私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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今週のヒロアカ感想。
とがちゃんはやっぱりサイコ可愛い。


ピピッピーー!はいはい、止まらずにお進み下さい!お客様どうか触れず騒がず眺めずお通り下さいませませ!こちら天然のロリコンで御座います!大変危険なロリコンで御座います!逃げて!え?誤解?どこが!?の巻き

インフォメーションのおねーさんの案内に従い、待ち合わせ場所に向かってトットコトコトコ。

 

エキスポ会場となっているそこで、建ち並ぶ近未来的なパビリオンやら、ウォーターアトラクションっぽい所に浮かぶ水の文字やら、音楽に合わせて音符が出現する謎の建物やら眺めつつ・・・美味しそうな香りが漂う売店の誘惑に堪えて目的地へ辿り着くと、信じられない光景がそこに広がっていた。

 

「マイトおじさまー!」

 

顔に沢山のキスマークを付け、厭らしい笑みを浮かべるガチムチ。

そしてそのガチムチの首に腕を回して抱き着き、楽しげな声をあげる二十歳未満そうな金髪女子。

 

「OH!メリッサ!大きくなったなぁ!HAHAHA!」

 

おっと、早速のセクハラ。公然でのセクハラ。堂々たるセクハラァァ。

どうやら大きさの変化が分かる間柄らしい。つまりはそういう事だよね。もうね、母様の名に掛けなくても分かります。真実はいつも一つ二つ三つですよ。灰色の脳細胞が唸りをあげてますよ。あれですね。そう、犯罪ですね。

 

「タイホーーーー!!!」

 

続けて口笛風にぴゅーっと言ってやれば、ガチムチと金髪ガールの視線がこっちに向いた。金髪ガールとアイコンタクトするが反応が鈍い。全然気持ちが伝わってない。あっ、もしかして禁断の両思い系か?だとしても駄目だ。犯罪だから。

なので最善の注意を払い、金髪ガールが怪我しないよう━━━━こちらに一気に引っこ抜く。個性で。そうここは、個性使用OKの都市だからぁ。

 

地面に刺したブーツのアンカーパイルの効き目は抜群で、体は飛ばず金髪ガールだけ上手く引き寄せられた。腕の負担は相変わらずだけど、いちいち体を押さえる物を探さなくて良いのは本当っ、楽ぅぅ。

ありがと発目ぇ、またご利用させて頂きます。勿論ただで。

 

金髪ガールをキャッチした後は後ろに隠し、ガチムチから視線を外さないままスマホで皆の味方にコール。

キョトンとするガチムチの顔を眺めながら待つと、3コールした所で繋がった。

 

「あ、もしもし、警察ですか?ガチムチが未成年とCしちゃってるみたいなんですけど」

「緑谷少女っ!?!?」

 

焦った様子のガチムチが疾風の如く私のスマホを奪っていく。直ぐ様引き寄せる個性を使ったけど、ガチムチの握力に阻まれ取り返せない。ジャンプして物理的に取り返そうとしたが、華麗にかわされた。

 

「ちょっ!ガチムチぃ!このっ、変態ィ!!返せぇぇぇぇ!!私のぉぉぉ!!ふぬぅおおお!!」

「人聞きの悪い事は言わないでくれないかな!?くっ、敵に回すと、厄介な個性だなっ!君は本当っ!というか、無駄に戦闘センスも高過ぎるなっ!ああ、もしもし?!今の電話なのですが━━━━」

 

『さっきから何をやってるんだい、双虎ちゃん。・・・ん?オールマイトか?』

 

「塚内くんかぁ!!良かったぁぁ!!」

 

必死の攻防の末、いつの間にかハンズフリーになったスマホからツカッチーの声が響いてきた。相手がツカッチーだと気づくとガチムチは分かりやすく安堵の息を漏らす。

そして完全に誤解で話を持ってこうとしてるので、思い切り息を吸い込んで━━━━。

 

「騙されないで下さいぃ!!ツカッチー!!ガチムチは今っ!未成年にキスマークつけさせながら厭らしい笑み浮かべて、おっぱいのサイズ確認してました!!揉んでます!!黒です!!」

『えぇ!?』

 

電話越しに驚愕の声が響く。

ガチムチが冷や汗を流し、金髪ガールがきょとんする。

 

「違うっ!誤解だ!!聞いてくれ、塚内くん!彼女は親友の娘で━━━」

「親友の娘に手を出したんですか!?はぁぁぁぁー!!怖ぁ!怖ぁぁぁぁぁー!!引くわぁぁぁぁぁ!!鬼畜外道のロリコン野郎だわぁぁぁぁ!!みなさぁぁぁぁん!聞いてくださぁぁぁい!!」

「━━━違うってば!!緑谷少女も聞いてくれないかなぁ!?!?」

 

『・・・・楽しそうだね、二人共』

「マイトおじさま、なんか楽しそう」

 

「「楽しくはない!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱いスマホ争奪戦、四人での話し合い、ニコちゃんジャッジメントを経て、一応ガチムチに無罪判決が降りて暫く。

 

簡単に自己紹介を済ませた私と金髪ガールことメリッサ・シールドは、ガチムチに奢って貰ったアイスクリーム片手に、適当な世間話をしながらガチムチの親友であるメリッサパパの元へと向かっていた。

 

「へぇー、それじゃミドリヤさんって、マイトおじさまの生徒さんなのね。凄いわ!マイトおじさまの学校って、日本だと有名な所なんでしょ?ヒーロー科なら、もっと倍率って高いんじゃないの?」

「いやぁーそれほどでもあるけども。はっはっはっ、良いよ、良いよ。褒めて、もっと褒めて、さぁ褒めてぇー」

 

そう胸を張るとメリッサが拍手しながらヤンヤヤンヤしてくれる。ヤヴァイ、スゴイ気持ちいい。この感じ。最近はお小言が一番で二番に説教、三四に心配されたり反省させられたりして、五に褒められるくらいの塩梅ばっかりだったから・・・・この手放しで褒められるこの、あれ、なんか、凄い良い。荒んでいた心が浄化されそう。

 

少しでも「鈍いな、こいつ」とか思ってごめんちゃ。

メリッサにゃん、そのままの君で大きくなってね。

 

「メリッサ、緑谷少女をあまり褒めそやさないでくれ。直ぐに調子に乗るから」

 

折角人がいい気分でいると、ガチムチのそんな声が聞こえてきた。振り返って睨んでやったけど、ガチムチの表情は変わらない。反省の色なく、呆れたような顔してる。空気読めないガチムチである。この野郎め。

 

しかし、メリッサは違った。

 

「そう?でも凄いわ。勘違いだったとはいえ、さっきの対応は鮮やかだったもの。瞬間的な空間把握能力。その情報から次の動きを見切る予測能力。予測した情報を元に作戦を立て実行する頭の回転の早さ、それを実行する決断力と胆力。救出者を気遣った上で最も早く救出を行える、絶妙な個性の操作能力。装備の使い方にも無駄はなかったし・・・私には真似できない事ばかり、やっぱり凄いわ!」

「まぁぁぁぁぁねぇぇぇ!!美少女な上、ないすばでーで、尚且つ天才だからね!ナチュラルボーンだから!もっと褒めてよろし!よろしぃーよ!はっはっはっはぁー!」

 

「・・・・はぁ、爆豪くんもこういう気持ちだったのだろうか。彼が怒ってばかりなのも、少し分かった気がするよ」

 

そっと、また背後からガチムチが何か言った気がするけど、まぁスルーしとく。どうせ碌な話じゃないから。アイス美味しいなぁ。

 

「・・・それにしても、シールドってなんか聞いた事ある気がする。メリッサのパパって有名人だったりする?ゲーム作ってる?」

「ゲームは・・・直接は作ってないと思うわ。パパの技術が関わってる事はあるかも知れないけどね。ゲーム好きなの?」

「好き好き。最近はもっぱらスマホゲーばっかだけどね。ガチャが熱いんだな、これが。まぁでも、基本、私は据え置き派だから。うちのP●3とかまだまだ現役。2のソフトも出来る奴だよ、凄くない?でもさぁ、そろそろ4が欲しいんだよね。高くてあれだけど・・・・・メリッサパパの知り合いに、ゲーム会社の人とかいない?」

 

スッパーンっと、頭が叩かれた。

凄い痛・・・・くない。なんか音が凄いだけだった。知能指数は下がらなかった。アイスも無事・・・いや、無事じゃなかった。コーン上が綺麗に落ちてる。もうコーンしか残ってない。

振り向くまでもないけど、恨みを込めて背後に視線をやれば、何とも言えない顔したガチムチがいた。

 

「・・・ガチムチぃ」

「あ、ごめ・・・・いやいや、それはこっちの台詞なのだけども。何を言うつもりだったんだい?君は」

「えぇ?社員割的なあれで、安く売ってくれないかなぁっーーて」

「よく会ったばかりの人にそれを言おうと思ったね。清々しいくらいに図々しいよ。少しは自重しようね」

「ええぇぇぇぇぇーー、使えるつては使ってなんぼでしょぉぉぉ」

 

そんなやり取りをしてるとメリッサがクスクス笑いだす。どうしたのかとメリッサを見れば、その視線に気づいたメリッサが口を押さえ声を堪えた。

 

「ご、ごめんなさいっ、ちょっとおかしくて」

「ほら、ガチムチ。言われてる」

「いや、私だけじゃないと思うよ?」

 

他に誰かいるのかと辺りを見渡してみたけど、特にそれらしき人はいない。首を傾げて見せると、メリッサがまた楽しそうに笑いだした。

 

中々笑い終わらないメリッサからガチムチに視線を向け肩を竦めて見せると、「いや、だから君も原因だからね?」と優しく諭された。メリッサが余計に笑った。おおぅ、何故に。・・・・ガチムチ、コーンいる?いらない?左様か。もしゃもしゃ。

 

少しして笑い終えたメリッサは改めてメリッサパパについて教えてくれた。メリッサパパはデヴィッド・シールドという人でノーベル個性賞を受賞した事もある、個性研究の分野で最先端をつっ走る有名な博士らしい。個性に関係する発明品を数多く生み出し、ガチムチのヒーローコスチュームなんかも作った人なのだとか。

 

そう言われて見れば、テレビかなんかでシールド博士って名前を聞いた事がある気がする。

顔は全然出てこないけど。

スマホ作った人かな?って聞いたら、それは違うと言われてしまった。違ったか。

 

そんな話を聞いてると、もしかしてエキスポにもなんか関わってる?って話になった。するとメリッサの目がキラキラし出す。おっと、地雷を踏み抜いたようですよ。ガチムチ助けろ下さい。

 

「エキスポにはパパの発明品も沢山展示してあるの。向こうに見えるパビリオンなんか、殆んどパパの発明品が関わってるんだから。ミドリヤさんが良ければ、マイトおじさまを案内した後になるけど案内しましょうか?」

 

ずずぃっとメリッサに迫られた。凄いキラキラした目をしてる。遊んで貰えると期待する子犬みたいな目だ。

ついでに、どこかあの発明狂を思い出す。

 

「えーーー・・・・面白いならいく、かも?」

「面白いわよ!私が保証する!パパの発明品って、すっごいんだから!ミドリヤさんもきっと楽しめるわ!」

「えーーーーーーあっ、そーだー、その前に、私は前のりしてるであろう、友達を探すという重大な使命があったのだったー。いやぁ残念━━━」

「お友達を探すのね?それも任せて!立ち入り禁止の場所以外なら何処でも案内してあげる。伊達にここで暮らしてないもの、安心して」

 

あうちっ。断りづらくて言葉を濁したら、ほぼ行く感じになってしまった。

頭使イソウ、パビリオン、コワイ。勉強、コワイ。ヤダヨォ。遊ビタイ。何モ考エズ食べ歩キシタイ。ドウセアトラクションダッテ、乗ッテル最中ニ難シイ話始メルンデショ?私知ッテルノ。ヤダヨォ。

 

止めて欲しくてガチムチを見たけど、肝心のガチムチは笑顔を浮かべるだけ。止める気配なし。

 

「はははっ、良いよ。行ってくるといい。どのみち私はデイヴとはつもる話もあるしね。メリッサと楽しんでくると良い」

 

おっと、余計な事を。

この筋肉の塊野郎めが。

 

「よしっ、決まりね。それじゃ少し急ぎましょう。まずはパパに飛びきりのサプライズしなくっちゃ!」

 

そう言うとメリッサは溶けかけのアイスをパクパクと食べきり、私の手を引いて駆け出した。

子供みたいな楽しそうな笑みを浮かべて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「サプライズ、なんか手伝おうか?」

「緑谷少女、何もしないように」

「うぃ」


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