私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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遅れてすまぬ。
切腹するから堪忍なっ!

( ´Д`)・;'.、カハッ



久しぶりなのに閑話回。なんか、待ってる人に殴られそうだけど、それでもおれはやるよ!『それは私の暇潰し』の閑話の巻き

「爆豪ぉ!!やべぇぞ!残り枠十席切ったぞ!!」

 

アナウンスが響き、切島が情けない声をあげる。

ついでに電気馬鹿もウェイウェイほざき始めたが、正直糞うるせぇ口を黙らせる時間もねぇ。

 

「雄英とったぁ!!」

 

横から飛び込んでくる声に合わせ、爆破で加速させた裏拳を振り抜く。鈍い感触が拳に走る。短い悲鳴を聞いてると、つんざくような音がそれをかき消した。

反射的に身を翻せば、ミサイルのような何かと、掌みてぇな何かが肩を掠めていく。軌道を読み射出されたであろう方向に向け爆撃を放てば甲高い悲鳴が二つ響いた。

 

「爆豪!!」

 

耳にいてぇ声に視線を向ければ、士傑の生肉野郎が気色のわりぃ肉片飛ばしてる姿が視界に入る。一回ぶちのめしてやったダメージは残ってるように見えるが、攻撃に乱れがねぇ以上気は抜けねぇ。

 

「切島ァ!!カバー!!アホ面ァ牽制!!」

 

「おおっ!?お、おう!!任せとけぇ!!」

「牽制って何すんのぉ!?ええぃ、近づいたら感電させんぞこの野郎共ぉーー!!」

 

背後に回してた意識を前方に集中。

慎重に狙いを定め、A・Pショットを放つ。

爆炎が消え去った後に向かってくる肉片はない。

 

━━━━が、違和感を感じた。

言葉に出来ない、何かを。

 

直感に従い、そこへ向けて蹴り抜いた。

掠るような感触と「反応はやっ」という小さな呟きが鼓膜を揺らす。

 

振り返って見れば、胸糞悪い顔があった。

 

「はぁい。凄いね、爆豪くん。気配殺すのとか、これでも結構自信あったんだよ?私さ」

「っせぇわ!!さっきから邪魔しくさりやがって!!んだてめぇはよ!!」

 

俺の言葉に士傑の糞女が口元を三日月に歪める。

腹が立つ事にその顔は悪戯が成功した時、あいつが見せる物に良く似ていた。

 

「だから言ったでしょ?士傑高校、現見ケミィ。君に興味があるだけの、可愛い女子高校生だよ」

「可愛いだぁ!?てめぇのその面の、何処にんな要素があんだよ!!ぶっ殺すぞごらぁ!!」

「きゃぁ、こわーい。ふふふっ」

 

そいつは酷く冷めた目でそう言った。

始めから変わらない、その目で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一次試験が始まって暫く。

邪魔してきた士傑の肉野郎をぶちのめそうとしたその時、そいつは現れた。

 

ライダースーツのような衣装に身を包んだ士傑の帽子を被った女。見覚えがあった。会場前で士傑と遭遇した時、先頭をきって歩いていた内の一人。

 

女は音もなく気配もなく突然現れ、肉野郎に止めをさそうとした俺と切島を蹴りばした。攻撃は恐ろしく速く、同時に馬鹿みたいに軽かった。

微塵も戦う気のない攻撃。

 

見え見えの時間稼ぎだったが、まんまとしてやられた。

肉野郎は物陰に隠され、追撃しようとしたアホ面のポインターもナイフで容易く切り裂かれゴミに変わった。

 

「初めましてーーーで良いのかなぁ?さっき入り口前で会ったけど、自己紹介まではしてないよね。私は士傑高校二年、現見ケミィ。クラスメイトの危機に参上してみましたー?━━━━━なんて、嘘。あなたとお話したくて来ちゃった。爆豪くん」

 

感情の込もってない目で発せられたその言葉に、馬鹿二人の視線がこっちに向いた。

随分と腹の立つ顔して。

 

「見てんじゃねぇ、カス共」

 

「良かった。爆豪は爆豪だった」

「いうて緑谷にぞっこんだからな、こいつ━━━ったぁ!!爆豪さん!?何!?なんで蹴ったの!?」

「そりゃ蹴られるだろ」

 

余計な事をほざいた馬鹿は放って、目の前の士傑の女を見た。細い体に、柔和な顔に、腑抜けた気配。強さはけして感じない。

 

━━━だってぇのに、底が知れねぇ。

 

オールマイトとAFOとの戦いを見てから、ちったぁ目が肥えてきた自負はあった。それでもこいつからは何も感じない。最低でもそいつに勝てるかどうかくれぇは分かるもんだが、こいつを相手にするとそれが見えなくなる。

 

気持ちが悪い、それがそいつに抱いた最初の印象。

様子を窺ってると、女はクスクス笑い始めた。

 

「思ったより慎重。もっと短絡的な人かと思ってた。思慮深い子は嫌いじゃないかな?」

 

欠片も気持ちの込もってない言葉に背筋がゾクリとする。

 

「でも、残念。今は攻め時だったよ。爆豪勝己くん」

「あぁ?」

 

ザリっと、砂を踏むような音が聞こえた。

音の正体を確認する為に視線だけで見渡せば、俺達と同じように肉野郎の個性から復活してく、その連中の姿が見える。

 

「爆豪っ!!その人だけに構ってる暇ねぇぞ!!」

「ふぁぁっ!?や、やべぇよ!爆豪!囲まれるっ!」

 

馬鹿達の声に気を取られてると女の姿が消えた。

逃げたのか隠れたのか、兎に角近くに気配を感じない。

放っておくにはリスキーだが・・・・。

 

「いたぞ!!雄英高校の爆豪くんだ!!」

 

馬鹿デカイ声が俺達のいる陸橋の下から聞こえてきた。

陸橋の視界は道を囲むように置かれたバリケードで見えなくなっている。その上でこちらを確認出来るとすれば、そういった個性を持つ奴がいるか━━━戦闘の影響から壊れた壁の隙間。声の発生源も考えれば後者。

 

声の視線をそこへと向ければ、会場前で双虎に絡んでやがったエセ爽やか野郎がボールを手に叫んでいた。

 

「雄英校の、それも体育祭の優勝者である爆豪くんが残ってるなんて、俺はなんて運が良いんだ!他の雄英生は早々に一次試験を突破してしまって、挑戦すらさせても貰えなかったんだ!!雄英高校という頂の高さ、今度こそ確かめさせて貰うよ!!」

 

その言葉に思わず舌打ちした。

隣で聞いてた切島とアホ面はまともに受け取ったみてぇだが、エセ爽やかの言葉は連中を焚き付ける道具でしかねぇからだ。証拠にそれまで意識が散漫だった連中がもうこっちを見てやがる。

 

集まる視線に込められた物は様々。

嫉妬や憎悪が大半だが、馬鹿正直に煽られた奴は挑戦心と熱意が込もってやがる。

 

こうなった以上、一旦身を隠すのも手だろうが━━気に入らねぇ。俺の性分じゃねぇし、今の状況じゃ勝率が低い。何よりエセ爽やか野郎の言葉が本当なら、双虎のやつが俺より先に抜けた事になる。それも恐らく、クラスの大半の奴引き連れてだ。

 

「━━━ちっ!切島ァ!!アホ面ァ!!死ぬ気でついて来い!!一秒も気抜くなぁ!!」

「おう!でもどうすんだ、これ!」

 

今試験、あいつの個性の優位性を考えれば、その結果はなんらおかしくねぇもんだ。攻撃中の隙さえカバーが入りゃ、今試験においてあれだけ有利なやつもいないだろう。

それと競う程、俺も馬鹿じゃねぇ・・・・が、それはそれだ。

 

これ以上あいつに遅れを取るなんざ、気に入らねぇ。

 

「全員っ、俺がぶちのめすッ!!てめぇらは、俺のおこぼれに預かってさっさとクリアしやがれ!!」

 

「熱い作戦だな!!チキショー!!」

「失敗したぁ!!爆豪なんて放っておけば良かった!!緑谷ーーー!!たーすけてぇーーー!!」

 

アホ面の声が響くとほぼ同時。

雑魚共との交戦が始まった。

 

 

 

交戦を始めて暫く。

予想していた以上の物量に無傷とまではいかなかったが、残り十席のアナウンスが鳴る頃には全員が一つずつ勝ち点を手にしていた。

 

戦場はもう既に混沌としている。

雄英に拘って攻める連中も少なくなり、どいつもこいつも形振り構わなくなってきた。同士討ちすら始まっている始末だ。

 

その隙をつけば残り一つ勝ち点を握るには容易い。

残りの席が少なかろうと何とか滑り込める。

 

そう思っていたが、またあの女が水を差してきた。

 

「っそが!!」

 

爆破で加速させた拳が空を切る。

分かっていたが、フェイント無しだと掠りもしない。

反応の早さはピカイチ。反射神経からくるもんじゃねぇ。勘に頼った事前察知。人より獣がイメージさせられる。

 

大きく飛び退いたそいつは体をくねらせて笑った。

 

「カッコいいー!超反応!ここまで手こずると思わなかったよ。爆豪くん」

「っせぇわ!!さっさと散れや!!」

 

蛇の如く這いずるよう移動するそいつにA・Pショット・オートカノンを放つが、乱射した不規則な爆撃すらかわしてきやがった。それどころか、逆に撃った隙をつかれて接近された。

 

爆撃をぶちかまそうと腕を振るったが、直撃する前にいなされた。帽子は消し飛ばしてやったが、クリーンヒットには程遠い。ダメージはない。

 

「━━━ばぁっ」

 

懐に潜り込んできた女は、笑顔と共にそれを突きだす。

鋭利な光を放つそれが頬を掠っていく。

痛みが走り、血が飛び散る。

 

痛みを無視し、近づいたそいつの顔面に頭突きをかませば、くぐもった声と鼻血が吹き上がった。

僅かに揺れた体に爆撃をぶちこもうとしたが、寸前の飛び退かれる。

 

「━━━った。女の子の顔面に攻撃とか、容赦無さすぎ。それでもヒーロー志望?ヴィランの方が性に合ってるんじゃない?」

「黙れやカスッ!女だろうが何だろうが、ヴィランなら関係ねぇだろうが。ぶちのめして、ふんじばっちまえば、それで終わりだ。舐めてんじゃねぇぞ、ごらぁ」

「ヒーロー志望の生徒の言葉とは思えないなぁーー。まぁ、でも、ネジ曲がってても、ちゃんと芯がある人は嫌いじゃないかな?あの女が妙に執着してるから気になってたけど・・・・少しは分かるかも」

 

明確には分からねぇが、あの女という単語に嫌な物を感じた。そいつの目を見れば、あの目がまたあった。

薄気味わりぃ、その目が。

 

「それより、てめぇは何なんだ。ポイント取りにきたのは最初だけ。挑発くせぇ台詞も、何かに誘導する為じゃねぇ。━━━━そもそも勝つ気がねぇだろ、てめぇ」

 

戦っている間も感じていた。

本格的になった今でも、目の前のこいつにやる気がない事を。俺とは別のもん見てる事も。

恐らくこれは、遊んでやがる。

 

「結局てめぇは、何がしてぇんだ」

 

 

 

 

『残り五席━━━━さぁ、ラストスパートです皆さん。頑張ってください』

 

 

 

 

間の抜けたアナウンスが鳴り響く。

切島とアホ面の試験突破の報告を告げる声も。

そんな中、目の前のそいつは笑顔を浮かべた。

 

「別に、ただの暇潰しぃー」

 

そう言うと女はボールを放った。

ボールは狙ったように倒れた受験者のターゲットにぶつかり、1次予選突破を告げる声が女から響く。

 

「今は準備の時とか言われてぇー、でも、それって暇でしょ?だから暇潰しにきたの。思いつきだよね。でも楽しかったぁー。沢山遊んでくれてありがとう。もう少し愛想良かったらもっとサービスしてあげたんだけど━━━━」

 

「━━━くっ、ケミィ!!そこを退け!!」

 

女の言葉を遮るように、さっきの肉野郎が駆けてきていた。遠距離攻撃しかしねぇ奴が突っ込んできた事に違和感を感じたが、そいつの後ろを見れば別の奴等に追われてきたのが分かり理解する。

タネがばれちまえば、援護もいない状況下、この手の奴等に選べる選択肢は少ない。突っ込んできたのも苦肉の策だろう。

 

「お前だけはっ、お前のような物だけはっ!!ヒーローにっふぁ!?なぁぶぁ!?」

 

女の隣を通り過ぎようとした肉野郎が宙を舞う。

一瞬だったが女が肉野郎のバランスを崩し、直後押し飛ばしたように見えた。

しどろもどろになって飛んでくる肉野郎の最後のターゲットにボールを叩き込めば、俺の体につけたターゲットから合格を告げるアナウンスが鳴る。

 

「遊んでくれたお礼」

「仲間じゃねぇのかよ」

「ふふっ、良いの。別に━━━」

 

冷めた目でそう言うと、女は掌をヒラヒラさせながら去っていった。

そしてまた忽然と消えて行く。

音も、気配もなく。

 

 

『100人!!今埋まり!!終了!です!ッハーー!!これより残念ながら、脱落してしまった皆さんの撤収に移ります』

 

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