私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
映画の話やりたいけん(*´ω`*)
「水着きたぁぁぁぁぁぁ!!」
抑えきれない衝動にかられスマホをポチった私は、遂に念願のイベントクリア報酬であるSレアキャラを手にいれた。アイテムボックスを開くとSレアキャラが光の演出で現れる。
「ニコちゃん」
限界まで育てたレアプラスなあの子は、可愛らしい水着を着込むラブリーチャーミングでキャワワな最強戦士になって帰ってきてくれた。これ程喜ばしい事はない。こんなに嬉しかったのはいつ以来だろうか。
「緑谷」
溜め込んでいたアイテムをフル放出。
レベルを即行でマックスまで引き上げる。直ぐに上限までいったけど、限界突破アイテムも揃えてある。限界を解放して更にレベルをあげる。みるみる内にレアプラスの限界レベルを越え、ついに都市伝説だと思っていたマックス値に達する。
「緑谷くん」
この日の為に、いつかSレアが来てくれた時の為に、コツコツ頑張って経験値アイテム集めてて良かった。マジで良かった。包帯先生に一回アプリ消された時は、マジで終わったと思ったけど・・・・バックアップって素敵。パスワードメモってて良かった。
「おい、馬鹿女」
よーし、早速戦場に繰り出しちゃうぞー!
せっかくの初陣、一番難しいクエスト・・・いや、敢えて肩慣らしの初期クエスト━━━━━━。
スパーンと良い音が私の頭の所で鳴った。
音の割には衝撃が少ない。
知能指数は一も減らなかった。
「通路遮んな、邪魔くせぇ。つか何スマホ弄くり倒しとんだ、てめぇは。叩き割られてぇのか」
聞きなれた暴言に視線を向けると仏頂面のかっちゃんがいた。割とボロめな格好を見ると苦戦したみたい。普段でかい口叩く癖にざまぁである。私の手を払うからよ。たわけめが。
「腹立つ顔しやがって・・・・んだ、こら」
「べぇつぅにぃぃ・・・・良かったねぇぇ、一次試験突破出来て。私はてっっっっっきり、三人揃って来年受験しましょう組かと思ってたから。━━━まさかね、まさかねぇ、あれだけ憎まれ口叩いた人が一番ビリっけつで一次試験突破するとか思わなかったからさ?下手したら、私より早いかなぁなんて思わなくもなかったけど、まさかこの様とは。・・・・・・・ぷっぷぷーー!あっ、もしかして、逆に?逆に狙ったの?ラス1狙った?おおとり狙っちゃったの?ねぇねぇぇ?」
「このっ・・・悪かったなぁ、クソが。大体誰の・・・・ちっ!んでもねぇわ。けっ!」
何がけっ!だ。まったく。
こっちがけっ!だよ。
ん?
かっちゃんが通り過ぎた後、その背後にいる三人の姿が目に入った。何か言いたげな顔をしたお茶子、轟、眼鏡。なんやかんやと一緒にいる事の多い仲良しトリオがめちゃ見てきてる。その近くには、生暖かい目をしたクラスメイトの姿も。
なんだよぉ・・・。
「ソワソワしてたんは誰やったんだか。まぁ、ニコちゃんがそれでええなら、私はなんも言わんけども・・・・ニコちゃんも大概拗らせとるよね」
「・・・・君も素直じゃないな、緑谷くん。はぁ、まぁ良いが。それよりスマホはしまいたまえ、まだまだ試験中だ。今回は大目に見て相澤先生には報告しないでおくから、もうやっては駄目だぞ。━━━まぁ、もう誤魔化す必要もないだろうから大丈夫だと思うが」
「飯田くんのフォロースキルが上がっとる・・・!」
「一回見逃しただけで!?前の僕はなんだと思われていたんだぃ!?」
「えぇーー真面目な委員長?」
「んっ、んんんっ、そのつもりではあるが!なんだ、このモヤっとするものは!?」
楽しく漫才を始めた二人から轟が離れていった。
何処に行くのかと思えば顰めっ面で飲み物を飲み始めたかっちゃんの所に向かってる。
最近よく話してるけど、あれはたまたま近くにいた時とかばかりだ。自分から行くなんてのは、まだまだ珍しい部類に入る行動。
「爆豪」
「━━━あぁ?んだ、こら、半分野郎。辛気クセぇ面見せんな。寄んなボケ、爆殺すんぞ」
「爆殺は駄目だろ。ヒーロー目指すなら・・・・それより、爆豪にしては随分時間掛かったな。何かあったのか?」
そんな轟の言葉に「そうなんだよ!轟ぃ!」と切島と上鳴が首を突っ込んできた。
二人ともコスがボロボロになってて、その大変さはぼんやりと伝わってくる。
「お肉先輩がよ━━━━ってもわかんねぇか。士傑高校の人がさ、間引きであるとかなんとかって絡んできてよ・・・・それでうっかり爆豪と俺は個性くらって動けなくされてさ」
「まぁーああ!そこは俺がこうっ、ビリっと解決したんだけどなっ!この新アイテムをバシッっと使ってさぁ!!」
「本当、あん時は助かったぜ。━━でな、上鳴のお陰で士傑先輩の個性が解けて反撃ってなったんだけど、直ぐ別の士傑の人から邪魔が入ってよ。そんで途中から傑物高校の爽やか先輩が、他校の連中引き連れてきちゃって、もうゴチャゴチャの大混戦。四方八方から攻められまくりよ。爆豪いなかったら終わってたわ」
切島の言葉にかっちゃんが悪態をつきながら、照れ臭そうにそっぽ向いた。
分かりやすいなぁ。
「まぁ、そもそも、爆豪に付いていかなかったら、そんな事にもなってないんだけどな。緑谷と一緒にいた峰田から、『ちょーらくしょーだったぜぇー』とか聞いたし」
上鳴の呟きにかっちゃんが無言のまま、鬼のような形相で睨んだ。
分かりやすいなぁ。
話を聞いた轟は士傑という言葉に何やら思案顔。
さっきの・・・なんだっけぇ。何とからし・・・何らし。何らしだったっけ。まぁ、良いや。
入試の件があったからか、アザラシ(仮)を轟は随分と気に掛けてるみたい。あんな目で見られてたら、気にするなって方があれかも知れないけど。
「雄英の皆さん、少し良いかな?」
ぼんやり轟のぼーっとした横顔を見ていたら、士傑の毛むくじゃらが話し掛けてきた。ずっと何だろうかと思ってたけど、ここにいるという事は同じ受験者だったみたいだ。
士傑高校の応援団所属のマスコットかと思ってたよ。私は。
毛むくじゃらは人混みを掻き分け、かっちゃんの前に立った。
「初めまして爆豪勝己くん。士傑高校ヒーロー科二年、毛原長昌という者だ。うちの肉倉が随分と迷惑を掛けたみたいで、是非その件については謝罪させて貰いたい。済まなかったね」
毛原パイセンはそう言うと頭を下げた。
かっちゃんはふんぞり返ったままだけど。
「はっ、んな事態々言いにきたんかよ。士傑の連中はよっぽど暇らしいなぁ。なぁ、先輩」
相変わらずのかっちゃんの悪態に、毛原パイセンは小さな笑い声をあげた。
「ははは、元より準備万端だからね。この程度の時間で何が変わる訳でもないさ。━━━それより君達と遺恨を残す方が問題だと、私は思ってるよ。これから先、長い付き合いになる君達とは、良好な協力関係を築いていきたいと思っているからね」
「長い付き合いね・・・・もうプロにでもなった気でいんのかよ?ああ?」
「なるつもりさ。校章を背負う以前に、私達はその誰しもがヒーローに憧れてここにいる。迷惑を掛けてしまった肉倉も含め、多少見ている先は違うかも知れないが、その気概は変わらないよ。君と同じさ、爆豪勝己くん」
「っは、そうかよ」
毛むくじゃらの言葉につまらなそうに短く返したかっちゃんはそっぽを向き━━━━ある一点を見て止まった。気になって目線を追えば、士傑の妙にエロい女子がいる。ぼんやりだけど朝見た気がする。
エロい女子はかっちゃんと目が合うと笑顔で手を振った。それも妙に生々しい感じのやつだ。
「・・・・?うちのケミィと知り合いだったのか」
「・・・ちげぇわ、んでもねぇ」
「そうかい?」
毛むくじゃらパイセンは誤魔化せても、私は誤魔化されない。今確実に嘘ついたのが見てて分かった。
誤魔化すかっちゃんを見てると、切島と上鳴の声が聞こえてきた。さっきの~とか、興味が~とか。
「ねぇねぇ、切島。上鳴。なんの話?」
かっちゃんに春が来た。
それは、まぁ、別にどうでも良い。
良かった良かった。大変良かったねぇ。祝福してあげよう?おめでとぉぉ。
「ん?いやな、さっきの試験の時さ、爆豪が━━━ひぃえ」
「おい、上鳴っバカっ━━━ひぃえ」
実際問題、私達が一抜けして?かっちゃん達に、本当に少しだけ、僅かに、ちょこっと、ほんのり、負担を掛けた事は?まぁあ、気に掛けてはいない事もないけど。少しはね?あれかなぁってさ?思わなくもなかった訳だけどさ?少しね。本当に少しちょびっとさ。
元をただせば、かっちゃんが悪いんだけど・・・・私になんの責もないかと言えば、それは違うとは思うよ。うん。
「?ニコちゃん、どないした━━━━ひぃ!?」
「どうした麗日くん。ん、緑谷くんがどうか━━━!?」
別に心配していた訳ではないよ。かっちゃんの実力を考えれば、別に普通に出来る事だし。そもそも、ほんのりでも、私が?疑う訳ではないけど?もしかしても思ったりさ?うん。それ自体が間違ってただけの事でさ。
「・・・・?どうした麗日、飯田。緑谷が・・・また凄い顔してるな。どうした?腹でも痛いのか?」
「べ、つ、にぃ」
「そうか?そういう顔じゃないんだが・・・・分かった。そういう事にしておく」
そう、別にだ。
轟に言った通り、別にっ、どうもっ、思ってない。
人が心配してやってる時に女といちゃついてたのか糞エロ猿とか、いちゃついてる暇があるならさっさと勝ち抜けしてこいよ万年頭爆発野郎とか、あんないけ好かない雰囲気の女にホイホイされるとか目ん玉腐ってんじゃないのかあのボンバーヘッドとか・・・・そんな事全然思ってない。全然。ちっとも。
腰についたベイビースターのホルスターの止め金を外し、引き寄せる個性を発動。怪我しない程度の威力でかっちゃんの脛にぶつけてやる。
くぐもった声をあげ踞るかっちゃんの姿を見ながらベイビースターを回収していると、控え室に設置されたモニターから目良っちの声が響いてきた。
『えー第一次試験を突破された100人の皆さん。これ、ご覧下さい』
皆の注目がモニターに映し出された映像に集まる━━隙を狙ってかっちゃんのもう片方の脛目掛け、ベイビースターを射出。ぶつかったら直ぐに回収。
そんな事してる内に大きな爆発音が聞こえてきた。
モニターを見ればさっきまでいた試験会場がボッコンボッコンに壊れてる。
『次の試験でラストになります。皆さんこれからこの被災現場で、バイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます』
バイ、スタンダー。
成る程、バイスタンダー。
バイスタンダーね。
あーはいはい。
いえす、バイスタンダー!
オーケーオーケー、バイスタンダー。
・・・・。
「━━━お茶子!」
「ん?何ニコちゃん」
私はそっとお茶子の耳元に口を寄せた。
そして一言だけ告げる。
「バイスタンダーって、なに?」
お茶子は残念な子を見る目でこっちを見てきた。
「ニコちゃんがヒーローになるのは疑ってないんやけど、こういう時堪らなく不安やわ。授業でやったでしょ?英語で救急現場に居合わせた人のことや」
「あーーそれね。なるなる。━━━━日本語で言えば良いじゃんか!目良っちぃ!」
「そうかもしれんけども」
「━━━っ、さっきから脛狙ってきやがってんのは、誰だこらぁ!!喧嘩売ってんのかおらぁ!!出てこいやぁ!!」
◇おまけ◇
一次試験終了時
包帯先生「・・・爆豪が最後・・・ん、爆豪が?爆豪がか?そうか、爆豪が・・・・」
ジョーク(マジで狼狽えてる)