私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
はい、恥ずかしながら生きてました。
年末の糞忙しさに風前の灯火ですが、生きておりました!!我輩は帰って来たぞ、ジョ●ョォォォォォ!!
待っててくれた人、ごめんやで。
そいで、ありがとうやでぇ(*´ω`*)
「どうして正座させられているのか・・・・分かるな、緑谷?」
私の前で仁王立ちする包帯先生は、地を這うような低い声でそう言った。漂うオコの雰囲気。髪を逆立て腕を組み見下ろすその様は、母様を怒らせた時に匹敵しかねない迫力があった。
「緑谷、聞いてるのか・・・?」
「さっ、さぁーいえすさーーー!!」
「返事は『はい』だ」
「はい!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!?!?」
引っ越し翌日。
絹を裂くような男の悲鳴を聞き目を覚ました所から、その全ては始まった。
「ばばばばっ、ばく、爆豪の馬鹿野郎ぅっ!!おまっ!いつかはやるとは思ってたけど!おまっ、これは不味いだろ!?あわわわわっ!?」
寝ぼけ眼を擦りながら喧しい奴へ視線を向けると、そこには部屋の入り口で狼狽える切島の姿があった。
れでぃーの部屋に勝手に入るとは何事かと思ったけど・・・よく考えたら昨日帰った記憶がない。辺りを見渡しながら自分の部屋でない事を再確認すれば、自ずと自分が何処にいるのか分かった。ここはかっちゃんの部屋だ。何故かかっちゃんの姿は見えないけど、かっちゃんの部屋だ。
そうだ、ここ、かっちゃんの部屋だ。
嫌な汗が背中を流れると同時に、切島と目があった。
空気が緊張し、静寂が訪れる。
「切し━━━━━」
「見てない!!俺は何も見てないからぁあ!!緑谷が爆豪の部屋で寝てる姿なんて、全然見てないからぁ!!」
そう言って廊下に走り出そうとする切島。
勿論行かせない、引っこ抜いて部屋に引き摺り込む。
それでも出ようと抵抗する切島の顔面を地面と引き寄せ合わせ固定。私も自分の体を引っこ抜き切島の元へ行く。
「言わないからっ!!誰にも言わないから!!ちょっ、緑谷っ、止めてっ!消さないでっ!!」
「消さないわ。私をなんだと思ってんの?」
変な事を口走りそうな切島を一回落ち着かせて、その後でゆっくりO☆HA☆NA☆SI☆AIでもしようかと思ったんだけど・・・・直ぐに慌ただしい足音が聞こえてきてしまった。
急いで扉を閉めようとしたんだけど、それは失敗に終わった。既に扉に手が掛けられていたのだ。見覚えのある、逞しい沢山の手が。
「大丈夫かっ、切島!!爆豪!!」
聞き慣れない怒号と共に、阿修羅の兄貴が部屋に入り込んできた。その様子から二人の心配をして飛び込んできたのは分かる。分かるけど・・・・今はマジで勘弁してほしかった。
阿修羅さんは私と切島を見て固まり━━━━少ししたらそっと部屋を出た。何をしてるのか覗くと、部屋の表札を確認していた。そうして暫く表札と私達を交互に見た後、顎に手を当てる首を傾げた。
「分からん」
ああ、うん。
分かられなくて良かった。
そうこうしてる内に他階の男子共が集まり、ついには女子ーズまで集まってきて場は混沌とした。
取り敢えず部屋から共有スペースに連行され、ソファ座らされた私に待っていたのは更なる混沌であった。
眼鏡とお茶子から不純異性交遊は駄目だと説教が始まり、それを想像したと思われるブドウは鼻血を噴出させ白目を剥き、顔を赤くさせた童貞共からは目を逸らされ、恋愛番長なあしどんと葉隠からは初体験の感想を聞かれ、急に膝をついた轟は百に介抱された。
唯一冷静だった梅雨ちゃんと耳郎ちゃんは遠目から様子を窺っていたけど。止めて、二人とも。止めるの手伝って。
暫くすると息を切らしたかっちゃんが帰っていた。
首に掛かったタオルを見れば朝のランニングにでも行っていたのであろう事は察した。こんな時までストイックに頑張らずとも、と言いたい。
最初かっちゃんはその集まりに首を傾げていたけど、お茶子がダッシュで駆け寄り「ニコちゃんに手出したらしいねぇ!!説明せんかい!!おおん?!」と胸ぐらを掴まれた所でハッとした。遅い。
かっちゃんは仕切りに無実を訴えた。
私が勝手にやってきて話し相手にされた事。私が寝てしまってから部屋を出ている事。行く場所がなかった為、共有スペースで時間を潰した事。朝に着替えとタオルだけ取りに戻った事などなど、沢山の理由を口にした。
が、お茶子は聞き入れず「しらじらしぃわ!」とまるで関西人のようなツッコミをみせる。いつもの四倍くらい、お茶子はたぎっていた。
そんな騒ぎをしていれば、当然寮の管理を任されている包帯先生がやってくる。
そして行われる事情聴取。
全てが明らかになった時、私は正座させられていた。
勿論かっちゃんと。
かっちゃんをこってり絞った後、包帯先生は次の獲物である私へと視線を移し話始めた。
そう、OSEKKYOタイムである。
「まず、何を怒られているのか分かるか?」
低い包帯先生の声に頷く。
「かっちゃんの部屋で寝たことです」
「それ以前の問題だ、馬鹿タレが。そもそも夜間に異性の部屋に行くな。なんの為に男女で住むところを分けてると思ってる。お前らが親密な関係を築いているのは知っているが最低限分別はつけろ」
「先生!その親密な関係というものに、些か誤解があると思います!!訂正を━━━━」
スパンと良い音が鳴った。
久し振りの一撃、知能指数が6は減った。
「認めん。話の腰を折るな。お前が爆豪と男女の関係だろうと、幼馴染だろうと、親友だろうと、義理の兄妹であろうと、仮に婚約者であったとしても関係ない」
「・・・・男女の・・・・婚約者・・・・ぐっ」
その言葉に、また轟が呻き声をあげて膝をついた。
そしてまた百が介抱してた。「しっかりして下さい」とか「例え話ですわ」とか聞こえる。よく見たら今度は眼鏡も一緒に介抱してるみたいで「しっかりするんだぁ!」とか友情が迸っていた。
「おい、緑谷。話は終わってないぞ」
「あ、すいっません」
怒られたので包帯先生への向き直ると、包帯先生は続けた。
「━━━━で、だ。お前らがどんな関係であろうとだ、ここは学校の敷地内でお前は一生徒でしかない。故に一学生として、学生らしい付き合いを心掛けろ。風紀を乱すような事はするな」
「風紀は乱してません!」
「著しく乱したから、今説教されてるんだ。少しは考えろ、馬鹿が」
「それは誤解です!先生ぇ!!誤解です!!誤解なんです!!違うんです!!!私とかっちゃんは風紀を乱すようなこと起こしてません!これからも絶対に、百パーセント、起こしません!!シュークリームの神に誓います!!」
そう頑張って伝えると包帯先生はチラッとかっちゃんを見た。
一瞬だったが、なんか可哀想な物を見る目だった。
「爆豪・・・・お前には情状酌量の余地があると思っている。故に今回はおとがめ無しにするが、以後は気を付けろ」
「・・・・・うす」
なんだとぉ!!?おとがめ無しだとぉ!?
びっくりしてると包帯先生の視線がこっちを向いた。
「・・・・お前は今日から一週間、トレーニング後共同スペースの掃除を命じる。いいか、サボるな」
「なんでぇ!!?かっちゃんは!?かっちゃんも悪いのに!!包帯先生ぇ!!」
「・・・・爆豪、お前に任せる」
逃げるなよと気持ちを込めてかっちゃんを見る。
するとかっちゃんは深い、それは深い溜息を吐いた後、顔を片手で覆いながら「俺もやります」と言った。
あったり前だぁ!!私だけにやらせる気か!!
逃げようったってそうは行かないんだからな!!
かっちゃんめがぁ!ふははははは!!!
「相澤先生、俺もやります」
「轟、お前は手伝うな」
◇◇◇
「はぁ、まったくあの馬鹿は・・・・」
生徒達をトレーニングルームへ送った後、二学期に向けた書類を整理していると思わず愚痴が溢れた。
一週間ぶりに再会した生徒にかける言葉が説教だとは、流石に思っていなかった。
本来なら謝罪するつもりですらいたのだ。
護ってやれなくて、済まなかったと。
それが自己満足である事は百も承知しているし、そういった事は言葉ではなく態度で見せなければいけない事も分かっている。
何より、生徒達にそう教えてきたのは俺だ。
「情けない限りだ・・・・はぁ、歳はとるもんじゃないな」
コン、と手元に湯飲みが置かれた。
そっと隣を見ればマイクが満面の笑みを浮かべていた。
そんな気を回すのはミッドナイトか13号辺りかと思っただけに、余計に嫌な物を見た気分になる。
「・・・・なんだ、マイク」
「おっさんくさい溜息が聞こえてきたぜ、フレンズ。ここはいっちょっ、俺に相談してくれても良いんだぜ?寧ろカマンっ!イェェ!」
「お前にだけは話さん。俺の知り合いの中で、お前ほど口の軽い男も知らんからな」
その言葉にマイクが首を傾げた。
「イレイザー、お前言うほど知り合いいなくねぇ?」
「・・・・余計なお世話だ。それで、何しにきた」
「おっと、本題忘れる所だったぜ。これな」
マイクから手渡されたプリントを見れば、オールマイト快気祝い会という大きな文字とデフォルメされたオールマイトの絵が描かれていた。裏を見れば日程や店、参加者の名前が書かれている。何故か自分の名前も。
「おい、俺は参加すると言った覚えはないぞ」
「どうせ聞いたら参加しねぇって言うんだろ?そーはさせねぇーぜ!お前は強制参加だ!オシャレしてきな!」
「そんな事してる時間がないと言ってるんだ。仮免まで時間がない。ただでさえマスコミ関係の処理で仕事が遅れてる。やる事は幾らでも━━━━」
ドサッ、と目の前に紙の束を置かれた。
嫌な予感を覚えながらそれを手にとれば、本来俺が用意しなければならなかった書類が揃っていた。
「これで少なくとも一日は猶予出来たろ?言いたい事、あったら聞くぜ?んんーー?」
「・・・・・・はぁ、お前はまた勝手に・・・・昔から変わらないな。後で校長にどやされても知らんぞ」
「HAHAHA、そんときはそんときだろ。つーか、変わらないのはお前もだぜ。クソ真面目。放っておくと、直ぐ人の輪からleaveしちまう。よく見てる俺様に感謝しろYO!」
「するか」
そう返すとマイクは俺の肩を軽く叩き笑う。
いつもながら鬱陶しい。
「まっ、イレイザー。そんなに思い詰めんなよ」
そしてこういう所も、だ。
「・・・・態々慰めにきたのか?」
「ジョーダンきついぜ。俺が男慰めるような柄かよ?ちょっと茶化しにきただけだぜ」
「それならもう済んだろ」
「まぁな」
それだけ言うとマイクは背を向けた。
「こいよ、イレイザー。んで、デビューしたての頃みてぇにパーっと馬鹿みたいに飲もうぜ。死ぬほど愚痴言ってよ、アホみたいに騒いでよ」
「馬鹿みたいに飲むのも、アホみたいに騒ぐのも、お前だけだろ」
「HAHAッ!確かに!こりゃぁ、ワンスティック取られたぜ!」
一頻り笑った後、マイクは続けた。
「ま、なんだ、取り敢えずよ、反省は程ほどにしとけよ。今の所、俺達に出来る全部の手は打ったんだ。あとはどしっと構えて時間待ちよ。となりゃ、今は無事だった事を素直に祝おうぜ。━━━その方がお前んとこの生徒も喜ぶだろ」
「・・・・お前に説教をかまされる日がくるとはな」
「んな大層なもんかよ。さっきも言ったろ。茶化しにきたんだよ、俺は。んじゃ、楽しみにしてるぜイレイザー」
こいつの喧しい所は好きになれん。
『おいおい、聞いたぜ。名前決めてないって!?よし、じゃぁイレイザーヘッドだ!』
だが、変わらないのだろうな。
この関係も、この繋がりも。
俺にはきっと、あんな名前、一生思い付けなかっただろうから。
「・・・顔を出すだけだ」
「いや、しっかり飲んでけYO!!逃がさねぇーからなぁ!!」
今後とも遅れそうなので、先に謝罪しておきますやで。
すまんなぁ(´・ω・`)ショボン