口を開いた。

 

『みないかおだな!なまえをいえ!』

 

その頭の悪そうな言葉にうんざりした。

だから無視したけど、そいつはブランコを止めてきて、ぎろっと睨んでくる。

 

『なまえをいえ!それともなまえもいえないばかなのか?』

 

少しだけムカついて『みどりやふたこ』と名前を教えると『へんななまえだな!』と言われた。

ムカッとした。

 

『おれさまはばくごーかつきっつーんだ!おまえこぶんにしてやるぜ!』

『はぁ?』

 

思わず溢れた私の声に、そいつは変なポーズをとって叫んできた。

何処かで聞いた事があるような、それを。

 

『おれさまがきた!!』

 

自信満々の顔。

それが何故か気に入らなかった。

 

『なに?』

『んだよ!しらねぇーのかよ!おーるまいとだろ!ひーろー!きょうからおまえは、ばくごーひーろーだんのこぶんにしてやる。ほら、おまえもやれ』

『やらない』

 

無視してブランコを揺らすと、また止められた。

 

『なんだよ!おれさまがなかまにいれてやるっていってんだろ!ひーろーだんだぞ!』

『ひーろーとか、ばかじゃないの?あんたみたいなのがなれるわけないじゃん』

『ああん!?んだと!おまえがきめるな!おまえがわかるわけないだろ━━━ぶへっ!?』

 

その言葉を切っ掛けに思いきり殴ってやった。

何も知らないくせに声だけ大きいそいつに腹が立った。

沢山叩いた。初めて個性を使った。

 

そう時間も経たない内、母様が駆け付けてきて聞いた事ないような怒鳴り声で怒られた。目はつり上がってて、大声で耳は痛くて、腕を掴む手が強くて思わず震えた。

それはとても怖かった。怖かったけど、でもそれ以上に、何故か嬉しくて仕方なかった。

 

泣いていたら母様も泣いて、よく分からないまま沢山母様と泣いた。抱き締められて、頭を撫でられて、それが心地よくてまた泣いた。

そうしたら少しだけ、私は怖くなくなった。

 

 

少し日が経って、私はまた公園にいった。

怖くてしかたなかったけど、母様からあいつを見かけたら謝るように言われてたからだ。

 

そしたら直ぐに見つかった。

一人で遊んでる姿を。

 

思いきって声を掛けたら『てめぇ!やんのか!』と構えられた。喧嘩なんてする気はなかったし、お洋服を汚すと母様にしこたま怒られると思ったから『このまえはごめんね』と謝っておいた。

そうしたら、構えたぐーを暫くプルプルさせた後、『けっ』という捨て台詞と共にポケットにしまってしまう。

 

なんだかこの前と対応が違ってて、思わずそう聞いてしまった。

 

『きょうはひーろーだんしないの?』

 

そう聞いたらそいつはこっちを睨んできた。

でも何も言わない。

 

『あのへんなポーズしないの?』

 

この間の変なポーズを真似してみれば、そいつは歯軋りしながらバッと構えてきた。

私のテキトーなポーズと違って、ちゃんとした変なポーズだ。

 

『おれさまがきた!!━━━━こうやんだよ!ばかおんな!!』

『へぇーへんなの』

『なっ!?おま、おまえがやらせたんだろ!!』

『へーんなのー』

『おまえっ!!』

 

本当の事を言ったら鬼の形相で追い掛けてきた。

体力には自信があったから走って逃げて、結局そいつがフラフラの限界になるまで逃げ切ってやった。

 

荒く息をするそいつを何となくおちょくろうと思ったけど、以前聞いた名前を思い出せず聞いてみた。そいつはこっちを睨みながら『ばくごーかつき』と教えてくれた。人の事言えるほど普通じゃないじゃんと思いながら、その名前を覚えようとしたけど、どうも覚えづらかった。

 

だから、そう呼んだ。

 

『じゃぁ、かっちゃん』

『んでだ!!ばくごーかつきだっていったろ!!このみ、みどりや、ふ、ふふ、ふたこ』

『だれそれ?かっちゃん』

『かっちゃんいうな!!こらぁ!!』

 

かっちゃんは凄く短気で、からかうと直ぐに怒った。

鬼の形相で追い掛けてくるなんて日常茶飯事。大体追い掛けられてたような気がする。

でも嫌じゃなかった。だってかっちゃんは私を変な目で見なかったから。初めて会った時からずっと。かっちゃんは私を見てくれたから。

 

そうしていたら、また少しだけ怖くなくなった。

 

 

 

 

何かとかっちゃんと遊ぶようになって暫く。

ふとある時私はずっと気になっていた事を聞いた。

 

ヒーローになりたいのかって。

 

それは私にとってあの化け物と戦う事と同義で、とても選べない選択だった。だから友達になったかっちゃんに、そんな事をして欲しくなかった。殺されてしまう姿が頭に浮かんでしまうから。

 

そうしたら、かっちゃんは大きな声で言ってくれた。

初めて会った時と同じような自信満々な顔で。

 

『だいじょうぶだぜ。おれさまはオールマイトみたいにぜったいかつヒーローになるんだからな!』

 

それでも信用出来なくて聞いた。

 

『ぜったい?けがしない?』

 

そうしたら、かっちゃんは鼻息を荒くして、胸を張って言ってくれた。

 

『ふん!ぜったいけがしない!オールマイトだってけがしないし、しんだりしないぜ!だからだいじょうぶなんだぜ!おれさまも、オールマイトみたいになるんだから!』

 

子供の言葉、信用なんて出来ない。

・・・筈なのに、それが、その言葉が、私には心強かった。

 

だって知っていたから。

自信満々な笑顔も、何回負かしても参ったって言わない根性も、真っ直ぐで熱い赤い瞳も。

かっちゃんが一度も諦めなかった事も。

 

だから思ったんだ、私が支えようって。

私には出来ない顔で、真っ直ぐに夢を語るかっちゃんを応援しようって。

 

そう思ったんだ。

 

それが━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━夢なんて、みない。でも信じてる」

 

 

吐いた言葉に黒マスクの指が僅かに跳ねた。

 

 

「信じる?何をだい」

 

 

そんな事決まってる。

 

 

「私のヒーロー」

 

 

その言葉に黒マスクは口を閉じた。

 

 

「もう怖くない、もう泣かない。ちゃんと思い出せたから、私の本当のオリジン」

 

 

「私は戦うの━━━━私の大切な物の為に」

 

 

首を絞める力が強くなった。

ダサマスクのギラついた目が視界に映る。

肩を揺らして笑い声をあげる黒マスクも。

 

 

「ははっ、面白いよ。本当に━━━━愉快極まりない。緑谷双虎ちゃん」

 

 

首が絞まってく。

個性を使って腕力も使って抵抗する。

でもそれでも強く絞まってく。

 

 

「躾が大変そうだ、君は。弔には過ぎた玩具だ」

 

 

視界がボヤけていった。

息が苦しい。

 

 

「少しお休み。後でまた話そう━━━━ゆっくりと」

 

 

 

音も聞こえなくなって━━━。

 

 

 

 

 

 

「━━━━━ぞ、ごらぁ!!」

 

 

聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら、ダサマスクの顔に何かがぶつかって弾かれた。そうしたら首の苦しさが無くなって、体に浮遊感を感じて、温かい物に支えられた。

 

ボヤけた目で見れば、いつもの顔があった。

 

「・・・かっちゃん」

 

名前を呼んだら頭を撫でられた。

ゴツくて荒い不器用な触り方。

よく知ってる、その手で。

 

「ああ、俺様がきた」

 

かっちゃんは笑った。

あの日みたいに、何処までも自信満々に。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ははは!!楽しいな、今夜は。なんだい、爆豪くん。オールマイトの真似事かな?」

 

僕の声に爆豪くんは目付きを鋭くした。

漏れる殺気に少しだけ体が疼く。

ただの子供と侮れない、覚悟を感じる。

 

「覚悟を決めてきたか。悪くないね。でも、それでも足りないよ」

 

悲しいかな、現実はそう甘くはない。

覚悟を決めようと実力が足らぬ以上、現実は変わらない。彼はまた奪われるだけだ。

 

「君は━━━━━」

「てめぇに勝てるとは思ってねぇ」

 

予想外の言葉。

どうやら冷静さは持っているらしい。

では何故と疑問が浮かぶ。

 

「俺じゃ、てめぇに勝てねぇ。それは一回戦ってむかつく程分かった。まだ俺じゃ足りねぇ。━━━━━だから、今は戦える奴に任せんだよ」

 

ああ、成る程。

 

「そういう事か━━━脳無」

 

拠点のあった方向へと脳無を立たせれば、その直後爆風が襲ってきた。

見るまでもない、彼だ。

 

「遅かったじゃないか」

 

脳無が殴り飛ばされる。

脳無の陰から現れた彼が、僕に拳を叩きつけてくる。

 

「全てを返してもらうぞ、オール・フォー・ワン!!」

 

伸ばされた拳を止める。

受け止めた感触から威力の衰えを感じるが、それでも僕を殺しうる力は依然健在なのは変わらないらしい。

 

「また僕を殺すか、オールマイト」

 

まったくもって、愉快な日だ。

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