私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
ていうか、最近やべぇ情報ばっかり出て来て、続き書くの怖いんだけど(;・ω・)
疲れていてもぶぅ垂れていても、月下に照らされる一輪の白百合が如く愛らしく美しい私は雄英高校きっての人気グループ・アイドル系美少女お笑いユニット『お茶子withバカスリー』のポニテリーダーこと緑谷双虎。現在16歳の現役バリバリイケイケのJKだ。
基本品行方正な良い子ちゃんで通ってる私だけど、昨日のちょっとしたやんちゃがたたって、今日一日は皆にお説教されてマジブルー。マージマジ、マジか。お昼ご飯はお寿司から焼き肉弁当になるし、放課後は戦闘訓練しないといけないとだし・・・・はぁ、踏んだり蹴ったりだわ!本当に厄日!いやになっちゃう!
そんな訳で放課後、授業が終わって真っ直ぐ訓練場に来たんだけど━━━━━━
「POWERRRRRRRRRRR!!」
「━━━━っっらぁ!!勝ち誇ってんじゃねぇ!!まだ、終わってねぇぞ!!ごらぁぁぁぁぁぁ!!」
━━━━━━━わぁ、思ったより戦場。
例の如く腹パンされたかっちゃんだけど、攻撃パターンを記憶したのかその対応力もその耐性も以前より段違いに上がっていて、一瞬の硬直のみで直ぐ様爆破による迎撃を開始。訓練場に爆風が吹き荒れ、耳をつんざくような爆音が響く。
訓練を開始する前は整地された綺麗なフィールドも、かっちゃんの爆撃でクレーターだらけ。私も多少はやんちゃしたけど、大体はかっちゃんが原因である。よって、私は悪くない。掃除は全部かっちゃんに任せよ。うん。いや、しかし、元気だなぁ。昨日ボコボコにされた筈だろうに・・・。
「わぁ、爆豪少年・・・・・わぁ・・・・わぁ」
隣で何処か遠い目をしながら呟くガチムチの後ろ姿に、優しさの塊といっても過言ではない私は少しだけ同情する。するけど、これはあくまで責任者の役目からのこと。なので私は余計な事は言わず、お口は引き続きチャックしとく。
「・・・・ミリオ、楽しそうだな・・・・やり過ぎないと良いけど・・・あっ、だ、大丈夫かな」
「本当!訓練ってこと忘れてそうね!楽しそう!」
そう呟いたのは、黒豆パイセンと一緒に来た天ちゃんパイセンとねじれんパイセン。つい先程、ちょっと私の相手して貰った二人はジュース片手に呑気に観戦モード。いや、天ちゃんパイセンはガチムチ側かな。もう、気にしたら負けなのに。だってこれね、もうね、手遅れじゃぁんねぇ。あと、私と一緒に頑張った切島はそこら辺で白目剥いて捨てられてる。ねじれんパイセンつえかった。あはは。
悪夢でしかない後片付けの事を考えつつぼやーっとしてると、目の前にスポーツドリンクが顔を出した。何処からやってきたのか出元を見れば、いつの間にか買い物から戻ってきた轟とお茶子達がいる。
「おっつー、でも・・・これタピタピちゃうで」
「わりぃ・・・タピタピって名前のは、無かった」
「そっか、タピタピは無かったか。それなら仕方ないでござるな」
そこまでタピりたかった訳でもないから別に良いけどさ・・・・いや、でもあったと思うんだけどな?タピオカティー。
しょんぼりする轟からドリンクを受けとってると、遅れてやってきたお茶子と梅雨ちゃんが凄いジト目で見てきた。
「やっぱりニコちゃんか。轟くんに変なもん頼んだんわ。自販機の前でめちゃくちゃ困ってたよ?あかんよ、ちゃんと教えんと」
「轟ちゃんにあんまり意地悪しちゃ駄目よ。緑谷ちゃん」
「えぇ・・・・別に意地悪したつもりはないんだけども。あのさ、轟さ、タピオカ知ってるよね?」
ジト目二人から指摘を受けたので轟に問い掛けて見る。
すると轟は難しい顔で「タピオカ・・・?」と呟いた。そして考える人のように動かなくなる。
あっ、はい。知らんね、これは。えぇ、マジか。かっちゃんでも知ってるのに。
「あれだよ?あの、半透明の粒々したやつ」
「半透明の粒々したや、やつ・・・?飲み物じゃないのか?」
「飲み物というか、タピオカは飲み物に入ってる物なの。んで味は、まぁ、特にはないんだけど・・・噛むともちもちしてて、なんか美味しいやつ」
「噛むともちもち、美味しい・・・・もちか?」
もちと聞いたもちマスターお茶子が「あれはもちちゃうよ」とかなり強めに否定し、轟は「そうか」と頷く。けれど、結局タピオカについて理解出来なかったようで、タピオカと小さな声で呟きながら首を捻る。
「今度、一緒にタピりにいこっか」
「ああ・・・タピル?タピオカじゃないのか?」
「えっ?そうだよ。タピタピ」
「???」
初めて掛け算習った小学生みたいな顔になったのでこの話は一旦終わりにし、私は買ってきて貰ったスポーツドリンクに口をつけた。汗かいた時にはスポドリだよね。寧ろタピタピ買ってこなくて良かったよ。うんうん。
「━━━それにしても、思ったより皆こなかったねぇ」
そう言いながら、パイセン達にジュースを配り終えたお茶子が隣に座り込む。
「インターンの受け入れ探しだっけ?あしどん達」
「そう言っとったね。でもまぁ、目の前の惨状が一番の理由やと思うけども・・・派手にやっとんなぁ爆豪くん。これ最後に片付けするんだよね?」
「かっちゃんにやらしとけば良いよ。ピタピタやらせたら良いよ。私はやだ」
私がそう言えばお茶子が苦笑いを浮かべた。
否定しない辺り、お茶子の心の内が透けるようである。ですよねぇー。大体かっちゃんだもんね。この荒れよう。
「そういう訳にもいかないでしょ?皆で申請を出して使っているんだもの。それに爆豪ちゃんだけだと片付かないと思うわ」
白目剥いてる切島を世話を焼きながら、私達の話を聞いてた梅雨ちゃんは戦場を見ながら呟くように言う。それにもまったく同意で私とお茶子は乾いた笑い声をあげた。ですよねー。何故私はかっちゃんを誘ってしまったのか。いや、誘わないと後が煩そうだし、それに戦闘訓練の相手としては良い相手ではあるんだけどね。うん。
「・・・・くっ、クリムゾンライオット!お、俺はっ━━━うえっ!?梅雨ちゃん!?」
「そうね、どちらかと言われれば梅雨ちゃんよ」
そうこうしてる間に無事蘇生した切島だけど、今度は別の事で気を失いそうになってる。顔を真っ赤にさせて・・・ふっ、所詮は童貞か。膝枕程度で軟弱なやつよ。
「切島ちゃん、強く体を打っていたけれど大丈夫かしら?」
「お、おうさ!それは大丈夫、だけど・・・・あ、あの、いや、なんていうか━━━━━おっ、おっしゃぁ!!轟ぃ!!もう一戦頼むぜぇぇぇぇ!!」
「あっ、行く前にせめて水分補給だけでもしていって。これ先輩方からの奢りだから、お礼も━━━」
「先輩方、あざぁぁぁぁぁす!!」
切島は梅雨ちゃんからスポーツドリンク貰うとその場で直ぐに飲み干し、のんびりしていた轟と二人の戦いを見ながらソワソワしてた天ちゃんパイセンも連れて、爆音鳴り響く戦場へと慌ただしく戻っていった。天ちゃんパイセンは戦いたくてソワソワしてた訳じゃないからお手柔らかにねー。聞こえてないだろうけどーー。がんばえーー紅白饅頭ーー。天ちゃんパイセーーン。
天ちゃんパイセンが望まぬまま爆撃地帯に巻き込まれて直ぐ。解放されし自由人、ねじれんが満面の笑みで近寄ってきた。果てしなく嫌な予感しかしないけど、あれを止めたりかわしたりするのは至難を極める。なのでさっさと諦め構えといた。さっ、ばっちこーい。
「ねぇねぇ!ニコりん!横から見てたけど、さっきの凄かった!ボールがビュンビュンって、まるで竜巻の中を飛んでるみたいにぐるぐるしてて!ニコりんの個性って引き寄せる個性でしょ!?どうして私みたいにぐいいーーんて動かせたの!?どうして?!」
「んーーー?あれは引き寄せの応用ですけど・・・説明すると割と面倒な感じになりますよ?本当に聞きます?」
「大丈夫!教えて!」
やってる事は大した事じゃない。
あれはある動作の反復でしかないから。
私の個性は正確には設定した対象を引き寄せる物ではなく、設定した対象二つを引き寄せ合わせる力だ。だから力が働いた時、質量の小さい方が一方的に引き寄せられてしまうし、質量が同等に近ければ対象二つが互いに引き寄せられる事になる。ただそれも例外があって、空間を座標においた場合のみ、対象としたもう一つの物が一方的に設定した座標へ引き寄せられる事になるのだ。ボールを自在に操ったのはそれの応用。一つの対象をボールに固定し、動かしたい場所をもう一つの対象として設定し引き寄せる。そうすればボールは指定した場所へ飛ぶ。やってる事はそれだけで、私はそれを繰り返しているだけに過ぎないのである。
「━━━ただですね、座標を対象にすると脳への負担が大きくなるみたいなんで、あまり質量の大きい物とかは・・・・」
「難しい話ね。でも、何となく分かったわ。私には分からないって事が!」
堂々と胸を張って理解を諦めたねじれん。
それはそれは良い顔で笑った。
頑張って説明した身としては徒労感がぱない。
「それよりねぇねぇ!もう一つ聞きたい事があるの!聞いてもいい!?」
「え?はぁ、別に良いですけど」
「緑谷さんって誰と付き合ってるの!?」
あまりに突然の意味不明な質問に、私の時が止まる。
こんな感覚いつ以来だろうか・・・・ちょっと、本気で、意味がワカランばい。誰とって誰と?
意味分からないねぇって同意が欲しくて隣のお茶子を見ると、真ん丸に見開いた目でガン見してきていた。なんなのその反応!?怖いんだけど!?はっ、梅雨ちゃんも見てる!?なに!?なんなの!?
「爆豪くんでしょ、轟くんでしょ、切島くんでしょ、尾白くんでしょ、眼鏡くんでしょ!私が見てただけでも凄く仲良くしてたもの。それで誰なの?」
「いやいや、指折り数えないで下さいよ。なんでその面子なんですか。私にも選ぶ権利があると思うんですけど」
「嫌なの?良いじゃない!爆豪くんも轟くんも格好いいもの!」
「早速三人脱落させられとる」
「というか、飯田ちゃんは名前すら覚えられてないのね。悲しいわ━━━」
「ねぇ、どうなの!?やっぱり爆豪くんなの!?」
呑気に話す二人の声を遮りねじれんがずいっと近寄ってくる。圧がぱない。
「ないです!ないですってば!かっちゃんはない!轟は・・・・まぁ、百万歩譲って考えたら優良物件な気はしないでもないですけど、レイちゃんは兎も角ハゲが親にいるしなぁ・・・・あれもなぁ・・・。でもかっちゃんはもっとないですよ。ドMでもなければあんなの選びませんってば。ちょっとした事で、すーぐ怒鳴ってくるんですよ?」
「でもでも、爆豪くんはきっとニコりんの事好きよ?ラブよ。あれよ、そう、ツンデレ!そうよ、きっとそう!だってニコりん以外にはドライだもの!間違いないわ!」
いや、ツンデレまでは分かるけど・・・・。
「ええぇぇぇ・・・・ないと思いますよ。友達とは思ってますけど・・・いや、だってですよ?バカとかアホとか平気で言ってきますよ?直ぐ怒鳴るし、暴力振るうし、昔から喧嘩売られるのも買うのもしょっちゅうだったんですから。その度殴りあいですよ、本気のグーの。自慢じゃないですけど、出会ってから今もずっとそんなですからね?そんな事あり得ます?」
「そういう愛情表現なのよ!きっと!」
「じゃぁ、余計にやですよ。いっ、やっ。私バカとかアホとか言われるより、普通に愛とか囁かれたいですもん」
「乙女ね、緑谷ちゃん。でも気持ちは分かるわ」
「愛、愛かぁ・・・爆豪くんは、いつになったら言えるんやろか・・・・うぅん・・・・・無理かなぁ」
かっちゃんが愛を囁く・・・・うひょぅわ!怖いっ!想像しただけでゾクゾクするぅ!怖い!下手なホラー映画より怖い!
「━━━━━っぐぅ!?」
「あっ、あれ!?爆豪くん!?急にどうしたの!?避けられたでしょ!?今のは!?」
「んっ、んでも、ねぇ、くそが・・・・!」
あっ、なんかやられてる。
来てからずっと戦い通しだし、流石に疲れが出てたかな?そろそろ交代かなぁ。
「それじゃ、そろそろ私も戻ろっかな?ねじれんパイセン、一回お願い出来ます?」
「勿論!私も一回ニコりんと戦って見たかったし!パイセンとして胸を貸しちゃうから、ドーンと全力で来て良いからね?」
「うぃーす、ドーンといきまーす」
かっちゃん達とバトンタッチして、私もまた訓練場へ。
それから暫く相手を交代しながら戦闘訓練を繰り返し、ガチムチのアドバイス聞いたり、休憩したりしていって八時前には片付けして解散の運びとなった。
流石に特別何が身に付く事はなかったけど、こういう物は日々の積み重ねが大事なので、結果を焦るつもりはない。その時が来るまでに、何か一つ身になれば良いのだ。実際少しは勉強にもなったし、装備の調整についても改善案を思い付いた。その上訓練で怪我もなしときたもんだ。いやぁ有能だね。努力家だね。━━━━だから、その努力と有能さを認めて内申点とかあげておいても良いんだよ?ガチムチ先生?テスト免除とかどうかなぁ?あっ、はい、駄目か。あー、はいはい。ですよねぇー。これ、包帯先生には内緒でお願いします。
寮に帰る途中、かっちゃんから「てめぇはドラマの見すぎだ、ボケ」と何故か罵られたので、「っせぇ!素人童貞が!!ヒーローニュースしか見ない輩が、イキッテんじゃねぇよ!」と返してやったら拳が飛んできた。
ほら!これですよ!これ!見ました!?奥さん!いやね、こんなのが未来のヒーローですのよ!怖いわぁ!私怖いわぁ~━━━━っぶな!ごらぁ!ご飯前とはいえ、ぼでぇ狙いは止めろ!出ちゃうでしょ!スポドリが出ちゃうでしょぉ!
おらぁ(マジパンチ)!!