私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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燃え尽きたぜ・・・真っ白にな・・・・・・・

ジョォォォォォォォォ(゜ロ゜)!!!

そんな気持ち、今。


サボってていいと言うのでサボりますが、それで本当に良いのでしょうか!?ねぇ、先生!問題は!問題は本当にないんでしょうか!?え、あ、はい、大人しくしときます!!の巻き

事実上、敗者復活戦となった午後の部レクリエーション。騎馬戦敗退組はやる気と熱意にたぎっていた。

 

当然その中には我らがA組女子ーズもいるので応援しようとポンポンを持ってスタジアムの端の方で待機していたのだが、女子達から応援はしなくて良いとはっきり言われてしまった。何を仕出かすのか分からなくて気が気じゃないから、寧ろ大人しくしててくれた方がよっぽど応援になるから、だそうだ。

解せぬ。

 

まぁ、包帯先生にも呼び出されて「レクには参加せず最終種目開始まで大人しくしてろっ」とのお叱りを受けたのでそうするけどもさ。・・・するけどもさ。

 

本当に応援いらにゃんちゅー?

あ、はい。大人しくしときまーす。

ちぇっ。

 

 

 

やることが無くなった私は着替えるのも面倒臭かったのでかっちゃんの上着借りっぱのまま、用意された観客席で不貞腐れながら一人ポップコーンしてた。

ムシャクシャでムシャムシャである。ムシャムシャ・・・やはりポップコーンはキャラメルが至高。おかしいな・・・こんなに美味しいのにどうして世界は平和にならないのだろう、こんなに美味しいのに・・・。

糖分に幸あれ。

 

「緑谷さん、お隣宜しいかしら?」

「━━ん?おお、百。いいよー」

「お邪魔します」

 

一人感慨に耽ってると百が隣の席にやってきた。

さっきお昼前にお裾分けした、大量の食べ物を全部抱えて。

十中八九、脂質補給タイムだろう。

 

「レクでないの?あしどんもお茶子も、待つのも暇だからっていっちゃったけど」

「ええ、私は遠慮させて頂きました。本選までの間に、少しでも脂質を補給しませんといけませんから。衣装を作った事もそうですけど、騎馬戦では大分消耗してしまいまして・・・」

 

そう言われるとおっぱいのサイズが一回り小さくなってる気がする。

 

「そいっ」

「きゃ!?」

 

試しに揉んでみたら小さかった。

いや、それでも十分デカいんだけどさ?

 

「緑谷さん!?いきなりなんですの!?」

「いやぁ、おっぱいが小さくなってる気がして。そこも減るんだと思ってさ」

「ま、まぁ。バストを構成しているのは殆どが脂質ですし・・・必然的には、使い過ぎれば、まぁ」

「脂質とればまた大きくなるんだよね?いつも同じくらいのサイズだし。てか、個性使う度に増減すんのって大変じゃない?ブラとかどうしてんの?」

「そ、それは、その、既製品はあまり。出来るだけ伸縮性の高いものを自分で作ってますわ。それでもサイズが合わなくなりましたら、パットを幾つか盛って・・・って、何を言わせますの!?」

 

ガタッ、と後ろから音がした。

なんだろうと振り返れば、後ろの席で瀬呂と尾白が顔を背けた状態のまま前屈みになってた。

何がどうした、とは聞かないでおいてやろう。

 

「はっ!?瀬呂さんに尾白さん!?あ、その、い、今の話聞いてて━━━」

 

百の動揺する声に、瀬呂と尾白は顔をこちらに向けた。清々しい程に白々しい、晴れ晴れしさ溢れる笑顔がそこにはあった。

 

「おい、尾白。お前何か知ってるか?」

「え?いや、俺にはなんの事だか」

 

「そう、ですか。良かったです・・・」

 

百の安堵する顔を見て直感した。

きっと私達三人は同じ事を思っただろうと。

モモチョロ、と。

 

それから少しして二人の背筋が伸びた頃、私は改めて話し掛けた。

 

「てか、尾白。よく私の前にこれたな。フリフリさせよってからに、もいだろかー」

「もがないでくれよ。まだ戦ってもいないのに」

 

そしたら絶対私が有利になれるのに・・・。

そんな話をしてると、尾白の隣にいた瀬呂がニヤニヤしだした。

 

「もぐもがないって・・・なんだ、尾白。緑谷とそういう仲になったのか?爆豪おしのけて?」

「瀬呂、その冗談本気で止めろよ。面白くないからな。爆豪に代わって、俺が殴るからな」

「そ、そんなに怖い顔すんなよ!?どんだけ命の危機感じてんだよ?ジョーダン、ジョーダン」

 

尾白、かっちゃんに何かしたのか。

 

「それはそうと、緑谷が一人でいるとは思わなかったな。旦那どうした」

「旦那?」

「爆豪の事だよ。新妻様」

 

私は無言で瀬呂のファニーボーンにアッパーを叩き込んだ。割りと強めに。

痛みに転げ回る瀬呂の足を掴み、ささっと極める。最近仕入れた双虎にゃん108の必殺技、スコーピオンデスロックである。

 

「あだだだだだだ!!?タップ、タップ!!タップだってば!ちょっ、やめてっ!だ、誰かロープくれぇぇぇ!!」

 

「良かったじゃないか瀬呂。女子と触れあえて」

 

「ごめん、ごめんってば!!尾白っ!俺が悪かった!!だから助けてくれぇ!!!」

 

なんだ、尾白。こやつを助ける気か。

いい度胸だ!同じ技を掛けて貰えると思うなよ!!

お前にはもっとドギツイのを━━━あ、いいの?助けなくて?そっか。なら良いけど。

 

「尾白ぉぉぉぉぉ!!ヘルプぅ、ヘルプぅみー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある条件を対価に瀬呂を解放した私は、暇だったのでかっちゃんを探す事にした。そのまま皆の競技を見てても良かったんだけど、うずうずしたから止めておいた。

 

こういうイベントは始まるまでがクソつまらないけど、始まってしまうと楽しくていけない。それに自由参加とか、私を喜ばせにきてるとしか思えない仕様。

この世の全てをそこに置いてきたオジサンが、1位をくれてやると処刑台の上で囁いてる気がする。

 

まぁ、そんな甘い誘惑に乗っかったら最後、包帯先生にしこたま怒られるからやらないけどね。夏休みの件も白紙にされるかも知れないし。

 

 

 

 

道行く人に「不機嫌そうな爆発頭見ませんでしたか?」と聞いて回ったら直ぐに見つかった。何故か聞く度に暖かい目で見られて少し困惑したが、まぁ見つかったのだから特に文句はない。

 

ベンチでぼーとしてるかっちゃんの背後に忍び寄って、思いっきり抱きついてやる。かなりびっくりしたのか、「おおっ!?」と変な声出してきた。

 

「かっちゃん、なーにしてんのー!暇だから構ってーー」

「ああっ!?・・・っは、てめぇかよ。んだよ?」

「ん?いや、特に用はないけど?」

 

なんだろ、機嫌悪そ。

 

余計な事言うと無駄に怒鳴られる気がしたのでかっちゃんの隣にお口チャックしたまま座った。

なんか言いたげだけど、多分自分からは言わないだろうから聞いてあげようと思う。

優しいな私。女神だなきっと。

 

「どした?」

「んでもねぇ。つか、なんでてめぇは着替えてねぇんだよ。さっさと、上着返せや」

「ん?ああ、面倒臭くて。てか、これなら返すよ、普通に」

「着てろ、馬鹿」

 

返せと言ったり、着てろと言ったり。

お前は私をどうしたいんだ。

はぁ、まったく。

 

特にやる事もないのでかっちゃんと一緒にぼけーと空を眺めてたら、「おい」と声を掛けられた。視線を向ければ珍しく怒ってないかっちゃんと目があった。

 

「本当にどした?」

「大した事じゃねぇ。・・・昼、紅白野郎と話した」

「そうなんだ」

「ふざけた事抜かしやがった」

「そっか」

 

何を言われたか知らないけど、かっちゃんが悩む姿は珍しい。本当に。

こんな姿、もうずっと見てない。

 

「・・・それが気に食わなかったんだ?」

「ああ」

 

そう言ってそっぽ向いたかっちゃんを見て、でも怒れなかったんだろうな、と思う。自分でもどうしたら良いか分からなくて、だからこうして悩んでるんだろうと。

 

かっちゃんは口悪いし態度もあれだけど、ただ乱暴なだけじゃない。そうじゃなければ、私もこんなに長く一緒にいたりしない。

 

「・・・かっちゃん、膝貸してーー」

「は、はぁ!?」

 

狼狽えるかっちゃんの膝に無理矢理頭をおいた。

気持ちのいい陽気だからお昼寝したくなったのだ。

硬い膝だけど、まぁ贅沢は言うまいよ。

 

「お、おい、馬鹿っ、降りやがれ!」

「ふふっ、照れるな、照れるな」

「照れてねぇ!!」

 

そう怒鳴っても無理矢理どかそうとしたりしない。

どかそうとすればどかせるのに、本当に素直じゃない。

素直に鼻の下でも伸ばしてれば良いのだ。私ほどの美少女に膝枕なんて、そうそう出来ないんだから。

 

なんとかどかそうと揺すってくるかっちゃんの手を掴まえて、私はかっちゃんを見上げた。

 

「━━ねぇ、かっちゃん?」

「━━━ぁ?」

「私はね、かっちゃんの事好きだよ?」

「!!??っ、ぁっ!?は!?」

「人としてぇ」

「・・・・」

 

かっちゃんの間の抜けた顔が見えて思わず笑ってしまう。眉間にしわを寄せてないかっちゃんとか、違和感が凄い。

 

 

だから、いつも通りに戻してあげようと思う。

 

 

 

「かっちゃんは口悪いし━━━」

「てめぇに言われる筋合いはねぇ」

 

「態度がくそだし━━━━」

「人の事言えた義理かよ」

 

「何かと切れてて面倒臭いけどさ━━」

「うっせぇ」

 

 

 

 

「━━でもね、私はかっちゃん好きだよ」

 

 

 

 

 

 

「かっちゃんの強い言葉、好きだよ」

 

 

 

「かっちゃんのがむしゃらな所、好きだよ」

 

 

 

「メチャクチャだけど、聞いてるとね、見てるとね、頑張ろーって思えるんだぁ」

 

 

 

「だから大丈夫だよ」

 

 

 

「かっちゃんはかっちゃんのままで」

 

 

 

「頑張って言葉にしなくて大丈夫だよ。きっと大事なことは、ちゃんと伝わるから」

 

 

「いますぐじゃなくて、大丈夫だよ。轟はね、思ってるよりずっと強い人だから。ちゃんと気づける人だから。かっちゃんの気持ち、いつかちゃんと分かってくれるから」

 

 

かっちゃんの少しゴツゴツした手を触りながら、私は目を閉じた。

膝の暖かさとか、陽気のポカポカで、いい感じに眠たくなってきたから。

 

 

 

「━━だからね、大丈夫だよ」

 

 

 

「━━いつもみたいに自信満々に笑って、強い言葉で怒鳴って、思う通りにしてて」

 

 

 

 

 

「━━ちゃんと伝わるから」

 

 

 

 

 

 

「━━誰も分かってなくても、私はちゃんと分かってるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━ちゃんと聞いてるから、ちゃんと見てるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━だから大丈夫だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━いつも、みたいに・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・好き勝手に言って、勝手に寝んな。てめぇのそういう所が、俺は嫌いなんだよ。双虎」

 

 


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