私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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ホークスがえらいことになってますけど、ダイジョブなんですかねぇ?ねぇ(´・ω・`)?

ホリー!救いはあるんだよねぇぇえ?!
ねぇぇえ!?


悲劇を目撃せし君よ!狼狽える事なかれ!そこにありし本当の光景を考えるのだ!よく、考えるのだ!そう、よくよく考えたら、眼鏡は人間じゃない!よって、別段大変な事は起きてませんからぁ!の巻き

銃刀法違反してそうな輩をぶん殴り、ついでに蹴り飛ばした私が見たのは無惨な姿で地面に横たわる眼鏡だった。

 

フレームは歪み、レンズの片方は割れ、もう片方はヒビが入っている。

 

私は直感した、もう助からないと。

 

 

「遅かったか・・・!!」

 

「よくこんな時にボケられたものだな!!」

 

元気なツッコミが返ってきたのでボケはその辺で止めて、倒れながらこちらを窺っている輩に意識を向けた。油断の一つもしてくれれば御の字だったけど、そう甘くも無さそうだ。

 

初見という事もあって引き寄せる個性で上手くガード抉じ開けてボコれたけど、この分だと二度目は通じないと思う。

 

こういう手合は頭は悪いけど勘が良い。

理屈ではなく、体に染み込んだ経験とか、本能に近い何かで私の動きを読んでくる筈だ。

 

ぼろ雑巾から目を離さず、体勢を立て直す。

近くに倒れている眼鏡が動こうとしない。視界の端に映るインディアンも。

 

「眼鏡のない眼鏡」

「いや、もうそうなったら素直に飯田とでも呼んでくれ。もうこのさい委員長とかで構わないから」

「そんな事はどうでもいいから。そんな大した怪我に見えないんだけど、動けないわけ?ぶっちゃけ、あれとガチンコしたくないんですけど。逃げたいんですけど。乙女の肌に切り傷とか、堪りませんわ」

 

考えただけでゾッとする。

痛いの駄目、絶対。

紙で指切っただけで駄目なのに、刃物でスパーとか気を失うわ。

 

「す、すまない。身体を動かせない・・・。斬りつけられてから、奴の個性じゃないかと思うんだが・・・」

 

ニュースだと刃物に毒物だとか、もしくは斬る事で発動する個性だとか言ってたっけか?

何にせよ、無傷で勝利は難しい以上戦いは避けたい。

 

「・・・緑谷くん、手を出さないでくれ。これは僕の━━━━」

「うるさいわっ」

「━━━った!?蹴った?緑谷くん、今蹴ったのかい?!」

 

なんかほざこうとしたので蹴って黙らせようとしたら、逆にヒートアップしてしまった。

上手くいかないね、世の中。

 

「はぁ、うるさいなぁ。得意分野の障害物競走ですら私に負けた小物なんだから、大人しく助けられてなさいっての」

「こ、小物・・・・!?」

「出来もしない事はやらない。これ常識。どうしてもやりたいなら出来るまで鍛えるか、出来るように策を考えな。どっちも出来なかったあんたに、文句言う資格はないの。プークスクスだよ、プークスクス」

「プークスクス・・・!?」

 

復讐すんな、なんて聖人みたいな事、私は言わない。

世の中強いばかりではない。

そうしなきゃ前に進めない人だっているから。

 

でもまぁ、だからって認めてやる気もないけど。

 

私の目の黒い内は恨まれたって邪魔してやる。

友だちが、知り合いが、家族が、そんな事して捕まったりしたら、明日のご飯が美味しく頂けないからね。

 

「・・・ハァ、それは、仲間にかける言葉にしては辛辣だな。が、悪くはない」

 

そう言うとボロ雑巾がゆっくりと体を起こした。

まったくダメージがないというわけでは無さそうだけど、継続戦闘にあまり支障はきたしてなさそうに見える。

 

思ったより鍛えてる。

なら、多分個性に頼るタイプじゃない。

戦闘の主軸は肉体能力。武器を使うならそれに準じた技術。見た感じだと刃物系。主な武器は日本刀、ナイフ。投擲用の投げナイフも見える。

面倒、厄介だ。

 

「よく、見てるな・・・お前は。そこの男達とは違うな。強い。だが、まだ未熟」

 

ボロ雑巾は側に落ちてる刀を足で掬い上げると、右手に握り締めた。

 

「━━娘、俺はそいつらを殺す義務がある。そいつらはヒーロー社会の癌、粛正対象だ。それを邪魔立てするなら当然、ぶつかる。━━━━つまりは、弱い方が淘汰されるわけだが・・・さぁ、どうする」

 

何言ってんだ、こいつ。

 

「殺す義務ってなに?そんなに偉いわけ?」

「ハァ・・・お前に理解出来るとは思えんが━━━」

「え、難しい話?じゃ、良いよ。お口チャックで。ニコちゃん難しい話分からんばい」

「・・・貴様ァ」

 

長い話なんてご勘弁なのだ・・・あ、やっぱ聞いとけば良かった。

轟が来るまでの時間稼ぎになったのになぁ。

 

でもまぁ、仕方ないよね。

こんな奴に偉そうに言われるのは癪だし。

 

「何を言ったって、あんたは犯罪者でしかないでしょ」

「なに・・・?」

「どれだけ大層な理由があるか知らないけどね、あんたなんかよりずっと飯田の方が正しいよ。粛正対象?なにそれ、笑うわ」

 

ちゃんちゃらおかしい。

自分だって好き勝手に暴れてるだけだってのにさ。

 

「人殺して平気な面してるあんたなんかより、ずっと優しくて、ずっと良い奴だよ。兄貴の為に怒れて、兄貴の為に戦える」

「それが愚かなのだ。ヒーローとは━━━」

「ヒーロー語るなよ、犯罪者。あんたに分かるわけないでしょ。粛正なんてくだらない方法しか選べなかった、弱虫毛虫のあんたなんかにさ」

 

その瞬間、ボロ雑巾の気配が変わった。

体の重心が前に沈むのが見える。

くるっ。

 

「もういい、黙れっ」

 

引き寄せる個性でその場を飛び退ける。

目の前に真一文字に刃が通った。

反応が遅れていれば腹を切り裂かれている所だ。

 

「ハァ・・・!速い、な。だが、それだぎゃ━━━ふっぐ!?」

 

のんびり喋っていたボロ雑巾の下顎を引き寄せ舌を噛ませてやる。

ざまぁないぜぇ。

 

どさくさ紛れて引き寄せといた首の巻物を引っ張れば簡単に体勢が崩れた。

 

ボロ雑巾に引き寄せ個性をフルスロットル発動。

宙をかっ飛び、いっきに接近する。

 

「━━━ハァ!!やるっ、が甘い!」

「甘いのはあんたでしょうがっ!!」

 

刀を振ろうとする腕と、ボロ雑巾の足元のコンクリを対象に引き寄せ個性を発動。

瞬間、"刀を持つ腕とコンクリとが引き合い"火花があがるほど激しくぶつかる。

体育祭以降使えるようになった私の超秘、本来掌に引き寄せてしまう点をねじ曲げ、別の対象同士を引き合わせる事が出来るのだ。使える回数は限られてるけど、使い時さえ間違えなければ大きなアドバンテージを得る事が出来る。

今みたいに。

 

驚きを浮かべたボロ雑巾の顔面に、渾身の力を込めてかかと落としを喰らわせてやる。

 

ニコちゃん108の必殺技。

前方宙返りの勢いを全て乗せた必殺の踵落とし。

ニコちゃんハンマーである。

 

当たれば一撃。

その自信はあったけど、現実は中々厳しかった。

 

降り下ろした足に鈍い感触はあったけど、そこ感じたのはとどめには程遠いモノ。

信じられない事だけど、逸らされた。

 

あの、崩れた体勢から。

 

 

 

 

「━━━━━捕まえたぞ」

 

 

 

 

視界の中にこちらを見つめるボロ雑巾と、その手に握られた光る刃を見た。

咄嗟に引き寄せる個性を発動し飛び退く。

数本の髪の毛が切り裂かれたけど、それだけ。

直撃なし。

 

 

「いや、捕まえた・・・・!」

 

 

ぼろ雑巾の掴むナイフについた赤いもの。

血のようななにかが見える。

 

その時になって私は肩の僅かな痛みに気がついた。

視線をそこへと向ければ、小さな切り傷があった。

 

ナイフについた血に、それに舌を這わせようとするぼろ雑巾に━━━嫌な予感を覚えた。

全身に鳥肌が立つ。

 

 

私は自分の勘を信じ、フルスロットルでボロ雑巾の手元にあるナイフを引き寄せた。

出力調整もコントロールもなく引き寄せたせいで、引き寄せたナイフで掌が切れる。赤い血が飛び散るのが見える。半端なく痛い。

 

けれど、私の行動を見たボロ雑巾の様子を見て、勘があたっていた事が分かった。

 

理解した。

ボロ雑巾の個性。

発動には対象となる血液を、経口摂取する事が条件。

恐らくその効果は、体の自由を奪うもの。

 

なるほど、刃物を武器にする訳だ。

 

 

「━━━ならっ!!」

 

 

おもいきり息を吸い込む。

身構えるボロ雑巾に向かって、止まる事を知らない乙女力を込めて火を吹き付けてやった。

 

溜めが足らなかったせいで火力が弱い。

直撃したがダメージは薄い。

精々が服を焦がした程度だ。

 

それならばと、もう一度火を吹き付けたけど、今度は難なくかわされた。

それも前進されながら。

 

「・・・ハァ、惜しかったな・・・!もう気づいたのか!やはり、よく見ているなァ・・・!!良い」

 

忌々しげに呟くボロ雑巾に、さっきの予感が間違ってなかった事を改めて知る。

頑張って良かったと思うけど、状況は最悪だ。

 

引き寄せる個性で飛んだけど、それよりぼろ雑巾の刀が僅かに早い。

刀の切っ先が二の腕をなぞった。

 

再びボロ雑巾の手の中に、私の血が落ちる。

 

「言動に問題はある━━━が、おまえは生かす価値がある」

 

ボロ雑巾の舌が刀の上を這う。

血を求めるように。

 

「少し大人しくしていろ、直ぐに終わる・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先に行くなって、言ったろ!緑谷!!」

 

 

怒鳴り声と共に灼熱と極寒が走る。

ボロ雑巾はそれを寸での所でかわし、逃げるように距離を取った。

 

運の良いことに、刀についていた血は上手い具合灼熱へ溶けていったのが見えた。

 

でかした、紅白饅頭!!

 

「━━━━っ轟くん!どうして、君まで!!」

 

飯田の言葉に轟が一瞥したが、直ぐに私を見てきた。

なんか私を見つめる轟の眉間に皺が寄ってる。

 

「・・・前は分からなかった。俺は見てるようで、周りの事何も見てなかったみたいだからよ。だから、ようやく分かった。爆豪がなんで、あんななのか・・・」

 

なんだろう、おかしいな。

こっちに歩いてくる轟の背中にかっちゃんが見える。

ぼやっと王子の背中に爆炎が見える。

 

「俺が言えた義理じゃないけどな。緑谷お前、今回の件が終わったら説教するからな」

「なんでっ!?」

「自分の胸に手を当てて考えてみろ」

 

言われた通りに手を当てて考えてみた。

どうしよう、心当たりが多過ぎて、何を怒られてるのか全然分からない。・・・轟の現代文の教科書の詩に、官能小説の一文書き込んでおいたあれかな?世界史の教科書に乗ってる偉人の写真を、全員髭面にした事かな?

ううん、分からん。

 

「━━━まぁ、いい。それもちゃんと無事に帰ってからだ。兎に角、親父に場所は伝えといた、直に応援がくる」

 

轟は周囲へと氷結を放った。

ボロ雑巾に向かうのは鋭い氷柱。

倒れていたヒーローと飯田、私の足元に現れた氷は滑り台のようになり、私達三人を轟の下へと転がす。

 

轟は側に来た私の頭を乱暴に撫でると、ボロ雑巾から庇うように私を含めた三人の前に立った。

 

「緑谷、手、平気か」

「もち。こんなの包帯でちょちょいのちょいよ」

 

ポーチから包帯取りだし締めるように掌を巻けば、溢れ出ていた血が止まった。

痛みはあるけど、まだ戦える。

 

「・・・よし。なら、今度こそ二人で守るぞ」

 

あー、置いてった事がオコだったみたいだ。

 

今更ご機嫌とりやっても仕方ないけど、このまま放置しておくのも怖かった私は、素直に轟の言葉に頷いておいた。

 

ふぅ。

帰った後が怖いんだぜ。

 

 

 

 

大丈夫だよねぇ?

 

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