私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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ほんのりシリアス系(´・ω・`)


普段乱暴な奴が急に優しくなってきた時、思った以上に好い人に見えた時は確実に映画版○○○アン効果が発生している時なので、油断することなく復讐パンチをお見舞いするんだよ?の巻き

職場体験を始めて三日目の朝。

寝惚け眼で歯を磨いていたら秘書さんが迎えにきた。

ハゲが呼んでいるとの事。

 

時間を確認したら、昨日聞いていた出発時間より30分は早い。ヒーローなんて職業やってれば時間なんて関係ないのは分かるけど、学生様の私達を巻き込まないで欲しいと思ってしまう。寝かせて。大人になったら嫌でも働かなきゃいけないんだから、今だけは寝かせてよぉ。

 

 

 

「━━そういう訳だから寝かせてよぉ」

「社会人を舐めるな、緑谷双虎」

 

正直に思った事をハゲに言ったら、普通に諭されてしまった。諭されなきゃいけない側のやつに言われるとは、なんだろ少しむきゃつく。

ハゲのくせにぃ。

 

少しして轟がやってきた。

相変わらずハゲをスルー。

昨日の夜の会話が嘘のような塩対応である。

 

そんな轟に寂しそうな雰囲気を出したハゲだったが、私のジト目に気づくとコホンと一つ咳き込み本題について話始めた。

 

「ヒーロー殺しを追い、保須へと入る」

 

何でもハゲは最近巷を騒がせるヒーロー殺しについてサイドキック達に調べさせていたらしい。そしてそれから知り得た情報を元にプロファイリングし、次の出現場所を割り出したという。

 

以前より保須市に一時的な活動許可をとっていたらしく、昨日その許可もいよいよおりたらしい。

 

「ヒーロー殺しは近年稀に見る厄介なヴィランだ。本来ならヒーロー免許も持たない学生を連れていくような案件ではない。・・・だが、お前達は連れていく」

 

少し意外だ。

過保護そうなイメージがあったから。

 

そう思って眺めていると、ハゲがやたらと真剣な目でこちらを見てきた。

 

「お前達はいずれプロになるだろう。既にサイドキックレベルの実力を持つお前達ならば、大した苦もなくな。ならば、多少の危険はあるやも知れんが、その目で見るべきであろう。そして、しかと学んでおくが良い。本物の悪と対峙するという事の意味を」

 

その言葉にどんな気持ちが込められているか分からないけど、それを聞いた轟はハゲの言葉に応えるように掌を握った。

 

こうしてサイドキック二人を補佐として付ける事を新たな条件に加えられた私達は、ヒーロー殺し逮捕の為にハゲと共に保須市へと向かう。

 

移動中ハゲの生え際を覗いたり、轟の髪の毛をサイドキックのお姉さんと三つ編みにして遊んだり、今週キャンペーンしてるアプリの十連ガチャひいたりしてると、スマホが鳴った。

なんじゃろかと確認すれば、お茶子からメッセが送られている。

 

『飯田くんからなんか連絡ない?』

 

三日前の別れ際の様子を思い出した私は取り合えずお茶子に電話しておいた。

 

「━━━━お茶子?もしー」

『━━ニコちゃん!あ、ご、ごめん。ニコちゃんかて職場体験で忙しいのに、あんな変なメッセ送ってもうて』

 

電話に出たお茶子の声は酷く沈んでいた。

 

「どしたん?眼鏡となんかあった?」

『特別なんかあった訳じゃないんだけど、あれからあんまりメッセの返事してくれんで・・・。忙しいだけならええんやけど、なんか心配で』

 

お茶子の心配は分かる。

あの時の眼鏡の余裕のなさを見てれば当然だと思う。

 

『それで、ニコちゃんの所にはなんかない?』

「ないなぁ。ごめんね」

『ええよ。私こそごめん。ううー、誰かなんか聞いてる人おらんかなぁ。男の子って同じ男の子とかに、こういう事相談したりするもんやろか?』

 

かっちゃんを見てるとないような気がする。

でもまぁ、皆が皆かっちゃんみたいに生きてるわけないと思うし。

 

「眼鏡と同じ所に行ってる人とかいないの?」

『確か保須やろ?保須ってそんな有名なヒーローおらんし、行ってる人おらんとちゃうかな。近くなら━━━』

「━━━保須?」

 

もしかして、もしかする?

 

「保須ってさ、保存の保と、さんづくりと百と貝を足して二で割ったような感じの字書く?」

『多分そうやと思う?・・・ニコちゃんも聞いてたん?』

「聞いてない。私のとこさ、ヒーロー殺しとかいうのを取っ捕まえに保須にいくんだよね」

『えっ!ニコちゃん、保須にいくん!?それにヒーロー殺しって保須におるの!?』

 

慌てたようなお茶子の声が響いてきた。

何か焦ってるように聞こえる。

 

そんなお茶子の声が漏れたのか、隣に座ってる轟が目を見開き、目の前に座ってるハゲから睨まれた。

 

これ内緒系だったみたい。

 

「あ、ごめんちゃ。これオフレコで」

『あ、うん!それは、うん、そうする!ってそうじゃないよ、ニコちゃん!ヒーロー殺しって、飯田くんのお兄さん怪我させた人や!もしかして飯田くん、ヒーロー殺しを追ってそこに行ったんじゃ・・・!!』

 

お茶子の言葉に眼鏡の顔が脳裏に浮かぶ。

覇気のない、暗くて思い詰めたような、そんな顔を。

 

「あの、馬鹿眼鏡・・・・っ」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

『何を考えて何をしようとあんたの勝手だけど、そんな顔してれば心配する人がいるって事忘れないでよ』

 

あの日から、彼女の言葉が胸の中に残り続けていた。

友人である麗日くんと共に、心配そうに僕を見る二人の顔も。

 

『私怨で動くのは止めた方がいいよ』

 

諭すように声を掛けてくれたマニュアルさんの姿も。

けれど、ならばどうすれば良い。

 

『天哉、昨日言おうか迷ってたん・・・だけどな、足の感覚がねえんだ』

 

そう辛そうに語る兄さんに。

 

『ヒーローインゲニウムは多分・・・ここでおし・・・まいだ』

 

絶え絶えに語る兄さんに。

 

『俺だって・・・嫌だよ・・・だからさ・・・お前が良いなら・・・』

 

僕が抱いたこの感情は。

 

 

 

 

『いやー従えるっつか・・・逆だよ父さん。俺一人じゃまだ何も出来ないからさ。支えてもらってんの。その分俺もしっかり働いて返さねぇとさ』

 

困ったように笑う兄さんに。

 

『俺はあんまセンスとか優れたもんないけどさ・・・。ヒーローなんて肩書き背負ってんだもん。自分の働きがたくさんの人間の為になるのは・・・嬉しいよ』

 

真っ直ぐに父さんを見つめる兄さんに。

 

僕が抱いた、あの憧れは。

 

 

 

 

許さない。

僕はお前を、許さない。

許せる訳がない。

 

僕の憧れを壊した奴を。

僕の大切な兄さんの夢を壊した奴を。

 

『ニュースをご覧の皆様はお気をつけ下さい。血のように紅い巻物と全身に携帯した刃物が特徴です。ヒーロー殺しステイン。現在被害者はヒーロー資格を持つ者のみですが、見掛けましたら接触することなく速やかに通報をお願いします。非常に危険です。繰り返します━━』

 

ヒーロー殺し、ステイン。

 

「すまない、麗日くん。緑谷くん。マニュアルさん。それでも僕は━━━━」

 

 

 

 

お前を倒す。

兄さんの名に、インゲニウムの名において。

 

 

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