私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
待っててくれた人達に続きの提供させて頂きやす。
期待外れだったらごめんねぇぇぇ!!
ガチムチと黒マスクがぶつかり、突風が吹き荒れる。
数瞬拮抗した力と力は、ほぼ同時に両者の体を大きく後退させた。
「随分と遅かったじゃないか、オールマイト。脳無達を送り込んでからゆうに五分は経過しているよ。あの程度の脳無に手間取る訳はないだろうし・・・どこで道草を食ってきたんだい?」
からかうような黒マスクの声。
ガチムチの筋肉が応えるように隆起する。
「それはお互い様だろう、オール・フォー・ワン。こんな所に"まだ"いるなんて、私が来るのを待ってたのか?コソコソ影を逃げ回っていた割に、随分とのんびりしているじゃないか。それになんだ、その趣味の悪い工業地帯で被るようなマスクは。脳を飛ばされて、また一段とセンスが悪くなったな!」
「言うじゃないか、ユーモア溢れる返事ありがとう・・・!」
言葉を言い切ると同時に二人の手から不可視の何かが放たれ衝突、再び風が吹き荒れる。
「オールマイト!」
かっちゃんの怒鳴り声にガチムチはこちらを見る事なく親指を立てた。
「二人とも、もう大丈夫!!私がきた!!」
「━━━━良いんだな!?」
「ははっ、私も歳をとったな!!心配されるようになるなんてな!!━━━大丈夫、君は緑谷少女を連れて行け!!奴は絶対に通さん!!私の命にかえてもな!!」
私を掴むかっちゃんのが強く絞まる。
顔を見上げれば言葉に感情がそこに滲んでる。
そこまできて、かっちゃんが何をしようとしてるのか分かった。
「ま、待って、待って!かっちゃん!私なら大丈夫だからっ!そりゃ、あの黒マスクとは戦えるとは思わないけど━━━━」
「ってせぇ!ヘロヘロの癖にほざいてじゃねぇぞ!!黙って掴まってろ!!」
かっちゃんが走り出すと同時、そのかっちゃんの足元へ銀色の光が突き刺さる。地面から生えるそれをよく見れば小さめのナイフだった。
「その子を連れていかれるのは困るのです。弔くんに怒られてしまいますからね」
妙に癪に障るその声が聞こえてきて、視線をそこへとやれば物陰からアホ面のキバ子がこっちを眺めていた。
向こうも私の視線に気づいたのか、嫌そうに顔をしかめた。私の顔を見ておきながらだ。むきゃつく。
キバ子の顔をイライラしながら見てると体が引き寄せられる感覚が走った。なのでそれとは反対方向に体を引き寄せる。かっちゃんも違和感を感じたのか、体をぎゅっと抱き寄せてきた。
「あら、やだ。見せつけてくれるじゃない?妬けちゃうわ。それにしても貴女と私の個性、相性最悪ね。全然引き付けられないなんて、やんなっちゃうわ」
キバ子の隣へ、瓦礫の陰からオカマスクが現れた。
オカマはこんな時もオカマだった。
まぁ、そんな事より・・・何見てんのキバ子ぉ。
なんだその目は。
「天使より天使な天上天下最上の至宝たる可愛い私の顔みて、何故顔しかめてん?━━━このブぅっス!!」
「トガはブスではありません。寧ろ通りすがった百人中百人が振り返るほど普通に可愛いです。目玉の代わりにガラス玉でも突っ込んでいるんですか?━━━このブス」
「「・・・・」」
キバ子と目が合った。
目は口ほどになんとやらと言うけど、それがよく分かった。初めて見かけた時から何となく気に食わない奴だとは思ってたけど━━━━。
「かっちゃん!!爆撃執行、承認!!」
「マグ姐!!死なない程度に切つけましょう!」
「やってられっか、ボケ」
「本当、この子のこと嫌いね。貴女」
かっちゃんとオカマスクが身構えた瞬間、間を割り込むように氷の壁がせりあがった。
「爆豪くん!!こっちだ!!」
突然掛かった声に顔を向けると、氷の壁で覆われた道の先に見慣れた連中の姿が見えた。眼鏡、轟、百、切島━━━━それと何故か発目の姿も。
「緑谷さん!!助けに来ましたよ!!」
元気な声をあげて手を振ってくる発目。私はそれが放つあまりの違和感に目が離せない。
なにあれ。
「かっちゃん、かっちゃん。何故に発目」
「ああん?い、色々あったんだよ」
色々あったとしても、なにあれ。
違和感が凄い。
何を対価にここにきてんの?支払は誰持ちですか?かっちゃんですか?そうですか。むしってもいいけど、私に奢る分は残るようによろ。
そうこうしてる内、かっちゃんは私を抱えたまま皆と合流。事前に話し合っていたのか陣形を組んでさっさと移動し始めた。
「・・・っは!かっちゃん!逃げる感じになってる!?」
「何処をどう見たら戦う感じになんだ、ボケ!おい、クソ紅白!追手撒けたか!」
「分からねぇ。少なくとも氷の破壊音は聞こえねぇが・・・・障子か耳郎辺りがいりゃ、ちゃんと把握出来たんだけどな」
悔しそうに呟く轟の背後、突然轟音が鳴り響く。
振り返れば氷の壁が砕け散っており、腕をこちらに向けた黒マスクが見えた。
「弔、道は拓いてあげたよ。後は自分でやるといい。元より君の望みだろ? 」
砕けた氷の粒が雨のように降る、その先。
身を寄せ会う人影が見えた。
「反発破局、夜逃げ砲っ!!」
怒号に視線を落とせば、シルクハットを被った仮面の怪しい奴が宙を飛んできた。
どうやったから分からないけど、ようは人間大砲である。凄いチャレンジャーである。
「八百万!!」
「ええ、轟さん!お任せを!!皆さん目を瞑って下さい!!」
迫るそれに百がスプレーみたいな物を投げる。
直後、目も眩むような閃光が周囲を照らした。
瞼閉じた上で手で顔を覆ったのに、それでも眩しく感じるとかヤバイ。
「うぉっ!?」
野太い悲鳴のような声が聞こえる。
突然の事にシルクハット仮面が空中でバランスを崩したのか、何かにぶつかったっぽく派手な音を立てた。
けれど、ただではやられなかったようだ。
僅かだけど音が聞こえたのだ。
シルクハット仮面の情けない嘆きに混じった、何かを投げるようなそんな音を。
「━━━━後はあんた次第だ、死柄木」
弾けるような音が鳴り、目の前に手マンが現れた。
私を閉じ込めた個性でシルクハット仮面が手マンを運んだんだろう。面倒臭い個性だとは思ってたけど、本当に面倒臭い事をしてくれる。
「これだから、餓鬼は嫌いなんだ━━━━さっさと死ね」
「奇遇だなぁ!!おい!!俺もてめぇみてぇな脳みそ沸いてる奴はでぇきれぇなんだよ!!ぶっ飛べや!!」
二人が掌を構え臨戦態勢のままぶつかる━━━かと思ったら背後から射出された白い何かが手マンの顔面に張り付いた。手マンはそれを取ろうとしたけど、スライムみたいなそれは手マンの顔面にピッタリフィットしてて、思うように取れず動きが鈍る。
「爆豪くん!!」
眼鏡の声にかっちゃんは横へステップして手マンをかわし、後ろを走ってきた眼鏡がかっちゃんに代わり飛び蹴りをかました。
瓦礫にダイブした手マン。
後続の発目が何かをメモしながら、捨てられたゴミみたいなそれを踏んづけていく。
まさかのスルー。
援護する気満々だった私の気持ちも考えて欲しい。
「とりもちは地味ですが、やはり実戦でも効果ありですね。しかし、弾の速度は仕方ないにしても精度の悪さがネックですかね?後は重量の軽減、使用後の除去法でしょうか?ああ、でも射程距離もいまいちですね。緑谷さん!どうですか!?以前開発したベイビーの改良版なのですが━━━━」
「まぁ、落ち着けぃ。んで、それはさっさとお仕舞い。それまだ使用許可とってない、お外で使ってはいけない奴でしょ?」
「━━━と、そうでしたね!氷の壁で外部からは見えませんし、今ならいけると思いまして!!つい!!いやぁ、いいデータが取れました!!ありがとうございます!それでですね、改良版のベイビーの件なのですが━━━━」
「帰ったらいっぱい聞いてあげるから、今はお口をチャック。OK?」
「OKです!!」
発目を黙らせた後、皆から何故か感心するような視線を向けられたりしながら、私はかっちゃんに抱っこされた状態のまま連行。
氷の道を抜けた私たちはついに大通りに出た。
避難する人達が駆けずり回るそこへかっちゃんは強引に混ざっていく。
「追手は!」
「今んとこいねぇ、でも油断すんな爆豪。しっかり見えなかったが、USJん時のワープ個性持ちがいた気がする」
「んなもん、分かってるわ!!」
そんな風に怒鳴り声をあげながらかっちゃん達は進む。
因に、 人混みに紛れてからも私はずっと抱っこされたままだ。逃げようとしても強く抱き締められてて身動き出来ないし、かっちゃんの顔を見てると逃げるのが悪い気がして大人しくしてた。・・・けど、いい加減周りの人の視線が気になるので降ろして欲しい。地味に恥ずかしい。見んな、見んなってば━━━なんだぁ!ニヤニヤしてんじゃないよ!!なんのニヤニヤだぁ!!
「かっちゃん、かっちゃん」
「るせぇ」
こ、この野郎っ・・・!
いや、怒鳴っては駄目だ。
こうして助けに来てくれた訳だし・・・流石にね、私もその、ね。うん。落ち着くんだ、私。
色々飲み込んだ私はもう一度かっちゃんに話し掛けてみる事にした。
「そろそろ、降ろして欲しいんだけど・・・」
「あぁ?・・・我慢しろ、ボケ」
「いや、周りの人がさ、見てるし?」
そう言うとかっちゃんが周りの人に向かってがんを飛ばした。周囲の温度が急激に下がるのを感じる。
ありがとう。気持ちはね、嬉しいよ。うん。でもね、そういう事でもないんだよ、かっちゃん。
てか、余計に注目されとるやろがい。
この結果に対して非難の視線を送ると、かっちゃんが睨んできた。
「・・・合宿ん時よりずっと軽りぃ。まともに飯も食ってねぇんだろ。今だけは大人しく言うこと聞いとけ」
ドキッとした。
心臓がぎゅっと掴まれたような感じだ。
「・・・・かっちゃん、乙女の体重勝手に計るなし」
「計ってねぇだろ。持った感じ、何となくで言ってんだ」
「何となくでも覚えておくなし」
「無茶言うなボケ」
かっちゃんに体重を把握されてるとか・・・。
うわぁ、やばい、はずい。
なんだこれ。
あまりの恥ずかしさに顔を押さえてると、百がかっちゃんに「デリカシーですよ、爆豪さん」と怒ってくれた。え?発目?あいつはメモ書いてたよ。サポートアイテムのアイディアが出たとか何とか言って。本当に何しにきたの、この子?
暫く進んでいくと大きめの交差点で立ち往生してしまった。それこそ身動きがとれない程の人混みである。
どうしてそうなってるのか、理由は簡単。
近くのビルに取りついている、巨大なモニターが原因だ。もっと言うなら、そこに映されたリアルタイムのニュース映像が原因だった。
皆が足を止め見上げるそこで、私もそれを見た。
「ガチムチ・・・!!」
映像は揺れが激しくてちゃんとは見えない。
映像から見て取れる事は多くはないけど、壮絶な戦いが繰り広げられているのだけは分かる。
「ジジィ・・・」
画面に黄色い影が飛ぶ。
遠目からで見辛いけど、かっちゃんが反応した所からヒーロー殺しの時にいた煎餅お爺ちゃんだと分かった。
二つの影が黒影へとぶつかる。
『ご覧頂けるでしょうか!!神野区上空からお送り致しておりますこの映像を!!この悪夢のような光景を!!突如として神野区が半壊滅状態となってしまいました!』
ボロボロになった街の映像が流れた。
『現在オールマイト氏が元凶と思われるヴィランと交戦している模様です!!なお、この惨状、オールマイト氏が交戦しているヴィランたった一人によって行われたとの情報もありっ!━━━あっ!脳無です!!皆さん!保須市で目撃された怪人の姿が、いま!!これは、何がどうなって━━━━』
戦うガチムチの姿が見えた。
ガチムチの姿に周りから小さな歓声があがる。
皆、ガチムチを信じているんだろう。それだけの実績があるのだから当然かもしれない。
なのに、私はその姿が不安でしかなかった。
大丈夫だと言って親指を立てたガチムチの背中が、やけに遠く感じたから。勘でしかなかったけど、一人置いていっては駄目な気がしたから。
『━━━ああっ!!掴まって!!揺れ━━━』
酷く映像が揺れた。
映されたヘリコプターの機内。
黒の空、巻き起こる粉塵、悲鳴。
漸く落ち着いたカメラ映像に映ったのは、ボロボロになったガチムチの姿。
『━━━━これは』
そこにいた誰もが声を出さなかった。
『何が・・・え?み、見えますでしょうか、皆さん』
実況していたアナウンサーが言葉に詰まりながら続けた。自分の目を疑うように、辿々しく。
『オールマイトが・・・しぼんでしまってます・・・?か、カメラ!あれはっ、何が、ちゃんと撮れてるか!?』
感じていた、嫌なものを。
ガチムチの背中に感じた、それが。
頭の中で過っていった。
「━━━━かっちゃん」
私の声にかっちゃんが私に視線を落とす。
「・・・・お願いがあるの」
そう言うとかっちゃんは私の目を見た。
そして呆れたように溜息をつく。
「言い出したら、てめぇは聞かねぇからな━━━んな泣きそうな顔すんな。何がしてぇんだ」
助けにいけたら、それがきっと一番良い。
けど、私にはその力がない。
体力が万全でも、きっと対した事は出来ない。出来る事なんて限られてる。
その上で探したソレで、何が変わるか分からない。
意味なんてないのかも知れない。
でも今動かなかったら、きっと私は後悔する。
今日という日を。
ずっと。
だから━━━━━
「ありがとう、かっちゃん」
━━━まだ、このまま帰る訳にはいかない。
「伝えたいことがあるの、オールマイトに」
おまけ◇◇◇━━━━━逃走中
かっちゃん「はっ、はっ、はっ━━━ちっ!うぜぇな人混みはよ!!」フタニャン ユサユサ
ととろき「・・・・重そうだな、代わるか?」
かっちゃん「誰が代わるかボケ!!てめぇは後ろ警戒しとけや!!」
ふたにゃん「誰が重そうだああん!?こら!!」
やおもも(轟さん、デリカシーです)
眼鏡「轟くん、女性に重いと言ってはいけない!」
ととろき「そうなのか」ガクシュー
やおもも(飯田さん、デリカシーです)
Ms.はつめ「うひょーー!きました、きました!!これはきましたよぉぉぉぉ!!」
やおもも(デリカシーとか以前の問題ですわ)