私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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さんたさぁぁぁん!!

良い子にしてるからぁ、精神と時の部屋頂戴よぉ!!
仙豆も一緒にお願いしまぁーす( *・ω・)ノ!


お勉強の時間ざます!お勉強とはテストで良い点数をとる為にやるものではないざます!将来の自分の未来を切り開く為に!夢があるなら夢の為に!そういうものざます!だから、私はやらなくて良くね?の巻き

「かっちゃーーーーん!お勉強しましょーーーそうしましょーーー!」

 

期末テスト前、最後の週末の休み。

私はパーカーとショーパンという簡単な格好と勉強道具を詰めたトートバッグを提げて、いつものようにかっちゃん家に来ていた。

 

これまたいつもと同じようにインターホンを押すと、そう待つ事なく扉が開いた。何故か光己さんではなく、かっちゃんがいきなり出て来てびっくりしたけど。

 

「はよー」

「朝からうっせんだよ、馬鹿女。静かに入って来れねぇのか、てめぇは・・・」

 

文句を言うかっちゃんだが、その格好はすっかりよそ行きようの物で、いかにも準備万端な感じだった。もしかしたらワクワクして玄関で待機してたのかも知れない。・・・いや、ないか。たまたまでしょ。

 

「準備おけ?時間早いけどいこーよ」

「バッグ持ってくっから、ちっと待っとけや。」

 

 

 

 

 

期末テスト前に急遽開かれる事になった今日の勉強会。

二人きりでやるならかっちゃん家と相場が決まってたんだけど、今日は切島と轟も参加するとあって別の場所でやる事になったので朝からお出掛け。

 

お勉強会をやる場所についてかっちゃんも含めた男連中に特に希望がないから、学校近くの喫茶店に私が決めた。

 

いつものようにかっちゃんと電車に揺られる事40分弱。

駅に着くと切島と轟が改札を抜けた所で待っていた。

 

「おっす!緑谷、爆豪!」

「よぉ」

 

元気に手を振る切島の隣で轟は軽く手をあげる。

挨拶くらい元気に出来ないもんかなと思いながら、私も手を振り返しておいた。

 

「はよー。集合時間より早くない?」

「まぁな。なんか学校近くに来ると思ったら、なんか普段みたいに早起きしちまってよ。んで、家でダラダラしてんのもあれかと思ってきちまった」

「ふぅん」

 

そう呆気らかんに笑う切島から轟に視線を移すと、俺の番かってハッとした顔した。

こいつ寝ぼけてんのかな?

 

「・・・特に理由はねぇ」

「まぁ、何かあると思って聞いてる訳じゃないけどさ」

 

それにしてもだと思うけど。

 

そんな轟にかっちゃんがしかめっ面で近寄っていった。

肩で風を切って歩くその様は、いちゃもんつけにいく不良のようである。

近寄られた轟は不思議そうだ。

噛み合ってないなぁ。

 

「んで、てめぇは来てやがんだ、ああ?」

「緑谷に誘われたからな」

「来んなっつったろが!!」

「・・・?それもツンデレってやつなのか?」

「っんな訳あるか!!馬鹿女の馬鹿移されてんじゃねぇ!!」

 

おい、かっちゃん。

おい、かっちゃんよ。

誰が馬鹿だと?貴様。ツンデレとしてなら、まだしも。貴様、おい。こら。

 

二人のやり取りを眺めてると切島が呆れたように溜息をつく。

 

「休みの日でもやんのかよ・・・元気だな、あいつら」

「ねぇー。その元気を別の所に使えば良いのにね?」

「そうだな━━━あ、いや。それはそれで、面倒な事になりそうだからな。てか、緑谷が言うなよ」

「?」

 

それから暫く二人のじゃれ合いを眺めていたが、なんか長引きそうだったので切島と手分けして二人を止め、さっさと喫茶店へと向かった。

 

駅から出て十分と少し。

私達は学校近くにあるホームセンターの脇にひっそりと佇む蔦に覆われた一軒屋に着いた。

窓から覗くにゃんこが私を歓迎してるのか手を振ってる━━━ように見える。

 

「緑谷・・・ここ、本当に喫茶店なのか?」

「家じゃねぇのか?」

 

切島と轟が疑わしそうな目で私を見てくる。

まぁ!しっつれいな奴等ですこと!

 

「あんたらねーここは━━━━」

 

 

 

「おや、双虎ちゃんじゃないかい?いらっしゃい」

 

二人に教えてやろうとした所でお店のおじいちゃんが現れた。手にしたホウキと塵取りを見れば掃除しようとしてるのが分かる。

 

「はよーござまーす!」

「おはよう。来るって聞いてたけど、随分と早かったねぇ。双虎ちゃん達が来る前に、玄関を綺麗にしとこうと思ったんだけど遅かったかぁ」

「手伝います?」

「いいよ、いいよ。老い先短い爺さんには、こんなでもいい運動になるんだよ。それより、中に入りなさいね。お勉強するんだろう?」

 

おじいちゃんに続いて玄関に入ると切島と轟が感心したような声をあげた。

その気持ち分からなくはない。

 

外から見ると普通の家にしか見えないけど、中はちゃんとしたカフェになってる。そのギャップに驚くのは分からなくはない。

最初は私も驚いたしね。

 

おじいちゃんに案内され角のテーブルに着いた。

唯一仕切りのある場所で、こういう時には持ってこいの場所だ。

 

メニューを見せたけど切島も轟もどれが良いか分からないと言うので、適当にオススメ紅茶がついたケーキセットを頼む。かっちゃんだけコーヒーのセットにしてた。

紅茶の準備をしにおじいちゃんがカウンターに向かった所で、切島が小声で話し掛けてきた。

 

「おい、緑谷。だ、大丈夫なのか、ここ。高かったりすんじゃねぇの?」

「普通だって。ケーキセットで千円。コーヒー紅茶のみほー」

「ドリンクバーみたいに言うなって!絶対おかわりあのじいちゃんに頼む系だろ!?気使うわ!」

「えぇー普通に淹れてくれるよ?ね、かっちゃん」

 

かっちゃんは無言で頷く。

 

「つーか、うっせぇぞ、切島。場所考えろや」

「━━━お前っ?!お前なぁ!!くそー!こう!くそーー!なんかしんねぇけど、すげぇムカつく!」

 

切島とかっちゃんのやり取りを見てると膝の上に温かい物が乗ってきた。視線を落とせばこの店のアイドルにゃんこアールが丸くなってる。

 

そっと撫でればアールの円らなおめめが私を見てきた。

可愛い過ぎるので喉も擦ってあげる。

ゴロゴロという鳴き声がまた可愛い。

 

「猫・・・そういえば、今日の緑谷も猫だな」

 

不意に轟が私のパーカーを見てきた。

今日はこの間買ったにゃんこパーカーを着てきたのだ。

かっちゃんがノーリアクションだったから、気づいて貰えて地味に嬉しい。

 

「ふふん、可愛かろう?」

「ああ、似合ってるな」

 

轟が柔らかく笑った。

いつも無表情だから珍しい。

最近笑うようになったけど、それでもこうして笑うのはごく稀なので実にレアだ。レーちゃんの為に写メとけば良かったかなぁー。

 

「「!?」」

 

━━とか思ってると、そんな轟を見て私以上にかっちゃんと切島が驚いてた。なんだその顔。

 

「・・・轟も笑うんだな。俺初めて━━━」

「俺も気づいとったわ!!調子に乗んなこらぁ!!」

「爆豪はそっちかよ!?」

 

かっちゃんの言葉に轟は困った顔する。

そりゃ、そうだと思う。

だってね、そんな事言われても、そっかとしか思わないもんね。

 

いきり立つかっちゃんを切島と落ち着かせていると、おじいちゃんが紅茶を持ってきてくれた。

良い香りが鼻腔を擽る。

 

「賑やかで楽しそうだね。お待たせしちゃったかねぇ?」

 

話しながらもおじいちゃんはその手を止めず、そっと皆の前に紅茶を置いていく。ぶっちゃけ紅茶の味とか分からないけど、これが良いものなのは何となく分かる。

 

「良い匂い。おじいちゃん、お高いやつ?」

「ふふ。分かるのかい?まぁ、お高いと言うよりは、手に入りづらいといった方が良いかなぁ。生産量が少なくてね。ゴールドティップスインペリアルっていう茶葉なんだけどね?お湯を注いだ時の香り高さと、茶葉の独特の渋みが━━━とあまりひけらかす物でもないかな。兎に角、最近の中では一番のオススメだよ」

 

紅茶の香りを嗅いでると、コトリと私の所に角砂糖とミルクが置かれた。

 

「双虎ちゃんはお砂糖とミルクだったね?他の子はどうかな?オススメとしては一度飲んでみて貰った方が良いとは思うのだけど・・・」

 

おじいちゃんの視線が轟と切島に向けられる。

切島と轟は最初はそのままで試してみるといい、かっちゃんは相変わらずブラックで飲むみたいだ。

 

おじいちゃんがカウンターに行くと、切島がまた小声で話し掛けてきた。

 

「おい、緑谷。おまっ、本当、どうやってここ知ったんだよ。なんか親しそうだしよ」

「別に?帰りに猫追っ掛けてたらここについてさ。そんで触らせて貰おうと思って声掛けたら・・・なんか仲良くなった。最近忙しかったから、来なかったけど」

「お前、コミュ力すげぇな・・・」

 

飲み物を飲んで一息ついた所で、ようやく勉強会が始まった。切島が数学が分からないというので、私もそれに便乗して数学から勉強を始める。

轟は数学に問題がないらしく、古典からやるみたい。

 

かっちゃんティーチャーによる勉強会が始まって10分を過ぎた頃。二次関数あたりを聞いてた切島がうめき声をあげた。

 

「爆豪、ここなんだけどよ・・・」

「ああ?だから言ったろ。普通にやりゃいいんだっつったろ。ここは、この公式使ってガッとやりゃいいんだよ」

「ガッとってなんだよ!?おおよそ数学で出てくる言葉じゃねぇぞ!」

「ああん?んだてめぇは!ガッとはガッとだろうが!」

 

かっちゃんが私に切島が見てたページを見せてきた。

そしてそのページの一ヶ所を指差す。

 

「おい、馬鹿女!この問題見ろや!」

「うん?見たよ、で?」

「ここの公式使って、ガッやりゃ分かんだろぉが!!」

「ええ?いや、分からないから・・・」

「ああ!?ここをバーっとやんだよ!したら、ガッて出来んだろ」

「・・・うん?ああー、それなら」

 

「はぁ!!?」

 

切島が驚愕の声をあげた。

今日は切島驚いてばっかな気がするな。

ドヤ顔で切島を見るかっちゃんに轟が怪訝そうにな表情を浮かべる。

 

「緑谷、問題少し見せてくれるか?」

「はいよ」

 

ペラペラと捲った轟は、問題が書いてあるページを開きかっちゃんに見せた。

 

「爆豪、この問題分かるか?」

「舐めてんのか!さっきのと変わんねぇだろうが!左のページに乗ってる公式つかって、ザッとやんだよ!!」

「緑谷、分かるか?」

 

そう言われて問題を見てみる。

かっちゃんの言葉をヒントにやってみたら普通に答えが出た。轟にそれを言えば何かを考え始めた。

 

「━━━切島、分からない所あるなら、教えるぞ」

「まじか、轟ぃ!!」

 

「はぁん!?」

 

今度はかっちゃんが怒鳴った。

 

「んで、てめぇがしゃしゃってんだ!俺が教え殺すんだよそいつは!!」

「いや。お前だと無理だろ。考え方が根本的に違うからな。まだ俺の方が切島の考え方が分かる」

「っせぇわ!!いいからてめぇは━━━」

「爆豪は緑谷を教えてやれ。その方が効率良さそうだ」

 

轟の提案にかっちゃんは言葉を詰まらせる。

そして、眉間に皺を寄せながら悩み始めた。

見たこともないくらい悩み始めた。

 

少しして、轟を睨むように見つめていたかっちゃんが、私の方をチラ見してから口を開く。

 

「何企んでやがる」

「?勉強会なんだろ。効率良くやった方が良いだろ。多分だが、緑谷は俺が教えるより爆豪の方が良い。感覚が似かよってんだろ」

「・・・けっ!」

「?」

 

結局かっちゃんティーチャーは私に付きっきりになり、轟は切島のティーチャーへとジョブチェンジした。

昼食もおじいちゃんに適当な物を作って貰い、なんやかんやと夕方まで喫茶店に居座り勉強会を続けた。

 

そして一日頑張った私は、自らの学力がバージョンアップしたのを感じるまでになった。

今なら、全国模試でも勝てる気がする!

今だけなら!

 

帰り際、轟が紅茶に興味を持ったらしく、紅茶の淹れ方をおじいちゃんに教わり、今日飲んでた茶葉を分けて貰っていた。なんでもレーちゃんに淹れてあげたいらしい。

 

そんな轟の背中を見ながら、切島がぽつりと呟く。

 

 

 

「なぁ、緑谷」

 

「ん?」

 

「もう、何かなぁ。轟でも良くね?」

 

「いや、何が?」

 

 

 

 

 

 

「良いわけあるかこらぁ!!クソ髪が!!」

「うわっ!?怖いっ!」

 

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