私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
長かったー!めちゃ、長かったー!!
小説へんなんて書くもんじゃないな!書くこと多すぎるわ(;・ω・)
本当なら色々蛇足しなきゃいけないけど、ぐどくなりそうだからしない( *・ω・)ノ
ふわっとまとめといたから、
これで勘弁して下さい((((;゜Д゜)))
「ブラド先生!さようなら!!」
「おう!また明日な!」
そう言って元気に帰っていく生徒を眺めながら俺は今日のB組の授業参観風景を振り返った。
A組と違い保護者に知らせた例年通りの救助演習。結果は良好と言えた。各生徒達が各々の個性をきちんと把握し、効率的にかつ能動的に救助活動を行えた。厳しめの採点をしたつもりだが、それでも五点満点でいうなら四点は固い。素晴らしい限りだ。
物間のやつも随分と明るい顔で帰っていったし、拳藤のやつもクラス委員として自信がついた事だろう。哲哲などはやる気が空回りしていたが、それも他の生徒がキチンとフォロー出来たしな。うむ、問題ない。
職員室に戻る途中、中庭で楽しげに集まるA組生徒を見た。
その様子からA組も滞りなかったのかと一瞬思ったが、よくよく見ると楽しげだと思ったのは気のせいで、何やら雰囲気が剣呑だった。
気になって眺めていると、A組生徒達の中心に正座する女生徒の姿が見え、すわ虐めか!?と思ったのだが・・・どうにもそうでもないように見えた。というのも会話の内容が聞こえてきたのだ。
「ニコちゃん、随分と楽しそうに騙してくれたんやね」
「やられたよー。私すっかり騙されたー」
「けろ。先生に頼まれたからとはいえ、限度があるわ」
「どれだけ私が気をもんだかお分かりですか!?緑谷さん!!」
「本気モードで全裸までさらした私の立場は!?」
「いや、葉隠。あんたのはいつもの事でしょ。緑谷さ、取り敢えず爆豪にだけはちゃんと謝っておきなよ」
女子の声が大きいようだが、他にも男子の文句の声も聞こえる。
・・・多分、悪いのは中心の生徒だな。
よく見たらあの問題児じゃないか。
なら問題ないか。
さーせんという小さい声とガミガミネチネチと続けられる説教を背に、俺は職員室へと急いだ。
職員室につくと自分の席で黙々と何かに目を通すイレイザーの姿を見かけた。先程のA組生徒達の様子を思い出し、授業参観について聞こうと近づけばその顔色の悪さが目についた。
「また酷い顔してるな、イレイザー」
そう声を掛けると、幽鬼のような顔でファイルを眺めていたイレイザーが視線をあげた。
「・・・・ブラドか。なんだ、何か用か」
「用という程の事もないのだが、その顔を見たら少し気になってな。そんなに大変だったのか、授業参観」
授業参観の単語を聞いた途端、分かりやすく嫌な顔をした。相当堪える事があったのだろう。
「・・・そういうお前の方は、随分といい結果だったらしいな」
「ん?いや、まぁな。特に問題もなかったし、救助もヴィラン退治の方も順調そのものだったしなぁ。ふふふ、お前の所にも負けとらんぞ!うちの生徒達はな!」
USJ以来何処か差を付けられ気味で、体育祭でもA組ばかり活躍していた事を随分と気にしてる連中がいたからな。今回の結果はさぞ励みになった事だろう。
ここらで何かしら実績をくれてやらねば腐ってしまう所だったし、実にいいタイミングでの行事だったと言える。少なくとも俺達には。
イレイザーにはそうではなかったようだが。
「うちも、例年通りやれば良かったんだ。そうすれば、こう無駄な事をせずに済んだと・・・・」
おおぅ。
イレイザーの後ろに般若が見える。
「そんなにか?」
「そんなにだ」
一も二もなく返された言葉には怒りが満ちていた。
ストレスが凄い事になってるな、これ。
後で飲みにでも連れてってやらねば。
「リアル志向にしただけだろ?そんなに違う物か?」
「保護者への説明がない分、安全面は最大限考慮しなければならない。現場の準備は細心の注意を払い、殆どの建造物に補強を施した。ヴィラン役を務めるエキストラとの綿密な打ち合わせ。都合三度は行った。生徒達の個性や性格を考慮して動きを想定、その行動をシミュレートした。その際不具合を起こす可能性のある要素を排除し、更にシミュレート。これは何度やったか分からん。加えて、事後処理についても準備しなければならん。保護者に説明するためにプリントの作成。理解をえるためにも実際の現場での資料を探し比較資料を作った。他には生徒達の行動の採点。注意点を洗う必要もある。改善点はなるべく早くに直させた方がいい。それに生徒達へのケアの事もある。一部の生徒にはショックもあるだろうからな。USJでの時もそうだったが、そういった者は出来るだけ早めに見つけカウンセリングにかける必要がある。それはお前も分かる事だろ。必要によっては除籍も検討しなければならん事項だ。外せん」
予想以上に頭が痛くなる話だった。
期末テストの作成や期末試験の打ち合わせもあるというか、こいつこんな事してたのか。
そりゃ、顔色も悪くなる。
「・・・ま、まぁ、終わった事だ━━━」
「━━━それだけならまだ良い。思いの外、保護者達から好評でな。是非とも来年もやるべきだと、そう声をあげる方もいてな。・・・特に八百万のご夫人がな」
八百万・・・それは、なんとも。
「いやらしい話だが、確か八百万家は・・・」
「分かってるなら言うな。校長からも今回の授業参観についてはレポートをまとめるように言われた。来年度の為に、手引きをまとめて欲しいともな」
「お、おう。そうか。まぁ、今後やるようなら、確かに今回の資料は良い比較になるな。うん」
俺の言葉に重い溜息が返ってきた。
やりたくないオーラが目に見えるようだ。
それにしても、今回の件に関してはオールマイトが中心で動いていた筈だが・・・なぜこいつは一人なのだ?
俺の視線の意味に気づいたのか、再び大きく重い溜息が返ってきた。
「あの人には、あの人の仕事があるという事だ」
椅子にもたれ掛かったイレイザーは目薬を差しながら続ける。
「批判は覚悟していたんだがな・・・オールマイトが出た途端、綺麗に治まった。仁徳なんだろうな。俺はあの人はあまり好かんが・・・ヒーローとしては尊敬に値する人だと改めて思ったよ」
「イレイザーが誉めるのは珍しいな。特にオールマイトとは相性が悪かったろ」
「まぁな。だが、それとこれとは別だ。・・・ヒーローってのは、ああいう人を言うんだろうな。ただの一声で、姿を見せるだけで、その名前だけで、たちどころに人を笑顔に変える。安心感を与える。当然、ヴィランなら真逆な訳だが・・・」
今あるヒーロー達にとって、オールマイトは理想形と言っていいだろう。
それほどに支持を集めている。
「犯罪発生率6パーセント。世界的な平均基準20パーセントを大きく下回っているのは、間違いなくそのオールマイトのお陰でもある訳だからな。正に平和の象徴という訳だ。うんうん。うちの生徒達にもファンは多い」
「そうだ。だからこそ、あの人は危惧している。これからの、オールマイトのいない次代をな」
イレイザーの言葉には己の耳を疑った。
いずれはある事だろうが、それまで現実味など欠片も感じていなかったからだ。
そんな話を、今オールマイトの身近にいる者が口にする意味を分からない訳がない。
「なにかあったのか!?また時間が!?」
「今はまだ現状維持だ。そういう話じゃない。・・・あの人はこれからを見てるんだろうって話だ。だからこそ、今回こんな真似をしたんだってな」
「どういう意味だ?」
難しい話じゃない。
そう言ってイレイザーはファイルに視線を落とした。
ファイルの資料を眺めながら、ぽつりぽつりとイレイザーは語る。
「これからヒーローになる者達には、恐らく今以上の危険がまとわりつく。それはオールマイトの弱体化に伴ってより明確に世間に現れる筈だ。これまで以上に、ヒーローにも、そしてそれを支える人達にも、それ相応の覚悟が必要になる。━━━だから自らが育てている生徒達に、それに関わる保護者達に、今回の件で知って欲しかったんだろ」
「それは・・・そうなのだろうが。しかし、そんなに直ぐになるものか?」
「なるさ。今の平和はたった一人の存在で成り立っている危うい状況だ。オールマイトがいなくなっただけで、直ぐに前時代に巻き戻る。だから必要なんだ。新たな象徴が必要はどうかは別として、これからのヒーローにはその時代を生きる覚悟と力がな」
「覚悟と力が・・・」
一朝一夕でつく物ではないな。
ただ力を与える事は容易に出来るだろう。本人の意思さえあれば鍛えてやるだけだ。多少の時間があれば良い。
だが、覚悟となる意識は別だ。
それは良き経験と良き教えを授け、慎重に根気よく伝えていかなければいけない。一度違えてしまえば修正は難しく、簡単に変わるものではないからこそ、より時間を掛けてしっかりと。
そう考えると、一時の成果で喜ばすのは間違っていたかも知れん。
B組にもA組のようにより実戦に近い形でやるべきだったか。
「次回はうちもそうするか?」
「そう上手くいくとも思えんぞ。今回上手くいったのは偶然が重なっただけだ。オールマイトに落ち度があったとはいえ、実際、保護者の中には演習であると気づいた方もいたからな」
「まだまだ課題は多そうだな」
「ああ」
それを考えていくのが我々雄英教師の仕事。
生徒達を一端のヒーローにする為には、泣き言を言っては入られないか。
しかし━━━━
「・・・いまだ除籍なし。随分と気に入ってるんだな。今の生徒達は」
イレイザーの除籍癖は教師達なら皆が知ってる。
だからここまで一度も除籍を口にしない事が随分と噂になっていた。加えて、ここまで自分が苦労してまで生徒の為に動いてる姿は稀だ。
「そんな事はないだろう」
「あるさ。ここまでお前がやる気になってるのは、正直初めて見るぞ。今回の事だって本気で嫌なら断れただろ。オールマイトが主体とはいえ、半分はお前の責任で行ってるんだ。お前も必要だと、そう思ったんだろ?」
「・・・」
イレイザーは手元のファイルを捲った。
誤魔化しているのがみえみえだ。
朝から目付きの悪さ全開で時間がないと掛けずり回っていた。やる気のない男のする事じゃない。
どれだけ文句を言おうと、こうしてここで仕事をしてるのがいい証拠だ。
「・・・・がらじゃないけどな」
「ん?」
ファイルを眺めたままイレイザーが呟いた。
「━━━━あいつらが、一端のヒーローに成れればいいとは、思ってるさ・・・勿論それは、あいつらが望んでればのは話だがな」
最後に余計な物をつけるあたりがらしいな。
まったく、こいつは。
素直じゃないイレイザーの背中をパンと叩き、俺も返しておいた。
「そうだな。俺もだ」
願わくば、可愛い教え子達が俺達の手元を離れていった時、立派なヒーローである事を━━━だな。
「それはそうと、お前のとこの生徒が中庭で問題児を説教してたぞ。放っておいて大丈夫か?無視してきた俺が言うのもなんだが」
「いい薬だ、放っておけ」