私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
クリスマスへの憎しみを作文力に回した結果、なんか生まれたよ。
くそやな、クリスマスは((( ̄皿 ̄井)
「なぁなぁ、かっちゃん。サンタさんいねぇって知ってる?」
小学校も冬休みに入った今、最近またつるむようになってダチと公園で遊んでいると、誰かがそう声を掛けてきた。
何をいきなりとも思ったが、今日は12月24日だった事を思い出した。世間ではクリスマスイブという日で、クソババァから早く帰って来るように言われていた事も。
だからだろう、そいつがそんな事を聞いてきたのは。
「ふん、当たり前だろ。サンタなんているわけねぇだろ」
「でもじゃぁさ、プレゼントはどうなんの?」
「そういうのは親がやんだよ。親の知り合いとか・・・あ、でもな、よーろっぱ?には本物がいるみてぇだけどな」
「よーろっぱにいんの!?すげえ、かっちゃん!」
くだらない話を適当に切り上げ帰ろうかと思っていると、やたらと喧しい足音が聞こえてきた。
嵐のようにやってきたそれは、公園の入り口に滑るようにやってきて俺を見つけて大きな口を開いた。
「みつけた!!かっちゃん!!」
「やっべぇ!!?みどりやだ!!」
「うわっぁぁぁ!!」
「かっちゃんにげよう!!」
まとわりつく連中を蹴っ飛ばして「いいからいけや」と言ってやれば、モブ共は一目散に逃げていった。
心配する素振りの一つもねぇ。
だったら、端から余計な事してねぇで逃げろやとも思うが・・・・別にどうでもいい事だから放っておく。
それより、面倒な奴がそこにいるからだ。
「なにしてんの?ひとりで。またはぶられたの?だっせ・・・・あ、それよりかっちゃん!帰るよ!クリスマスパーティーするよ!!」
「うっせ、知ってるわ。今から帰る所だったんだよ。つか、いっぺんに話すな。わけわかんねぇだろ」
「すごいんだよ!!肉だよ!かっちゃん!肉ぅ!!とり!バード!しかもにわとりじゃないよ!━━━しちみめんちょうだよ!みつきさんが買ってくれたの!!すごくない!?しちみめんちょう!」
七面鳥って言いたいのは分かったのでそこには突っ込まない。絶対に面倒臭い返答が返ってくる。ただでさえクリスマスパーティーなんざガキみてぇな事したくねぇのに、これより疲れるのはごめんだ。
「うるせぇわ。おくれていくと、めんどくせぇからいくぞ」
「かっちゃん、しちみめんちょういらない?いらないよね?その分ちょーだい。うん、ありがとう」
「やらねぇよ!つか、うちの親が買ったやつだろ!!ちょーしのんなよてめぇ!!」
いらねぇとは、言ってねぇだろうが!!
ごらぁぁぁ!!
夕暮れの街を照らした始めたイルミネーションを横目に、イルミネーションを見ようと止まる馬鹿を引きずって帰宅する。やっとの事で辿り着いた家の玄関を開けると、ババアがババアらしくねぇ格好してた。
赤と白が良く目立つサンタ服だ。しかもスカートというふざけたオマケつき。
「きもっ━━━━」
思わずそう言ってしまうと、ババアの手が伸びるのより早く、クソジジイの手が口を塞ぐように掴んできた。
いつものんびりした目してる癖に、今日はやけに鋭さが滲んでる。
「勝己、駄目だろう?そんな事言っちゃ・・・」
ババアと違って頭を締め付けてくるような事はない。
けれど、その視線の鋭さだけはババアが怒り狂ってる時並みの迫力を感じた。
隣の馬鹿は何も感じてないのか、呑気に首を傾げてるが。
「双虎ちゃん、光己の格好はどうかな?」
「うん?・・・・うーん、いいね!カワイイ!」
「ははは、私もそう思うよ。光己は何を着ても似合うなぁ」
「そ、そう?ふふふ、私も捨てたもんじゃないわねぇ」
ババアは嬉しそうにクルクル回ると台所へと戻っていった。双虎の馬鹿もつられて追い掛けていく。
残った俺にクソジジイはそっと耳打ちしてきた。
「良いかい、勝己。世の中にはね、これだけは言ってはいけない言葉という物があるんだよ?よく覚えておきなさい」
「んだよ、それ」
「大人になると分かる事さ。さ、双虎ちゃんと遊んでくると良い」
「いや、遊ばねぇし」
取り敢えず、今日限定ではあるが『きもい』という言葉は封印する事をこころに決め、さっさと手を洗いにいく。洗わねぇとババアがクソ煩いからな。
手洗いうがいをささっと済ませ居間にいくと、双虎の母親である引子さんがパーティーの準備をしている所だった。引子さんは俺の姿を見ると笑顔を見せた。
「勝己くん今晩は。お邪魔してるわね」
「ちわっす」
「もうすぐ準備も終わるからテレビでも見て待っててね?━━━ああ、それとうちの馬鹿がまた迷惑かけたでしょう。いつもごめんなさいね。まったく手伝いを頼んだ筈なのに、急に飛び出して行っちゃうんだから。何を考えているのか━━━━あ、ごめんなさいね。いきなりこんな話しちゃって」
「別に・・・」
あの馬鹿は嫌いだが、双虎の母親は嫌いではない。
というか、俺もその苦労が分かるから、なんか仲間のような気がしているくらいだ。
言う通り大人しくしてると、引子さんからメロディ音が流れてきた。聞き覚えのある音だったので、双虎の父親が連絡してきたのは分かった。
携帯を開いた引子さんは顔をしかめた後、小さく溜息をつく。そうか、来ねぇのは察した。
俺が言うことでもねぇが、そろそろ双虎の中から父親の存在が消えているんじゃねぇだろうかと思ってる。
ここ最近あいつの話の中で、父親の名前を聞いた覚えがねぇからだ。大丈夫なのか、あいつの父親。
それから直ぐ料理を持ったババアとヨダレを垂らしながらケーキの箱を持ってきた双虎がやってきた。料理を並べながら引子さんが双虎に父親がこない事を伝えてるみたいだが、双虎の視線はケーキと七面鳥に釘付けでまったく聞いてなさそうに見えた。
というか、事実欠片も聞いてねぇんだろう。
ついでに興味もねぇんだろう。
・・・なんだ、この気持ちは。
分からない気持ちにやきもきしてると料理がテーブルに並び終わった。書斎で仕事をすると言っていたクソジジイも戻れば1日早いクリスマスパーティーが始まる。
乾杯後、双虎は迷う事なく切り分けられた七面鳥に手を伸ばした。目をキラキラさせながら見つめ、大きく口を開いてかぶりつく。咀嚼しながら段々と笑みが深くなっていき、口の中の物を飲み込むと花が咲くように笑った。
「ぼーのぉー」
「べんきょう出来ねぇくせに、どこからそういうの知ってくんだ。てめぇは」
「うるさいなぁ~。わたしはべんきょう出来ないんじゃないの。しないだけぇ」
それが嘘なら鼻で笑ってやるんだが、こいつは案外やれば出来やがる。だから余計に質が悪い。
馬鹿を放って七面鳥のを口に含むと、食べた事のない美味しさが口の中に広がった。
「・・・んだこれ、うめぇ」
「でしょー!ぼーのしたれしたれ!」
「ぼーのはしねぇ」
珍しく酒を飲み合う大人三人を横目に料理を頬張っていると、双虎が袖を引っ張ってきた。何事かと思えば手招きしてやがる。
「・・・んだよ」
「耳貸してよ、ほら」
「はぁ・・・」
双虎の目を見て絶対に引かない事を察した俺は、面倒臭かったが耳を貸してやった。
すると、そっと双虎が呟く。
「サンタさんのプレゼント、何にした?」
俺はちょっと考えた。
言葉の意味を。
「どういういみだ」
「どういういみって?そのまんまじゃん。サンタさんに何たのんだの?おしえてよ。わたしPS●」
「・・・・・」
双虎の目を見ながら考えた。
双虎のいやにキラキラした目の意味を。
「・・・?もしかしてたのんでないの?あ、かっちゃんには来ないか。あんなたいどばっかりとってるもんね!ごめんねぇ!なんか!━━━ふっ、かっちゃんもバカだなぁ。12月だけでもいい子にしてないと~。サンタさんなんてチョロいからね、1ヶ月もお手伝いしてればプレゼントくれるのに~ざんねんだねぇ~」
そして分かった。
あの時のクソジジイの言葉の意味を。
だが、生憎俺はこいつと仲良しこよしの友人をやってるつもりはない。親が仲が良いからこうなってるだけ。
つまりそういう事だ。
「はっ、バカだな。サンタなんかいるわけないだろ」
俺の言葉に双虎がきょとんとした。
「プレゼントはな、親がはこんでんだよ」
少しでもショックを受ければ。
そう思ったのだが、双虎は俺の言葉を鼻で笑った。
「母さまがプレゼントくれるわけないじゃん」
いや、引子さんは間違いなくくれるだろ。
何言ってんだ、こいつ。
それに仮に引子さんがくれなくても、間違いなく溺愛してるあの父親がいる。
「父親もいるだろうが・・・・」
「チチオヤ・・・・?ああ、お父さんのこと?いないんだから、くれるわけないじゃん」
「いないわけではないだろ」
「えぇ・・・ずっといないけど?今どこにいるんだっけ?がいこくなのは知ってるけど。まぁ、なんでも良いけど、さっき今年も帰れないって聞いたし」
当然だというような双虎の表情に、何故だか少し胸が痛くなる。なんだこの気持ちは。
「わたしも友達から聞いたけど、うちに関してはれーがいだから。そういうのないから。サンタさんこないと、プレゼントないから。━━━かっちゃんは母さまの怒りっぷり知らないからそう言うんだよ。良いよね、みつきさんは優しくてさ。私なんて、ぐうで殴られるからね!この間も、ちょーーーっとだけ遠くさんぽしただけなのに、こう、ごちーんってやられたからね。いたかったなぁ」
ちょっとってお前、県二つ跨いだ先まで行ってたろ。
俺まで1日中探し回る羽目になってんだぞ。
「あの時、言われたもんね。サンタさんに一年あったことぜんぶおしえるぞって。あれはピンチだった。ヤバかった。あんなに怒られてるのばれたら、プレゼントもらえないからね。よかったよ、母さまとめられて」
「・・・・ああ、そうか」
もう言葉が出ねぇ。
ケーキを幸せそうに頬張り始めた双虎を見て思った。
もう暫くそういう事にしておいてやろうと。
多分こいつの元には、今年もサンタが来る事になるんだろうから。
◇◇◇
「眠ったかな?」
私の言葉に背後でプレゼントを抱える二人が頷いた。
「大丈夫よ。二人とも食べた後はよく眠るでしょ」
「うちの馬鹿は一度眠ったら余程の事がなければ起きませんから、心配しなくても大丈夫ですよ。それより勝己くんの方が━━━━」
「勝己も大概鈍いんで、全然大丈夫ですよ」
話が長引きそうだったので、そっと口元に人差し指を当てて見せる。そうすると二人が苦笑いを浮かべて口を閉じた。
それから音を立てないように扉を開け、中へとは入る。
部屋の中で聞こえるのは静かな二つの寝息だけ。
どうやらちゃんと眠っているようだ。
勝己のベッドを覗けば、仲良く布団にくるまった二人の姿があった。━━━いや、正確には勝己の体は布団から半分出てしまっているけど。
「こうして大人しく眠っていてくれると、可愛いだけなんですけどね」
溜息交じりの緑谷さんの言葉に、思わず苦笑が溢れてしまう。
「まぁまぁ、今はそういうのは忘れましょう」
「そう、ですね。はぁ、まったく・・・それにしても、こんな物欲しがって・・・女の子なのに・・・・」
緑谷さんが抱えているのは双虎ちゃんのリクエスト通りのゲーム機。素直に買ってあげてしまう所を見ると、緑谷さんがどれだけ双虎ちゃんを可愛いがっているのか見てとれる。日頃厳しくしているからこその甘やかしなのかも知れないけれど。
「良いじゃないですか。ちゃんとお願いしてくれるだけ。うちなんてスレちゃって『プレゼントなんていらねぇ、ガキじゃねぇんだ』なんて言う始末なんですよ?」
「勝己くん大人ですね」
「ガキですよ、クソガキ。イキッテるだけですから。貰えるんだから、素直に欲しい物言えばいいんですよぉ。まったく可愛げがない」
光己が抱えているのはいつか買い物に出掛けた時、勝己が物欲しそうに眺めていたオールマイトの限定パーカーだ。サイズは少し大きめだけど、きっと喜ぶ事だろう。顔には出さないかも知れないけど。
「さ、プレゼント置いて行きましょうか?」
二人からプレゼントを受け取り、それぞれの枕元へと置く。寝相に可愛いげがあれば、朝起きたらプレゼントが一番に目につくだろう。
寝息を立てる二人に布団を被せ直し、私たちは部屋を出た。
「━━━さて、今夜の仕事も終わったし、飲み直しますか?」
「貴方は寝てて良いわよ?明日は運転して貰わないといけないしね。私は緑谷さんと、もう少し飲むから」
「ええ?!そうなんですか!?あ、いえ、飲めない訳ではないんですけど・・・」
緑谷さんが無理をしているのであれば止めようと思ったけれど、その表情はどちらかと言えば私に遠慮してるように見えた。げこな私に気を使っているのだろう。
光己を見れば任せろと言わんばかりにウィンクしてくる。
なので私は先に眠らせて貰う事にした。
女二人で、というのもたまには必要だろう。
男がいては出来ない話もある。
翌日の予定を考えながら床につき、目を閉じた。
遊園地のイルミネーション混んでいなければ良いが、そんな淡い思いを抱えながら。
読んでくれた皆に、メリークルシミマス━━━あ、間違えた。
メリークリスマスやで。