私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
『かけ、ハクビシンくん』
定価1,080ペリカで、なんおーせーる( *・ω・)ノ!
『A組生徒、幾つかの班に分かれ囲いから脱出を始めた模様だZE!レスキュー2組、避難路確保1組、残った連中はデコイかぁ?ま、兎に角順調だぜイェァァーーー!!』
マイクからの有線回線での連絡を受けながら、私は胸を撫で下ろす。
最初の段階をクリアしたという事は、日頃の指導に意味があったという事に他ならない。
このままドームに閉じ籠るような事もなく、無謀なアタックを仕掛ける事もなく、冷静にかつ慎重に行動を開始出来て本当に良かった。今学期の通信簿は良い点あげないと。
動き始めたという生徒達の動きは、こちらからでは動きが見えない。
ちゃんと死角を考えて移動出来てる証拠だ。
ますますもって素晴らしい。
「ガチムチ、ガチムチ。今見えてない系でしょ?飽きてきたんだけど、これ取っても良い?」
動き始めた生徒達を思っていると、鉄骨に縛られた風でそこに寄りかかるだけの緑谷少女が気だるそうに尋ねてきた。
私はボイスチェンジーの電源をオフにし、緑谷少女へと顔を向ける。
「いや、勿論ダメだけど。というか、さっきのさっきまでノリノリで演技してたのに、集中力切れるの早すぎないかな?」
「ガチムチと違って若いんですぅ。じっとしてると死んじゃうんですぅ」
「そんな寂しいと死んじゃうウサギみたいに言われても・・・」
「ええぇぇぇ・・・・じゃぁ、ログボだけでも貰わせて下さいよ」
そう言うと緑谷少女は体を縛ってる風の縄アクセを落とさないようにごそごそと身動ぎする。器用にポケットからスマホを取り出し、生徒達からどうあっても見えないであろう死角で弄り始めた。
「緊張感ゼロだね」
「そうは言ってもやる事ないし」
「やる事ないだろうけどもさ」
これが訓練だと分かっているのは教師を除けば緑谷少女のみ。
保護者にしても生徒にしても、これはリアル以外の何物でもなく、今から行われる救出作戦も含め、皆命懸けの気分であろう。
だと言うのに・・・・。
「うわっ、ここもジャミングされてる。うわぁ、まじか」
「・・・絶対に見せられないなぁ。」
私の呟きに緑谷少女は不思議そうに首を傾げた。
「はっ?いや、見られたら終るんですから、そりゃそうでしょ」
「いや、そうなんだけど、そうじゃないと言うか」
ちょっとずれてるぞ、緑谷少女。
そんな事を思ってるとスマホを見つめていた緑谷少女の視線が私に向いた。
「それはそうと、あれはなくないですか?スーパーヴィランって。もちょっとなんかあったでしょう」
緑谷少女の言葉の暴力が私を襲う。
元々考えていた名前を忘れ咄嗟に名乗った名前ではあるが、割と良い感じだと思っていただけに心にくるものがある。
「でも、その、良くないかな?」
「小学生だってもっとマシな名前つけますよ。━━━後、HAHAHAとか笑って、ばれないと思ってんですか?体型も相俟って、まんまじゃないですか。ポーズとかもまんまだし。ぶっちゃけ、私と捕まってる保護者で意識散漫にしてなかったら、速攻バレましたよ」
「ああ、うん、ご、ごめんね」
「あんなんで騙されるのは、紅白饅頭くらいですよ」
ごめんね、焦凍少年。
私のミスが原因で、なんか、君まで扱き下ろさせて。
「それはそうと、さっき渡した銃上手く使って下さいよ?お腹と肩の所にポイント仕掛け付けといたんで」
「それ、本当にやるのかい?なんだか、助けに来た子にトラウマ植え付けそうなんだけど。先生、使いたくないなぁ」
「えぇぇぇ・・・折角用意したのに」
そもそも折角用意したからといって、全部使えば良いという事もないと思うんだけど。
「━━━と言うかね、緑谷少女、既にやり過ぎだよ。なに、その義手。精巧過ぎるよ。思ってたのと3倍くらい精巧過ぎるよ。メイクだって、どれだけ気合いいれたの?予定よりボコボコ過ぎるからね?」
「発目が聞いたら喜びそう。てかですね、発案は私ですけど、ギミックとかメイクとか、全部私がやった訳じゃないんで、責められても困りまーす」
それは、そうだろうけど。
ミッドナイト先生もこういう事好きだからなぁ。
相澤くんが側にいれば大丈夫だっただろうに。
「まぁ、何にせよ、銃を使うにしても、よく考えてからだ。使わない前提で行くからね?」
私がそう言うと、緑谷少女は分かり易くむくれた。
さて、このお転婆少女を助けにくるのは誰になるのか・・・。
願わくば、彼女に“あの事”を教えられる人物であれば良いのだけれど。
◇◇◇
「大丈夫ですか、助けにきました」
檻に閉じ込められて歯痒い時間を過ごすこと暫く。
不意に女の子の小さい声が聞こえてきよった。
周囲を見渡してみても、その声に相応しい人物は見受けられん。そもそも、皆自分の子供の安否を心配し、誰かを気づかうような余裕のある人がおらん。いや、爆豪さんとこは双虎ちゃんの心配しとったか。
「麗日さん。何か聞こえませんでしたか、けろ」
隣に座っていた蛙吹梅雨ちゃんのお父さんである蛙吹頑馬さんが話し掛けてきた。
どうやら、俺と同じもんを聞いたようや。
「蛙吹さんもですか?」
「ええ、助けにきました、と」
コンコンと石をぶつけるような音が鳴った。
視線をそこへと向ければ、宙に浮いた小石が目につく。
その様子を見て、お茶子と同じクラスに透明の子がおったのを思い出した。
俺は出来るだけ小さい声で返す。
「もしかして、葉隠ちゃんちゃうかな?」
「あ、はい。そうです、葉隠透です。その喋り方、お茶子ちゃんのお父さんですか?」
「はは、当たりや。それよか、助けにきた言うたな。その様子やとみんな無事なんやな?」
「はい、大丈夫です。誰も怪我してません。お茶子ちゃんはいまドームの中にいますけど・・・ほら、あっちに」
葉隠ちゃんの石の動きを追って視線を向ければ、建物の陰に何人かの生徒の姿が見え隠れしとる。
助けにきた言うのは冗談でも何でもなく、本気で行動しとるとゆう事。
しかしそうなると、俺らも簡単に「はい」そうですかとは言えん。
「一人、捕まっとる子がおるやろ。今もビルの屋上におる。あの子はどないするつもりや?」
「大丈夫です。今別のチームが向かってますので」
「協力出来る事あらへんか?」
「えっ?い、いや、その・・・」
無理を言うてるんは分かっとる。
きちんと訓練受けてる子らと違って、俺らはど素人の一般人。体力に自信があろうと、やるべき事が分からん奴にやらせる事なんてないやろ。
大人しく避難してもろうた方が、いるより何倍も役に立つっちゅうもんや。
「・・・無理言うてんのは、分かってんねんけどな。俺らも親や。子供が頑張ってんのに何もせえぇへんいうんが、我慢ならんねや」
「麗日さん」
「分かっとります。蛙吹さん。少し考えてくれるだけでええ。そんでも避難してくれた方がええ言うんやったらそうする。経験は君らのが遥かに上や。それに従うで」
俺の言葉に葉隠ちゃんは考えてくれた。
せやけど返ってきた言葉はNOやった。
「・・・気持ちが分かるなんて言えません。でも、私達も双虎ちゃんの事、絶対助けるつもりです。だから信じて下さい。皆ちゃんと訓練して、ちゃんとやるべき事をやってます。皆、ちゃんとヒーローになりたくて沢山勉強してきました。まだ一学期もいないけど・・・でも」
「もう、ええよ。悪い事聞いてもうて堪忍な」
厳しい話やけど、これが現実ちゅう事やろ。
いるよりもいない方が、力になれる。
それだけ分かれば十分や。
「他の親御さん達には俺らが話通しとく。どないしたらええ?」
「は、はい。えっとですね、合図がもうすぐある筈なんです。それに合わせて双虎ちゃんの所と、ここに救出チームがアタック掛けます」
「大丈夫なんか?」
「大丈夫です。信じて下さい」
透明やから目があったのかどうかは分からんけど、何となくその真剣な雰囲気だけは伝わった。
それから葉隠ちゃんは皆の下へと帰り、俺らは行動を開始した。いまだ状況を飲み込めない他の親御さんに救出に子供達が動き始めた事。じきにおこる作戦に協力する事。
どの親御さんもあまり文句を言わずに首を縦に振ってくれた。ここにいる誰もヒーローを目指す子供を持つ親として、多少の覚悟はあったんやろうと思う。
けど、ただ一人だけ、緑谷さんだけは首を縦に振ってくれんかった。
「あの子が救出されるまで、私は残ります」
「引子さん。そんな事言わないで避難しましょう?私らがいると、子供達の邪魔になりますから」
「私を置いていって貰って結構です。邪魔になると言うなら、いない物と思って先に避難をお願いします」
寄り添ってる爆豪さんの言葉も受け入れん。
気持ちは確かに分かるけど、それに頷く訳には、もっといかん。
「緑谷さん。俺も親です。気持ちは痛いほど分かります。せやけど、それが子供達の動きを悪うする事があるんです。あの子達は優しい子や。皆ヒーローを目指すだけの事はあって、人を見捨てるなんてでけしません。他を気にして何かミスをして、それが娘さん救出の失敗に繋がらんとも分かりません。結果的に、俺達がおらん方が救出成功の可能性が高なるんですわ。どうか一緒に」
理性的に納得して貰おう思うてそう言うたが、やはり緑谷さんは首を縦に振ってくれん。
するとそんな様子を見てた轟さんも緑谷さんの側へと寄っていった。
「麗日さん、ここは私らが話しておきますから」
「他の人達をお願いします」
男の説得ではここまでかと、女性二人に緑谷さんを任せ、俺は避難する準備を始めた。
しかし、そう言うてもやることは少ない。
精々が慌てないようにだとか、子供達の指示に従う事を言い聞かせるだけ。
何もしないよりはマシかも知れんが、やはり歯痒い。
「麗日さん」
状況を苦々しい気持ちと共に眺めてると、戻ってきた蛙吹さんが声を掛けてきた。
なんやろうかと思うとると、他の誰にも聞かれんような小声で語り掛けてくる。
「可能性の話なんですが、これ演習かなにかなのではないですかね?」
「・・・え?どない言う事ですか?」
「けろ。いえね、気になっていたんです。人質になって暫くしますが、犯人達あまりに私らを丁寧に扱い過ぎではないですかね?」
言われてみれば、バスからここに移されるまで、隙を見て抵抗しようとした人もいたが、拘束されただけで暴力を振るわれてない。一発くらい殴られても良いような気もする。
「人質を効果的に大人しくさせるなら、そういった事も上手く使うべきでしょう。なにより、犯人達は既に緑谷さんにそういった事をしているじゃないですか。見せしめとして」
「言われて見ればそうですねぇ。暴力を一つの手段としてる連中にしては、いやに平和的ですわな」
「短慮を起こしたどこかの馬鹿が、という見解もありますが、それにしては私達を見張る彼等は統率され過ぎている。ここまで徹底しているのに、見張りの誰かだけが、というのは無理があるかと」
蛙吹さんに言われて考えてみれば、どんどん引っ掛かる所が出てきた。
そもそもあのヴィランの言葉から妙だった。
確かに気配だけなら恐ろしい物があったが、その話してる内容というのは、そう、言うなれば━━━。
「授業参観にきたこと、歓迎しとりましたね。皮肉やと思うとりましたが・・・あれ、もしかして普通に歓迎しとったんですかね?」
「けろっ。緑谷さんの姿に黒マスクの人も驚いてましたしね」
「子供達に言うとった台詞も・・・」
「テストって言ってましたしね。状況的に、まぁ、あれではありますけど」
そう思うと一気に色々と胡散臭く見えてきた。
あの黒マスクヴィラン。何処かで見たことすらある気がしてきた。
「あのガタイ・・・オールマイトとか、あんなもんやあらしませんでしたか?」
「そう言われると、そんな気もしてきますね。けれど、個性が・・・」
「いや、それこそ、近くであの体育祭の先生が隠れてるんちゃいますかね?」
「ありえますね」
俺と蛙吹さんは静かに遠くに見える黒マスクを見た。
よく見えなかったのだが、黒マスクは双虎ちゃんが縛られた方向を見て、何か話しているように見えた気がした。リアクションとってるように見えた気がした。
「・・・取り敢えず、子供らも頑張ってますし。このまま知らない事にしときますか。あ、誰かにもう話しとりますかね?」
「いえ、まさか。可能性だけの話ですから。下手に希望を与えて、もし間違ってたらと思うと、とてもとても」
それから少しして、蛙吹さんと共に黒マスクの動きから怪しさを新たに見つけた頃、コンコンと音が鳴った。
振り向けばさっきと同様に石が浮いとる。
「準備出来ました。もう直ぐ合図がきます。そうしたら、私達が見張りを倒して檻を開けます。あとは指示に従って避難開始して下さい」
真剣な声と雰囲気。
緩んでいた気持ちに少し緊張感が戻る。
まだ、演習であると決まった訳ではない。
「おおきに」
全員に準備をするように伝え、準備を済ませたその時。
大きな爆発音と共に周囲一体に砂埃が吹き荒れた。
視界が最悪なその中で、複数のうめき声が周囲から起こり、そしてガシャンという音と共に檻の扉が開かれる。
「皆さん、お待たせいたしました!!先導は私、八百万 百が務めます!どうぞこちらから着いてきて下さいませ!!」
そうして、慌ただしく。
子供達による救出作戦が始まった。
(*>ω<*)ー!
教えて~ととろきせんせい!
Q、どうしてととろきせんせいには、微妙なフラグしかたたないの?アオハルじゃなくて、アホハルなの?
A、・・・おれはわるくねぇ。あれだからな、おれと轟とは違うから。天然じゃないから。別枠だから。おれはフラグビンビンだから。ととろきのフラグはビンビンだからな(真顔)
( *・ω・)ノおしまーい!!!