私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
文章力が足りない?アイディアが貧相?違う違う、そうじゃない。貴方に足りないのは━━━速さ!そう速さが足りない!!!万事速ければ大丈夫!!ストレイト・クーガーさんもそう言ってるから!さぁ、世界を縮めにいこう!!(錯乱)
「すっげぇーーー!!USJかよ!!」
切島や他の生徒達の驚きに満ちた声が響く。
大人しくおねんねしていた私はその声に起床し、大あくびかきながら窓の外を見た。そこにはいかにもテーマパークな大きな施設があった。
大人しくバスで爆睡し、目が覚めるとテーマパーク。
しかも僕らの遊園地、USJである。
こんなに幸せな事があって良いのだろうか。
あれ、大阪?ここは大阪?
気になって先生に迫ったら嫌な顔された。
美少女に迫られた反応じゃないだろ、こら!なんだ、男が良いのか!男が良いんだな!?このホモ野郎!!
「・・・はぁ。大阪じゃないから大人しくしてろ」
「はい、了解しました包帯先生!!お土産は帰りにですか!?」
「お土産屋はない。諦めろ」
そんなっ!?
「じゃぁ、私は、何を持ち帰れば・・・土?」
「甲子園でもない。大阪から離れろ」
「包~帯~先~生~!甲子園は大阪じゃなくて兵庫でぇす!阪神だからって間違えたんですねぇ、ぷぷー!」
スッパァーンと包帯先生の手が、私の頭をひっぱたいていった。痛いなんてもんじゃない、凄く痛かった。
「全員大人しく付いてこい。今日、君らの授業を見てくれるもう一人の先生を紹介する」
有無を言わさぬ包帯先生に、皆大人しくついていった。
私はかっちゃんにおんぶして貰った。いや、だって、頭ちょー痛いからさ。
痛くて動けないんだよぉ、本当なんだよぉ、信じてくれよぉ。
「うっせぇ、黙って掴まってろ」
「ん?ぎゅってして欲しいんか?このすけべぇー」
「ブッ飛ばすぞ!!」
「・・・あいつら、本当は付き合ってんじゃねぇのか」
「言うな切島。少しは尾白の気持ちも考えろよ」
「だから、なんで俺の名前が出てくるんだよ!?おい、瀬呂!」
包帯先生に案内されてついていくと、宇宙服みたいな服を着た新手の変態がいた。露出狂とは対極の位置にいるであろう着込狂である。
普段着からあれなのか?
変態やないか。
着込狂は変質者にも関わらず、皆の前に堂々と立つと後ろに広がるテーマパークを差して話し始めた。
「水難事故、土砂災害、火事・・・エトセトラ。あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です。その名も━━━━ウソの災害や事故ルーム!!」
皆が何かを心の中に浮かべている様子の中、いち早く正気に戻った私は着込狂に手をあげて見せる。
「!?え、えーと、そこの彼女、どうしたんだい?」
「そのエトセトラには、変質者との遭遇事故は想定してありますか!例えば着込狂相手とか!」
「着込狂!?なに、その新手の変質者?!ごめん、ちょっとそれは想定してないかなぁ」
「それは、自分が捕まりたくないか━━━━」
「緑谷、黙ってないと三者面談にかけるぞ」
「お話の腰を折ってしゃーせんしたー!!着込狂先生!!」
「い、いいよ。何か気になった事があればどんどん言い━━━って、着込狂って僕の事!?」
ショックを受けた着込狂は少し狼狽えはしたものの、なんとか立ち直り話の続きに戻った。伊達に変態はやってないということだろう。覚悟が違う。てか、包帯先生あれ捕まえなくて良いんですか?
「ニコちゃん、13号先生に失礼だよ!」
着込狂を疑いの眼差しで見てるとお茶子に突っ込まれた。
「だって、変じゃない?」
「そ、それは、あの格好は普段着やったらアレかもしれんけど、ヒーロースーツやから、あれは」
なんだ、そういう事なら早く教えてくれれば良いのに。着込狂かと思ったよ、私は。
「ていうか、ニコちゃんは13号先生知らんの?」
「知らんで」
「ふ、ふわっと、訛り真似しないでよ!恥ずかしいなぁもぉ。あんね、13号先生は災害救助で活躍してるヒーローなの。私好きで・・・えへへ」
「お茶子って、ああいう感じの人が好きなんだぁ」
「ちゃうよ!?ニコちゃんが頭の中で想像しとる事と、私が思ってる事、絶対ちゃうからね!?」
「なんだろう。分かってるけど、あそこまで否定されると辛いです先輩」
「いちいち緑谷って馬鹿が交ざってる馬鹿な話に付き合うな。馬鹿になるぞ」
「先輩、辛辣ですね」
「あいつにはな」
それから着込狂もといミスターサーティーンのあり難いお話は続いた。皆借りてきた猫みたいに大人しくお話を聞いてる。お茶子は軽く壊れてた。
しっかしミスターサーティーン、えらい個性持ってるなぁ。ブラックホールですってよ奥さん!ねぇ!やぁねぇ危なくって!ね、奥さん!━━━れ、先生?包帯先生?あの、この頭にセットされた手はなんでしょ━━━あでででででででで!?脳みそが出ちゃう!脳みそが出ちゃいますって先生ぇぇぇぇ!?
包帯先生のアイアンクローで私の体力はレッドゾーンに突入。このままでは授業を受けられませんとへこたれたが、今度は尻を蹴り飛ばされた。
この、セクハラ野郎!
「緑谷、授業の邪魔はするな」
「はぃーすんませんしたー」
ムカつきマッスルな私の頭の上に包帯先生が手を置いてきた。二撃目がくると身構えたけど、なんか頭を撫でられた。
「・・・あのぉ」
「お前は馬鹿だが、ただの馬鹿じゃない。そんなに心配しなくていい。今は普通に授業を受けろ。幸い俺は『止められる個性』だ。何かあれば俺が守る。ヒーローとしてじゃなく、教師としてだ。いいな?」
「はぁ」
意味深な事を言ってきた包帯先生。
謎である、クソ謎である。なに?セクハラの正当化?
許せぬ。まったくもって、許せぬよ。私は。
まぁ、これ以上逆らっても痛い目を見るだけだから、何もしないけどさ・・・しくしく。
「おやぁ?」
ふと振り返った先におかしな物を見た。
空中に浮かんだ黒い渦みたいな物。
何だろうと眺めていると、不意にその渦から覗いた目と視線があった。
「一かたまりになって動くな!!!」
包帯先生が突然大声をあげた。
皆のザワザワする音が聞こえてくる。
私は、渦から覗いた視線に釘付けになっていて、周りがどうなってるか分からない。
渦から覗いた目の人物はその姿を現した。
体中に手みたいなオブジェクトをつけたヒョロガリで、私ならボコボコに出来そうな貧弱スタイルなのに、どうしてか勝てそうな気がしない。寒気が止まらない。面白い筈なのに。笑えない━━いや、やっぱり面白いな、あれ。なんだあれ。わっはは。
その男に連なってゾロゾロとチンピラみたいなのが出てくるけど、私の視線はそのヒョロガリから離れなかった。離せなかった。あまりにも面白過ぎるから。なんだあれ。
「いつまでそこで見てる、緑谷!!下がってろ!!13号、生徒を守れ!!」
急に首根っこを掴まれた私は、そのまま放り投げられた。私は引き寄せる個性で上手いことバランスをとって着地する。
「おっ」
「おぅ?」
着地した途端変な声が聞こえてきたので後ろを向くと、両手を差し出したかっちゃんがいた。
どうした、かっちゃん。
なにその手。新手のギャグ?
「ははっ、ご愁傷様だ爆豪。何だアリャ?また入試ん時みたいな、もう始まってんぞパターン?」
まだ状況を飲み込めていない切島の声が聞こえる。
それに対して包帯先生はゴーグルを着けながら口を開いた。
「動くな、あれは━━━━」
「ボブ!」
「━━━ヴィランだ!!!!」
僅かな静寂が流れた後、敵から目を離さないままの包帯先生より「三者面談だ」と無情な勧告を頂く。
うわぁぁぁぁ、つい、ついなんだよ!出来心なんだよぉ!悪気はない━━━事もないけど、三者面談はいやぁぁぁ!!
◇◇◇
「13号に、イレイザーヘッドですか・・・。先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが・・・」
黒霧の言葉に苛つきを覚えながら、渡されたカリキュラムを思い出す。確かにあれにはオールマイトの名前があった。
「どこだよ・・・せっかくこんなに、大衆引き連れてきたのにさ・・・。オールマイト、平和の象徴がいないなんてさ・・・・」
ムカつくなぁ。
本当。
なんでいないかなぁ。
どうしたらくる?
なにをしたらくる?
ヒーローだもんなぁ。
ああ、きっと━━━
「子どもを殺せば来るのかな?」
だって教師だもんな。
オールマイトは。
ヒーローでさ、教師。
ならくるさ。
先生見ててくれよ。
俺が━━━
「オールマイトの正義が、いかに糞かって事、世間に知らしめてやる所をさァ」