私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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弔くんめちゃかっけぇよぉ。荼毘もかっけぇしよぉ、トゥワイス可愛いしよぉ・・・なんなん、あれ。ヴィラン連合ええなぁ、ほんまえぇなぁ(;´Д`)ハァハァ


何事もいきなり始まるもんなので、ある程度は諦めて行こうとは思っているけど、せめてご飯ぐらいは食べさせてくれませんかね?の巻き

「へぇい、おまたー?」

 

メリッサと別れてから超特急で着替えて少し。

服装が乱れない程度のダッシュで、集合時間を余裕でぶち抜いて待ち合わせ場所のセントラルタワー七番ロビーへ辿り着くと、案の定眼鏡が絶好調でブチキレていた。

 

「緑谷くん!!君は、いや君達は団体行動をなんだと思っているんだ!!」

 

その言葉に周囲を見渡せば眼鏡の側にかっちゃん達とメリッサ以外全員が集合していた。

あうち。 

 

「いつもいつも君は━━━━━━緑谷くん、だよな?」

「はぁ?見れば分かるでしょ。どした、眼鏡指紋でベッタベタで見えないの?」

「ああ、緑谷くんだな・・・・」 

 

何処で判断したんだ、この眼鏡野郎。

というかなんだその目は。

童貞共、目を潰すぞ。

 

不躾な男連中の視線に自分の体を見直して見る。

悩んだあげく選んだパステルグリーンのキャミソールドレスは、着る前と同じように綺麗なままだ。軽く腰を回してスカートをチェックするけど、ヒラヒラ揺れるスカートに破れや汚れは見当たらない。珍しくハーフアップにした髪も触ってみた感じ乱れはない。ヒールも折ってない。

それでもあえて言うなら、肩を隠す為に巻いたストールがよれてしまってるくらいだろうか?

 

ストールの位置を直してから眼鏡をドヤ顔で見てやれば「やっぱり緑谷くんか、良かった」と何故か安心された。意味が分からん。

 

「ニコちゃん、そのドレスええね!可愛い!」

 

声に視線を向ければお茶子達が興味深そうにこっちを見ていた。そんなお茶子はスカートがフワッとした、ピンクの可愛いオフショルダードレス。耳郎ちゃんはAラインドレスにジャケットを羽織るという、ちょっとロックな感じで仕上がってる。かっこ可愛い的な?

百はといえば、胸元ががっつり開いた真っ赤なイブニングドレスに身を包んでいた。視線が合うと何処か恥ずかしそうにしてる。ヒーローコスがエロの体現者みたいな格好なのに、今更何が恥ずかしいのか。驚く程似合ってるよ、エロかわだ、百よ。

 

「お茶子も可愛いよー」

「えへへ、せやろか?」

「せやせや」

 

褒めるとお茶子は照れ臭そうに頭をかいた。

そんなお茶子をよそに耳郎ちゃんと百はドレスに興味津々で凄くジロジロ見てくる。あまりに熱心に見てくるので何かあるのかと、また軽く見直してみたけど変な所は見当たらない。

 

「・・・どしたん?」

「いやぁ・・・・別に?」

「深い意味はありませんわ、緑谷さん」

 

そんな事言いながらも、何か言いたげな二人は引き続きジロジロとドレスを見てくる。「ありませんわ」とか「ないね」とか呟いてるから、何か探してるのは間違いないけど、それが何なのかはさっぱりだ。

 

「ん?緑谷、このストールのさ、レースの柄ってなんなの?花だよね?」

 

ストールの?そう言われて見れば、スタッフさんが何か言ってた気がする。何だったっけ?世間話しながら選んでた時だよな?うぅん?

 

「何だったっけか?せん・・・せんと・・・・」

「もしかしてセントランサスでは!?」

「うぇっ!?えっ?いや、どうだったかなぁー?」

 

食い気味にきた百に圧されながら思い返してみると、その言葉とスタッフさんの言葉が頭の中で重なった。その事を伝えると百が目を輝かせる。

 

「セントランサスとはオミナエシ科ベニカノコソウ属の植物の事で、その総称です。日本では初夏に淡紅色や白色の香りの良い小花を散房花序つける、ベニカノコソウやウスベニカノコソウが観賞用として栽培されてる事が多いですわね。━━━そしてなにより、薔薇の宿根草としてもその名の知られた植物なのです!薔薇の強い主張を和らげ、尚且つ薔薇の美しさを際立たせる。薔薇と非常に相性のよい植物なのですわ!勿論それだけではありません、セントランサスの花━━━━」

 

熱弁し始めた百をお茶子達に任せ、ゲートに設置された時間を確認してみる。集合時間より遅れてる。そしてかっちゃんからは連絡がない。性格的に遅刻するなんてあり得ないんだけどな?とか思ってると、ふと気配を感じた。

 

「ん?」 

 

気配のする方へ視線をずらすと、こっちを見つめてる轟の姿が目に入る。無言のまま送られる、いやに力強い視線は居心地が良いとは言えず・・・私は眼鏡ガードする事にした。かっちゃんシールドにつぐ最強の盾、眼鏡バックラーよ!全ての災厄を祓いたまえ!!

 

「・・・轟くん、心中を察するが、そのままだと不審者だ。頑張って言葉にしてみてはどうだろうか」

「あっ、ああ・・・・緑谷、ドレスよく似合ってる。綺麗だ・・・その髪型も、可愛いと思う」

「僕越しに言わないでくれないだろうか・・・複雑な気分になるのだが」

 

おおっと、ドレスは当然として髪型も褒められてしまった。

何でも似合う超絶美人な私とはいえ、普段あんまりやらないやつだから少し心配してたんだ。だってこれ、母様ヘアーだしね。着替えるの手伝ってくれたスタッフがあんまりにもオススメするから、じゃぁ今回だけっとやってみただけなんだけど・・・そうか。可愛いか。そうかそうか。

 

「まぁね!可愛いこと子猫の如しな私だからね!基本どんな格好してても可愛いんだけどもさ!ふははは!ていうか、褒め称えたいなら最初からそう言えば良いのに~まったく!」

「・・・・いや、だから僕越しに話さないでくれ」

 

「そうだな・・・緑谷はどんな格好してても、緑谷だな。この間の浴衣━━━━」

「だから僕越しに話さないでくれないかな!?とてつもなく、いたたまれないんだが!?」

 

眼鏡バックラーがその機能を十全に果たしてる一方、背後から童貞兄弟の声が聞こえてきた。轟達と話すのを止めてちょっと聞き耳をたてれば、苦しげな声がそこから響いてくる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ぽっ、ポテンシャルはあるとは・・・・思ってたんだ。オイラ・・・おっぱい・・・生肌・・・緑谷しゅき・・・触りたい」

「落ち着け!!峰田!!気持ちは分からなくはねぇけど、でも全力で落ち着け!!中身がアレな上、保護者がやべぇのしかいねぇぞ!!尻の毛までむしられて、爆破されたり燃やされたりして、二秒くらいでハンバーグにされっぞ!!」

 

おいこら、糞童貞共。

控えめにいって、ぶっ飛ばすぞ。

 

上鳴とブドウの唇同士を断続的に引き寄せ、ある意味での地獄を見せてやっていると、パタパタと駆ける足音が聞こえてきた。かっちゃんかと思ったけど、それにしては足音が軽い。となると━━━━。

 

「ミドリヤさん達、まだここにいたの?パーティー始まってるわよ」

 

やっぱりメリッサだった。

メリッサは青と白のコントラストが綺麗なビスチェドレスだった。腰元についた白薔薇が可愛いくて、胸元が激しくエッチぃ。

 

メリッサの姿にキス寸前の童貞兄弟が激しく反応する。上鳴いわくどうにかなっちまいそうらしいので、どうにかなっちまえるように、きちんと引き寄せる個性でお手伝いしとく。お前らのファーストキスはここでやれな。なっ。

 

「待たせちゃったみたいで、ごめんなさい」

「いいの、いいの。私も今来た所だし、まだ来てないやつらもいるくらいだしさ。━━━━それにほら、パーティーの最初って決まって偉い人が喋ってるだけの、行かなくても良い時間じゃない?寧ろ話し終わるぐらいに合わせて行こうよ、ね?」

 

と、メリッサを慰めたら眼鏡に何とも言えない顔された。お茶子達にも残念な子を見るような目で見られる。

 

「目ぇ、覚めたぜ。上鳴。女は中身もだよな」

「峰田!分かってくれたか!」

 

馬鹿共はフルパワーで引き寄せてやった。

流石にここでファーストキスは可哀想なので、デコ同士にしてやったが。峰打ちにしといちゃる。次はないぞ。

 

馬鹿共を成敗した後、かっちゃんに何処ほっつき歩いてるのか聞こうとスマホを手にして━━━━気づいた。スマホが圏外になっている事に。少なくとも皆と合流する前は大丈夫だった。何せスマホで時間確認しながら走ってきたのだ。間違える訳がない。

 

念の為にかっちゃんから連絡が入ってないか一通り確認し、スマホの電源を入れ直して見る。再び電源のついたスマホにはやっぱり圏外の文字が浮かんだ。これが地元なら電波が悪いんだなぁで済むが、ここは科学技術の最先端の都市で、私達がいるこの場所は都市の中でもシンボル的なビルの筈。そんな場所で、こんな事が起こるなんて、物凄く違和感を感じる。

 

不思議に思って全員に確認して貰えば、全員が全員圏外という更なる謎事態発覚。なんだか嫌な予感するなぁと思ってると、警報音が鳴り響き始めた。それも完全にヤバげな警報。

 

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手しました』

 

機械的な声が鳴り響くと同時。

誰かが息を飲む。

 

『I・アイランドは現時刻をもって厳重警戒モードに移行します。島内に住んでいる方は自宅または宿泊施設に。遠方からお越しの方は近くの指定避難施設に入り待機して下さい━━━尚、今から10分後以降の外出者は、警告なく身柄を拘束されます。くれぐれも外出は控えて下さい━━━━』

 

部屋から、廊下から、入り口から。

何かが動く音が聞こえてきた。

重く、固い、金属音が。

 

『━━━━また、主な主要施設は警備システムによって、強制的に封鎖します』

 

その声が響くやいなや私達が入ってきた入り口に、突然鋼鉄のシャッターが降りてきた。他の窓や通路にも似たようなシャッターが次々に降りていく。

 

皆が慌てふためく中、私はある事に気づいた。

この事態がなんにせよ次に予測されてしまう、その最悪の未来を。

 

「もしかして、パーティーのバイキング中止じゃ・・・・!?私のっ、ローストビーフっ!!」

「緑谷くん!?本気かい!?君、本気かい!?そういう事を言ってる場合ではないと思うんだが!!」

 

「大丈夫だ、緑谷。仮に中止になっても、今度俺が奢ってやる」

「轟くんまで!?君もすっかり毒されたな!!いや、悪い事ばかりでもないが!ないんだがな!!」

 

 

「飯田くん大変やな」

「麗日もさ、大分毒されたよね」

「そうですわね」

「ミドリヤさんって、本当に前向きね・・・」

 

「・・・・前向きっていうのか、あれ。なぁ上鳴」

「いやぁ、ちげぇーだろうな」

 


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