私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~   作:はくびしん

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気がつけば90話越えとったわ。
ようやるな、自分。

終わる頃には何話になんだろね。
想像すると、背中ゾクゾクするわい。

週刊で絵かいて話作ってる原作ほりーすげぇなぁ、って改めて思ったわ(*´ー`*)


テストに続いて試験とは、私達をどれだけ苦しめれば気が済むんですか。これはもうあれですよ。あーこれはあれですね、これはあれですよ。うん。シュークリーム奢って貰わないと許せませんね!の巻き

かっちゃんティーチャーを雇いいれてから一週間。

順調に学力を上げ続けた私は、その勢いのまま期末テストに挑んだ。受けた感じだと余裕。テスト後かっちゃんと問題用紙を片手に答え合わせしたら概ね大丈夫そうだった。ん?切島?切島はギリギリっぽい。

 

ヤオモモに教えられ隊の例の下位コンビはというと、テスト終了時に踊っているくらいなので大丈夫だったのだろうと思う。いやまぁ・・・答え合わせを始めたら段々暗くなっていったけどもね。

頑張れあしどん。上鳴は知らん。

 

あ、因みに、轟には勝ったと思う。

 

 

 

 

 

そんなこんなで皆ドキドキの期末試験当日。

私達はそれぞれヒーロースーツに着替えて校内にあるバス停前に集合していた。

 

「━━━ニコちゃん、最初の頃と比べるとスーツ大分変わったね?私とかそのままやのに」

 

先生達をスマホしながら待っていた私に、お茶子は興味深そうな視線を向けてきた。

 

「この足のヤツとか、なんなん?」

「ああ、これ?体育祭の時さ尾白が体固定するのに使ったスパイクあったでしょ。それ」

「ああ、そんなんあったね。ん?でもさ、サイズ小さくない?」

「小さくして貰った。あと重量も軽めにね━━━」

 

前回の職場体験を元に私のスーツや装備は発目と一緒に色々弄ってある。ペロリストを縛った捕縛用のロープはそのままだけど、他の装備は改良したり追加しているのだ。このブーツなんかは本日初実装。頼むことは頼んでたんだけど、材料の問題で開発が遅れていてようやく一昨日に完成したばかりの物だったりする。

 

私のその話を聞いたお茶子は眉をハの字に下げた。

 

「大丈夫なん?初めて使うもんで」

「大丈夫、大丈夫。こいつの試作品は試してるからさ。発目から調整した部分についても注意と説明あったし」

「口頭の説明で分かるもんなんかなぁ、そういうの・・・」

 

なんか納得いかなそうなお茶子。

なんとなしに見てたらスーツが気になった。

 

「お茶子は改良しないの?」

「え、私?え、と、ううん・・・。そういうんがありなんは聞いてんねんけど、具体的に何をしたらいいか分からんくて」

「お茶子は救助中心で行くんでしょ?救護品とかロープ系とか準備しとけば良いんじゃないの?」

「救護品は分かるけど、ロープ?」

「ほら、救助者とか浮かせてさ、ロープ繋げて風船みたいに運べるじゃん」

 

お茶子はその様子を想像し、困った顔した。

 

「どうやろ・・・救助者って怪我とかしとるから、そういう雑な移動はなぁ」

「ま、例えだからさ。そんな感じで考えてけば良いって話。あれがやりたいから、これがやりたいからってのをまとめてさ、じゃぁそれをするならこれが必要だよね?これはいらないよね?って感じで増やしたり減らしたり、元からあるやつを改良してけば良いんだって」

「成る程なぁ~ニコちゃんはよう考えんなぁ~」

 

感心したようなお茶子の声に、周りにいた人達も同じ様に声をあげた。A組の皆は何故かそこら辺に手を付けないから不思議に思ってたけど・・・この様子だと考えてなかったのが大半なんだろうなぁ。

 

実際スーツに改良加えてるのは私を含めてかっちゃんと轟の三人だけだもんね。

轟とかは炎を使うようになったから体温調整に使ってた装備を変えてるし、かっちゃんも移動速度を上げる為にブーツに改良施してたりする。

 

プロだって装備変更は当たり前。

それはプロとしてベストを尽くすための必要な処置。

なら本気でプロを目指す学生もそうするのは当然なのに、皆にはその意識が抜け落ちてるから不思議。

あれかな、ヒーローはずっと同じ服着てないと駄目とか思ってんのかな?拘りがあるなら、それもやむ無しかも知れないねぇ。

 

「改良はやっぱり考えんといかんね。難しいけど、考えてみるわ」

 

そう言って鼻息を荒く両手を握り締めるお茶子が、あんっーーーまりにも可愛かったのでめちゃ頭を撫でてあげた。撫でられて照れるお茶子が可愛かったので写メしたら、それは普通に怒られた。謝ったけど反省はしてない。写メも消してない。保存しといた。

 

 

 

 

 

それから少しして、皆がスーツ改良について熱の籠った話をし始めた頃、期末試験をやるために先生達が私達の前に現れた。そう先生達が。

 

その時点で私は嫌な予感しかしなかった。

あしどんや上鳴みたいに『ロボット相手でしょ?らくしょー』とは思えなかった。

まぁ、あしどんの「花火!カレー!」には大いに賛成だけど。

 

私の不安は案の定的中。

包帯先生の包帯の中から出てきたねずみー校長によって告げられた『内容変更』の言葉にクラスメートがどよめく。

 

ねずみー校長は包帯先生から降りると校長らしく偉そうにお話を始めた。

 

なんでも、近年ヴィラン活性化の傾向があり、これからのヒーローとなる者は今まで以上にヴィランと対峙する可能性が出てきたらしい。

それ故に対ヴィランを見据えた対人戦闘訓練が必要であるのだという。

 

「従来のロボでは肝心な対人戦闘能力が計れない。プログラムで動くロボと、感情で動く人間。どちらが厄介かなんて、君達もよく分かるだろう?━━━だからこれからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!」

 

校長の手が横並びになった先生達を指す。

 

「というわけで、今回諸君らにはこれから、二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行って貰う!」

 

ほらきた。

面倒なやつだ。

ほら、きた。

 

お茶子の緊張した「先生方と・・・!?」という呟きが嫌でも現実を突きつけてくる。止めて、お茶子。繰り返さないで。うわぁ、ってなる。気分が。

 

校長の隣にいた包帯先生が一歩前に進み、クラスメートを一瞥する。私だけ長く見られた気がするけど、気のせいだと思いたい。

あ、また、見たな!?何!?なんなの!!

 

包帯先生は私から目を離すと口を開いた。

 

「・・・尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度・・・その他諸々を踏まえて独断で組ませて貰ったから発表していくぞ」

 

包帯先生の視線が轟と百に向けられた。

 

「まずは轟と、八百万がチームで━━━」

 

口元の包帯を引き下げ、包帯先生はニッと笑う。

 

「━━━俺とだ」

 

次に包帯先生の視線は私に向いた。

 

「そして緑谷と」

 

 

 

 

 

 

「相澤くん」

 

 

包帯先生の言葉を遮るようにガチムチが割り込んできた。その表情や声を聞いて、いよいよ私の中にある嫌な予感センサーが警告音を鳴らし始める。

やばいやつだ、これ。

 

包帯先生から役目を譲られたガチムチは私を見た。

そして、隣にいたかっちゃんも。

 

「緑谷少女。そして爆豪少年がチームだ」

 

ガチムチが拳を握る。

私達を見下ろしながら。

 

「相手は、私がする」

 

嫌な予感センサーが限界を振り切った私は、直ぐに行動に移った。そういうのは早い方に限るから。

大きく手をあげてねずみー校長を見つめる。するとねずみー校長は首を傾げながらも「どうかしたかい?」と尋ねてくれた。

なので、大きな声で言ってやった。

 

 

「チェェェェェェェェンジィィ!!!!」

 

 

私のあげた大声は校舎に跳ね返り、木霊となって当たりに響く。クラスメートの視線が、先生達の━━特に包帯先生の厳しい視線が私に突き刺さる。

ねずみー校長は少しだけ考える素振りを見せた後、親指を立てて言った。

 

「ノーチェンジさ!!」

「そこをなんとか!!チーズあげるから!!」

「チーズ・・・」

 

頑張って食い下がるとねずみー校長はもう一度考える素振りを見せてくれる。そしてまた親指を立てた。

 

「勿論、ノーチェンジさ!!むしろ、全然考え直そうとしてない、ノー考慮さ!!チーズは特別好きでもないしね」

 

おちょくってんじゃないよ!

このねずみ野郎ぉぅ!!!

 

ねずみー校長の悪質な手口に憎しみを込めて睨むと、ねずみー校長はガチムチみたいに陽気な笑い声をあげながら近づいてきた。

そして肩にポンと手をおくと囁くように告げた。

 

「━━━何より、あのオールマイトたっての希望。変える訳がないのさ。しっかりと教わってくるといい。ナンバーワンヒーローのご教授だよ」

 

その表情から━━━いや、顔は毛に覆われたねずみだから分からないけど、その声の真剣さで察した。多分、ねずみー校長はガチムチの事情について他の人より一つ詳しい所にいる。個性についてまで知ってるか分からないけど。

 

校長に視線をやるとウィンクされた。

不覚にも、ちょっと可愛かった。

 

「さぁ、相澤くん!生徒達に試験の説明の続き頼むよ!」

 

そう言って去っていくねずみー校長から、私はガチムチを見た。私にチェンジと言われた事がショックだったのか、大きい体を小さくしてションボリしてる。

見ようによっては可愛く見えるのかもしれないけど、今の私には羊の皮を被った凶暴なビッグフットにしか見えない。よって慰めてやる気は欠片もおきない。

 

先生としてガチムチは間違いなくポンコツだが、ヒーローとしては別だ。ガチムチは圧倒的なまでに強い。それは授業中のちょっとした動きや素振りを見て嫌というほど知っている。

 

そして、小細工が通用しないタイプの強さである事も。

 

 

「はぁ・・・林間合宿、いけんのかな。私」

 

 

ガチムチのションボリする姿を眺めながら、重くて長い溜息が私の口から溢れていった。


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