私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

52 / 282
止めどきが分からなくて長くなっちまったぜ。
失敗したぁぁぁ(゜ロ゜)!!




君の懐が暖かいのは知ってる!さっ吐き出して貰うよ!━━━えっ!?私?私?!いや、なんで、え、お金持ってないの?本当に?じゃここの会計どうするの?え、私?いやぁぁぁぁ!の巻き

「かっちゃーーーーん、遊びましょー!」

 

体育祭による振り替え休日一日目。

朝ご飯をさっさと食べ終えた私は爆豪邸を訪れていた。

時刻は朝8時、私にしては早すぎる訪問であった。

 

というのも、昨日早く寝過ぎたのが原因だ。

 

医務室で目を覚ました私が知ったのは、決勝に進出していながらも怪我の具合を考慮した先生から下された無情の判決。棄権敗退という厳し過ぎる現実。戦って負けるならまだしも、戦わず二位になった私は当然抗議した。包帯先生に。

 

それはもう全力で抗議した。

ベッドの上で怒りを表現する為にシャチホコしたり、包帯先生の顔を下から穴があくほど見つめたり、リカばぁのお茶菓子を人質にとったり、裏路地アイドル達の秘蔵写メを献上したりした。頑張った。

 

その結果、準優勝という結果に考慮した補習計画を考えるとの言質を頂くにいたり、私の目標は何とか達成する。

 

これでお茶子達と遊べるぜぇい!と看病に来ていたお茶子に親指たてたら、なんか悲しい顔されたけど。

あれはなんだったのか。うむ、分からぬ。

 

そんなこんなで家に帰ってきた私は、母様のお叱りをひらりとかわし、疲れた体を癒すために全力で寝た。

就寝開始時刻、なんと驚きの七時である。

 

それからぐっすり十二時間熟睡し、翌日七時に目を覚ました私は元気百倍な気分で朝から太陽におはようした。気持ちの良い朝だったので我慢出来なかったのだ。

 

そして当然のように、先に起きてた母様から「朝からうるさい!!」と捩じ込むようなぼでぇーを頂いた。痛いなんてもんじゃない。きいた。世界をみた。

正直、うちの母様はあの体育祭の誰よりも強いと思う。

 

 

 

そんなこんなで朝から元気が炸裂していた私は、朝から遊びにいっても怒らない人を脳内で探し━━━かっちゃんなら大丈夫だろっ、と甘い見通しでここに来たわけだ。

 

ピンポンを押してから少しして、「朝から元気だねぇ」とかっちゃんパパが現れた。ふむ、となると光己さんまだ寝てるな。しまったか。

私は声の音量を下げて挨拶する事にした。

 

「おはよーございます」

「うん、おはよう。勝己まだ寝てるけど、呼んでくるかい?」

「大丈夫です、私が突撃してきます。かっちゃんパパは光己さんとイチャイチャしてきて下さい」

「はは、お気遣いありがとう。でもね、寝起きの光己は怖いから止めておくよ」

 

光己さんは低血圧なので、寝起きが頗る悪い。

爆豪家と緑谷家でキャンプに行った時、寝起きの光己さんを見てショックを受けたのは今も記憶に新しい。いや、もう何年も前の話なんだけど。

 

でもな・・・いつもならこの時間って、光己さん普通に起きてる筈なのにな?

 

「もしかして光己さん、飲んだんですか?」

「よく分かるねぇ。ちょっと昨日・・・というか、もう今日なんだけど。三時頃まで飲んでてね。なんのかんのと言っても勝己が優勝したのが嬉しかったみたいで、つい羽目を外しちゃったんだよね」

 

そうなんだよなぁ。

私の優勝、かっちゃんがかっさらってったんだよなぁ。

これは断罪せねば。

 

「━━かっちゃんパパも飲んだんですか?」

「少しね。光己が酔うと色々大変だから、介抱する為に控えててねぇ」

「介抱・・・かっちゃんに弟か妹が出来ちゃう?」

 

恋愛ドラマとかを思い出しなから聞いて見ると、そっと肩に手を置かれた。

かっちゃんパパは凄く優しい顔をしてた。

 

「・・・双虎ちゃん。今度、美味しいケーキを買ってあげるよ」

「わーい!」

 

若いなぁ、かっちゃんパパも光己さんも。

うちのポヨポヨに聞かせてあげたい。

 

かっちゃんパパとバイバイした私はかっちゃんの部屋の扉を開きさっさと中へ。鍵はかっちゃんパパから貰っていたのでなんなく入れた。

セキュリティが甘いぜ、かっちゃん。

 

「むむむ?」

 

そっとベッドを覗き込むとおネムなかっちゃんを見つけた。眉間に皺が寄ってないレアかっちゃんだ。一枚パシャっておく。

 

なんだろ、こうして見ると可愛い。

ライオンの寝顔に通じる所がある。

ん?あ、それ、可愛くないな。

 

頬っぺたをツンツンしてみたけど、起きる気配はない。

かっちゃんは寝起きがいいほうなので、これで起きないという事はお疲れなのだろう。昨日はなんやかんや、全力だったもんね。

 

何もする事がないので、ぼーとかっちゃんの寝顔を眺めていると、なんだか羨ましくなってきた。

なんて気持ち良さそうに寝るんだこいつ。

ずるい。

 

かっちゃんのベッドを手で押してみると、凄くボヨンボヨンだった。スプリングがパネェ事になっていた。

ずるい、欲しい。

 

こうなってくると益々羨ましい。

なんでこいつ、私より良い寝床で熟睡してんだ。

私なんて、安物のベッドで十二時間も寝る羽目になったと言うのに!!

 

あまりに悔しかったので、かっちゃんが起きるまで私も寝ることにした。

 

かっちゃんを端に転がしスペースを作る。

最初は床に放ろうと考えたけど、流石にそれは可哀想だったので端で許してやろうと思う。

優しさカンストしてるな、私。

 

かっちゃんを端に追いやると、元々大きめのベッドという事もあってスペースは十分に確保出来た。

寝返り対策に筋トレで使ってると思われるダンベルをかっちゃんとの間に敷き詰め、かっちゃんの枕を借りて寝た。掛け布団も借りた。

 

やべぇ、枕も掛け布団フワフワやんけ。

これはずるい。

 

・・・ぐぅ。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ━━━じゃねぇ!!」

「うおっ!?」

 

ちゃぶ台でも返すように、思いっきりベッドの外に弾き出されてしまった。体勢が思うように取れず、尻が餅をついてしまう。

 

その衝撃、実に痛し。

なんか尻が割れた気がする。

 

「朝から何しに来たんだごらぁぁぁ!!」

 

かっちゃん朝から元気だなや。

ハイテンション過ぎるぜ。

 

「暇だったから、遊びにきたよ!」

「だったらせめて起こせや!!なに、しれっとベッドに潜り込んできてんだ!?ああ!?つか!枕もねぇし、掛け布団もねぇし!なに全部しれっと使ってんだてめぇはよ!!」

 

全部が不味かったのか。

 

「じゃ、ほら、枕は返す」

「掛け布団も返せや!!」

「それは、はは、嫌だ!」

「なんでだよ!!つか、拒否権あると思ってんじゃ━━━━」

 

 

ドン、とかっちゃんの部屋にデカい音が響いた。

 

 

私とかっちゃんは音の正体を察し、お互いの口を塞いだ。

 

「朝からうるさい、騒ぐなら他所でやりな・・・!」

 

地を這うような怒りに満ちた声に私は静かに敬礼を返し、かっちゃんの手を取って出掛けた。

普通に怖かった。

 

後は頼んだ、かっちゃんパパ!!

私達はあなたの勇姿を忘れない!!

 

 

 

 

 

寝起きのまま、半袖短パンなかっちゃん。

突然出掛けたのだから当然無一文。

つっかえねぇと思ったのは、ここだけの話。

 

だらしないかっちゃんと街をブラブラしてると、懐かしい所についた。

かっちゃんが人質デビューした商店街だ。

ちょっと感慨深い。

 

「てーか、あれから一年も経ったんだね。なつい」

「はぁ?何寝惚けたこと言ってんだ、てめぇは。買い物とかきてねぇのかよ」

「いや、それは来てるけどさ。そういう感じじゃなくてさ・・・てか、寝惚けてたのはかっちゃんでしょ。私はもうバリ起きよ、バリ起き。七時に起きた」

「バリ起きしてんなら、人のベッドに入ってくんな。ぶっ飛ばすぞ、こら」

 

それは、まぁ、そうなんだけど。

だって凄く気持ち良さそうにしてたから。

 

「・・・はぁ。何すんのか知らねぇけど、金持ってきてねぇぞ」

「ん?知ってるけど?━━━んー、じゃ今日は私が出すよ。たまにはさ」

「あ?ちっ。ったくよ、面倒くせぇな。なら一回帰って━━━はぁ?」

 

かっちゃんが目を見開いた。

なんか凄い顔してこっち見てくる。

なんだよぉ、その顔はぁ。

 

「誰だ、てめぇ・・・!」

 

そこまで言う!?

てか、戦闘態勢とんな!!

私をなんだと思ってるんだ、貴様ぁぁぁ!!

 

 

なんとかかっちゃんに私が本物である事を説明すると、今度は額に手をおいてきた。「熱は、ねぇな」じゃねぇぞ!こら!そんなにおかしいか、私が奢るのは!?

 

「おかしいに決まってんだろ。・・・何言ってやがんだ、てめぇは」

「そこまで言う?!」

「なら、今まで一度だって奢ったことあったか考えてみろや」

「うん?それは━━━━━」

 

・・・・う、うん?

おかしいな、一回くらいは合ったと思ったのに、全然思い出せない。

 

「━━あ、小三くらいの時いった夏祭りで、りんご飴を━━」

「━━落としたてめぇが、俺に奢らせたんだろうが」

 

うん?そうだったか。

 

「・・・それなら、小五の時に初詣いったじゃん?その時おみくじ━━」

「━━が、大吉が出ねぇって、てめぇが小遣い全部ぶっこんだあげく、俺に出させてやっと出たんだろうが」

 

おう?そうだったか。

 

「・・・中学ん時、修学旅行先で━━」

「━━買い食いしまくったてめぇが金ねぇからって、俺がてめぇのお土産代貸してやったんだろうが。つか、思い出したらてめぇまだ返してねぇじゃねぇか。返せや」

 

・・・ふむ。

 

「一回くらいあったでしょ!」

「思い返すと本当に一回もねぇんだよ!!」

 

 

双虎にゃん、うっかり!てへぺろ!

え?あ、はい、今日は奢るよ。

奢りますよー。

嘘じゃないってば!

 

 

それから特に行くところの無かった私とかっちゃんは取り合えず商店街にあるゲーセンにいった。

平日という事もあってお客さんが少なく、どこのゲームもやりたい放題出来る感じだった。

その分お金は掛かるけどねぇ。

 

小学生の頃、かっちゃんとやった格ゲーがおいてあったので久しぶりにやってみる事に。

当然勝つために一番強いキャラを選んだのだが、かっちゃんも私と同じ事を考えていたのか全く同じキャラを選んできた。しかも、裏技まで使用して能力強化までしてくる始末。

 

久しぶり、キレちまったよ。私は。

 

コンボを駆使してなんとか戦ったが、結局ぼろ負けした。一回も勝ち星をとれないストレート負け。

ほくそ笑むかっちゃんに、思わずリアルエルボーした私は悪くないと思う。

 

それがあまりに悔しかったので、カーレースゲームで勝負を挑んだのだが、普通に負けた。裏技とか、そんなの無しに、普通に強かった。

どや顔してきたかっちゃんに、思わずリアルキックした私は悪くないと思う。

 

それから色々やってみたのだが、その結果は惨たるもの。昨日勝ちを譲ってやったのだから、今日くらいは勝ちを譲ってくれても良かろうにぃ。

かっちゃんはクソである。

 

乙女心を解さぬ輩とゲーセンにいても仕方ないので、さっさとそこを後にし次にご飯を食べに行く事にした。最初はファミレスに行こうと思ってたのだが、何となくお寿司が食べたかったので回転する方のお寿司屋さんへと行った。勿論お財布に優しい100円均一の所である。

 

お昼時とはいえ、そこは平日。

入ってそう時間も掛からず席につく事が出来た。

テーブル席についた私は早速流れるお寿司達に目を向けた。

 

「おい、茶飲むのかよ」

「お願いしまーす」

 

流れるような手つきでお茶を用意してくれたかっちゃんに軽くありがとして、お寿司を眺める。

しかし流れてくるものは軍艦巻き、軍艦巻き、巻寿司。しかもそのどれもにキュウリの存在を見つけた。

・・・くそ日であった。

 

「頭おかしい、ここのお店」

「おかしいのはてめぇの頭だ。食えるもんねぇなら、さっさと注文しろや、馬鹿」

 

かっちゃんは信じられない事にキュウリが大好物。なので平気でそれらを食べ始めた。キュウリの得体のしれない青臭さが漂ってくる。人間の食べ物じゃない事を再確認した私は、私の前で平気でキュウリを食するかっちゃんの不幸を心から願った。

タンスの角に小指ぶつければいいのにぃ。

 

それにしても注文か・・・ふっ、浅はかなり。

確かに注文すれば直ぐに食べたい物は食べれる。けれどそれは敗北を意味する。

自然に流れている物をその日の気分によってとる、真の回転寿司マスターたる私はそんな風流じゃない事しないのである。

 

それから少し待って、漸くキュウリの呪縛から解き放たれた板前共が他の物を流し始めてくれた。

ちらりとかっちゃんの方を見ると馬鹿みたいに皿を積んでいた。少しは遠慮しろと言いたい。誰が払うと思ってるんだ。二皿で終わりにしとけ。私の小遣いの少なさ舐めんなよ。

 

言いたい事はいっぱいあるが、全部言っててもきりがないので私のお寿司に視線を向け直す。

じりじりとやってくるお寿司様。途中で誰かにかっさらわれながらも何とか生き残ったお寿司様。

サーモンだけか、しかしそれも良かろう。

 

待ちに待ったお寿司様にいよいよ手が届く所になって、目の前でかっちゃんにとられた。

 

「・・・・あぁ?」

「表にでろ、爆発小僧ぉ!」

 

第一次回転寿司戦争IN折寺、開戦の合図であった。

 

「・・・はぁ、面倒くせぇ。座ってろ馬鹿」

「なんだとぉ!!私のサーモンをとっておいて、なんだその態度は!!許さん!絶対許さん!!箱いっぱいのガリを口に突っ込んでやるぅ!」

 

ガリ箱を持って臨戦態勢をとると、かっちゃんがサーモンを差し出してきた。ふん!それでいいのだ!・・・けどな、かっちゃんや・・・。

 

「皿ごとくれて、良いんだよ」

「さっさと口開けや」

 

何故か箸でつかんだあーんの体勢であった。

流石の私もこれははずい。

 

「くっ!こうやって私に諦めさせるつもりか!」

「馬鹿な事言ってねぇで、さっさと食え。その手だと皿取れねぇだろ」

 

かっちゃんの視線が私の手を見た。

紅白饅頭との試合で頑張ったので、おててはちょっと火傷で負傷中なのである。ぐるぐる巻きの包帯がちょっとあれだが、痛み自体はあんまりない。

火傷跡が目立つのでつけているだけなのだ。

 

「痛くないよ?わりと。包帯のせいでちょっと動かしづらいけど・・・」

「いいから口開け」

 

聞く耳を持たないかっちゃん。

このまま意地をはっても仕方ないので口を開いといた。

今日初お寿司、ネタがちょっと凍り気味だったけど、まぁ良かろう。でもな・・・。

 

「わさびがきいてない」

「あ!?んだと、こら!━━ちっ、面倒くせぇな!!」

 

そんな事言いながらお寿司にわさびを足してくれる世話焼きかっちゃん。メイドさんになれるよ、この子。

 

お寿司モグモグしてると、かっちゃんの視線が手に向かってる事に気づいた。というか、今日はずっと見られてる気がする。

 

「・・・ん。大丈夫だよ、本当に痛くないし」

「跡はのこんだろ・・・」

「リカばぁが意地でも治すって」

「そうかよ」

 

それだけ言うとかっちゃんは流れるお寿司に目を向けた。相変わらずキュウリ多目の光景に私はうんざりするが、かっちゃんはじっとそれを見てた。

 

「━━━あのな、無理すんな。ちゃんと手治ったら相手してやる。今日の勝負はなしだ」

「・・・うん。分かった。そういう事にしとく」

 

その日は珍しく甲斐甲斐しくお世話してくれるかっちゃんに甘え、雛鳥の如くお寿司を頂いた。

楽っちゃ楽だった。

 

 

 

 

 

 

そして、会計で軽く泣いた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。