私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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ああああああああああああ!!
キメラのおじさんで話書きたいんだなぁもぉぉぉぉぉ!!!わんわんぉ、わんわんぉ好きだよぉ!

ナイン?知らんな!おいらぁ、キメラのおじさんが良いんだよぉ!


闇の帝王な先生の気がうっかり向いちゃったルートなifの巻き②

弔主導による保須市襲撃事件から暫く。

私達は三度目となる襲撃の為に、ブローカーを通して新たな仲間達を集めていた。実質的に二度の襲撃に成功している事と一応仲間だったペロペロおじさんの『俺をほにゃららするのはオールマイトだけだぁ!』動画のお陰で、募集を掛けたたら人の集まりがそれなりに良く、ブローカーからは快く何人か紹介された。

 

それで最初に合流したのは二人の男女。

一人は身体中火傷だらけの男『荼毘』。クールでなに考えてるのか分からないけど、陰キャ系ファイヤー野郎だ。コードネームは傷だらけの堕天使(スカーダークエンジェル)。私がつけてあげた。カッコいいと思うんだけど、呼ぶとめちゃ怒る。

もう一人はヤンデレ吸血女子高生『トガヒミコ』。ポケットにナイフ忍ばせてる、ペロペロおじさんのファンだ。それはそれは熱烈なファン具合で、好き過ぎてペロペロおじさんになりたいらしい。意味わからん。コードネームはトガっち。最初こそ少しギクシャクしたけど、今では一緒にクレープ食べにいくほどの仲良しさんだ。たまにヤバい顔で血を吸ってこようとするけど・・・それはまぁ、普通に撃退するので別に問題じゃないし。

 

そんなこんなで元から仲間だったキリりんも合わせるとヴィラン連合も四人となった・・・あ、弔忘れてた。五人となった。そんな五人でやる最初の仕事━━━━それは面接である。

 

「お前らぁ!!私達の仲間になりたいかぁ!!ヴィラン連合に入りたいかぁ!!」

 

スピーカーから流れる私の美声が廃工場内へと響いていく。だが、悲しいかな。返事がない。そこそこ人はいるのに。耳の穴かっぽじって手を当ててよーく聞いてみたが、やはり返事らしき返事はない。

 

「そうか、入りたいか!!よろしい!!ならば、面接だ!!向こうにいるトガっちから整理券を受け取り、順番にあそこに見えるモヤモヤしたのと、傷だらけの堕天使っぽいのと、顔面をずっとアイアンクローされてる男達の前でじっくりことこと面接します!!一人五分の面接です!予め渡した資料に書いてある通り、自己紹介の練習はしてきましたか!!座る前からチェックしていきますからね!はい、それじゃ左の人から順番で整理券を貰っていってどんどん行こうか!いえす、スタート!!」

 

パンパンと手を叩いてスタートを促したが、何故かこいつら動かない。ほぼ全員が額に青筋浮かべて睨んでくる。呆れた顔したのもいるけど。

流石にヴィランやってるだけあって頭おかしいわ。完全究極美少女を目の前にしてなんてこの反応とか。普通は喜び歌い歓喜して、涙を流しながら迅速に動くのが道理だろうに。時代が時代なら打ち首拷問だよ?あれ、なんか違う気がする。いや、まぁ、いっか。

 

「はいはい、ちゃっちゃと動いてー面接始められないよー。時間は有限、いつまでも━━━━」

「っせぇぞ!クソ餓鬼!!俺らはてめぇみてぇなチンチクリンと遊びにきた訳じゃねぇぞ!!」

 

私の声を遮るようにどっかの誰かから怒号が飛んだ。

するとそれに続いてあっちこっちからブーイングが始まる。仕舞いには舐め腐った顔でこっちに向かってくる始末だ。賛辞ならまだしも、まったく!このウンコ共ぉ!!

 

取り敢えず一番前にいた頭悪そうなヤンチャ野郎を引き寄せる個性で引っこ抜き、飛び込んできたそいつの顔面に肘鉄を打ち込んだ。流石にブローカーが紹介してきただけあって一撃で沈まなかったけど、続いて放った裏拳の二撃目までは耐えられなかったらしく力なく地面へと転がった。

おまけで鼻と口にちょこっと炎を吹き込んでやれば、絶叫と共に周囲からブーイングの嵐がやんだ。

 

「━━━━はい、という訳でね、私らが君達を紹介したブローカーの顔を立てて優しくしてる内に、さっさとやる事やりな馬鹿共。気に入らないならグダグダ言ってないで回れ右して帰れば良い。お帰りは向こうね?」

 

ピッと出口を指差すと同時、馬鹿笑いが廃工場内に響いた。視線を声の元へと移せば、片目に深い傷を負った筋骨隆々な大男が腹を抱えて笑っていた。側にあるコンテナを平手で叩きながら、ひいひぃとひきつるほどの大爆笑である。

 

「はいそこー、うるさくしなーい。面白いこと言ってないでしょうが」

「馬鹿言うな、十分おもしれぇよ!仮にも賞金まで掛かったヴィランがこの様なんだぜ!?笑わねぇ方がどうかしてる!!・・・はぁ、たくよぉ、さいっこうじゃねぇか!お前気に入った!!俺ぁ、巷じゃぁマスキュラーって呼ばれてるもんだ!!ヴィラン連合入るぜ、よろしくな!!おい、女ァ!!確認だけどよぉ、好きに暴れて良いんだよなぁ!!」

 

勝手に仲間入りしようとする姿にちょっと頭痛を覚える。なに言ってんだか、こいつは。

 

「面接するって言ってんのに、何勝手に仲間入りしてんの。この筋肉お化け。入りたかったらまず整理券貰って、あそこの怪しい三人衆から合格貰いなさーい。あと好きに暴れていい訳ないでしょうが、私か弔がOKした所で暴れなさーい」

「ははは!わーった、わーったっての!おう、そこの!整理券寄越せ!面接かなんか知らねぇが、さっさと終わらせようぜ!俺のやる事とやらを聞きてぇからよ!」

 

大男が整理券を手に弔達の元に向かい始めると、他の連中もぞろぞろと動き出す。私の指示でというより男につられてなのが気に入らないけど、いちいち突っ込んでるとキリがないので何も言わないでおいた。

 

一旦流れが出来ると早いものでトガっちの整理券はあっという間に配り終わり、いよいよ怪しい三人衆の面接が粛々と始まる。暇人と化した私とトガっちはポッ●ーをツマミに観戦タイムと洒落混む事にした。

 

「それにしても弔くん達、不機嫌そうですねぇ」

「ねっ、何が気に入らないんだか・・・がんばえー!キリりんー!弔ぁー!スカーエンジェル石川ぁー!美人過ぎるヴィラン=私が応援してるぞ━━━うわっ、危なっ、炎飛ばしてきた!?何考えてんだ、馬鹿エンジェル!!ぶつかったら火傷するでしょ!やーい、お前の母ちゃん大天使ー!」

「私、人の気持ちってあまり分からない方だと思うんですけど、多分そういうのが不機嫌にさせてる原因だと思いますよ。ナナちゃん」

 

そのまま二人でポリポリしながら見てると早速合格者が出た。さっきの大男だ。何か楽しそうに雄叫びあげてる━━━かと思ったら、なんかこっちきた。大股でズンズンと。

 

「おう!つー訳でよろしくな!さっきも言ったがマスキュラーだ!てめぇの名前言えよ」

「偉っそうだなぁ~。まぁ、別に良いけどね。畏まられるより楽だし。私は死柄木ナナ。でもセブンって方がよく呼ばれるかな?まっ、好きな方で呼んで良いよ」

 

私の自己紹介に続きトガっちも「トガです」と笑顔を見せる。笑顔といっても邪悪スマイルだ。別に態とやってる訳じゃない。トガっちはわりといつもこんなだ。マジキチモードの笑顔知ってる身からすれば、それでも全然可愛いげのある笑顔なんだけど・・・・。

 

ちょっと不安を覚えて筋肉男を見たが、特に思う事はないのか「おう」と一声返すと私の前の所でドカリと胡座をかいた。そしてそのまま何処か楽しそうに他の連中が面接してる姿を眺め始める。

 

「で、後は誰だ?」

 

不意に掛けられた言葉に私はトガっちと一緒に首を傾げる。すると筋肉男は私の方を見て「てめぇだ、てめぇ。セブン」と言ってきた。どうやら私に聞いていたらしい。

 

「誰だって、何の話?もう少し人間の言葉喋ってくんない?」

「だから、てめぇが目をつけてんのは後誰なんだって聞いてんだ。俺達の前に来た時点で、いやもっと前から、使えそうな連中には目星はつけてたんだろ。てめぇの目が止まった回数は数えて七回だ。俺と最初に殴り飛ばした雑魚抜けば、後五人分てめぇは誰かを見た・・・・・違うか?」

「あーそういう話。思ったより頭回るんだね。安心した、脳みそまで筋肉で出来てそうだからさ」

「ははっ、止めろ止めろ。実際、俺はお利口な人間じゃねぇしな・・・・ただな、考えなしの馬鹿のままじゃいられねぇのさ。サツに追われてるとよ。で?後はどいつだ」

 

楽しげな声に私は整理券を手にした連中を見た。

直ぐに目についたのは今正に面接を受けてるオカマ、その直ぐ近くで待っている拘束着をきた変態の二人。

それから少し周囲を見渡せば、周囲の様子を窺っているシルクハットの男、前髪が目に掛かってる学生、変な言動を繰り返す全身黒スーツの男。どれもブローカーから情報を貰った時から目をつけてた連中だ。

一通り教えてあげると、筋肉男は顎を擦りながら何やら思案気。トガっちには前もって教えてあげてたので面白くなさそうにお菓子をポリポリする。

 

「・・・・ああ?わかんねぇな。あのオカマと拘束男は分かるが、他のはほぼ無名の連中だろう。何か理由でもあんのか?」

「理由ねぇ・・・うーん、無いこともないけど。今のあんたに教える理由ないからね」

 

次の作戦で最悪使い捨ても良い面子"その一"であるこの筋肉男には特に教えるつもりはない。

 

「なんだよ、冷てえじゃねぇか。まっ、何でも良いか。暴れられんのは確定してくれんだろ?なぁ?」

「まぁね。好き勝手にって訳にはいかないけど、あんたにはそれなりに矢面に立って貰うつもりだから。そん時は存分に暴れれば良いよ。あっ、あと衣食住も用意してあげる。残念ながらお給料はないけど、それでもあんたにとっちゃ破格でしょ?」

「ははっ、違えねぇ。人ぶちのめせて、ゆっくり横になれる寝床がある・・・十分過ぎるぜ」

 

そんな風に話をしてるとオカマが合格を貰った。そのあと直ぐに次の拘束男も合格を告げられる。それからも予想外に弱そうなトカゲが合格を貰った以外、当初の予定通りの面子に合格の言葉が与えられていった。

不合格となった面子はキリりんに送り帰されるか、喧嘩を売って弔とスカーエンジェル小泉にぶち殺されるという殺伐とした結果を迎えた。かわいそーにぃー。

 

支給する装備についてキリりんとトガっちが合格者を集めて話を聞き始めると、不機嫌そうな弔とスカーエンジェル川内が私の所にやってきた。あいつらも当分暇人だ。おいっす、と暇人仲間に挨拶したが不快感マックスで舌打ちされる。何故に。

 

「くだらない茶番やらせやがって・・・・お前から殺すぞ。セブン」

「おい、待て。殺るなら俺に殺らせろ、陰キャ野郎。跡形もなく燃やしてやるよ」

「あっ?誰が何だって、火傷野郎」

 

息の合ったご挨拶に私は思わず笑みが浮かぶ。

どうやら仲良くなったらしい。

よきかな、よきかな。

 

「ははは、ナイスジョーク!お前ら!すっかり親友だねぇ。それよりあのトカゲ良かったの?使えそうにないけど?」

 

気になった事を聞いてみると、スカーエンジェル斎藤は弔へと視線を向けた。弔はその視線を受けてつまらなそうに「使えないな、あれは」と呟く。

けれど『いらない』とか『間違いだった』とは言わなかった━━━である以上、私から何か言うつもりはない。面接した結果、弔に思う所があったんだろうから。

 

「━━━そう言えばさ、スカーエンジェル高砂は」

「そのスカーエンジェルってアホみたいな呼び方止めろ。冗談抜きで殺すぞ、アホ面女・・・・あと、何処からきた、その高砂とか何だかんだってのは」

「何となく?その時のインスピレーション?スカーエンジェルが嫌なら・・・じゃぁね、ダビー。今からダビーね。ダビーは装備いらないの?持ってんの、そのクソダサコートだけじゃん」

「・・・・余計なお世話だ。自分の装備は自分で用意する」

 

それだけ言うとダビーはポケットに手を突っ込んで歩きだし、そのまま廃工場の闇に消えていった。作戦まで大人しくしてて欲しいんだけど、いったい何処へ何を燃やしに行くのやら。やんちゃしても証拠残さないし、人目も気にしてくれるからまだ良いけどね。まったく、困ったちゃんだ。

 

まぁ、あれは気にしてもしょうがないか。もう放っておこ。止めたって止まらないし、説得めんどいし。

どうなっても私は知らんもーん。

 

しっかし、大体予定通りにはなったけど・・・うーむ。

 

「ねぇねぇ弔ー、ちょっと良い?」

「なんだ、馬鹿」

「知ってる?馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ。糞馬鹿脳タリン陰キャコミュ症唇ガサガサ童貞の弔くん?」

 

私の言葉を聞いた弔は鼻で笑った。

 

「おい、知ってるか?その理論で行くとそっくりその罵倒がお前に返っていくの。それより何が言いたい?つまらない事だったら殺すぞ」

 

口を開けば殺す殺すと、おのれは小学生か。

つっこんだら煩いから余計な事は言わないけどさ。

取り敢えずポケットに入れてた写真を弔に見せながら、私は気になってたそれについて聞いてみた。

 

「ねぇ、本当にこいつにするの?別のにしない?」

 

次の作戦の際、雄英の生徒を一人拐う事になっているのだが、弔の選んだ奴はよりにもよって以前襲撃した際、アホみたいに食い下がってきた金髪ボンバーヘッドだったのだ。こっちの戦力は揃ってはいるが、相手側にはプロヒーローの中でも指折りの面子と未熟さがあるとはいえ強個性持ちの生徒が何十人もいるのだ。夜間の急襲でこちらに分があるとはいえ、リスクは依然として高い。

それなのに一番面倒そうなの選んできたのだ。文句の一つも言いたくなる。

 

「駄目だ、他の連中じゃ意味がない」

「いや、これ狙う理由は分かるよ。でも保須の一件で生徒が一人死んでて警備体制が余計厳しくなってるんだからさぁ、ここはもっと楽な奴にしとこーよ。リスク管理だよ、リスク管理」

「その為にこの面子を揃えたんだろうが。お前とトゥワイスでなければ、最悪二・三人はパクられても良い。上手く回せ」

 

それだけ言ってそっぽ向いた弔に、残念ながら作戦を考え直す様子は見えない。面倒だけど、やっぱり私で何とかするしかなさそう。

実際これを拐う効果はかなりのものがあるとは思う。保須の一件で雄英は生徒の暴走を許してしまった。その結果は最近ニュースで取り上げられてる通り、ヒーロー科の生徒一人と二人のプロヒーロー死亡という残念極まるもの。この期に及んで失態━━━例えば、全国放送の体育祭の時に、その素行不良っぷりを存分に見せつけた雄英生徒が、ヴィランに勧誘されてあっさり連れていかれたとかなれば、雄英の信頼はいよいよもって地に落ちるだろう。

 

しかしだ、弔は一つだけ思い違いをしてる。

弔は雄英体育祭でのあいつの姿を見て勧誘出来ると思ってるみたいだけど、それは見当違いも良いところ。あれは私達とは違う。

私が相対したあの金髪ボンバーヘッドはどれだけ見た目があれで言動が酷くても、人としての本質が私達と相容れないタイプなのだ。根幹にあるものが、まったく正反対と言っても良い。簡単に言ってしまえば、あいつはヒーローなのだ。

 

 

 

『お前っ!?・・・・ちっ、何が面白ぇんだ。てめぇは、ああ??』

 

 

 

この間ショッピングモールへ買い物に行った時、たまたま会ったあいつは半べそをかいた子供の世話を焼いていた。会話の内容は耳に入ってたのでそれが迷子なのは分かるんだけど、いつものしかめっ面で荒々しく対応してるせいで、一見すると恫喝してるようにしか見えなかった。もっと言えば誘拐犯とか。よくよく話を聞けば、親を探す手がかりについて聞いてたりするのだけどね。

そのせいで近くにいた人に110番されそうになってるのを見て、思わず噴き出した私は悪くないと思う。寧ろ爆笑しなかったのを褒めて欲しいくらいだ。

 

あの後、私は可哀想な迷子っちに飴ちゃんあげてトンズラこいたけど、金髪ボンバーヘッドはあのしかめっ面のまま子供を交番にでも送り届けたのだろうか?それとも一緒に親でも探したのか?あそこには迷子センターがあった筈だからそこへ連れていったのだろうか?

何にせよ、きっと最後まで付き合ったんだろう。あの仏頂面で。そう思うと笑えてくる。

 

「爆豪勝己ね・・・・長いなぁ、んー、かっちゃんで良いかな?うん」

 

この間は散々相手してあげたんだし、今度は私とも遊んでくれるよね?ねぇ、かっちゃん。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「聞いて下さい、ナナちゃん!ヒドイんですよ、この装備!!」

 

黒いモヤモヤの人から貰った装備一式を持って、友達の部屋に入るとナナちゃんはテレビゲームに夢中でした。ヘッドフォンも付けて超真剣です。次の作戦が間近だっていうのに緊張感の欠片もありません。

ナナちゃんは振り返りもしないで「なにー?」と聞いてきます。ちょっとムッと思って、もう一度名前を呼ぶとゲームを一旦ストップしたナナちゃんがヘッドフォンを外しながらこっちを向きました。

唇を尖らせてちょっと不満げです。

 

「なになに?どったのよ、トガっち。今良いところだったんだけどー?」

「どったのよ、ではないのです!見てください!これ!」

 

貰った装備を見せつけるとナナちゃんは「あー」と納得したような声を出しました。まだまだ短い付き合いですが、流石ナナちゃんです。私の好みについてよく分かってます。

 

「全然可愛くありません!頼む時に可愛くって言ったのに!」

 

ギザギザした歯をイメージしたネックウォーマーも、宇宙人が付けてそうなパイプの生えたマスクも、主武器となる注射器も、如何にも悪党が使います感が凄い出てるのです。信じられません。あれだけ可愛くと言ったのに。

 

「まぁ、可愛くはないけど、カッコよくない?首巻きのデザインとか私は結構好きだけどなぁ。それにデザインはあれとしてシンプルな作りな分軽いし、割と使いやすいんじゃない?」

「むぅ、そうですか?マスタードもそんな事言ってましたけど・・・・でも私は可愛いのが━━━━というかその首巻きって言い方、なんかおばさんくさくないですか?」

「ぬぇッッ!?いっ、良いじゃん首巻きでも!別に!伝わるじゃん!」

「伝わりはしますけど、やっぱりおばさんくさいですよ。ナナちゃん」

「がはっ!おば、さんっ・・・・だとぉぉ!?」

 

ナナちゃん時代劇とか好きなせいなのか、たまにこういう古い言い方するんですよね。

 

ショックを受けて倒れたナナちゃんを撫で撫でしてると部屋がノックされました。ナナちゃんがか細い声で返事を返せば、黒モヤの人の声が返ってきます。どうやら飲み物とオヤツを持ってきてくれたみたいです。

 

「━━━失礼しますよ。おや、貴女も一緒でしたか。丁度良かった、先程の装備はどうでしたか?やはりお気に召しませんか?改修するにしても次の作戦には間に合いませんので、こちらとしては今回だけでもそちらで満足して頂きたいのですが」

「あー・・・・いえ、取り敢えずこのままで良いです。可愛いくはありませんけど、ナナちゃんがカッコいいと言ってくれましたし。それに個性を使う時はどうせ直ぐ外しちゃいますから」

「そうですか、それは良かった。こちらとしても助かります。・・・・ああ、トガヒミコ、貴女も何かお飲みになりますか?」

 

テーブルにオヤツと紅茶の載ったお盆を置きながら、黒モヤの人はモヤに浮かべた二つの目を優しげに細めました。分かりづらいですけど、多分笑顔なのだと思います。

何が用意出きるのか分からなかったのでナナちゃんと同じ物を頼んでみれば、そう時間も掛からず紅茶とオヤツの追加分を持ってきてくれます。予想より早く帰ってきたのでその理由を聞いてみれば、ナナちゃんが直ぐにお代わりするだろうと思って用意してたそうです。過保護です。前々から思ってましたけど、ナナちゃん関係に凄い過保護です。この人。

 

それから私はナナちゃんと一緒にオヤツタイムを楽しみ、一緒にゲームしました。鬼難易度でシューティングとリズムゲームやらされました。

難しかったです。

 




おまけぇぇぇーー!

時刻02時3分。



キリりん「━━━━━!?せっ、セブンッッ!!こら!貴女、まだ起きているのですか!!いい加減寝なさい!!ゲームは切って、今すぐ!明日またやれば良いでしょう!!ポチポチしない!!」

ななひゃん「ちょっ、待ってよ!ここだけ、ここだけクリアしたらセーブするから!マジで!きてるの!いま、マジで!パーフェクト来てるんだってば!!いま!!」

とがっち「…………むにゃ」……ZZZ


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