私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
暑いし、しんどいし、眠い。
夏きらい(´・ω・`)
助けてヒーローマーン!!(混乱)
キラキラ回るルーレットで、運命の瞬間じゃすのぅしてまいうぇいして、始めてよぉぉぉ!!(錯乱)
電車を降りて十五分くらい歩いた頃。
エンデヴァーヒーロー事務所という看板が掛けられた立派なビルが目の前に現れた。
私は轟に買って貰った沢山のお菓子の袋を抱えながら、そのビルを見上げた。ホクホク気分に浸らせてくれた、胸に抱えたお菓子の山。買って貰った当初は凄く嬉しかったが、それが轟にとって端金だったのかも知れないと思うと何とも言えない気分になる。
まぁ、ありがとはするけどもさ。
「緑谷、いつまでも見上げてないで入るぞ」
「む?あいよー」
何処かの黒い影のような返事を返した私は轟の後を追って中へと入る。中は外装以上にお高そうな作りになっていて、置かれているインテリアはどれも一等品。床はワックスでテッカテカで、綺麗な受付のお姉さんまでいた。
分かります、オフィスラブですね。
「昼ドラが始まりそうな予感」
「?そうだな。あと一・二時間もしたら飯時だからな」
「いや、そうじゃ無いんだけども」
受付のお姉さんに話をすると、社長であるエンデヴァーが既に部屋でお待ちだという。寧ろ迎えにこいよと思ったけど、多分息子の前で格好つけたかったのだろうと予想。うちのパパもそうだけど、どこのパパも子供の前ではええ格好しいなのかね?
エレベータを上がり最上階へ。
そのフロアにも綺麗なお姉さんがいる受付があって、また軽く手続きする。
中々辿り着かないな、おい。
そうして色々な事をやった後、豪華そうな扉の前まで案内された。
「ととろきぃ」
「なんだ、その気の抜けた呼び方」
「ふざけて呼んでみただけ。そうじゃなくてさ、ここ本当にあんたのパパさんの所なんだよね?」
「パパっつうと違和感が凄いけどな。そうなる」
ぶっちゃけ心配になってきたのだ。
何しろ私、ここの社長であり轟のパパであるハゲに一回ドロップキックかましてるからね。
今日ここに呼ばれたのって、過去の因縁の清算をつける為だったりしないよね?ね?
「何かあったら助けて」
「クソ親父とはいえ、流石に学生に手を出すようなクズ野郎だとは思いたくないんだが・・・まぁ、何かあったら助ける。心配すんな」
おう、任せたぞ息子ぉ。
轟がドアをノックすると「入れ」と偉そうな声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ。間違いなくドロップキックかましてやったハゲだろう。
ドアを開けて中へと入ると、高級そうなテーブルに肘をを置き、両手を組みながらこちらを見つめるハゲの姿があった。
「よく来たな、焦凍。それと緑谷双虎くん。歓迎しよう、我がエンデヴァーヒーロー事務所にようこそ」
ハゲは立ち上がりこっちに近づいてきた。
「緑谷双虎くん。体育祭での活躍、全て見させて貰った。素晴らしい結果だったよ。準優勝おめでとう、と言っていいかな?」
「どーもー、ざっす」
「相変わらず口の利き方がなっていないな君は。まぁ、良い。そんな口が叩けるのも今の内だけだ。今回、焦凍と君には、真のプロの姿というものを見せてあげよう。そして知ると良い、君達が目指すプロの高さというものを」
ハゲはそれだけ言うと「さっそく着替えて貰おう」とセクハラ発言してきた。
私は法律に従ってスマホでイチイチゼロを入力する。
「まて、緑谷。コールするな」
コールしようとした所で轟に止められてしまった。
止めるな轟ぃ、変態が目の前にいるのだ。
「だって、ここで着替えろって」
「流石にクソ親父でもそれはねぇ。おい、親父。更衣室は何処にあるんだ?」
「んん?なんだ聞いてないのか。二階に、お前達の寝泊まりする部屋を空けて━━━━おい、待て。緑谷双虎。まさか貴様、また通報しようとしたのではあるまいな?!」
ハゲが顔をしかめて聞いてきたので、素直に頷いておいた。
「だって、ここで着替えろっていうから」
「誰もここで着替えろとは言っとらん!!以前も思ったが、君は私をなんだと思ってる!!」
「ハゲ」
「は━━━━っ、ハゲてはいないと言ってるだろ!!見ろ!これを!頭皮から生えてるだろう!!」
ぐいっと近づけられた頭。
言われた通り顔を寄せて覗けば、頭皮から生えてるように見える。けど最近の植毛技術は高いから、見ただけでは本物かどうかなんて私には分からない。抜いてみたら分かりやすいと思うんだけど・・・ん?
「あ、白髪」
「ったぁぁぁ!!貴様いきなり何をする!」
「白髪抜いてあげたんですよ。ほら、感謝して。感謝」
抜いたそれを渡すとハゲは更に怒り狂った。
「明らかに白髪以外の物が交じってるだろう!!・・・って、白髪すらないではないか!!」
「あっれれぇー落ちたのかなぁー?オカシイなぁー」
「貴様ァ・・・!!」
プルプルと震えたハゲは顔を真っ赤にした。
多分怒ってる系だとは思うけど、轟の予想通り何もしてこない。学生だから気を使ってるのかもしれない。
なら、遠慮しなくてもいいか。
「ねぇねぇ」
「ねぇねぇとはなんだ!ねぇねぇとは!目上に対する態度ではなかろうが!仮にも世話になる身であるなら、もっとこう、しおらしく出来んのか!」
「歓迎するんでしょ?歓迎会しないの?」
「歓迎会などしてたまるか!!」
私は驚いた。
仮にも一流の事務所を経営してるヒーロー様が、そんな事を言うとは思わなかったのだ。
「歓迎会も出来ないなんて・・・しょぼ」
「なにぃ!?歓迎会が出来ない訳ではない!しないと言ってるのだ!!そもそも体験する━━」
「しょぼ。ここは普通大人の財力を見せつけて高い食べ物並べてさ『ははっこれが一流というものさ』って煽るくらいするでしょ。ワインとか片手にさ。あーしょぼ。うわーしょぼ。噂でナンバー2とか聞いたけど、こんなもんかー。ガチムチでもクラスの皆に奢ったっていうのになぁ」
「ガチムチ?ガチ・・・オールマイトの事か!?貴様ァ、言わせておけばぁぁぁ!!」
怒鳴り声をあげたハゲはスマホを取り出すと何処かへと電話を掛けた。
「おい!!今すぐありったけの食い物を用意しろ!!3階の会議室を空けておけ!!職場体験にきた焦凍と小娘の歓迎会をする!!━━なに?グッズ開発の会議中だと?後にしろ!今すぐやる必要はなかろうが!!それよりも会議室を空けてパーティが出来るようにテーブルを並べなおせ!!早くしろ!なに!?飲み物だ!?適当に見繕え!いちいち聞くな!一等品を適当に買っておけ!食い物もそうだ!!」
なんかやってくれるみたいだ。
言ってみるもんだね。
それにしても・・・。
「三人でやるの?しょぼ」
「━━勤務中以外のサイドキックを全員呼べ!!休日出勤手当ては出してやる!直ぐにこいと言っとけ!!事務の奴等も呼べ!」
「ビンゴ大会はしないの?」
「━━昔なにかの時、ビンゴ大会をしたろう!道具を用意しておけ!!賞品は倉庫に幾らでもあるだろ!!適当に持ってこい!!」
「隠し芸とか見たいなぁ」
「━━今から呼ぶサイドキック達に伝えろ!一人一芸するように━━━━て、調子にのるな小娘!!俺に何を言わせる!!」
ぼやいてただけで、何も言わせてないわ。
勝手に言ってただけの癖にぃ。
「小娘ぇ!良いかぁ !これから二時間後に、貴様が度肝を抜くような一流が故の一流たる歓迎会を見せつけてくれる!!精々、驚きのあまり腰を抜かさぬように覚悟しておくんだな!!着替えて待っていろ!!」
「ここで着替えんの?」
「これから秘書に案内させる待機室でやれ!!」
それだけ言うと大股でハゲが部屋を出ていった。
隣にいた轟がいつも以上にぽかんとしてる。
「どした?」
「いや、あんな親父初めて見てな。あんな顔もするんだなと」
「私と初めて会った時もあんなだったけど」
「本当か?俺の見てきた親父はなんだったんだ・・・」
それは知らん。
「けどさ、多分、轟の見てきた物が全部じゃないとは思うよ?事務所経営するってそんなに簡単じゃないからね」
人は色んな面を持ってる。
そう簡単に白だの黒だの割りきれるもんじゃない。
ここまで成功してる人なら、きっと尚更だ。
「・・・緑谷、俺は何を見てきたんだろうな」
「さぁ。でもさ、今まで轟が見てきたのは轟が見たかったものでしょ」
「俺が?」
きっと誰もがそうだと思う。
私もきっとそうだ。
見たいものしか見なくて、見たくないものから自然と目を離してる。
轟みたいに見逃してる物が、私にもきっとある。
「焦らなくても大丈夫。これから一つ一つ知っていけば良いよ。今まで気づけなかったものをさ」
「そう、だな。・・・今更焦る必要はないな」
それから少しして秘書が来て、待機室に案内された。
用意された部屋はこじんまりとしてるけど中々良い部屋だった。流石にトイレとかお風呂はなかったけど、ベッドあり。荷物置き用のロッカーあり。テレビとソファーありと、豪華な感じだった。思わず、おおーと言葉が出てしまう。
ベッドは職員の仮眠用らしくて高いものではないとの事だったが、触ったら私の使ってるベッドよりフカフカだった。
ええやつやん、欲しい。
ただ、部屋の鍵が壊れていたらしく、着替え中を紅白饅頭に覗かれるという事件が発生したので星は一つである。
え?紅白饅頭がどうしたのかって?
そら、もう、あれよ。
ね!