私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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あああああああ!!お外に行きたいんだなぁもぅぅぅぅぅぅ!!(更新遅れてごめんね)


良くも悪くも世の中変わる物があれば、変わらない物もあるし、変われない物もある。まぁ、私の可愛さは最初から最強で不変だけどね。の巻き

熱狂の渦の中、無事にA組の出し物が終わった後。

氷やら何やらの片付けに勤しんでいると、黒豆パイセンと目が凄いキラキラしたエリちゃんがやったきた。

 

「やぁーオツカレー!」

「ふたこさん!」

 

元気な声に「お?」とか思っていると、エリちゃんは黒豆パイセンの手を離してこっちに駆けてきた。

手に持ってた氷入りのタライをドンマイに投げ渡し、両手を広げてスタンバイすれば、エリちゃんがタックル気味に私の胸に飛び込んでくる。

 

「どうどう、凄いテンション高いね!どったの!」

 

顔を覗き込んでそう言えば、エリちゃんは手をバタバタさせながら笑顔で口を開いてくれる。

 

「あのね!最初は大きな音でこわくて、でもダンスでピョンピョンなってね!ピカッてなって!ぶわぁって冷たくなって!またピカピカーってしてね!そしたら、静かになって、でもふたこさんがキラキラーーってきて、女の人がわーってなって!わぁぁぁって言っちゃった!」

「そっか、そっかー。喜んで貰えて良かったよ。どう、カッコ良かった?」

「ううん、きれいだったよ!!」

 

エリちゃんの真似して手をバタつかせる黒豆パイセンを無視して、嬉しい事を言ってくれた腕の中にいる可愛い生物をぎゅーってしてあげる。エリちゃんは照れたように笑って、ぎゅーっとお返ししてくれた。そう、照れたように笑って、笑ってだ。

はぁぁぁぁぁ!!かわえええぇぇぇぇぇ!なにこれ、可愛ぇ!!舞台の上からでも笑ってるのは見えてたけど、側で見るとまた違うね!なんかキラキラしてるもん!キャワイイ!はぁ、もうこれはお持ち帰りかなぁ。お持ち帰りしないと、寧ろ失礼になっちゃうなぁぁ!━━━え?駄目?何言ってるんですか!もう!冗談ですよ、パイセン!じょーだーん・・・・ちっ。

 

「おーい、いつまで油売ってんだよー」

 

エリちゃんとイチャイチャしてると、ドンマイが不満げな顔で声を掛けてきた。手には氷が満載のタライが二段。二段目は私が渡したやつだ。投げといて何だけど、よくキャッチしたな。結構重かったのに。中々どうしてやりおるわ。

 

「ちゃんと鍛えてるようで何よりじゃ。うんうん。これならば、体育祭の時みたいに紅白饅頭に瞬殺もされぬじゃろうて。ドンマイの名もいよいよ返上じゃな、ほほほ・・・じゃ、そのまま職務に戻りたまえ」

「いや、お前も戻りたまえよ。なにちゃっかり抜けようとしてんだ。あと、勝手に師匠になるな」

 

なにおう?生意気にぃ・・・・今度の戦闘訓練でまたボコったろうかぁーああん?

 

まぁしかしだ、抜けるのは仕方なかろうて。

なにせ私には大事な使命があるのでね。

そうっ!お客さんであるエリちゃんの接待及び護衛という、何よりも大事な仕事がね!!

 

ドヤっ、と抱えたエリちゃんを見せつけながらアイコンタクトしてやれば、ドンマイは文句も言えず「ぐぬぬ」と唸る。"勝ったな!"そう確信したその時、腕の中のエリちゃんが服を引っ張ってきた。どうしたのかと視線を落とすとエリちゃんが何か言いたげな顔してる。

 

「?どうしたの?」

「あのね、わ、私もお片付け、お手伝いする」

 

なんっ、だと・・・!

あまりの突然な裏切りの言葉に、思わずアイドルもかくもやなエンジェルスマイルが崩れそうになる━━━が、そこは天才的パーフェクト美少女双虎にゃん。ここでしょんぼりんさせる訳にはいかぬぅ!と有り余る乙女力をフルパワー発動させ、ひきつりそうな顔を全身全霊を持って笑顔で固定してみせた。やるね、流石わたしぃ!

 

「えっ、えーーっと、またどうして?」

「お返し、したかったの。ずっと、ふたこさん達に貰ってばっかりだったから・・・・」

「お洋服とかお菓子とか?気にしなくて良いのに。あげといて何だけど、あんまり高い物でもないしさ。洋服はお古だし、お菓子は安物だし、玩具に至っては発目が暇潰しにガラクタで作ったやつだし」

 

まぁ、発目の玩具に関してだけ言えば、出費こそ掛かってないだろうけど技術料が高くつきそうな気がしない訳でもないが。

そもそもの話エリちゃんが言うそれは、こっちがやりたくて勝手にやった事ばかり。それこそただの自己満足。喜んで貰えてるなら私としてはそれで十分だし、他の皆もそうだろう。

お礼だってエリちゃんはその時その時にちゃんと言ってるし、改まってお礼を言われる程の事ではない。

だから「そんな必要ないよ」と伝えたけど、エリちゃんは首を横に振る。

 

「それだけじゃなくて、遊んでくれたり、お話してくれたり、すごいの見せてくれたり。私、いっぱい楽しくて、いっぱい嬉しかったから、だから・・・・私も、ふたこさん達に嬉しいことしたいなって・・・・おっ、お友達だから」

 

胸元で指をツンツンさせながら、エリちゃんはモジモジとそんな事を言ってきた。純粋さと無垢な優しさから放たれる後光は凄まじく、その眩しさに私も思わず顔を仰け反る程であった。

浄化されるぅ!大人になるに連れて荒んでいった私の心が、真っ白にされるぅ!!はぁぁぁ!━━━━なんてな!私は元から純白の心の持ち主!!優しさと思いやりに満ちてる私では、社会の荒波によって疲れた心を癒される事はあっても浄化などされないのだよ!!だてに女神だの、天使だのと言われてはない!えっ、言ってない!?言われてるよ!少なくとも、私は言ってる!

 

エリちゃん優しさに心をズキュンされていると、不意に嫌な気配を感じた。はっと顔を上げれば、そこには悪い笑みが浮かべるドンマイの姿が。

 

「そっかそっかー!エリちゃん良い子だねー!緑谷もお兄さん達も助かっちゃうなぁ!良かったなー、緑谷!片付け終わらないと、遊びにいけないもんなッッッ!!当然、嬉しいよなぁ!!」

 

ぐぬぅっ、このドンマイ野郎ぅ!

次の言い訳を考えてる間に、黒豆パイセンも会話に交ざってきて「よぉし、それなら俺も手伝っちゃうよ!皆でやれば、早く終わるしね!任せて!」とか言い出してガッツポーズしてくる。エリちゃんもすっかりやる気になっちゃって、黒豆パイセンの動きを真似して力強いガッツポーズを見せてくる。

 

違うの!エリちゃん!私ね、そもそも後片付けしたくない!面倒だから!抜けられるなら抜け出して、即行であのお祭り騒ぎしてる所に直行したいの!お祭りしたい!

だから早く遊びに行きたいなぁ、とか子供特有の許されるレベルの我が儘言って欲しいの!寧ろ!

 

と、言うわけにもいかず説得の言葉を探してる内に、ジト目のお茶子とか耳郎ちゃんとかとかに囲まれ始めて━━━━私はガチャガチャと楽器を運んでる、何処か満足げなかっちゃんへとSOSの視線を送った。

 

我が幼馴染ならば分かってくれる筈だ。

幼稚園の頃から伊達に長い付き合いをしてきた訳ではないのだ。私が部屋の事とかでどれだけ母様に叱られてきたのか・・・・かっちゃんは誰よりも側で見てきて、そして幾度となく綺麗好き故に快く手伝ってきた筈だ。知ってる筈だ。私がそういうの好きじゃないことは。

 

だから私はかっちゃんを見つめた。

その瞳に万感の思いを込めて。

言うんだ、かっちゃん!ここは任せて先に行けっと!

 

 

 

「━━━━いや、さっさと片付けやれや。ボケが」

 

 

 

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、つっかえ!!

マジつっかえだわ!はぁぁ、つっかえ!!

つっかぇぇぇぇぇぇぇ!!

そういう所だかんな、くそボンバーヘッドぉ!!

 

ん?なにエリちゃん?怒ってる?そんな事ないない。気のせいだよーあははは。さぁ、一緒にお片付けしちゃおっか!!あははは・・・・タノシイーナァー!!ヒャッハァーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが美!!これぞ美!!これこそが私、絢爛崎美々美が辿り着いた美の終着点!!絢爛豪華の真の姿ですわ!!!オホホホホホホホホ!!!」

 

なんやかんや愉快なクラスメートにエリちゃん達も交えて、面白い楽しくお片付けを終えて少し。

私は鼻の下伸ばしたダメンズ達と女子ーズを追い掛けるように、エリちゃんの手を引いてミスコンを見に行った。

 

実質学校ナンバーワン美少女の私としては、私以下の順位とかまったく気にならなかったけど、応援ぐらいしにいかないとイッチーに恨まれる気がしたのだ。

あとイッチー達ミスコン組と見学の時に知り合ったエリちゃんが、その勇姿を普通に見たがったのもあるけど。

 

「ホホホホホホホホホホホ!!!ご覧遊ばせぇぇぇ!!!私の美よぉぉぉぉ!!!」

 

しかし私は今、何を見てんだろうか・・・・。

カラテチョップで会場を沸かせたイッチーや、他の皆はは辛うじてミスコンの体を成してた。まだミスコンだった。けど今ミスコンと聞いてたイベントの会場にいるのは、デカイ顔の形したロボとその上で高笑いする豪華パイセン。戸惑いの声より歓声のが多い所や、会場の盛り上がり方からして許容されてるパフォーマンスなのは分かるけど、ミスコンのパフォーマンスってもっとこう・・・ね?あるやん。まぁ、エリちゃんが楽しそうにしてるから別に良いけど━━━うぉっ、変形した!すげぇ!欲しい!もっと小ちゃいバージョンのやつで欲しい!!

 

側で笑ってる黒豆パイセンに毎回こんななんですか?と聞いたら、去年も負けないくらい派手だったよ!との事。去年もロボコンだったのか。成る程、来年は発目にも教えてやるか。

 

「ふたこさん」

「ん?どしたの、エリちゃん」

「これ、何をするやつなの?」

 

コテン、と首を傾げながら可愛く尋ねられ。

私は青空を仰ぎ見ながら答えた。

 

「・・・・・ロボコン。年に一度、雄英の理系女子が集まって、作ったロボを競わせるお祭りさ」

「ロボコン・・・・!そっかぁ・・・・」

 

「緑谷さん、堂々と嘘を教えないで。というか諦めないで、大丈夫だから。この後、普通のミスコンに戻ると思うから・・・・・多分・・・・・大丈夫かな、去年は大概だったからなぁ」

 

それから程なくして、ねじれんパイセンのパフォーマンスが始まり雄英ミスコンは無事にミスコンに戻った。

男達の野太い歓声を聞きながら、妖精のように空を舞うねじれんパイセンを見て、これは優勝だなって思った。まぁ、私が参加したら、勿論私が優勝だけどなっ!とも思った。

 

 

 

その後はインターンメンバーを誘って文化祭へと繰り出した。お茶子に付き合ってクレープ屋行ったり、景品ある出店を訪問して回って出禁くらったり、いつも気前よく奢ってくれるB組の愉快な仲間達を見つけて食べ物を善意で提供して貰ったり、お化け屋敷とかアイテムの展示会とかとか色々と。

そうしてあっちこっち遊び回っていると━━━━━ちょっとアクシデント発生。エリちゃんが見ては行けないものと出くわしてしまった。

 

 

「━━━━む、貴様か。相変わらず人を小馬鹿にしたような面で見よって・・・・親の顔が見てみたいわ」

 

 

道徳観的な意味で18禁ヒーロー、一応轟の父親であるDV糞野郎のおハゲである。今日は完全にオフなのかメラメラせずに髭面を晒して、洒落たジャケット羽織ってる。一瞬誰だか分からなかった。

私はエリちゃんの目にさっと手を当てて、ばっちいものを見えないようにした。エリちゃんはちょっとビクっとしたものの、それが私の手だと気づくと何かの遊びだと思ったのかニコッとした。そして何処かワクワクした様子で、お店で買ったわたあめを引き続きパクパクする。可愛い。

 

「何し━━━━━」

 

「何してんだ、お前」

 

私が聞くより早く、一緒にぶらついてた轟が冷たい声を掛けた。黒豆パイセンと切島が顔をひきつらせ、かっちゃんが「けっ」と言って、私の両隣にいたお茶子と梅雨ちゃんがそっとエリちゃんの耳も塞ぐ。幸い雰囲気の悪さに気づかなかったらしいエリちゃんはハッとした顔をして、わたあめを食べる手を止めて何処かワクワクした様子で身構えた。完全にサプライズ待ちである。どうしようか・・・・いや、後で考えよ。

 

そんなエリちゃんから轟へと視線を移せば分かりやすく嫌そうな顔してる。おハゲはといえば、鼻息を荒く漏らして気にしてないアピールである。内心傷ついてそう。冷ちゃんの事知ってるから同情はしないけど。

しかし、インターンに行くぐらいだから、もう少しマシになってるのかと思ったけど・・・相変わらず冷戦だな。子供の前だと言うのに、まったく。

 

「何しにきたんだ。一部の関係者しか入れねぇ筈だ」

「勘違いするな、焦凍。お前の様子を見にきた訳ではない。仕事・・・ではないが、所用があってきただけだ」

 

そう言ったおハゲの声に何か違和感を感じる。

いつもならただ話すだけでも暑苦しい感じがするのに、今日は何となくしおらしいというか・・・なんか覇気がないような気がする。

轟と短い言葉を交わした後、おハゲはらしくなく落ち着いた様子で、私と手を繋ぐエリちゃんを見た。

 

「件の娘か」

「件の娘とか言わない。エリちゃんですよ、エリちゃん。これからパフェ買うんでエリちゃんのお小遣い下さい。一杯稼いでるでしょ」

「何故俺がお小遣いをやらねばならん・・・・ふんっ、後は貴様でどうにかしろ」

 

わっ、マジでくれた。

千円ぽっちだけど。

 

お金を渡したおハゲは用は済んだとでも言うように、財布をしまってさっさと背中を向けて校舎へ歩き出したんだけど・・・・途中で足を止め、振り返った。

 

 

 

「焦凍」

 

 

 

落ち着いた男の低い声が、いやに響いた。

轟の眉間にシワが寄るが、その声はそんな轟の様子を気づく事なく続けていく。

 

 

 

「お前は自慢の息子だ・・・・ならば俺も、お前が胸を張れるようなヒーローになろう」

 

 

 

振り向いた顔に。

その瞳に。

 

 

 

「父は最も偉大な男であると」

 

 

 

静かな炎を灯しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おハゲの背中が消えていった人混みの方を見ながら、轟は複雑そうな表情を浮かべている。

轟はその背中に悪態をつかなかった。

体育祭の前ならきっと、その目に怒りやら憎しみやら籠めて、文句の一つも言っていただろうに。

今でも多分、冷ちゃんの事を怒ってるし、憎んでるのは変わらないとは思う。思うけど・・・もうそれだけでもないみたい。

 

不意にパァンと良い音が鳴った。

かっちゃんが轟の背中をひっぱたいた音だ。

目を見開いて振り返った轟に、かっちゃんは「はっ」とつまらなそうに鼻息を漏らして先に進んでいった。荒い激励だけど意味はちゃんと伝わったらしく、轟は困ったように笑ってそれについていくように歩き出す。

 

「くだらねぇ事で、ボケッとしてんじゃねぇ。誰がどうだろうと、てめぇがやる事は変わらねぇだろ」

「・・・そうだな。ありがとな、爆豪」

「気色悪ぃこと言ってんじゃねぇ、ぶっ飛ばすぞ」

 

私が声を掛ける必要はなさそう。

男の友情ってやつ?

 

切島が耐えきれず「熱いな、お前ら!」とか言って二人の所に交ざってくのを横目に、私はエリちゃんの目の前へ千円を翳した。見て見て!サプライズ!お小遣いだよーーー!と、勿論満面の笑みも一緒に。

 

わぁぁぁぁ!とはならなかった、とだけ言っておく。

私が小さい頃は大はしゃぎしたのに。

おかしいなぁ・・・・。

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