私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

205 / 282
POWERRRRRRRR( *・ω・)ノ!!
(最近感想に返事出来んですまんなぁぁぁぁ!!)


はぁい!良い子の皆!元気かな?お姉さんは今日もちょー現金・・・じゃなかった元気!それじゃ今日もお姉さんとお約束しよう!腹パンは用法、用量を守って、程々にしようね!の巻き

かっちゃんとゲームした翌日。

欠伸をかきながらLHRの時間に参加してると、包帯先生が何やら動きを見せた。

 

「今日のLHRはインターンの話をします」

 

焦らしもないド直球の台詞にクラスが盛り上がった。

教室のあちこちなら口笛とか歓声とかがあがる。

個人的には全然楽しい話ではないんだけど、お祭りには全力で乗っかってくのが私の流儀なのでフルスロットルで行く。ひゅーひゅー!!包帯先生かっこいいぃぃぃぃ!!やんややんやぁぁぁぁ!!いぇぇぇぇい!!えっ、ちが、違うんです!ふざけてないんです!皆に乗っかっただけなんですぅー!つまり、最初に祭りにした皆が悪いと思うのですぅー!だから、やるなら、皆も一緒にお願いします!!一人は嫌だ!!

 

必死の説得も虚しく、思いっきりひっぱたかれた。

皆は叩かれなかった。

なんでや。

 

「━━━えー話が逸れたが、君達のインターンがどうなるかは今日の協議結果次第だ。よって俺からその件について、この間伝えた以上のことを話すことはまだ出来ない。今日は君達に職場体験とインターンがどういった違いがあるのか、それを直に経験している人間から話を聞いてもらう」

 

そう言うと包帯先生は廊下へ向いて「入っておいで」と声を掛ける。すると足音が聞こえてきた。

 

「多忙な中、都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように。特に緑谷」

「ははは!だってよ、緑谷!包帯先生に言われた通りちゃんと聞いてお━━━って私!?てか、名指し!?」

 

「綺麗なノリツッコミや」

「けろっ。二度見する所まで、完璧ね」

「僕を挟んで感想を言い合わないでくれ。二人共」

 

何故に私だけ!?ねぇ、かっちゃん!なんで!?なんでや!?なんで私だけなんや!?何無視してんの!?皆ぁぁぁ、かっちゃんが無視するんだけど━━━━こっちみて皆ぁ!目を逸らさないでくんない!?

 

「現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名、通称ビッグ3の皆だ」

 

包帯先生まで無視してきた!?

なんでや!ていうか、ビッグ3って何!?そのだっさい名前何!?雄英高のヒーロー科でトップスリーに入ると、そんなだっさい名前で一括りにされんの!?いや!あたい、そんなのいやよ!

 

「轟ぃ!なんか言ってよぉ!」

「俺はビッグ3悪くないと思うぞ」

「マジか。あと答えてくれてありがとう」

 

そうこうしてる間に教壇側のドアが開いた。

廊下から英語の教科書によく載ってるぱつ金でおめめ黒豆な人と、私には勝てずともそこそこ可愛い後ろ髪がウェーブな女子と、目付き死ぬほど悪い猫背のが入ってくる。

 

皆も興味津々でザワザワし始めた。

因みに包帯先生はそれを見ても怒らない。

さっきは私の事はひっぱたいたのに。

 

「それじゃ手短に自己紹介よろしいか?天喰(あまじき)から」

 

怒らないどころか進行してきた、だと!?

 

包帯先生に名前を呼ばれたと思われる目付き悪いのが、一際強くこっちを睨んできた。クラスの大半が息を飲んだみたいだけど、かっちゃんと轟辺りは何とも思ってない様子。包帯先生も溜息つきそうな雰囲気。隣に並ぶビッグ一味に至っては表情一つ変わらない。

 

まぁ、私も何とも思わないんだけどもね。

いや、だってねぇ?

 

「・・・・・・・駄目だ、ミリオ・・・波動(はどう)さん」

 

小さな声が目付き悪いパイセンから響いた。

 

「ジャガイモだと、思って臨んでも・・・頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない。どうしたらいい、言葉が・・・・出てこない・・・・頭が、真っ白だ・・・辛いっ・・・!」

 

くるっと後ろに振り返った目付き悪いパイセンは、体を震わせながら黒板に頭を預け━━━━そして切実にこう言った。

 

「帰りたい・・・・!」

 

ごっつ、わかりみ。

私もいつも思う。朝のHRが始まる前辺りから、いつも思ってるぅ。天ちゃんパイセンとは親友になれそう。

 

そんな同士の背中に尾白が声を掛けた。雄英のーだとか、ヒーロー科のーだとか、トップがーとか。けれど、目付き悪いことこの上無しな天ちゃんパイセンは壁に頭を預けたまま動かない。生まれたての小鹿のように震えてる。面白いくらいピクピクしてる。━━━私も弄りたい!かっちゃんに両手首を押さえつけられていなければっ!いたいっ!何もしないってば!よく両手纏めて掴めるな!無駄に掌おっきいんだから!くそぅ!

 

かっちゃんの握力に抗いながら教壇の方の様子を伺ってると、そんな天ちゃんパイセンの様子を見て隣にいた女子パイセンがポンっと手を打った。

 

「あっ、聞いて天喰くん!そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!不思議!」

 

まさかの味方からの追い討ち。

天ちゃんパイセンの雰囲気は更に暗くなった。

狙ってやったドS系パイセンかと思ったけど、様子を見てると違和感を感じる。あれは・・・。

 

「彼はノミの"天喰環(あまじき たまき)"それで私が"波動(はどう)ねじれ"。今日は"校外活動(インターン)"について皆にお話してほしいと頼まれて来ました」

 

笑顔でそう言ったねじれんパイセン。

そのままつまらない説明を始めるのかと思いきや、一番前に座る阿修羅の兄貴に熱い視線を向けた。

 

「けどしかし、ねぇねぇ所で、君は何でマスクを?風邪?オシャレ?」

「これは昔に・・・・」

「あら、あとあなた轟くんだよね!?ね!?何でそんなところ火傷したの!?」

 

話し掛けといて阿修羅の兄貴を完全スルー。

呆然とする阿修羅の兄貴を気にも留めず一番後ろに座ってる轟に話し掛ける。轟は突然の事に少しフリーズしたけど、すぐに再起動して何か言い掛けた所でねじれんパイセンは別の方向へと向いた。

 

あしどんの角に興味を持ち、ブドウのボールの散髪について興味を持ち、梅雨ちゃんのカエルの種類に興味を持ち、とにかくあっちこっちを見て不思議と目をキラキラさせる。上鳴は天然ぽくて可愛いとかとち狂ってるけど、あしどんが呟いたように幼稚園児って表現の方が的を得てる気がする。可愛いにしても子供を愛でる系の可愛いでしょ。あれは。

 

「ねぇねぇ、尾白くんは尻尾で体を支えられる?ねぇねぇ答えて気になるの」

「えっ、いや、あの、ち、近いっんですけど」

「それより尻尾は?尻尾はあなたのこと支えられるの?ねぇねぇ?」

 

背後でハァハァ喧しいブドウを引き寄せる個性で机と熱烈なキスさせてる間にも、ねじれんパイセンは無邪気に尾白に絡んでいく。取り敢えず、頑張れ尾白。

 

一向に始まらないインターンの経験談披露。

包帯先生も痺れを切らしたのか三人を鋭い視線で見つめる。「合理性に欠くね」という小さい呟きは、MG5(マジギレ五秒前)の合図だろう。

 

そんな言葉を聞いておめめ黒豆パイセンが額に汗を垂らしながら任せて欲しいと言う。今度は何を見せてくれるのか楽しみにしてると黒豆パイセンが「前途ーーー!?」と聞き耳をするように耳の側に手をやってこっちに体を傾けてきた。

 

教室はすっかり静まり返ったけど、私は天才が故に直ぐピンと来た。だから遠慮なく乗ってく。

かっちゃんの手を振り切ってぇっ━━━!

 

「━━━━多産!」

「多産かぁ!成る程、そうきたかーー!ハッハッハッ!けど、俺の滑り具合じゃ多難だねーーーっつってね!よぉし、ツカミは大失敗だ!返してくれた子、ありがとう!あと、前途多産なんて言葉はないから、テストに出たら気をつけてねー!」

 

元気よく笑う姿に中学の頃の英語の教科書を思い出す。

本当、よく似てるなぁ。モデル?てか、多産はないのか。はぁー。べんきょーになるわー

 

そんなおめめ黒豆パイセンの姿に皆がヒソヒソし始める。 私としては面白いからこのパイセン達好きだけど、インターンの話をするにしては雰囲気的に大分ズレる感じだから分からなくはない。

 

ヒソヒソする皆を見て黒豆パイセンが咳払いをした。

 

「まァ何が何やらって顔をしてるよね。必修てわけでもない校外活動の説明に突如現れた3年生だ。そりゃわけもないよね━━━━」

「はい!はい!!黒豆パイセン!はいはいはーいっ!」

「━━━はい、そこの元気な子!何かなぁ!?」

 

頑張って手をあげてたら、私の気持ちが届いたようで黒豆パイセンは話を促してくれる。なので遠慮なくいく。

 

「皆がザワザワしてるのは、パイセン達のキャラが濃すぎる上、インターンの話を欠片もしないからだと思います。3年生だとかどうとか、そういうのじゃないですよ。本題はよ、っす。うっす」

「えっ、そうなの!?そっちなの!?俺が滑ってたりとか、そっちが理由なの!?」

 

私の言葉にショックを受けた黒豆パイセンは大げなリアクションをとってみせる。死ぬほど胡散臭い。どうするのか見守ってると拳を突き上げた。

 

「よしっ!皆の気持ちは分かった!それじゃ早速、俺と戦ってみようよ!百聞は一見にしかずってね!インターンが君達に何を与えるのか、実戦の中で見せてあげるよ!」

「「「「え、えええぇぇぇぇー!?」」」」

 

突然の黒豆パイセンの提案にクラスはどよめく。

一つは単純な驚きからの声。もう一つは雄英のトップと戦える事による、脳筋連中の興奮からの声。かっちゃんも見事にその一人である。

黒豆パイセンは包帯先生にOKを取ろうとするが、そうはさせない。無視できないように、派手に手を上げて見せる。

 

「━━━と、はい、さっきから凄い元気のいい子!どうかしたかな!」

「汗かくの嫌だから、話でお願いします!」

 

真っ直ぐに目を見て伝える。

心を込めて。嫌だと。

すると、黒豆パイセンは力強く頷く。

 

「そうか!分かった!でも、実戦の中で見た方がずっと実感出来ると思うよ!どうかな!」

「嫌です!今日は替えの下着一着しか持ってきてないので、嫌です!話でお願いします!」

「よぉし、分かった!それじゃ、汗かく間もなく俺が勝ってあげるよ!それなら着替える必要もないよね!よし、決まり!」

「ちょいちょいちょい!決まってない!決まってなーい!黒豆パイセン!何も決まってなぁーい!」

 

結局多数決で実戦による説明会?が認められ、全員ジャージに着替えさせられて体育館γに連行。ほぼ強制的に黒豆パイセンと戦う事が決まった。割とマジで汗かきたくないので私のテンションが最低値。もう今日の後の楽しみはお昼ご飯と、放課後のかっちゃんの部屋で出来る大画面のゲームだけ・・・あと寝る前のかっちゃんへのイタ電くらいである。

 

「はぁーーーーーやってられんけん」

「何処の方言なん、ニコちゃん?」

「わからん県の方言だで」

 

テンションがた落ちしてる間にも黒豆パイセンと愉快な仲間達は実戦によるインターン説明会の話をどんどん進めてく。もはや説明会でない気がするけど。そんな中に皆も交じって色々話し合ってるけど、興味がないので殆んど聞いてなかった。なんか、なにかが、どうだかで、どうだから、こうたららしい。

 

「ニコちゃーん、もう元気出してよ。そんな嫌がらんでもええやろ?少し手合わせするだけやん。あくまで説明会の延長なんやし・・・・」

「・・・・お茶子マジで言ってる?」

「えっ?えっと、そ、そうやけど」

 

私は準備体操する黒豆パイセンを見た。

その目の真剣さ、入念な準備体操、既に始めてる位置取り。何より肌がヒリヒリするような、やる気ともいえる何かを私は感じて仕方ない。伊達に中学時代、そこらの不良と肉体言語でお話し合いしてきた訳じゃない。それが本気なのかどうなのかは、見れば何となく分かる。

 

あれは間違いなく本気でやる気だ。

 

それに問題なのはやる気より、服の上からでも分かる鍛えられた肉体。ポテンシャルの高さを物語るそれ。あれは一朝一夕で作られた物じゃない。それこそ毎日積み上げてきた戦う為の身体だ。どんな個性を使うのかは不明だけど、あれだけの身体を持っているなら、まず間違いなく接近戦を挑んでくるタイプ。こういうのが一番厄介。個性に頼らず、個性をあくまで武器の一つとして戦うやつは、本当に厄介なのだ。

 

他の二人なら、まだやりようはあったんだけどなぁ。

 

そうこうしてる内に切島達がいきり始めた。

ヴィランと戦った経験もあるし、仮免許試験も通ったし、まぁ気持ちは分からんくもない。

ただ、相手が悪い。

 

「そんな心配される程、俺らザコに見えますか・・・?」

 

吐き出された切島の言葉に、黒豆パイセンが笑う。

 

「うん。いつどっから来てもいいよね。一番手は誰だ?」

 

挑発的な言葉を受けて皆がザワッとした。

そして私のぷりちぃーな頭にも軽い衝撃が走る。

振り向かなくても分かる。かっちゃんだ。

 

「いつまで腑抜けてんだ。やる以上ぶち殺すぞ」

「私まで巻き込まないでくれます?適当にやられたふりする予定だったのに」

「あの野郎が見逃すと本気で思ってんのか」

 

むっ?言われなくても、それくらい分かってるし!

 

「ただの冗談で━━━━━━っす!!」

 

引き寄せる個性発動。

フルスロットルで黒豆パイセンを引き抜く。

支えのない私の体と黒豆パイセンの体が宙に飛ぶ。

 

突然の事に目を白黒させながら近づいてくる黒豆パイセンの顔面に向け、渾身のラリアットを振り抜く。

ニコちゃん108の必殺技━━━━!

 

「━━━━━━んんんっ!?」

 

当たったと思った瞬間、拍子抜けた感覚が腕を襲った。正確にはそこに走る筈の感覚が何も無かったんだけど。後ろを見れば無傷の黒豆パイセンが飛んで行く姿が見える。位置はかわせる場所じゃない。確かに首目掛けて振り抜いた。ならどうして。決まってる個性だ。形質変化か、形状変化。見た目が変わらず、手応えはまるでなかった。なら、なんらかの肉体の形質変化。

 

「驚いた、完璧な不意討ちだったよ!俺じゃなきゃかわせなかった!よし、俺も本気だしちゃうぞ!」

 

そう言って黒豆パイセンは皆の方へ飛んでいく。

嫌な予感ばりばり。

 

「かっちゃん!!」

「っせぇ!!見とったわ!!」

 

私の声に答えると同時、かっちゃん達が追撃を始める。けれど一つも当たらない。攻撃が体をすり抜けていくのが見える。結局全部かわしきり、黒豆パイセンはそのまま服を残して地面に潜っていった。

 

服を残して。

 

 

 

服を。

 

 

 

ふぁつ?

 

 

 

 

「まずは遠距離持ちからだよね!!」

 

 

 

そんな黒豆パイセンの声が、姿の消えた場所とは違う所から聞こえてきた。振り向けば裸の黒豆パイセンが悲鳴をあげる耳郎ちゃんを襲ってる。犯罪じゃー!と思ってる間に腹パンされて耳郎ちゃんが沈んだ。

 

「ワープした!!」

 

切島の声が聞こえたと同時、耳郎ちゃんの側にいた上鳴が腹パンで瞬殺される。すかさず周りにいた皆が攻撃するけど、私の時のようにやっぱり当たらない。

 

なら、個性はワープじゃない。

今の様子を見れば、あくまですり抜ける個性。

なら、あれは個性の性質的な面を利用して移動してる可能性が高い。

 

 

 

「おまえら、いい機会だ。しっかりもんでもらえ」

 

 

 

不意に包帯先生の声が響いてきた。

 

 

「その人、通形(とおがた)ミリオは、俺の知る限り最もNo.1に近い男だ。プロを含めてもな」

 

 

誰にも止められない黒豆パイセンは、耳郎ちゃん達の周囲にいた全員に腹パンしていく。防御してもすり抜け、攻撃してもすり抜け、隠れてもすり抜け、何処にて接近してひたすらに腹パン。腹パン。腹パン。

もはや腹パン工場の工場長である。怖い。

 

 

「POWERRRRRRRR!!!!」

 

 

倒れ伏した皆を背に、黒豆パイセンが高らかに吠える。

己の力を誇示するように強く。

猛々しく。

 

ほら、見ろ。

お話で終らせとけば、良かったでしょうが。

誰が止めんの?あの変態腹パン工場。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。