私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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前書きなんて、毎回毎回、そんな書けへんわ。
え、もう書いてるって━━━あ、ホンマや!!

それよか来週のヒロアカ、漫画もアニメもお休みってどういうことやねん!おれの、唯一の楽しみがぁぁぁぁ!!エンデヴァァァァ!!


喧嘩に勝つ最良の手段はいつだって、先手をうってボコボコにすることだぉ!コツ?コツはね、敵より早くボコボコにことだぉ!他?ないね!の巻き

気持ちよくお昼寝した私が目を覚ますと、鬼のような顔したかっちゃんと冷や汗をかいた切島の顔があった。

私の寝込みでも襲いにきて爆発系守護聖獣カツキングに阻まれたのかな?と思って聞いてみると、「そんなに命知らずじゃねぇわ!!」と怒られた。

 

なんでも最終種目が始まっても戻ってこない私達を探しにきてくれたのだとか。

なんだ、普通にイイヤツかよ。かっちゃん、仲良くするんだぞ。

 

スタジアムに戻りながら切島と話してると面白い話が出た。特別枠に滑り込んできた、二人の参加者の話だ。

 

「普通科?」

「そっ。一人は常闇があがってきたんだけどよ、もう一人ってのが普通科の奴だったんだよ。名前は確か・・・し、し、しん・・・そうっ!心操だ、心操!」

 

聞いた事ない名前だ。

誰だか知らん。

 

てっきりB組の誰が入ってくるのかと思ってた。

サイドテとか、妖怪髪の毛ツル女とか、なんやかんや物真似野郎とか。

 

「・・・緑谷、その顔だと全然覚えてねぇな」

「む?」

「心操って奴の事だよ。体育祭の話聞いた日あったろ?ほら、緑谷達が女子会して、俺達が緑谷に喫茶店に押し込まれた日」

「女子会したのは覚えてるけど、切島達を喫茶店に押し込んだのは知らないな」

「都合のいい記憶だけ残すなよ!!俺ら被害者一同は忘れてねぇからな!!」

 

切島がオコだ。

なんか知らないけど、私が悪い系にされてる。

 

「で?それがなんの関係あんの?」

「ぬるっと飛ばすなよ。まぁ、良いか。話進まねぇし」

 

詳しく話を聞いてくとなんとなく思い出してきた。

確かあの時、女子会にいこうとしたら廊下がジラン騒ぎを聞き付けた知らん生徒で一杯になってて、適当にあしらった気がする。

 

「あの時に最初にお前に声かけた奴いたろ?ヒーロー科に文句ありそうなさ。幻滅するとか、何とか言ってたやつ」

「いや、知らにゃい」

「可愛く言っても騙されないからな。いたんだよ、そこに」

 

いたらしい。

欠片も覚えてないけど。

 

「それが参加すんだ?個性は?」

「それ、聞くか?一応ライバルなんだけど、俺ら。まぁいいけどよ。聞かれた所で教えらんねぇし」

 

教えらんねぇ?

 

ふとかっちゃんを見ると私と同じ事を思ったみたいで眉間にしわを寄せていた。

だよねぇ。

 

切島の口振りから心操とやらは個性が不明のようだ。

覚えている限りのレクの内容を考えれば、無個性で上位に食い込むのは無理。だから何らかの個性は持っていて使ってはいるんだろうけど・・・これだけの衆人環視の中、未だにその尻尾を掴ませてないならかなり厄介な奴だという事になる。

 

目に見えて効果が現れない系は、面倒な場合が多いのだ。

 

「それが尾白とあたるの?それともあしどん?」

「尾白。芦戸とあたんのは常闇」

 

尾白かぁ。

個性使われる前に速攻したら勝てそうだけど、どうだろ。なんやかんや、尾白は甘い所があるからなぁ。

 

「んじゃま、試合終わる前に帰ろっか?見てみたいし」

「だな。もしかしたら俺と戦う相手かもしんねぇーし、しっかり観察しとかねぇーとな」

 

そう言って笑う切島の横で、かっちゃんが切島を殺さんばかりに睨んでた。

 

おう、切島よ。気を付けろ、隣に勝鬼さんがいるぞ。勝己じゃなくて、怒りで進化した勝鬼さんがいるぞ。

切島が心操と戦おうとしたら、第一回戦の相手である勝鬼さんに勝つのが大前提。それなのに勝鬼さんに一切触れずそれを言うって事は、『お前なんざ眼中にないぞ』ってお隣でギラギラしてる爆発妖怪に言ってるのと同義だぞ。

無駄に煽ると後が怖いぞ、キリシーマ。

 

ていうか、心操が切島にあたるとしたら決勝。

つまりは私が負ける事も前提なんだけど?

もしやあれか?私にも喧嘩売ってきてる?ん?

 

そこら辺をかっちゃんと切島に問い詰めたら、「悪かったってば!」と泣かれた。許した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタジアムに辿り着くと歓声が鳴り響いていた。

試合会場を見れば百と上鳴が挨拶を交わしてる姿がある。これから始まるみたいだ。

 

━━━うん、第一試合?

そりゃ、終わっとるじゃろ。

 

そう思って電子掲示板のトーナメント表を見れば、やっぱり尾白は負けていた。ほらね、そうだと思った。

 

 

 

百達の試合には興味あったけど、取り合えず確認するべき物を確認した私は更衣室へと向かった。もうじきかっちゃんも試合の準備とかで忙しくなるから、先に上着を返しておこうと思ったのだ。

 

二人を更衣室前に待たせ、私はパパっと更衣室でダサジャージに着替る。長々と借りてたかっちゃんの上着と違ってサイズぴったり、ダボつかなくて実に着やすい。正に私の為に用意された一品。ダサくても着やすさは抜群だ。

でも冷房の効いたロッカールームに仕舞ってあったからかジャージはちょっとヒンヤリしてて、温めずに着たからゾゾゾッてなった。これ、苦手。

 

世の中にはそのヒンヤリ感が好きだという人もいるみたいだけど、私にはその感覚は理解出来ない。

個人的に着替えは人肌くらいがベストと思う。

冬場はおこた温度がいい。

 

ふと脱いだ上着が気になって手にとってみた。

私のぬくさが残ったヌクヌク上着。

その温さに思わず顔を埋めた。

 

ぬくい・・・かっちゃんは良いなぁ。

このヒンヤリ感を味合わなくて済むんだから。

 

ヌクヌクしてると、少し癪な気分になってきた。

どうして私だけヒンヤリせねばいかんのだと。

なので、せめてもの抵抗として上着を冷房の前にさらしてやった。

さぁ、貴様もヒンヤリに背筋を震わせるといい!!

 

そうして手渡した上着だが、かっちゃんはそれを着ることなく肩掛けしやがった。

ヒンヤリ作戦失敗である。・・・返して欲しい、冷房にさらした五分間を。

 

心の中で勘のいいかっちゃんに舌打ちしてると、切島と目が合った。

 

「━━━緑谷、多分ちげぇぞ」

「?何が?」

 

え、何が?

 

 

 

 

 

 

 

着替え終えた私はかっちゃんと切島を引き連れて観客席を目指した。途中かっちゃんにジュースとお菓子を買って貰って観戦準備万端である。

そうしてA組に用意された観客席エリアまでいくと、食い入るように試合を見つめる皆の姿があった。

轟と瀬呂の姿は見えない。次の試合だから控え室で準備してるんだろうと思う。

 

「やほ、お茶子、梅雨ちゃん」

 

「あっ、ニコちゃん!どこいっとったん!?尾白くんの試合終わっちゃったよ!」

「探してたのよ、皆で」

 

「ごめんね、少しね。あ、尾白のはこの試合終わったら教えて」

「それはええけど・・・」

 

梅雨ちゃんの隣が空いていたのでそのまま座らせて貰い、かっちゃんから奢って貰ったジュースとお菓子を抱え試合観賞と洒落混む。

 

「どっちが優勢?って、聞くまでもないけど」

「けろっ。モモちゃんよ」

 

モモちゃん、だと・・・!?

梅雨ちゃんが、なんか仲良くなっとる!いつのまに!

・・・いや、今はまぁ良いか。

 

梅雨ちゃんから試合会場に視線を移せば、棒を武器にした見慣れない白い服を着た百と、逃げ回りながら電撃を放つ上鳴の姿があった。

 

上鳴の放つ電撃は幾度も百に当たるが、百はまったく動じないで追い掛けている。恐らく百の着てるあの白い服は絶縁効果があるんだろう。

 

電撃が通じない以上、上鳴が百に勝てる可能性はゼロに近い。もし勝機があるとすれば、電撃を警戒して絶縁服を着てる百をなんとか追い詰め、武器追加の動きを引き出すしかない。その際僅かに生まれる肌を露出する瞬間を狙って放電すれば、ワンチャンくらいはあるとは思う。

 

けど、それは、そもそもの地力が、百を上回ってないと出来ない芸当。

 

喧嘩慣れしてる私なら兎も角、上鳴みたいな個性に頼りきった戦闘スタイルを持つ奴に出来る訳がない。

よりにもよって百はもう武器持ってるし。

 

そう思って眺めてたら、上鳴が百に棒で殴られた。

結構なフルスイング。

痛そう。

 

それから少しして、上鳴が場外に叩き出されて試合は終了した。

 

ミッドナイト先生からその戦いへの意欲の高さを見込まれ、勝因を語るようにマイクを持たされた百はたった一言だけ語った。

 

 

 

「負けるわけにはいきませんでした。友達に捧げる贖罪でしたから!!」

 

 

 

うん、まだ背負ってたのか・・・。

 

 


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