私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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おひさー( *・ω・)ノ

大分間あいてしまったですが、もうね、どうにもならん。書くペース上がらんし、書く時間ねーし。
はははっ、すまんな。

去年は一日に一投稿なんて事、よく出来てたな。
今は本当そう思いますやで。

あの頃はいかれてたんや。
これが本来の僕や。うん。


睡眠が大切だって気づくのは大体手遅れになってからだから、今の内いっぱい寝とくんだぞ━━って親戚のオジサンが染々言ってました。だから私は寝ます。今っ!え?駄目?の巻き

ささっと着替えも終わり皆で説明会の会場にやってきた私が見たものは、同じく仮免許を取りにきた受講者の姿だった。

イケイケな雰囲気なら茶化して乗せて祭りにする所なのだが、流石に今日はそういう雰囲気ではないので止めておく。ピリピリし過ぎて怖いナリ。

 

とはいえ、ただ待ってるのもアレなので、おニューのヒーロースーツの自慢をする事にした。主に初期から殆ど装備の変わらない、ノーセンスなかっちゃんに。

 

「見よ!!これぞ、ニュー私っ!!最強無敵美少女ヒーローニコちゃんの進化した姿だぁ!!」

 

真紅のマントをバサッとはためかせ、クロムメッキの小手がついた腕をズバッとやって、渾身の決め顔でビシッとポーズを取ればお茶子達が感嘆の声と共に拍手してくれた。

うむっ、よきにはからえ!

 

かっちゃんにめちゃドヤってやろうと顔をあげると、かっちゃんの隣にいたアホ面してる上鳴と目があった。

 

「━━━っても、緑谷のコス訓練の時に見たけどな」

「しゃらっぷ!!アホビリビリ!発目の事ナンパしてこっぴどくフラれた事言いふらすぞ!!」

「今まさに言いふらしていらっしゃるのですが!?」

「お茶誘ってティーバッグ渡された奴が━━━なんだってぇ!?」

「止めてぇ!心を抉っていかないでぇ!!」

 

しれっと粋じゃない事を言った上鳴は成敗。

女子ーズからサイテー呼ばわりされ始めた上鳴は放っておき、今度こそかっちゃんにドヤってやった。

 

スーツこそ加工しているとはいえお古だが、その他の装備は殆どが新品の新作だ。ブーツやポーチ、このはためくマントも以前より改良を施した発目による特注品である。首にぶら下がるゴーグルは開発が間に合わなかったので、今はただのお洒落だが。

 

かっちゃんには特に自慢したかった新しく装着した小手をカチャカチャして見せてやる。

どうだ、格好良いだろう?ここをね、こうすると━━━はい、格好いい!欲しい?貸して欲しい?あーげなーいー!ドヤァサ!!

 

「アホか」

「っんだとこの野郎!!」

 

私の何処がアホだぁ!!アホって言ったヤツが一番アホなんだから!!バーカ、バーカ!アーホ!!・・・うん?あぁ、ありがと轟。うん、そうだよね、格好いいよね!知ってる!━━━━━━あーあ!こうやって素直に褒めてくれればさっ!それで終わったというのにさ!久しぶりに切れちまったよ、わたしゃ!!皆聞いてぇぇぇぇ!!かっちゃんはねぇぇぇぇ!!幼稚園の時、お昼寝の時間で一回だけ漏らし━━━━っぶなっ!!ナニすんだこらぁぁぁ!!やんのかこらぁ!!日本地図一緒に誤魔化してあげた事ばらすか・・・・あっ、止めてっ。あれは違うでしょ?あれはちょっとあれだもん!北海道に憧れただけで、私は漏らしてないもん!違うっ!あれはっ、あれは違っ、いやぁぁぁぁぁぁ!!お茶子、かっちゃんがいじめるぅぅぅ!!

 

 

 

 

かっちゃんにいたく心を傷つけられた私がお茶子に頭撫でられながら、梅雨ちゃんに膝枕され癒されていると、キーンとした音が鳴った。マイクを使ってるとたまに鳴る、耳に痛いあれだ。

 

音の方へと視線を向けると、酷く疲れた顔したおっちゃんが壇上へとあがっていた。

 

「えー・・・ではアレ、仮免のヤツを、やります。あー・・・僕、ヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠。よろしく」

 

よろしくという言葉に誰も返さない。

優し過ぎて気のきく私は「よろしくーー!好きな睡眠二度寝ーー!」とちゃんと返しておいたが。

 

「・・・あー、一人凄い元気な子がいますねぇ。元気ですねぇ。若いって良いですねぇ。僕も二度寝は好きです・・・・もうずっとやれてませんが。・・・・ああ、眠りたいなぁ・・・・仕事が忙しくてっ、ろくに眠れなくてっ、それもこれも、人手がいないから・・・・眠りたい」

 

その素直な吐露に、私のハートがいたく揺さぶられる。

その気持ち超分かる、と。

 

「はいはいはーーい!私も早く帰ってゴロゴロしたいでぇぇぇす!!」

「何処の誰かは分かりませんが、度々お返事ありがとうございます。僕も・・・・そう、思います」

 

そう弱々しい笑顔が返えしてくれた同志目良っちを心の中で応援してると、別の所から元気な声が聞こえてきた。

 

「はい!!自分もっ、寝るのは好きッス!!試験終わったら爆睡出来るよう、全力で頑張りまッス!!」

「はい、また何処の誰かさん、ありがとうございます。ですが、そろそろ本題に戻りたいので、お返事は大丈夫ですよ・・・・長引くと、寝られる時間減りますし」

 

そう言えばそうな。

そう思った私は言われた通りお口チャックする。

目の下に熊を繁殖させた同志目良っちは静かになった会場を眺めて━━━続けた。

 

「えぇ、色々とずれてしまいましたが━━━━━ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に、勝ち抜けの演習を行ってもらいます」

 

会場が僅かにざわめく。

 

「現代はヒーロー飽和社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローのあり方に疑問を呈する向きも少なくありません。まぁ・・・一個人としては・・・・動機がどうであれ、命懸けで人助けしている人に何も求めるな、は現代社会において無慈悲な話だと思う訳ですが・・・」

 

ちょっと隣を見てみた。

色々求めまくってそうな、かっちゃんを見てみた。

穴があくまで見てやった。

 

「・・・ぶっ飛ばすぞ」

「キャーコワイー」

「本当にぶっ飛ばすぞ」

 

これ以上見つめているとマジで殴ってきそうなので、視線を目良っちへと戻す。

 

ひゅーひゅー目良っちー!かっこいいーー!

 

「はい、声援、ありがとうございます。・・・ですが、次うるさくしたら、追い出しますよー・・・。えー、とにかく、対価にしろ義勇にしろ、多くのヒーローが救助・敵ヴィラン退治に切磋琢磨してきた結果、事件発生から解決までの時間は今、ヒくくらい迅速になってます。君たちは仮免許を取得しその激流の中に身を投じる。そのスピードについて行けない者はハッキリ言って厳しい。よって試されるのはスピード」

 

スピード。

私は走る事が得意なのに走りメインな障害物競争でしょっぱい順位をとった眼鏡を見た。

穴があくまで見てやった。

 

「緑谷くん、前を見たまえ。前を」

「眼鏡、あんまり気負っちゃ駄目だからね?自然体でいこう。大丈夫、皆そんなに期待してないから。スピードなんて気にしないで、眼鏡なりに頑張れば良いんだよぉ?」

「・・・人を煽らせたら天下一だな君は」

「いやぁぁ、へへ」

「なんで嬉しそうにするんだ!?褒めていないからな!?」

 

続く「条件達成者は先着100名とします」との説明を聞いた所で話聞くの飽きたからスリープモードに移行、それからは夢うつつでやり過ごした。起きたら説明会が終わったのかざわざわしてるので、お茶子にそれとなく聞いたら呆れた顔された。

 

「ニコちゃんは基本的にアホなんやなぁって、こういう時心底思うわ」

「なにおぅ!」

 

係りの人から試験に必要な道具を貰いながら、私はお茶子から試験内容を教えて貰った。何でも受験者は体の何処にでも良いからマトを三つ張り付けて、それにボールを当て合うゲームをするらしい。

自分のマト三つが敵のボールに当てられれてしまえば失格。自分が失格になる前に、誰か二人の所持するマトをスリーアウトにして失格させれば合格なんだとか。因みにスリーアウト目、つまり止めの一撃を取ればそれで良いらしい。つまり、手柄横取りOKという事。

 

・・・・うん、これは勝ったな。

 

「ニコちゃん、そこは止めといた方がええと思うけど」

 

余裕綽々にマトを付けていたら、お茶子から注意を受けてしまった。何処か変な所ある?とポーズを決めて目で訴えたら「誤魔化されへん」とツッコミされてしまう。

 

そんなにおかしいだろうかと、私は体を見下ろした。

視界に入ってくるのは染め直した深緑の綺麗なスーツ。それと胸の先端の所につけた二つのマトと、お腹よりちょっと下につけたマト。

 

「・・・当てにくいでしょ?」

「かもしれんけども」

 

こんな所嬉々として狙ってきたら、いかに弱肉強食な試験中とはいえ投げたそいつはモラルを疑われ兼ねない。周りにどんな目で見られる事か。きっと、皆そんな変態を許さないだろう。

そうこれは、人の心理を利用した鉄壁防御ポイントなのだ。

 

「緑谷、止めといた方が良いと思うよ」

 

お茶子に有用性を説明していると、耳郎ちゃんが声を掛けてきた。面白味のない所についたマトが目につく。

寧ろその付け方はどうなのかと言おうとしたのだけど、耳郎ちゃんが自分の後ろを指差すのでそっちへと視線を向けて━━━━━げんなりした。

 

「はぁ、はぁ、合法・・・・合法で狙える・・・」

「ば、バカ野郎。峰田、仲間・・・・だぞ・・・仲間・・・・でも、一発くらいなら・・・」

 

そこには涎を垂らす小さい変態と、フラれるのが日課みたいになってるアホな思春期小僧がいた。

 

「・・・・緑谷、あんたの作戦には一つ欠点がある」

 

人差し指をビシッと突きつけ、耳郎ちゃんは口を開いた。

 

「ああ、いうヤツ、割といる!!」

 

いるーーー、いるーーーー、いるーーーーー。

 

耳郎の言葉が山彦する中。

小さかったが、それは聞こえた。

 

幾つかの舌打ちする、それが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「耳郎ちゃん・・・わたしべつのとこにつけゆ」

「そうしな」

 

また舌打ちが聞こえた。

 

こっ、怖い、ここ怖い。

こいつら、ヒーロー目指してんじゃないの!?

怖いよ、モラルなきこの時代が怖い!

 

 

「助けて、包帯先生ぇ!!」

 

 

そっとここにはいない先生に助けを求めたら「後で説教だ」とキレの良いツッコミが返ってきた━━━気がした。ここに包帯先生はいない。よって聞こえる筈がない。という事で取り敢えず聞かなかった事にしておく。

 

よーし、双虎にゃん頑張っちゃうぞー!

 

「それでは、試験開始十分前になりましたので、試験会場へ案内します━━━━━」

 

そんな弱々しい目良っちの声と共に天井が真っ二つに割れ━━━━その光景が目の前に広がった。

 

「━━━何処で戦っても・・・何処へ逃げても・・・何処へ隠れても自由です。皆さんのプロへの道、その第一歩、知恵と勇気と運を尽くし、頑張って踏みしめて下さい」

 

屋内の筈のそこには、太陽の光が差し込む荒れ果てた岩場が広がっていた。

よく見れば岩山はあるし、少し離れた所には場違い感漂う工場やビル群、途中で途切れてる陸橋や何処にでもありそうな商店街とか、そんな建物が乱雑に並んでいる。

でも外ではない。よく見渡せばドーム場の壁がこの場所を囲っているのが見える。観客席もあるし・・・・ひっ!?包帯先生がいた!!こっち見てる?見てない━━━いや、見てる!!めちゃ不機嫌そうに見てる!!

 

ど、どど、どうやらここが、試験会場という事らしい。

 

「━━━では健闘を祈ります」

 

それぞれが、それぞれの思いを乗せた仮免許試験。

そのスタートが目前に迫ってきていた。

 

「お花摘、今からじゃ無理かな・・・」

 

突然の尿意と共に。

 

「だから着替える前にゆーたのに・・・・」

「アホだな」

「ニコがアホなのは知ってた」

「ニコやんはアホ。私はこの説を強く押します!」

「緑谷さん・・・はぁ」

「ごめんなさい、緑谷ちゃん。擁護出来ないわ」

 

しょ、しょーがないじゃんかぁ!!

あの時は大丈夫だったんだもん!

 

それにこれは包帯先生が・・・くそぅー!

やったらぁーなぁ!

一抜けして、駆け込んでくれるわぁぁ!!

 

いやっ、何処にとは言わないけど!!


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