私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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おまっ、こんなんばっかり書きよってからに。
もうあれやで、疲れんねんて。きっと(*´ω`*)


お祭りとかの準備してる時間って何気好きだよね。下手したら本番より好きだよね・・・・いや、嘘だけど。私は本番しか張りきらないタイプの人間ですけど。天然お祭り女ですけど!の巻き

残酷な堕天使のテーゼ的な補習に一区切りついた頃。

今頃皆で和気あいあいしながら文化祭のこと決めてんだろーなぁーとやさぐれていたら、包帯先生が私達にある事を報告してきた。

 

私の心の妹、エリちゃんの事だ。

 

「会いたがってる?えっ、言われなくても今度の休みに行きますけど」

 

私の言葉を聞いた包帯先生は「だろうとは思っていたが」と溜息をつく。いきなりなんじゃろかと詳しく聞けば、エリちゃんのお世話してる看護師の人達からエリちゃんが私達の話を良くしてるのを聞いたそうだ。嬉しいね、楽しみにしてくれてんのか。ふむふむ。

 

「今週末にまた様子を見に行くつもりだったんでな、お前達の予定を聞くつもりだったんだが・・・・聞くまでもなかったか」

「えっ、その感じだと、包帯先生もまた来るんですか?なんで?」

「エリちゃんの精神状態が大分安定したんでな、個性についてちょっとした検査をする事になった。俺はその立ち会いだ。安定してきてるとはいえ、彼女の個性は未だに分からない事が多い。何を切っ掛けに暴走しないとも言い切れないからな。当然お前達の面会にも立ち会う・・・・俺が行くと何か問題でもあるのか。緑谷」

 

ジロリと睨まれ、私は反射的に敬礼を返した。

背筋を真っ直ぐ伸ばし、胸を張りながら額へ掌を翳す私の美しい立ち姿に、流石の包帯先生も感心したような━━━━なんでまた溜息なんですくぅあ!!なんでなん!ねぇ、お茶子ぉ!ね!・・・・お願いだからこっち見て。梅雨ちゃんも。ねぇ、ねぇってば!

 

「━━━━まぁ、それはそうとエリちゃんの外出とかって駄目ですか?動物園デート行きたいんですけど」

 

ふと思い付いたそれを口にしてみたら、何故か包帯先生は首を傾げた。「エリちゃんの外出なら、条件付きでなら許可は降りるだろうが・・・」とかぼやいて、心底不思議そうな顔をする。こっちとしては、それが聞けたらもう十分なんだけど?なに?なんなの?包帯先生なんなのん?

 

「?動物園、デート?爆豪とか?好きなだけ行ってこい。休みの日であり、節度を守って付き合ってる以上、俺はプライベートの事に口出すつもりはない」

 

急に吐かれた珍妙奇天烈にして不可思議で奇々怪々な言葉に、他の補習組がガタリと音を立てて身を乗り出す。そこまでは気持ちがわかる。だって私も『ふぁっ!?』ってなったから。けれど、その後の光景が理解出来なくて、私は驚くより首を傾げた。

なんか全員の視線が私とかっちゃんを交互に見つめてくるのだ。あの轟まで珍しく目を見開いてこっち見てくる。完全に疑いの眼差しで。

 

なんなの、君ら・・・なに?疑ってるの?馬鹿じゃないの?んな訳ないでしょーがぁ!まかり間違ってもかっちゃんと付き合ってたまるかぁ!!

私は男の趣味悪くないぃ!私は優しくて、思いやりがあって、お金持ってて、落ち着いてて、やりたい事やらせてくれて、遊びたい時に遊んでくれて、基本的に奢ってくれる素敵なジェントルマンが好きなんじゃぃぃ!!基本ぶちギレてる男はいやなんじゃぁぁぁぁ!!あぁぁぁぁぁ、あの変な夢を思い出す!!あの悪夢が、悪夢がぁぁぁぁぁ!!勘弁してよぉぉぉ!!違うんだよぉぉぉぉ!!

 

「くにょぉぉぉぉ!何でそーなるの!エリちゃんと、に決まってるでしょーが!エリちゃんと、デートですぅー!何が悲しくて、かっちゃんとしないといけないんですか!そりゃ、焼き肉とかお寿司とかバイキング奢ってくれるっていうなら、ちょっとは考えますけどね!あとは服とか買ってくれるとか!?それはね!ちょっとはね!考えますけどね!?」

「・・・・そうか。まぁ、俺には男女の事は分からんから好きにしろ。まかり間違っても節度だけは守れ。俺が言いたいのはそれだけだ」

「間違いまぁぁせぇぇんんんん!かっちゃんとデートするくらいなら、とど━━━━━」

 

思わず勢いで言い掛けたが、ビビっと何が背中へと刺さってきて言葉が止まる。チクチクするような感覚を味わいながらそっと振り向けば、無表情のまま目だけはギラギラさせる轟がいた。その隣には鬼のような形相をしたかっちゃんも。

 

なので、そのまま視線を逸らして切島を見る。

 

「━━━切島、あんたが全部奢るなら、一日だけデートしてやっても良いよ。今だけ特別」

「んな最低最悪な罰ゲーム、こっちから願い下げだわ」

「なんだとこの野郎」

 

この天才無敵で史上最上の美少女である双虎ちゃんとデート出来るんなら、銀行口座全額捧げるくらい訳ないでしょうがぁ!寧ろ奢るだけで、一生分の幸せを消費しても叶う事がない私とのデートが可能なのに!?それをこやつ、ふりおっただと!?正気かな!?

 

「何が気に入らない!恐れおおいからかな!?」

「あーーー・・・・うん。まぁ、そんな所だな。俺と緑谷とじゃ釣り合わねーよ。うん。恐れおおい、恐れおおいなぁーー。だからあっち向け。頼むから。本当、お願いだから」

「大丈夫だって、そんな心配しなくてもぉー。切島そこそこ良い男だから、私とデートとしたくらいじゃ『後であいつの下駄箱に不幸の手紙いれとこうぜ』『俺画ビョウいれるわ』とかって言われて悪戯されるくらいだって。あはははー」

「それはそれで地味に嫌なんだが・・・・つーかな、多分それだけじゃ済まねえから。もっと酷い目に遭うから。目に見えてもう最悪だから。兎に角、ノーだ。ノー、絶対ノー」

 

なんやかんや結局断られてしまった。

なんか、地味に傷つくんだが・・・・・いやまぁ、良いか。切島だし。

 

「緑谷、いま━━━━」

「!?━━━━あーーっ!!包帯先生ぇっ!!それでエリちゃんとのデートの件なんですけどぉ!!」

 

急に耳が悪くなった私は聞こえたような聞こえなかったようなその声を華麗にスルー。大分逸れた話をぐるっと戻して、もう一度エリちゃんとの動物園デートについて包帯先生に確認を取ってみた。すると確認を取ってみない事には何とも言えないが、不特定多数の人間が集まる所は難しいだろうとの事。

ただし、雄英高校の敷地内であれば包帯先生もいるので散歩とか遊ぶくらいは許可するとか。

 

「えええぇぇぇぇーーー何ですか、遊具とかありましたっけ?」

「遊具はないな。高校を何だと思ってる」

「ていうかーそもそもー、あっちからこっちまで来るのに電車とかじゃないんですかー?だったら別に大丈夫じゃないですかー?ネズミー王国行ってもー」

「動物園だろう、お前が行きたいのは。それは遊園地だ。兎に角、そういったレジャー施設は諦めろ。彼女の個性についてもう少し詳しく分かれば話は変わるが、現状は何処にでもという訳にはいかない。良いな」

 

頭カタカタさんだよぉーとブーイングした所で、ふとそれを思い付いた。

 

「文化祭とかって、エリちゃん呼んだら駄目系ですか?」

「エリちゃんをか?それは・・・・んん」

 

何もない学校に呼ぶのはあれだけど、遊ぶ場所があるなら話は別。何と言っても国内最難関の名門高校の文化祭だ。出し物一つとってもレベルが高い筈。発目達のサポート科なんてぶっ飛んだ展示とか出し物やりそうだし、経営科とかも良い企画立ち上げそう。普通科だって基本頭良い連中の集まりな訳だし、それなりに期待も出来る。

包帯先生がいる事で非常時にも対応出来るし、雄英のセキュリティ内ならある程度は安全だしで、エリちゃんとノビノビ遊ぶには持ってこいの場所ではないか。

ひゃっほー。

 

そう思って聞いてみると、包帯先生は少し考えた後で「校長に話はしておく」と言ってくれた。

包帯先生の予想では恐らく許可が降りるだろうと言うので、病院に電話してエリちゃんに教えてあげようとしたら止められた。外堀を埋めようとするなとの事。

流石、包帯先生ぇ!私のこと分かってらっしゃ━━━━いたたたたたたたたたたたたたたたた!!アイアンクローはらめぇぇぇぇぇぇ!!脳汁出ちゃうぅー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、バンドすんの?マジで?」

 

補習に精神力を削られ、アイアンクローで痛めつけられたその日の夜。

部屋で筋トレしてると耳郎ちゃんが部屋にやってきた。

ダンベルしながら話を聞くと、文化祭のうちのクラスの出し物がバンド演奏とダンスホールを合体させた・・・なんかよく分からないんだけど、そんなんやる事が決まったそうで、一番音楽経験のある耳郎ちゃん中心に色々とやるみたい。

 

成る程なーって思ってると、耳郎ちゃんが「だからね」と続けた。

 

「ボーカルやりたがってたでしょ?緑谷の歌唱力ならボーカルやるにも十分だし、その頼めないかなって・・・・」

「ふーーむ、成る程。CDは?」

「出さないよ。アホ」

 

悪い話ではない。ないけれど・・・・むむぅー。

取り敢えずお客さんの耳郎ちゃんにココアを出してあげて改めて詳しい話を聞いた。曲の内容については未定。ダンスの内容にも関わってくる事だから、そこら辺はあしどんと相談した上でクラスの皆の意見を聞きつつ決めるそうで、好きな曲を歌える訳ではないそうだ。ちょっとテンション下がった。

あと他科への貢献を一番に考えるとか言われて、もっとテンション下がった。

 

「成る程ねー・・・・・あぁー・・・・んんー・・・・遠慮しても良い?ちょっとねぇー」

「いやまぁ、無理にやって貰うつもりはないし、あんたが駄目なら明日皆で決めるから良いよ」

「ん?耳郎ちゃんがやるんでしょ?」

「えっ」

 

私の言葉に耳郎ちゃんが驚いた顔をした。

 

「ん?だって、他のメンツでメインボーカルなんて出来るやついる?男連中は知らないけど、女子だと耳郎ちゃんが一番じゃん」

「そ、んな、事はないと思うけど」

「そんな事あるでしょ。えきぽんのチケット、何で皆から奪いさったのさユー」

 

あの激闘を思い出しながら指摘してあげると、耳郎ちゃんは顔を赤くする。覚えも自覚もあるらしい。

 

「あっ、あれは・・・・でも、芦戸とかさ」

「あしどんはダンスの指揮取るんでしょ?やってる時間なくない?葉隠はあれでいてボーカルとか立候補するタイプじゃないし、お茶子も梅雨ちゃんもやらないでしょ?百は頼めばやってくれるとは思うけど、今回の趣旨的に耳郎ちゃんのこと推薦すると思うよ?」

 

男連中がやるのもありだろうけど、何となく耳郎ちゃんレベルで上手いやついない気がするんだよねぇ。前に男連中のカラオケボックスに乗り込んだ時あるけど、少なくともあそこにいた連中は普通だった。ボーカルやるだけのパワーはない。

かっちゃんとかは上手いけど、そういうのは面倒臭がるだろうし。他のメンツもなぁ・・・・ちょっとなぁ、期待出来ないかなぁ。トコトコの魔王はある意味パワーあったけど。

 

「まぁ、消去法というか何というか、一番上手いのは耳郎ちゃんな訳だしボーカルやりなよ。他科への貢献だとか難しい事考えてるなら、余計に一番良いものを出すべきだろうしさ。で、何歌うの?」

「~~~~っ、あんたといい上鳴といい口田といいさ、人の気も知らないで、もぅ・・・・一応、何曲かは考えてるけど」

 

何のかんのと色々用意してたらしい耳郎ちゃんがテーブルの上に持ってきた手提げ袋を置く。

そこから出てくる何枚ものCDケース。候補だ、といったそれは全部で二十枚もあった。やる気が迸ってる。

 

「やる気満々マンじゃん」

「だっ、だって、皆そういうの詳しくないって言うから・・・・それに引き受けちゃった以上、手を抜く訳にもいかないじゃんか」

 

頬を赤くさせながら照れ臭そうに言う耳郎ちゃんの姿があんまりにも可愛かったので、当然の礼儀として撫でくり回させて頂いた。一も二もなく、即行で剥がされたけど。シャーーってされた。

 

「で、どの辺りやるつもりなん?」

「ん?あぁ、えっとね、最初はさニューレイブ系のクラブロック辺りEDMで回そうかと思ってたの。芦戸ががっつり踊りたいって言ってたから、この辺りのやつ。だけどさ、なんか皆の話聞いてると、楽器やる気みたいな空気だからさ、ちょっと抑え目の━━━」

「えっ?ニュースレンコン系の?蟹の石が?EDで何だって?」

「いや、どうしたらそう聞こえんの」

 

それから暫く、耳郎ちゃんから相談という名の知識の暴力を受ける事になった。主に音楽の知識の暴力を受けた。ふるぼっこだった。

助けてぇぇぇぇぇ、かっちゃんんんんん!!楽器習ってたでしょ!!ついてけないよぉ、今すぐ部屋にきてぇぇぇぇ!!隣でそっとフォローしてぇぇぇぇ、寝ないでぇぇぇぇ!


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