私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
まっ、前回と同じ日にちだし、そのまま続きみたいんなんだけどもね。
一応ね。うん(*´ω`*)
楽しい楽しいお食事会ー!何食べて良いの!?好きなの食べて良いの!?やったぁーー!・・・ええ、はい、分かってますとも。嫌いな物は外れないんですよね?はは。なにかっ!アレを誤魔化せる物を食べねば!の巻き
授業参観を終えたその夜。
親子水入らずの地獄の晩餐会が開かれる━━━と思っていたのだが、光己さんの主催でのお食事会が開かれる事になり、私は何気にきゅうりという名の悪魔を初日から回避出来そうな感じになっていた。
食事会の場所は和食レストランらしいので、望み薄だが・・・洋食にしてよぉ。
母様と待ち合わせ場所にいくと光己さんとかっちゃんが先にいた。
「引子さん、双虎ちゃん。こっちこっち!さっきぶり~」
楽しそうに手を振る光己さんに母様は申し訳なさそうに頭を下げる。
「今日は親子共々ご迷惑をお掛けしまして・・・」
「いいんですよ~!可愛い一人娘の為なんですから、無茶の一つや二つ!それよりうちの馬鹿が不甲斐なくてごめんなさいねぇ。みすみす人が飛び降りんの見て、なに呆けてんだってね、ねぇ」
パァンとかっちゃんの頭が叩かれた。
かっちゃんの鋭い視線が光己さんに向く。
「んだと、ババァ!!」
「ほんとこの子ったら口ばっかで、もう。恥ずかしい限りで・・・」
そう言って光己さんは再びかっちゃんの頭をスパンキングする。良い音だな。
スパンキングされっぱなしなかっちゃんは不機嫌そうに私を見た。何か言いたそうに見える。
「どした?」
「━━━んでもねぇわ!糞がっ!」
結局垂れたのはそんな言葉だけ。
当然、隣にいた光己さんにスパンキングされた。
まるで打楽器のようである。
そんなかっちゃんは結局何も言わず、鼻息だけ漏らして店に向かって歩き出した。
「━━━あ、ちょっと待ちなさい勝己。もう一組くんのよ」
「はぁ?っんの話だ?」
光己さんの言葉にかっちゃんが眉間に皺を寄せ、不思議そうな顔をした。正直私も同じ気持ちだ。いつも通り緑谷家と爆豪家だけの食事会だと思ってたから。
誰来るん?切島んち?お茶子んち?
来る人を予想していると「遅れてすいませんー!」と若い女の人の声が聞こえた。聞き覚えのない声に振り返ってみると、白っぽい髪に赤っぽいメッシュが入った、何処かで見たことのある女の人がいた。
「すみません!ここら辺ってあまり土地勘がなくて」
「良いのよ。それよりごめんなさいね。態々こっち来て貰って」
「いえいえ。そんな事ありませんよ。今夜はお誘いして頂きありがとう御座いました。父も参加するつもりだったんですけど、急に出動が掛かっちゃいまして・・・」
「あら、そうなのね。少しお話を聞かせて貰いたかったのに残念だわ。ま、その辺は冬美ちゃんに聞こうかしらね?」
「私でお答え出来る事であれば・・・お手柔らかにお願いします。あはは」
随分と光己さんと仲良さそう。
誰のお母さんだろ?てか、なんか見たことある気がする。
「緑谷」
二人の会話を眺めていると、今度は聞き覚えのある声を聞いた。ぼやっとした、あいつの声だ。
視線をそこへと向ければ、放課後ガチ説教をかましてきた轟がいた。
私は静かに身構える。
セカンド説教の恐れがあるからだ。
「・・・何してんだ?」
「いや、まぁ、ね。それよりもあんたこそ何してんの?」
「爆豪のお母さんに姉さんが誘われてな。それで来た」
「へぇ、ふぅん」
授業参観の時仲良くなったのか。
会話する二人の様子を見ると、どっかの部活の先輩後輩みたいな雰囲気があった。いつの間にか母様もその輪に加わり、平均年齢がちょっと高いかしましガールズ結成。
なんか、凄く話長くなりそうな予感。
暇になったので私は轟にちょっかいを掛ける事にした。
「それにしても、こういうの来るんだ?意外」
「別に嫌いな訳じゃない。・・・機会がなかったから、来たことないけどな」
「だから意外だって言ってんだっての」
数秒固まった後、轟は「ああ、確かにな」と呟いてその会話が終了した。膨らませる努力をしろと、私は言いたい。
「轟ってこういう所でなに━━━」
「━━━に、俺を無視してやがる!!こらぁ!!」
それまで呆けてたかっちゃんが復活した。
元気よく轟に詰め寄っていく。
「お前、学校以外でも変わらないな」
「っせぇわ!!てめぇも大差ねぇだろうが!!すかしてんじゃねぇぞ、ごら!!」
「すかしてるつもりはねぇんだけどな・・・?」
「そういうのが、すかんしてんだっつんだよ!!そもそも俺はなっ、てめぇみてぇなのが一番嫌ぇーなんだよ!うだうだしやがってよナメクジ野郎が━━━」
微妙に噛み合ってないけど、二人の会話は私の分からない方向へ一気に加速していく。
すっかりおいてけぼりの私は本格的に暇になった。
私の暇潰し要員・・・。
仕方がないのでスマホゲームでガチャった。
十連したのにまさかのスーパーレアなし。レアしか出なかったか。
まっこと、くそであった。
暫くして母様達の話が一段落つき、騒ぐかっちゃん達を制した光己さんに続き私達はレストランに入った。光己さんが予約してくれた事もあって席には直ぐつけた。
待たなくていいのは、ありがたい事なり。
長テーブルを中心にした片側三人ずつの座席。
片側を保護者組、もう片側がお子様組だ。
かっちゃんと轟は隣り合わせにすると喧嘩するので、私を真ん中にして座る事になった。
それに合わせたのか、向かい合う所にはそれぞれの保護者が座る。
店員さんに持ってきて貰ったメニューを手に食べる物を考えてると、不意に轟が見てるページが目についた。
「もしかして、そば好き?」
「・・・ああ」
「ふぅん」
そばか・・・たまには私も食べてみようかなぁ。麺類なんて最近だとラーメンくらいしか食べてないもんね。
でも、そばかぁ・・・正直食べた気にならないんだよなぁ。それに今はカツ丼とか食べたい気分。そばセットもあるけど、そんなに食べたくないしい・・・あっ、そうだ。
「ねぇねぇ轟。大盛り頼んでよ」
「大盛り?なんでだ」
「シェアしよって話。私もそば食べたいんだけど、がっつりそばって気分じゃないんだよね。一口くらいで良いの。ね、ほら、私もカツ一切れあげるからさ」
「そういう事か。別にい━━━━」
パン、と隣で大きな音がした。
見ればかっちゃんがメニューを挟むように手を合掌していた。勢いよく閉じたのは察した。
「本格四川風激辛蕎麦、大盛り」
さっきから危険なページを見てると思ったら、凄いの選んできたな。ネタ系のあれかと思ったのに、まさか目の前で選ぶ人がいるとは。
まぁ、辛いの好きだしね。かっちゃん。
「決まって良かったねぇ。でさ、轟どう━━━」
轟にさっきの話を聞こうとしたら、かっちゃんに肩を掴まれた。
なんか凄い顔してる。
「俺が、大盛り頼むったろ」
「うん?ああ、聞いてたよ。好きだもんね、辛いの」
「一口だろ。分けてやる」
「ううん、いらない」
「んだとこらっ!!!」
慎んで断ったら凄い剣幕で詰め寄られた。
近い、近い!なんだよぉ!止めろよぉ!えっちぃ!
「俺がっ!てめっ、気を利かせてやったんだろうが!察しろや!!」
「だってかっちゃんの選んだの激辛のじゃん!!冷たいめんつゆお蕎麦が良い、私は!━━てか本格四川とか、絶対くそ辛いじゃん!!しかも煮込みじゃん!やだぁ!私はそんなの食べたくなぃ!私はかっちゃんみたいに馬鹿舌じゃないの!!」
「はぁぁ!?誰の舌が馬鹿だこらぁ!!」
「かっちゃんですぅ!!きゅうりが好きな所も引っくるめて、人間止めてるんじゃないですかぁ!?止めて触らないで!きゅうりが移る!」
「移るかこらぁ!!」
かっちゃんに脅されてると轟が間に入ってきた。
「止めろ、爆豪。嫌がってんだろ」
「っせぇわ!!んだ、てめぇは!こいつを甘やかすんじゃねぇ!!」
「?・・・それはお前だろ」
「ぬ、ぐぅ、あ、甘やかしてねぇ!!どこに目つけてんだ、てめぇはよ!」
「?どうみても甘やかしてんだろ?」
結局口論の末、轟からちょっとお蕎麦を貰える約束をかわし、それを食べるなら俺のも食えとかっちゃんから激辛蕎麦も食べるように約束させられた。
く、くそう。
なんでこうなった、私は冷たいお蕎麦をツルツルしたかっただけなのにぃ!!
「うちの息子は駄目ねぇ。女心を分かってないわ」
「うちの馬鹿娘がごめんなさいね、冬美さん」
「いえいえ、そんな事。それより焦凍のあんな姿見れて嬉しいです。あんな顔もするのねぇ」
激辛蕎麦を食べさせられた事ときゅうりのお新香を食べさせられた事以外、特に悪いこともなく食事会を終えたその夜。
私はいつもの時間にかっちゃんに電話した。
何か言うことはなかったけど、イタ電にそもそも理由なんてあるわけないから気にせずコール。
二度のコール音が鳴った後、かっちゃんの声が聞こえてきた。相変わらずオコだった。オコが落ち着くまでのんびり待てば、いつもの『で、なんだ』が聞こえてくる。
「別に?」
『本当にてめぇは・・・まぁ、いい』
なんだか変な感じだ。
暫くこうしてなかったから違和感が凄い。
いつもの私ならどうしてだろうか━━とか考えてみたけど、どうも上手く思いだせない。だから、本当に大した事は話してないんだろうなと、改めて思ったりする。
『・・・用がねぇなら切るぞ』
「うん、じゃ一つだけ」
『あ?』
「━━━かっちゃんの舌、やっぱり狂ってるわ」
『んだと、こらぁ!!!』
それから少しだけ言い争いをして、一区切りついた所で電話を切った。それはいつものやり取り。暫くぶりだから楽しかったけど、今はそうしたかった訳じゃない。
切った後、昼間皆に怒られた事を思い出して思わず溜息が出る。
「・・・謝るとか、まじむり」
あの時のかっちゃんの顔を思い出すと、どうにも謝れなかった。なんか気恥ずかしい感じがするのだ。せめて説教でもしてくれたら、勢いで謝れるのに。
かっちゃん、何も言わなかったからなぁ。
「・・・明日。うん、明日、頑張ろ」
いつまでも悩んでいても仕方ないのでそのまま眠った。
その日は久しぶりにゆっくり眠れた。