私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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ちょっと外伝っぽい、かなぁ。でも仕方なし。


だから、閑話はしないんだっていってるでしょ!!え?じゃぁこれは何かって?━━━閑話だね!な閑話の巻き

あの日、オールマイトから聞いていた。

 

あいつの話。

 

あいつが何に巻き込まれつつあるのかって、そういう話。

 

 

 

 

オールマイトは言っていた。

あいつの人柄を見て、ヒーローになれる人間だと見いだした事を。

そしてその為に一般入試を受けられるように推薦し、雄英へと導いた事を。

 

そしてそのせいで、オールマイトを恨むヴィランに目をつけられた可能性が高い事を。

 

 

 

 

ふざけるな。

そう思った。

 

 

「あいつに、背負わせるなよ!!」

 

 

あの時思わず叫んだ言葉は、本心だった。

 

 

誰よりもあいつを側で見てきたから分かるんだよ。

駄目なんだ、あいつに、そういう事をさせるのだけは。

あいつは馬鹿なんだ。

 

本当の馬鹿なんだからよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「爆豪!!」

 

 

ムシャクシャしながら敵をぶっ潰してると、同じ所に飛ばされてきたクソ髪野郎が声を掛けてきた。

様子を見るために振り返れば、クソ髪野郎に任せておいた敵が全員地面に倒れているのが見えた。

 

「こっちは終わったぜっ!そっちも大丈夫だよな?よし、なら早く皆を助けに行こうぜ!俺らがここにいることからして、皆USJ内にいるだろうし!攻撃手段がすくねぇ奴等が心配だ!」

 

クソ髪は考えが馬鹿だが、頭は悪くねぇ。

モヤ野郎の発言も考慮してUSJ内に他の奴等がいると判断してるんだろう。

だが、その言葉には頷く訳にはいかねぇ。

 

「行きてぇなら、一人で行け。俺はあいつを探す━━」

「はぁ!!?」

 

糞髪を無視して行こうとしだが、肩を掴まれた。

 

「無理だろ!!いや、お前らが仲良いのは知ってるけどよ?!一人探す為にこのバカデカイ施設駆けずり回るのは利口じゃねぇーよ!それよか近くにいる奴等一人でも助けていって━━━」

「それじゃ、遅ぇんだよ!!」

「━━━っ、お、おう」

 

恐らくそれだと間に合わねぇ。

あいつは間違いなく、逃げねぇから。

あの時なら、黒モヤに散らされる前ならまだ、その可能性もあったんだが・・・。

 

俺様は一度深呼吸し気持ちを落ちつかせてから、クソ髪に説明してやった。

 

「━━━倒せるかどうかは問題じゃねぇ。元々オールマイトを殺しにきた連中だ。なら、黒モヤは俺達の分断の役割があったとして、それ以外は?各エリアに配置されたヴィランは生徒に相手させる為の連中。捨て駒。なら広場に、あそこに現れた連中は?最初にあそこでオールマイトに鉢合わせるつもりだったなら、あそこにヴィラン共の最高戦力が置かれてるのは間違いねぇ。クソ担任が一番危ねぇ所にいんだよ」

「マジかよ!相澤先生がか!━━━って、待てよ。さっきの探しにいくあいつって緑谷の事だろ?なんで相澤先生の話になんだ?」

「あの馬鹿女が、そういう所に飛び込んでいく大馬鹿だからだ」

「マジかよ」

 

昔からそうだ。死ぬほど間が悪い。

そして、いつもそういう面倒事に首を突っ込む。

何かと理由をつけて、軽口叩いて。

 

クソムカつく、そういう奴なんだよ。

 

 

 

「つーか」

 

 

俺様は背後から忍び寄る気配に鷲掴みにし、地面に叩きつけながら爆破する。

 

「俺ら生徒に充てられてんのがこんな三下なら、大概大丈夫だろ」

 

意識が途切れたヴィランを適当に捨てると、クソ髪の視線が気になった。

 

「お、う、なんかよ、爆豪ってそんな感じだったっけ?冷静つーか。・・もっとこう『ぶっ殺すぞ!』とか『あんだこらー!』みたいな爆発してる感じっつーか」

「んだとコラっ!!ブッ飛ばすぞクソ髪野郎!!」

「ああ、それだ!しっくりくる」

 

うんうんと納得するような仕草をするクソ髪に苛つく。

こいつと関わってるとリズムが崩れて仕方ない。

普通の奴は距離をとろうとするのに、こいつは、まるであいつのように近くにあろうとしやがる。

 

「分かったなら、好きに動きやがれ。俺はクソ担任が行った広場に向かう」

「・・・いや、決めた。俺はおめぇと行くぞ!爆豪!あそこに一番やべぇ奴がいるなら、相澤先生と協力してぶっ倒してやろうぜ。その方が皆の助けになる気がするしよ!!」

「ちっ、勝手にしやがれ」

 

壊れた籠手を捨て、残った籠手の調子を見る。

壊れている所は見受けられない。

 

「・・・一発はいけるか」

 

補習時に試し撃ちした、アレ。

威力は高いがその分溜めが長く撃てるようになるまで時間が掛かりすぎる事が難点ではあるが、今回のような連戦では話は別だ。

 

正に必殺の一撃。

 

撃ち時は見極めなきゃならねぇ。

 

 

 

「━━飛ばすぞ、ついて来れなかったら置いてくぞ。クソ髪野郎」

「おうよ!行こうぜ爆豪!!お姫さまを助けによ!!」

「ぶっっっっっ殺すぞ、てめぇぇぇ!!」

「わ、悪かったって!!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「━━━い」

 

 

 

「━━━━━━生」

 

 

 

 

「━━━━相澤先生!!」

 

 

 

ぼやけていた視界が晴れた。

 

「━━━んだ?」

 

ぼんやりとした意識のまま体を起こせば、痛みが走った。気を失う前、ヴィランと交戦していた事をなんとなしに思い出す。

自分の周りに見慣れた生徒の姿があった。

 

「━━蛙吹、峰田。お前ら、無事か?」

 

見かけから怪我は無いように見えたが、油断は出来ない。服についた汚れや傷を見れば、ヴィランと交戦したのは明らかだからだ。個性によっては、掠り傷でも致命傷になる事もある。

 

「けろっ。大丈夫です、相澤先生。私も峰田ちゃんも怪我はありません」

「それより!先生!緑谷がっ!!」

 

その名前を聞いてあの光景が甦った。

どうして忘れていられたのかと、己が信じられない。

━━━が、動揺してる時間はない。気を失っていたなら、あれから時間が経過している。少なくない時間、緑谷にあいつらの相手をさせた事になる。

 

「蛙吹、落ち着いて話せ。緑谷は今なにをしてる。ここはどれだけあの場所から離れてる」

「み、緑谷ちゃんは、今、相澤先生を殴った黒いヴィランと白髪頭のヴィランと立ち回ってます。今の所は上手くやってると。ば、場所は━━」

 

「そこの茂みを抜けた先っ!!やべぇんだよ!緑谷が!!」

 

USJの地形の大体は頭に入ってる。

周囲を軽く見れば、先程の交戦場所と五十メートルと離れていない事を直ぐに理解出来た。

 

右手を動かそうとしたが反応が鈍い。

左手はまともに動く、足も問題ない。体に走るうっすらとした痛みと、気だるさはどうしようもないが、動けない訳ではない。

 

後は意識か。

 

未だはっきりしない頭を動かす為、強制的に働いて貰う事にした。

 

 

「相澤先生!?」

「うわっ!?」

 

へし折った右の薬指から激痛が走る。

お陰で目が冴えてきた。

 

「気付けだ、気にするな。それに、どうせまともに動かない腕だ」

 

心配する二人にそう伝え、折れた指を包帯で軽く縛る。

本格的な治療は全部が片付いてからゆっくりやれば良い。間に合わせで十分過ぎる。

 

それよりも先にやることがある。

 

足に力を入れて立ち上がるが、予想以上に重い。

走れないとは言わないが、長時間の戦闘はまず不可能だと理解する。

そして動くと思っていた左腕。

改めて動かすと、違和感が大きい。本来の半分の握力も感じない。

 

「ざまぁ、ないな。これは」

 

助けにいく?

 

これで?

 

不可能だ。

 

嫌でも理解してしまう。

最早、助けに駆けつけていく事すらままならないという、情けない現状を。

 

その時、ふと二人の生徒に目がいった。

 

二人の持つ個性を思い出し。

そして、可能性の一つを思い付く。

 

 

「・・・お前らに少し頼みたい事がある。これは強制じゃ━━━」

 

 

「私、やります!!」

「緑谷の事だろ!?やるよ!だから、先生!!」

 

 

涙目で訴えてくる子供達に、心から守りきれなかった事を悔いる。━━が、今は感傷に浸っている時間はない。

 

「峰田、俺の捕縛布に、お前の個性で黒団子をつけろ。兎に角ありったけ頼む」

「そ、それは良いけど、そこら中にくっつくんじゃ・・・」

「この先の所だけでいい。お前のそれはお前自身には付かないんだったな?なら出来るだけ布と布がくっつかないように持っててくれ」

「出来るだけ・・・。わ、わかりました!」

 

 

「蛙吹、お前の舌は人を投げられる程度には強度があったな?俺ならどれだけの距離を投げられる」

「けろっ。そんなに強力ではないです。でも、先生だったら十メートル以上はいけると思います。あのそういう事ですか・・・?」

「ああ。そういう事だ」

 

 

蛙吹の理解の早さは助かる。

 

「でも、先生の体が・・・」

「プロになれば、こういう場面は幾らでもある。気にするな」

 

そう言葉を掛けたが顔は依然曇ったままだった。

慰めの言葉を知っていれば良かったのだが、生憎とそういうのは専門外だ。

 

「・・・まぁ、なんだ」

「けろ?」

「気にするなってのは、無理があったな。怪我人を送り出すのに、なんの抵抗も覚えない方が問題だ。━━けどな、聞いてくれ。俺は君らのヒーローとして先輩で、君らに未来を示す義務のある教師だ。その教師が働かないで、生徒が働いてる。それはおかしい事だろ。違うか?」

「それは、そうです。でも・・・」

「何一つ間違ってなんかいない。蛙吹、お前のいまの葛藤は正しい。だから、その上で頼まれて欲しい。俺に緑谷を助けさせてくれ。あいつも君らと同じ、俺が守らなきゃいけない生徒の一人なんだよ」

 

そう、頭を撫でると小さく蛙吹は頷いた。

 

「ありがとうな、蛙吹」

 

こいつはいつか立派なヒーローになる。

こういう葛藤を抱くのは、優しいからだ。

優し過ぎる気がしないでもないが、それでも俺の言葉に頷けたのなら不足はない。

 

 

「先生!こっちは付け終わったぜ!!」

 

峰田から準備が出来た事を聞き、俺は蛙吹を見た。

そこにあったのは決意に満ちた瞳。

上出来だ。

 

「相澤先生、いくわ!!」

 

ぐんっ、と体が引かれる。

 

「峰田!捕縛布はギリギリまで持ってろ!!いいな!!」

「まっ、ま、任せろってんだっ!!」

 

こいつも、少し変わった。

数日前とは少しだけ。

それも、良い方向に。

 

 

 

 

 

一際強く引かれた直後、蛙吹の舌から投げ出された。

速度はそこまで速くは無いが、その分高さがある。

茂みを悠々と越える高い位置。俯瞰的に緑谷と交戦する黒いヴィランの姿をその目に捉える。

 

このまま飛べば恐らく20メートル程は接近する事が出来る。が、ただのんびりと飛ぶつもりはない。黒いヴィランによって緑谷が跳ねる姿を見たからだ。

 

左手に渾身の力を込めて、黒いヴィランとその反対方向に向けて捕縛布を投げる。先に余計な物がついてるせいでコントロールにズレが生じるが、それも誤差の範囲。

 

頭にあたる投げた布は黒いヴィランの体に付着していき、反対方向に飛ばした尻にあたる布は地面へと張り付く。

 

上手いこと地面に縫い付ける事が出来たが、オールマイト並みの力に捕縛など役には立たない。峰田の個性の吸着力が予想より強力であったが、布の強度が持ちそうにない。

稼げる時間はほんの僅か。

 

だが、それだけあればいい。

 

飛ばされた勢いを殺さずに着地し、そのまま緑谷に向かって全力で駆ける。普段なら一息で辿り着ける距離が遠い。

 

ブチブチと、背後から布の引きちぎれる音が聞こえる。

もって、あと一呼吸━━━━━━━

 

 

 

 

「クソ担任!!!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

広場に駆けつけると、倒れた馬鹿女とクソ担任の姿が見えた。

 

その後ろにいる、黒い脳みそヴィランも。

 

 

籠手のアレで吹き飛ばそうと声を掛けようとしたが、違和感を覚えた。

 

 

黒い脳みそヴィランの体にまとわりつく、クソ担任の捕縛布が引きちぎれ掛かっている様子。

 

そのヴィランのズボンについた焼け焦げた跡。━━にも関わらず無傷のその体。

 

鼻に突き刺さる焼け焦げた肉の臭い。

 

 

 

そして、それらを統合して生まれた疑念。

 

 

 

馬鹿女は、双虎は、死ぬほど馬鹿だが、何も考えない馬鹿じゃない。

余計な事に首は突っ込むが、勝てない戦いは絶対にしない。

 

なら、勝ち筋があった筈だ。

捕縛布を引きちぎるパワーと、双虎の炎を受けてもピンピンしていられるこいつに対して。

 

「爆豪!はぇぇよ!敵はっ!?」

 

耳に届いた声に、俺は辺りに視線を飛ばした。

直ぐに目に入った。

 

 

そいつらの姿が。

 

 

 

「クソ担任!!」

 

 

 

籠手を構えて声をあげれば、クソ担任と目が合った。

そして同時に、視線がそこへと向いた。

 

 

「おいっ、爆豪!!そっちじゃ━━━」

「うるせぇ!黙ってろ!!!」

 

 

籠手を構えピンを引き抜く。

瞬間、肩に走る衝撃と共に、爆炎がうねりをあげて走った。

 

 

「━━━っ」

 

 

爆風が吹き荒れる。

爆音と共に埃が舞い、煙が立ち上る。

 

埃が晴れた先に、黒い脳みそヴィランと黒モヤ野郎と、おかしな白髪頭の姿があった。

黒い脳みそヴィランが一番ダメージを受けているように見える。その後ろに守られている二人も、動きの鈍さから何かしらダメージがあったことが分かる。

動きが鈍くなったのを確認し、直ぐ様盾になれそうなそいつに声を掛けた。

 

「クソ髪!!馬鹿女の前に立て!!」

「お、おう!てか、素直じゃねぇーな!」

 

黒モヤがいることで防げた筈だろうが、生憎こっちにはクソ担任がいた。

個性を消した状態なら、あれを防ぐ手立てはない。

たとえ盾が割り込んだとしても、爆炎は体を傷めつける。ざまぁねぇ。

 

 

ヴィランのクソ共の様子を見ていると、白髪頭の目が合ったあった。ドブ川みてぇな目をした、クソヴィランだ。

 

「最近のガキはみんなこうなのかよ・・・」

 

ちいせえ声にウンザリする。

クソガキかよ。

 

 

 

 

「うっせぇよ、クソ手マン野郎が!!黙って死んでろカスっ!!」

 

「お前ら、本当に死ねよ・・・!!」

 

お前が死ねよ、こらぁ!!

 

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