私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
そして、終わり際に登場した荼毘に、我次回に期待す。
ジメジメする季節になりました、皆いかがお過ごしですか?洗濯物の乾きが遅い季節になりまして、わが家もすっかり生乾きの臭いに満ちております。そろそろ晴れてくれないと、ぶっ飛ばすぞ、太陽こら。の巻き。
体育祭の疲れも癒えた二日後。
天気は生憎の雨模様。
花の香り漂う春も終わりを次げ、季節は洗濯物が乾かないジメジメ梅雨ちゃんを迎えようとしていた。
「あーゆーおーけー!!えびばでぃーーー!!」
「「「「yes!双虎ーーー!!」」」」
しかし、そんな陰鬱を吹き飛ばす熱気がここにあった。
電車内は熱狂に揺れ、鼓膜を震わすビートが魂を震わす。コンサート会場と化した電車内で、私はかっちゃんに肩車して貰いながらオーディエンスに応えた。
「のってるかい、べいべー!!」
「「「「yes!双虎ーーー!!」」」」
答え返してくれるオーディエンスに私は手をふり、スマホをマイク代わりに構えた。
「雨にも負けずー!風にも負けずー!今日も頑張ってる皆に贈るぜ、最高の一曲!緑谷双虎、歌います!『空にうた━━━━』」
「いつまで、人の頭の上でやってんだ!!てめぇはよ!!」
「━━にゃふ!?」
「「「「彼氏が怒ったぞー!!!」」」」
「ぶっ飛ばすぞ、クソモブ共!!!」
「「「「ヒューーー!!」」」」
そうして電車でひとコンサートと終えた私は駅員の魔の手から逃げ切り、最近買った虎にゃんこなレインポンチョを着て学校への道のりを行った。
かっちゃんは普通のクソつまらない傘である。
センスを疑う。
「俺の方が疑うわ」
「はぁー?超可愛いでしょーが。拝め」
「拝むか、爆破すんぞ」
やってみろ、クソ野郎。
その時は戦争だ。
二人で登校してると同じ学校の奴等にやたらと顔を見られた。握手かサインをして欲しいのだと思った私は気さくに声を掛けるのだが、何故だか逃げられてしまう。
かっちゃんにどうしてだろ、と聞くと俺が知るかと言われてしまった。
なんじゃろ。
校門の前についた頃、後ろからバシャバシャと何かが駆けてくる足音が聞こえてきた。
音の正体へと振り向けば、カッパを着た眼鏡がダッシュしていた。長靴まで履くという強者っぷりである。
「何を呑気に歩いているんだ!!遅刻だぞ!おはよう緑谷くん!!爆豪くん!!」
かっちゃんに時間を確認して貰うと予鈴5分前だった。
「眼鏡の時計壊れてんじゃないの?5分前だけど」
「雄英生たるもの10分前行動が基本だろ!!」
「じゃ、眼鏡はもう失格じゃん。のんびりいこうよ」
無駄な努力をする眼鏡の襟首を掴むと、喉がしまったのか眼鏡が咳き込んだ。
「ふぐぅ、はっ!!い、いきなり止めてくれ。少しだが、見てはいけない河川を見てしまった気がする」
「?何いってん?ほら、それよりのんびりいこう。こうなったら5分遅れようが、一時間遅れようが変わらないからさ」
「それは全然違うと思うが・・・」
眼鏡にポンチョを自慢しながら校舎に入る。
眼鏡は一応は褒めてはくるのだが、心を感じないので0点評価である。
お世辞にも質ってあるよね。
教室内に入ると、皆体育祭の影響について話していた。
皆ジロジロと見られたらしい。あしどん超声かけられたらしい。可愛いからね。
それとは反対に、瀬呂は小学生からドンマイコールされたとこの事。可哀想だったからね。
梅雨ちゃんがそんな瀬呂に優しさからドンマイしたので、私もそれに乗ってドンマイしておいた。
凄いジト目で見られた。梅雨ちゃんとの差を知りたい今日この頃。
そうこうしてる内に鐘が鳴り包帯先生が「おはよう」と小さな声で挨拶しながら入ってきた。なんか顔に巻いてた包帯がとれ弱体化している。
まぁ、どうでも良いけど!
私は夏休みの件の進捗具合を聞くつもりで元気に挨拶を返した。
「おはようございます!!!」
「おはよう、無駄に元気だな緑谷」
「はい!!元気二百倍であります!!」
そう返事を返すと包帯先生が私をジト目で見てきた。
「聞いたぞ。朝から随分と楽しそうに登校してきたらしいじゃないか・・・」
はっ!流石に目敏い包帯先生だ!
もう気づいていたとは。
私は雨の季節の一張羅といって過言ではない、にゃんこポンチョを取りだし見せつけてやる。
包帯先生の目が僅かに見開いた。
「はっ!緑谷双虎!楽しく登校致しました!」
「・・・・」
「━━━む?」
何故だか嫌な予感がした。
包帯先生ならハンカチを噛み締めながら悔しがると思ったんだけど、全然そんな事ない。寧ろ目が厳しくなってる気がする。
「緑谷・・・電車」
「はっ!!?」
全てを察した私は静かに椅子に正座で着席し、静かにポンチョをしまった。
「後で職員室にこい」
「ひぃっ!!」
不味い!!
一人であんな所にいったら、地獄を見る事になる!!
ネチネチ説教されてしまうぅ!!
何とか逃げ場を探した私はしかめっ面したかっちゃんを目にした。
「そ、その場にはかっちゃんもおりました!!」
「なっ!?てめぇ!!」
「爆豪もこい」
「んでだぁっ!?」
よっしゃぁ!!
一人で逃げようとした罰じゃぁ!!
ぶぁぁっはははは!!
「爆豪くんも災難やね」
「けろ、でも面倒見る人がいないとね」
「私語は慎め」
「・・・」
「・・・けろ」
私とかっちゃんに死刑宣告と同等の判決を下した包帯先生は教卓に着いて話を始めた。なんでも今日のヒーロー情報学がちょっと特別なんだとか。
皆が緊張する中、一人絶望にうちひしがれ机につっぷしていると「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ」とのお達しがきた。
皆が楽しげに騒ぎだす。
「夢膨らむヤツきたぁぁぁぁぁ!!」との声も聞こえてくる。
良かったな、お前ら。
この先私には、地獄しかやってこないと言うのに。
皆の上がり切ったテンションをばっさりと切り落とした包帯先生は更に話を進めた。プロからのドラフトがどうのと、2年3年がどうのと難しい話をしていた。
途中から聞いてなかったので分からないが、要は体育祭の結果を踏まえたプロヒーローからの指名が来てるらしい。
「ま、そういう訳だ。で、その指名の集計結果がこうだ」
黒板に映し出されるA組指名件数。
その内訳。
最も指名件数の多いのはかっちゃんだった。
二番目は轟で、三番目は私だ。
また負けた。今度は紅白饅頭にすら負けた。
くぅ。
「例年はもっとバラけるんだが、今回は三人に注目が偏った」
包帯先生のその言葉に「見る目ないよね、プロ」との戯れ言をほざいた奴がいた。命知らずがいたもんだなぁと視線をそこにやると初めて見る奴がいた。
あれ誰だ。
あんな奴いたの?
転校生?・・・停学してたのかな?
あ、いや、なんかいた気がする。
謎の金髪に目を奪われていると、瀬呂が私を見てきた。
「二位と三位が逆転してんじゃん。あれだな、日頃の行いの差だな」
・・・瀬呂、お前覚えておけよ。
包帯先生がこの場を離れた瞬間、貴様の命はそこで終わると思え。
そんな瀬呂とは対象的に尾白が首を傾げた。
「俺的に爆豪の結果が、一番納得出来ない・・・」
その言葉に切島、飯田以外の男性陣が頷いた。
「っんだと!!こらぁっ!!」
「だってなぁ~最後の飯田ん時とか酷かったし」
「麗日ぼこぼこはやっぱ印象悪りぃだろうしな」
「基本的に暴言だらけだったし・・・」
「顔怖かったもんな」
「悪鬼羅刹」
「ぶっ飛ばすぞ、てめぇら!!」
わいわいする男子陣とは正反対に、女子ーずはきゃぴきゃぴしてた。
なんか私を見てきゃぴきゃぴしてきた。
なんだよぉ。
「喧しい」
包帯先生の声で皆がしゅんとした。
「これを踏まえ・・・指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのにいってもらう。お前らは一足先に体験してしまったが、プロの活動を実際に体験して、より実りのある訓練をしようってこった」
なるほど、それで一応のヒーロー名を決めとけって事か。
納得した私はかっちゃんの背中をつつく。
「んだよ、馬鹿女」
「かっちゃんのヒーロー名、私が決めてあげよっか」
「はぁ?」
顔を歪めたかっちゃんの耳に顔をよせる。
「爆発系ヒーロー爆裂伯爵ボンバーノ・・・!」
「ふざけろ、んでそんなダセェ名前にしなきゃなんねんだ」
「むぅ・・・?なら、かっちゃんならどうすんのさ」
そう聞くとどや顔のかっちゃんが口を開いた。
「爆殺王・・・!」
・・・ふむ、ふむ。
むぅ。
ふむ?ふむ・・・。
「ダセェ」
「表に出ろ、馬鹿女。戦争だ」
胸ぐらを掴み合いながら廊下に出ようとすると、包帯先生に普通に叱られた。
すんませんっしたぁぁぁ!!