私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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ちょっと昔、毎日投稿しとる奴みて、人ちゃうわと思ってたけど、こんなぼくでも出来るんやから、やれば出来るもんらしいで。

皆もやろうぜ(*ゝ`ω・)!
必要なのは、根気と熱意とほんの少しの諦めと、思いきりの良さだけ!
恥なんて投げ捨てていこうぜ!


選びとれ、運命を!導きだせ、勝利への道筋を!!はぁぁぁぁ!!出ろっ!ゴールへのラストサイコロっ出ろや2━━━ぁぁぁ!ここで刻んできますか、そうですかぁ!の巻き

授業終了後、職場体験場所を決める為にヒーロー事務所リストが手渡された。指名のあった人は指名事務所の中から、指名のなかった人は学校側が予め頼んでおいた事務所の中から選ぶようだ。

勿論、指名があった人でも、希望があるなら学校が頼んでおいた方にも行っていいらしい。出来るだけ指名してきた所から選んで欲しい的な事は言われたけども。

 

 

皆それぞれ自分が活躍出来る場を考えているようで、行く場所はそんなに悩まずに決まりそうな雰囲気。

さて、私はどうしようかね。

 

休み時間になり、暇潰しにリストをペラペラ眺めていると「ちょっといいか」と声を掛けられた。

視線をそこへと向ければ紅白饅頭の顔があった。

 

「・・・どったの?」

「ちょっとな、今いいか」

「いいけど?別に何もしてないし」

「そうか」

 

じーと黙りを決め込みこっちを見てくる紅白饅頭こと轟きゅん。

すっとぼけた表情なのに、どこかイケメン臭がする。

なんだろ、ちょっと癪だわ。

 

「・・・言いたい事あるなら、言っていいってば。何?」

「わりぃ。何から言うか考えてた。よく考えたら、緑谷にはその件について何も教えてなかった事思い出してな」

「ああー、それなら話したい所だけで良いよ?それとも全部話したい?聞くけど」

「・・・聞いては貰いたいとは思う。けど、今じゃなくて良い。俺自身、飲み込めてない所もあるしな。だから、先にこれだけ言わせてくれ」

 

そう言うと紅白饅頭は頭を下げてきた。

 

「ありがとう」

 

言葉から、本当に感謝してる事が分かる。

あの時の何がどうなって、紅白饅頭が頭を下げるに至ったかは知らないけど、それが私のお陰だと言うのであれば素直に受け取っておこうと思う。

 

「うん、あいよ」

「軽いな」

「私がしたのはそんな程度の事だってこと」

「・・・そうか。俺にはそれが、一番難しかったんだけどな」

 

言いたい事だけ言って去ろうとする紅白饅頭の背中に、私はふと思い付いた事を言ってみる事にした。

 

「轟ぃー」

「?どうした」

「連絡先交換しよー」

 

何故か紅白饅頭がきょとんとした。

 

「・・・いいのか?」

「?言ってる意味が分からん。いいに決まってるから聞いてるんだけど。て言うか、ベストフレンドなのに連絡先知らんとかどうなのよって話じゃんね。━━ん?スマホ持ってないの?」

「それは持ってる」

「ほら、貸して」

 

さっさと紅白饅頭からスマホを受け取り、連絡先のデータを交換して返した。

返した時もきょとんとしてた。

 

「今度はどったのよ」

「いや・・・なんでもない。俺はメールとか、あんまりしないぞ」

「いや、そういうのは期待してないけど?てか、メール打てんの?」

 

なんだその顔は。

打てないのか?打てないんだな?

 

「・・・人並みには打てる」

「打ってきてみんしゃい」

「・・・・」

 

だから、なんだその顔は。

打てないんだろ?あんまりやった事ないんだろ?

 

ぎこちない動きでメールを打つ紅白饅頭を眺める事1~2分。漸く初メールが届いた。

 

『轟焦凍。』

 

なんで名前打ってきたんだ、こいつ。

あれかな?初メールだから名前打ったのかな?

連絡先交換したって言ったのに。

てか、マルはいらん。

 

「・・・正直言うと、普段は電話くらいしか使わない。見るのは出来るんだが、返すのはな」

「うん?そっか。まぁ、困ってないなら、良いんじゃね」

「緑谷」

「ん?」

 

また沈黙が訪れた。

なんだって紅白饅頭は話し出すとテンポが死ぬほど悪いのか。

弄り放題だった、とっつき易い数日前の轟きゅんを返して!

 

「・・・緑谷が嫌じゃなければ、メールの練習相手になってくれないか?ヒーローやってくとしたら、最低限こういう物も使えないと仕事にならないと思っててな」

「練習相手?別に良いけど・・・私もマメな方じゃないし練習になるかなぁ・・・あ、そういう事なら皆とすればいいんじゃね?」

「皆・・・?」

 

首を傾げる紅白饅頭を放って、A組女子ーずに集合をかけた。全員近くにいたから直ぐに集合。紅白饅頭ごと私を取り囲む感じになる。

 

紅白饅頭、ちょっとビクッとした。

 

「どうかしましたの、緑谷さん?」

「ニコ呼んだー?お、轟と何してんのー?」

「はっ、まさかの三角関係!?」

「ホンマ!?あわわ、どうなってしまうんやろ・・・」

「葉隠ちゃん、冗談がキツいわ。お茶子ちゃんも簡単に信じちゃ駄目よ」

「本当だとしたら相当ヤバイ事になるだろうね。無駄に爆発してる爆豪が目に浮かぶ」

 

お喋りな女子に囲まれた紅白饅頭はフリーズした。

恐らく考える事を放棄したのだろう。

実に潔し。

 

私は固まってる紅白饅頭に代わり事情を説明した。

すると皆、連絡先交換するのも、練習するのも快くOKしてくれる。

 

反対に、峰田なら事情も聞かず断ったとも言っていた。

仕方ないね。

 

事情を聞いた中であしどんと葉隠が特に積極的で、早速今日の放課後にでも打ち方のいろはを伝授するとの事。絵文字とか顔文字とかの使い方とか教えるらしい。百もその講座に参加するとか。教わる方かい、と思ったけどそれは黙っておく。メール打てない百、可愛い。

 

しかしなぁ、紅白饅頭が絵文字なんてもの教わって、果たして使う日が来るのだろうか?

私は疑問である。

 

 

「━━━っせぇぞ、切島。自慢してんじゃ━━あっ?」

「そんなんじゃねぇって。でもよ、サインなんて言われたの初めてだから━━━ってなんだあれ?轟?何してんだあれ、女子に囲まれて」

「俺が知るかっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニコちゃん!ちょっとええ?」

 

その日の放課後帰ろうとしたらお茶子に呼び止められた。朝の件をこっぴどく怒られた後で部活に参加してる生徒以外いない時間帯だったので、声を掛けられてちょっとびっくり。今日はよく呼び止められる日だなや。

 

深刻そうな顔をしたお茶子にピンときた私は、同じくさっきまで怒られていたかっちゃんにコイコイする。

 

「んだよ」

「今お金どんくらい持ってる?私は20円」

「なんで高校生にまでなって、財布の中に20円しかねぇんだよ・・・。━━━今はそんなに持ってねぇ。5000円くれぇだったか」

 

思ったより残高に余裕があったので、ゆっくりお茶子の話を聞くためにも駅前の喫茶店に行く事にした。

勿論かっちゃんの奢りである。

 

終始かっちゃんは抵抗を見せたが、108の必殺技の一つ『一生のお願い』を使用すれば一ころだった。

かっちゃんは昔からこれに弱い。もう、何度目になるか分からんのにね。アホだな。

 

いつか悪い女に引っ掛からないか幼馴染として心配だなぁ━━と言ったら、なんかお茶子から凄いジト目で見られた。

わっつ?

 

喫茶店に入ってお茶子とお茶しながら話をすると、眼鏡の話になった。何でも眼鏡の兄貴がヒーロー活動中、輩に襲われたらしい。ニュースでも取り上げられるほどの事件だったらしく、結構重症らしい事と活動が見合せになってる事を知ったとか。

 

「そんでね、今日話聞いてみてんけど、大丈夫としかゆうてくれんくて・・・。大丈夫にはみえんし、どうしたらええかと思って」

「思いっきり、ビンタしてみるとか」

「そんなプロレスラーの気合い注入みたいなんはアカンと思うわ」

 

駄目か。

 

かっちゃんに良い方法はないか目で聞いてみたけど、面倒臭そうに鼻息を漏らした後口を開いた。

 

「大丈夫だってんだから放っときゃ良いだろがっ」

「そ、それはそうなんやけど・・・」

「何かすりゃ解決するほど、簡単な話でもねぇだろが。ちったぁ考えろや」

 

キツい言葉を発したかっちゃんのボディに母様直伝のブローを叩き込んでおく。

お茶子を虐めるなボケ、という私の気持ちである。

 

「・・・ま、かっちゃんの馬鹿は無視するとして、真面目な話、出来ることってそんなにないと思うよ?元気になるの急かしても仕方ないし。本人の気持ちが落ち着くのを待つのが一番だよ」

「それは、分かってるつもりなんやけど・・・。けどね、なんか、今だけは、放っておいたらいけない気がすんねん・・・」

「ふぅん?」

 

多少気にはなったけど、私はそこまで眼鏡になにかあるとは思えない。

色々と悩んでいるのは分かるけど。

 

けど眼鏡の友達として関係を築いてきたお茶子がそういうなら、何かあるのかもしれない。

気のせいと切ってしまえるほど、そういう時の女の勘は馬鹿に出来ないのだ。

 

「ふむ、分かった。じゃ、取り合えず私も注意して様子見とくよ。それで何かあったら、その時は気合い注入ビンタしよ」

「ビンタはあれやけど、ありがとうニコちゃん」

「ええよ、友達じゃない」

「ふふ、マネせんといてよー」

 

その後はお茶子と楽しくケーキを摘まみながらお茶して帰った。別れ際、お茶子の顔は少しだけ明るくなってたけど、やっぱり何処か暗くて少し凹む。

なんとかしてあげたいけど、こういうのは本人が受け入れる時間が必要だし、励ましたりするにもタイミングとかもあるし、簡単にはいかないんだよね。

 

 

 

その晩、早速紅白饅頭からメールがあった。

相変わらず固い文章だったけど、要はただのおやすみメールだった。

 

文の最後の顔文字にホッコリしたので寝る前に返しておく。

 

 

『轟、夜分遅くに悪かったの後に《( ・_・)ノΞ●~*》はないわー。手をあげてるけど、それ爆弾投げつけてる顔文字だからね?明日またあしどん先生と葉隠先生にしごかれるように!じゃ、おやすみー(*・ω・*)ノ』

 


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