私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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クーラーに甘やかされる日々。
これではいけないと扇風機オンリーにしたけど、三十分で諦めた私はカブトムシ。

何言ってんだ、おれは(;・ω・)


閑話かぁ・・・主人公だけで話作れないとか、あかんやろぅ。もうこんな閑話しない。ぼくはしないぞ。と言いながらやっぱりやるよ。の閑話の巻き

『八木俊典?』

『面白い奴だよ。イカれてる』

 

そいつはいつも俺を困らせた。

 

『そいつが言うにはさ、いわく・・・犯罪が減らないのは国民の拠り所がないからだと』

『拠り所ね・・・』

 

背負うもんが大きくて、立ってるのがやっとだってのに、そのくせ誰よりも笑ってやがる。

 

『この国には今、柱がないんだって。だから自分がその柱になるんだって』

 

辛いとか、苦しいとか、口には碌にだしゃしねぇ。

そのくせ質のわりぃことに、本当の限界まで頑張っちまう。

 

『私思うんだよ。きっと私は、あいつと会うためにここまで来たんだって。私では変えられなかったこの時代をさ、・・・曇った皆の顔を笑顔に変えてくれる、そう思わせてくれるあいつと会うためにさ』

 

だからずっと側にいてやりたかった。

少しでもあいつの理想に近づけるように、少しでも支えてやりたかった。

 

『なぁ、もし私になんかあったら、あいつの事頼むな』

 

けれど、結局俺の掌の中にゃ、何も残りゃしなかった。

 

『グラントリノ』

 

何も━━━━━━。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーーーー、こりゃ、また随分と懐かしい夢みたもんだ」

 

てっきりお迎えが来たのかと思ったぐらい安らかな夢だった。枯れ木みてぇな爺いの身が今はうれしい。でなきゃ、この年になって餓鬼みてぇに頬を濡らしてたやもしれねぇ。

 

重い体を持ち上げて伸びをすれば、バキバキと何処かしらが音を立てた。

体が固くていけねぇ。

 

枕元のヒーロースーツを手にとり着替える。

最近は手まで震えてきやがって、ファスナー一つあげるのに苦労する。

 

正直、着替えるのも楽じゃねぇや。

 

 

引退を考えた事はある。

それは一度や二度じゃねぇ。

若い時にあった筋肉はもうねぇし、身長もだいぶ縮んじまった。体は鉛みてぇに重てぇし、ちっと動けば息だって碌に続かねぇ。全盛期の半分も力を出せれば御の字。そんな日がもうずっと続いてる。

けれど止めれなかった。

 

それしか生き方を知らねぇのもあったが、それよりなによりあいつの残した馬鹿が気掛かりだった。

 

『頼むな』

 

あいつのたった一つの願い。

もう何処にもいないあいつに出来る、俺が出来る唯一を、俺はまだ手放す気になれなかった。

 

「それでもなぁ、頑張り過ぎだろうがよ、俺」

 

幾つになると思ってんだかな。

なぁ、志村。

 

もう潮時じゃねぇのかよ。

 

「・・・っと、いけねぇや。歳食うとこんな事ばっかり考えちまうな。湿っぽくていけねぇ。飯食って準備しとかねぇと・・・・準備?」

 

あー何だったか?

なんか用事があった気がするが。

はて?

 

暫く考えてみたがちっともそれは思い出せねぇ。

何かあったのは分かるんだが、それだけだ。

考えても仕方ねぇと取り合えず寝室を抜け、飯を食うために一階に降りると冷蔵庫に貼られた一枚のメモが目に入った。

 

そこにあったのは職場体験の四文字。

 

「━━━あぁ、そういや今日だったな。最近は本当に駄目だな。わけぇ頃はボケ老人なんざ馬鹿にしてたもんだが・・・これは確かに笑えんわなぁ」

 

自分がなるとも思ってなかったしなぁ。

そもそも、こんなに長生きする予定でもなかった。

適当なところでゴミみてぇに死ぬもんだと、ずっとそう思ってたからな。

 

しかし、今になって誰かを教えるか。

我ながらど阿呆だわな。

 

けどよ、あの姿みたら一言くらい掛けたくなっちまうだろうがよ。

俺と同じ様に、足掻くあの餓鬼みたらよ。

 

 

 

何となしにつけたテレビに映り込んだ、雄英体育祭の映像。特にやることのなかった俺はそれをたい焼き片手に眺めてた。

 

やはり三年の部の連中は群を抜いた活躍してて、今年も世間賑わすのはこいつらかと思ったんだが、画面はいきなり一年の部を映しやがった。

一年の部なんてひよこもひよこ。未熟でつまらん連中しかいないと思ってたんだか、中々どうして久々に手に汗握っちまう戦いがそこにあった。

 

 

一年の部でもっとも注目されていたヒーローランキングナンバー2のエンデヴァーの息子、轟焦凍。個性の強力さもあって今年の優勝候補だったのだが、その餓鬼をぶち抜いて障害物競走のトップに躍りでたのは緑谷双虎という聞いた事のない一人の小娘だった。

これが中々曲者で個性の使い方が並外れて上手く、その上戦闘勘も頭抜けてやがった。妨害するのも息をするようにしやがって、周りをよく見て考える奴だってのも分かる。

 

面白れぇと素直に思った。

 

そしてそう思ったのと同時にあることを思い出して、そして気づいた。

今年の一年の中にオールマイトが後継として選んだ餓鬼がいる事を、恐らくこの緑谷双虎ってのがあいつの選んだ後継だって事を。

 

けど、それより俺の目を奪ったのはその後方を走っていた餓鬼。眉間にしわ寄せて怒鳴り声をあげて進む、爆豪とかいう餓鬼の姿だった。

そのがむしゃらさが、前をゆく緑谷を追う視線が、俺に何かを告げていた。

 

気がつきゃ俺は最後までその姿に見いっちまってた。

 

体育祭を見終えると、ネットから体育祭の映像を見返した。爆豪の表情、言動、行動。何度も見返していく内に嫌でも気づいた、こいつが抱える緑谷双虎に対する特別な感情に。

 

それはネットにあげられてたような、惚れた腫れたなんて安っぽい言葉で説明出来るような単純なもんじゃない。恐らく言葉なんぞじゃ言い表せられない。

募り続けてきたそれは、酷く分かりにくく、理解されがたい。そしてきっと、本人もちゃんと分かってねぇ。

 

けど、俺には分かった。

同じものを抱き続けてきた俺には、はっきりと。

 

翌日になって学校側に指名のメールを書いた。

一位になった男をただ待つのも馬鹿らしく思い、オールマイトの馬鹿に電話してやる。

 

冗談で耳が遠いふりして、爆豪が後継候補と勘違いしてる発言をすりゃ分かりやすく狼狽えていやがった。

そのまま電話切れば、訂正しようとしたのか電話が掛かりまくった。勿論出ねぇ。

 

最近ちっとも連絡してきやがらねぇあいつにはいい薬になるだろうと、電話の線をぶち抜いておいた。

 

郵送で職場体験先に選ばれた事を知ったのは、それから数日後の事だった。

 

 

 

 

 

 

「さてと、さっさと飯食って、やんちゃ坊主を迎えてやらにゃぁな」

 

なぁ、爆豪。

俺はおめぇが何考えて、何がしてぇかよく分かるよ。

俺も昔はお前と同じところに立ってたからよ。

 

だからよ、教えてやる。

 

俺が気づいた事。

俺が手に入れたもん。

俺が届かなかったそれを。

 

何を見なきゃいけねぇのか。

何を考えなきゃいけねぇのか。

何をしなきゃいけねぇのか。

 

一から十まで。

十から百まで。

 

全部が全部、叩き込んでやる。

だからよ、さっさとこい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死ぬほどゲロ吐かしてやるからよ。

爆発小僧。

 




◇おまけぇー( *・ω・)ノ



かっちゃん「おらっ!入るぞクソが━━━」バン


グラントリノ「・・・・」_(¦3」∠)


かっちゃん「━━おっ・・・はぁぁぁぁ?!」


グラントリノ「・・・・」_(¦3」∠)


かっちゃん「・・・・お、おい。━━━ちっ、んだ。と、取り合えず、救急か?あ、いや、警察が先か?いや、まてよ、まだ近くにヴィランがいやがるか?なら、ヒーロー事務所に・・・」


グラントリノ「生きとる!」


かっちゃん「ふざけてんじゃねぇぞ、こらぁぁぁ!!」



その後色々あってめっちゃゲロ吐いた。

かっちゃんが。

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