私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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珍しく難しい話を聞いても寝ずに頑張ってるのに、そこの縮れたラーメン頭に被ったラッパーがイチャモンつけてくるんだけど、どうしたら正解だと思う?埋める?極める?やっぱり埋める?いや、削ごうか。の巻き

七三事務所の面々を中心とした協議は進み、今回の件に関わる情報共有は一先ず終了した。

集められた情報で分かった事は切島が手に入れたクスリの出所が、死穢八斎會と繋がりのある組織であった事。

更に死穢八斎會と繋がりのある別組織が関わった事件の中に、今回同様の効果をもたらす特殊弾の使用が確認された事━━━━━後はクスリの中に入ってた謎のDNAと、エリちゃんのDNAが一致した事とか。

 

えっ?何時の間にエリちゃんのDNAなんて用意したのって?黒豆パイセンの連絡待ってる間に済ませたよね。髪の毛とか爪とか諸々貰っておいた。何が役に立つか分からなかったけど、取り敢えず身元だけはハッキリさせておこうかなって━━━ていうかね、包帯グルグル巻きで病人服みたいなの着てて、明らかに不穏な空気が流してる子供だよ?頭撫でようとすると不自然なまでにびくつくし、親の話をしようとしたら震えるんだよ?そのままにする訳ないよね。勘を働かせるまでもなく、やれる事は全部やりましたとも(ニッコリ)。

 

本格的に七三の事務所にお世話になる事を決めてから、私は持ち得るそれを全部七三に渡しておいた。エリちゃんとの無線内容を記録したメモリースティックも含めて、全部。何とも言えない顔でこちらを見る七三事務所の面々が忘れられないござる。

・・・・まぁ、せっかく色々集めても、肝心の身元が分からなかったのは計算外だったけど。公的機関で個性の検査でも受けてれば、色々分かっただろうに。まさか出生届もないとか。

 

━━━とはいえ、私の提出した証拠品は結果的に調査を大きく進めたらしく、公的機関各所との連携も早くついて嘴の逮捕状やら何やらの準備も殆ど終わってるとの事だった。後は屋敷に逮捕状片手に突撃するだけなんだって。

ここに集まった面子も捜査協力ではなく、あくまで逮捕協力の呼び掛けで集まったヒーローなんだそうだ。

 

「突入の日時に関しては警察との最終調整を済ませてから決定的となりますが━━━━恐らくは二三日の間に行われるものとなります。その為の準備をお願いしたい。尚、今回の件の目標はオーバーホール『治崎廻』、及び違法薬物製造・売買関係者の逮捕ですが・・・・特殊弾の原料とされている可能性が高い『エリ』と呼ばれる少女の保護を優先事項として頭に入れて頂きたい」

 

そう七三が話し終えると鼻息荒く太っちょマンが立ち上がる。肩を回しながらフンフンする姿は、見るからにやる気満々といった感じだ。

 

「言われるまでもないわ!苦しんで泣いてる子助けんと何がヒーローや!!よっしゃ、ナイトアイ!!準備がてら飯食ってくるわ!!行くで、環、切島くん!」

「待てよ、ファットガム」

「おっ、なんや!ロックロック!お前もきたいんか!?ええで!!駅前んとこに知り合いの知り合いからオススメやっちゅーて聞いとるお好み焼き屋があんねん!一緒に行こやないか!!」

「ちげぇよ、本当に待て。肩を組むな、暑苦しい」

 

一瞬で組まれた腕を外し、今にもラップを歌い出しそうなファンキーラッパーがこちらを見てきた。ちょっと前にこのラッパー『私らがエリちゃん保護してれば終わりだったじゃん?なにしてん?』とかディスってきたので、碌でもない事を言う前に睨んでおいた。生え際を重点的に睨んでおいた。はげろっ、と念を込めながら。

効果の程は不明だけど、ラッパーは身体を震わせてから不思議そうな顔で辺りを見渡した後話始める。

 

「まぁ、薬物ばら撒いてる野郎の逮捕協力はするぜ。子供の保護に関しても賛成だ。けどよ、聞いてる感じだとその子ってのは若頭にとっちゃ隠しておきたかった"核"なんだろ?それが何らかのトラブルで外に出ちまってだ。あまつさえガキんちょヒーローに見られちまった。その上、そこのガキは余計に刺激までしちまってる」

 

ジロっと見られたのでそっと中指を立て━━━ようとした所、包帯先生の掌が私の手に覆い被さる。ちょっとドキっとしてると鈍い音と共に拳に激痛が走った。万力で締め付けられてるかのような鬼の如きその握力に、乙女の涙がちょちょぎれる。

 

「素直に本拠地に置いとくか?俺なら置かない。攻めいるにしてもその子が『いませんでした』じゃ話にならねぇぞ。何処にいるのか特定出来てんのか?まさか、そこのガキの発信器とやらを盲信して突っ込む訳じゃねぇよな」

「ロックロック、そないな意地の悪い言い方せんでもええやろ。資料見るなり、発信器はちゃんとしたもんや。これやったら誰が仕掛けてもちゃーんと使えるで。それに発信器は向こうさんも気づいとらんみたいやし、罠っちゅうこともないと思うで」

「遊びじゃねぇんだぞ。ファットガム。今回の件は取り逃せば被害は大きく拡大する。確実性が必要なんだよ。信用出来ねぇ情報で俺は動く気はねぇぞ」

 

ラッパーの言葉にドラゴン姐さんも頷いた。

 

「確かに。どうなのナイトアイ」

 

他の何人かもそれが気になってるのか七三に視線を向ける。七三は一瞬私を見てから、ヒーロー達へと視線を戻して口を開いた。

 

「既に八斎會と繋がりのある組織、及び八斎會の所有する物件について警察関係者に協力を扇ぎ監視を行っています。報告に間違いが無ければ、我が事務所の緑谷双虎が彼女の居場所を特定してから、八斎會が少女を移送させた可能性は限りなく低いと思われます。時間をこれ以上掛けすぎた場合どうなるか分かりませんが、現況では今も八斎會の屋敷にいる可能性が非常に高いと踏んでいます」

「おいおい"思われます"だ?そんな不確定なもんを信用しろ━━━」

「確かに懸念される事の可能性はゼロとは言えません。事実、一度八斎會には不審な動きはありました。確認した限りでは警察から少女の姿は無かったとの事でしたが、それでも方法がないとは言えない。手段を選ばなければ子供一人移動させるのは難しくはない━━━━ですが、私が調べてきた治崎という男ならば、重要人物ほど手元におく可能性が高い。そしてその治崎はまだ屋敷の中に身を置いている。私はそれこそが彼女の居場所を示す証拠だと思っています」

 

迷いのない七三の言葉にラッパーが口ごもる。

 

「これは私情や希望的観測ではなく一人のプロとして、これまでの情報を客観的視点から精査したプロファイリングです。信じて頂きたい」

 

そう言い切るとこれまで黙って聞いてたおハゲが鼻息を漏らし椅子にふんぞり返った。

 

「一人のプロとして、簡単に吐いて良い言葉ではないな。貴様の仕事ぶりに関しては話を聞いている。地味ながらそれなりに仕事は出来るそうだな・・・・その言葉に責任は持てるのだろうな。サーナイトアイ」

「今回の件においての責任は全て私が持ちます。協力を願えますか、エンデヴァー」

 

七三の言葉を聞いたおハゲは獰猛な笑みを浮かべた。

それはヒーローというより完全に悪党の顔。一言で言うならかっちゃんだった。ヒーローかどうかは別として、凄みだけならガチムチにも負けない迫力がある気がする。

 

「ふん、誰に物を言っている。是非もないわ。ヴィランは捕まえる。市民は救う。それがヒーローたる者の義務だろう」

 

そう吐き捨てる姿は中々様になっていた。

焚き付けられたヒーロー達もチラホラ見える。

パラッパラッパーもその一人で椅子の背もたれに寄り掛かって格好つけた笑みを浮かべてた。仕方ねぇか、とか言いそう。

 

「あんたにそう言われちゃ、仕方ねぇか・・・」

 

あっ、本当に言った。マジか。

映画の中でそこそこ活躍してからやられる主人公の仲間みたいな事言った。フラグじゃない、これ?

 

まぁ私としては、おハゲが轟の前で良い格好つけたかったのが透けて見えてアレだったんだけどね。轟は轟で、得体の知れないものを見る目でおハゲの事見てるしさ・・・・なんだろ。上手くいかないもんだなぁ。

まぁ、それもこれも、こんな親子関係を築いてきたおハゲが全面的に悪いとは思うんだけどもさ。あれから轟の雰囲気は随分変わったけど、この二人の間にある溝はまだまだ深いらしい。

 

「んーーーざまぁ」

「聞こえているぞ、緑谷双虎ぉ!!何がざまぁだ!!何が!!もう一度言ってみろぉ!!」

 

その言い方は原因知ってるやつじゃん。

心当たりあるなら聞かないで欲しい。

大人げって知ってるぅ?

 

ベロをチラ見せしておハゲを茶化してると、無言の内に放たれたアイアンクローが私を襲った。音もなく訪れた闇と痛みに、アイドルらしからぬ汚い悲鳴が漏れてしま━━━━━━つほぉぉぉぉ!?いたいっ!冗談じゃなく痛い!目がチカチカするぅぅぅぅぅぅ!!いたたたたたたたたたた!!かっちゃんタスケテ!!この先生暴力振るってくるぅ!!割と強めの!!へるぷぅぅぅぅ!

 

痛みからサンズリバーが瞼の裏側に映り始めた頃、包帯先生はなに食わぬ顔で七三に質問を始めた。七三の個性で予知して、引き出した未来の情報を元に対策しちゃおうぜ、らしい。

良い案のような気がしたけど、七三は何故か首を縦に振らなかった。

 

「・・・・出来ない」とか、なんとか。

 

それから七三の口から事情の説明があった。

長々と話されたそれをコンパクトにギュッとすると、人の死ぬ予知がトラウマだから本当にやばたんの時とか、本当に必要だと思った時とか、未来に絶対の自信がある時でないとやだぽんって事らしい。やだぽんなら仕方ない。私もやだぽんってなったら、意地でもやらないぽん。

 

そういう対応に思う所がない訳ではない。

だけどウダウダ期の轟と違って、七三はその辺りの覚悟はばっちりそうだし、なんやかんや個性の使い時まで間違える人にも思えなかったから放っておこうと思う。

何より、迂闊なツッコミ入れて私を掴まえて離さないアイアンクローがより強力になったら怖いしね。いい加減離して欲しいなぁ。包帯先生、もしかして協議終わるまでこれですか?あ、いえ、不都合はないです。全然、はい。もーまんたいです。ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

大まかな話が一通り終わると大人組は細かい調整なりなんなりするとの事で協議を続行。学生組は解放され、今後の作戦に関わるのかどうか、よく考えるようにと言われた。私は速攻で参加表明したけど、ドラゴン姐さんから何とも言えない顔で「よく考えてみて」と念を押して言われた。何故に。

あっ、あとアイアンクローからも解放された。

 

大人組の協議を終わるの待つ為、施設内のエントランスにあるテーブルで大人しく待機してるとお茶子達にエリちゃんの事を聞かれた。こうなった以上教えない理由もないのでインターンで出会った経緯、嘴まつげとの接触した事、ヤクザ屋さんの屋敷に単独潜入してエリちゃんとコンタクトとった事、その後七三と軽く喧嘩した事とかとかをさらっと話しておいた。

 

━━━そしたらお茶子、梅雨ちゃん、切島にマジで怒られた。その怒りようといったらなんのって。さながら飛び掛かろうとするライオンが如しで、テーブル越しなのに思わず身体を引くレベル。

 

「そりゃ、緑谷!お前が悪いわ!!ちゃんとサーナイトアイに謝ったか!?謝ってねぇだろ!合宿の時から思ってたけど、お前ちっとは爆豪のこととか考えろよ!」

「なんでニコちゃんは後先考えんの!!無鉄砲にも程があるやろ!!アホや、アホやと思ってたけど、大事な所ではちゃんとしとると思ってたのに・・・・ただのアホやないか!!アホぅ!」

「ケロっ、相手にその気が無かったから良かったけれど、一歩間違えれば街中で戦闘になっていた可能性もあったわ。一般の方への被害もそうだけど、緑谷ちゃんはもっと自分を大切にする事を覚えた方が良いと思うの。お友達としての提案よ」

 

世間話程度の気分で話したと言うのに、みんなの反応は思った以上であまりの剣幕にタピれない。折角時間潰しにささっと買ってきたのに、なんかストロー咥えるとお茶子にペシィってされる。やめて、叩かないで。あたい、タピりたいの。叩かないで。

 

パイセンズに助けを求めて視線を送るけど、優しげな視線を送るだけで何もしてこない。それでも見つめていたら黒豆パイセンからは良い笑顔を、ねじれんパイセンからはウインクを、天ちゃんパイセンからは小さい声で「ごめん」との謝罪を貰った。

はい、ポンコツスリーぃ。

 

それならばとかっちゃん達にも視線を送ったけど、こっちもこっちで呆れたような顔で見てくる。

でも目を潤ませて見つめ返せば重い溜息をつきながらだけど「ピーチクパーチク喧しいわ。ボケ共。こいつが馬鹿でアホなのは今に始まった事じゃねぇだろうが・・・あとクソ髪、てめぇは覚悟しとけ」、と相変わらずの口の悪さで間に割って入ってくれる。若干フォローなのかどうなのか怪しい感じだったけど、結果的にお茶子達が詰め寄るのを止めてくれたので良しとしといた。何故か命のカウントダウンが始まって震える切島はスルーしとく。

 

しかしいやはや、流石ツンデレマスター。やる時はやってくれるぜ。かっちゃんのそういう所、私は好きだぞ。さんきゅーかっつ!・・・それにしても、かっちゃんってば本当ちょろいよなぁ。こんなんで騙されるとか、ワキがショートケーキより甘いぜぇ。女の涙なんて大体嘘なのに。

ふぅ、仕方ない。いつか悪い女に引っ掛かりそうになったら教えてやるとしますか。幼馴染のよしみで。感謝しろ、かっちゃん。かっちゃんの未来は明るいぞ。私のお蔭で。

 

優しさを込めて笑顔を送ったら怪訝そうな顔で「今度は何企んでんだ、話せ馬鹿」との返しを頂いた。

なので、テーブルの下で脛蹴っ飛ばしてやる。

 

「━━━━っ、てめぇ、いきなり何しやがる・・・!」

「黙らっしゃい!思いやりに満ちた私の顔を見て、クソ失礼なこと言うからでしょーが!寧ろ!私のすんばらしぃ笑顔にケチつけて、この程度で済ませたことを感謝せよぉーーーー!」

「おまっ・・・・元はと言やぁ、てめぇが軽率な真似したからだろうが馬鹿が!いつになったら、てめぇの皺のねぇ脳みそは反省出来るようになんだ?ああん!?何かあったら連絡しろっつったよなぁ!!肝心な時に連絡しねぇのはどういうつもりだ!?覚えてねぇのか、このニワトリ頭が!!」

「なぬぅ!?皺の・・・ない、脳、みそ?・・・ニワトリ頭ぁぁぁぁぁ!?言わせておけば、爆発頭の素人童貞野郎!!」

「誰が素人童貞だ、ボケが!!」

 

それから暫くの間、かっちゃんと拳による心の対話を試みてると、協議を終えた包帯先生がやってきて包帯ぐるんぐるん巻きにされた上に吊るされるの刑に処された。大人しくしないと参加させてくれないというので、取り敢えず全力でかっちゃんに罪を擦り付け謝っておいた。

 

反省はしてます。後悔はしてないけど・・・あ、後悔もしてます。はい。でもまぁ、あれがこれでそれがそうだから、全部かっちゃんが悪いんですけどね!えぇ、でも一応というか・・・・・あっ、はい。いえ、何でもありません。反省してます。本気の殴り合いの喧嘩ダメ、絶対。

 





ふたにゃんVSかっちゃんのBGM達

ととろき「素人、童貞・・・・?そういや、前にも聞いたな。素人、童貞・・・ん?童貞の素人?どういう意味だ」
もちゃこ「轟くん、そこは注目する所ちゃうと思うなぁ」

けろちゃん「・・・切島ちゃん、素人童貞ってなんなの?緑谷ちゃんがたまに言うけれど」
切島「えっ!?あっ、いや、その、なんて、いうか、一応、お、男になった、ていうか・・・・?天喰先輩!!」



天ちゃん「えっ、お、俺・・・?!いや、俺は・・・ミリオ」
ボブ「よし、任せろ環!素人童貞っていうのは━━━」
ねじれん「ねぇねぇ、何だか緑谷さんの見てたら私もタピりたくなってきちゃった!買いにいきましょ!」


おわりぃぃぃぃぃ!!!
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