私のヒーローアカデミア~わんほぉー、わんほぉーなんだってけかをお断りし続ける私の楽しい英雄物語~ 作:はくびしん
きっと、空から親方とか降ってくるに違いない。
大変だぁ!シーター!空から親方が!!
よし、頑張るぞ( *・ω・)ノ
かっちゃんと怒鳴りあいながらバスで進む事暫く。
私達は演習場の一つであるビル街を模したその場所に辿り着いた。
バスを降りると早速ガチムチからルールについて再度の説明が始まる。
一、制限時間は30分。
二、勝利条件は『用意されたハンドカフスを対戦教師にかける』『どちらか一人が決められた出口からステージの脱出』である。尚、決められた場所以外から脱出した場合はその時点で終了。試験は内容に関わらず失格である。
三、制限時間を過ぎる。もしくは戦闘続行が不可能であると判断が下された場合、その時点で試験終了である。この場合、試験内容によって成績がつけられる。勝利条件を満たしていない以上、合格判定はなし。
四、対戦教師はハンデとして自らの約半分の重量がある重りを装着する。因みに重りのデザインは発目である。
バスに乗る前と同じ説明をしたガチムチは、不敵な笑みを浮かべて続ける。
「勝ちにこいよ、お二人さん」
その目や顔を見て、目の前の筋肉ヒーローがマジになってる事に気づいた私は早速布石を打つことにした。
「笑顔がきもい」
「ふぐぅ!!な、いきなり、なに!?緑谷少女!?」
「汗臭い、てか独特の臭さがある。これ加齢臭?うわっ、きつ。これだからおっさんは。離れて、半径20メートルは離れて」
「えぇ!!そ、そうかな?!誰にも言われた事な━━」
そっと掌で鼻を隠せば、ガチムチがショックを受けた。
本来なら追い討ちを掛けるところなのだが、あえて放置する。この方が効くと思うので。
案の定ガチムチはしょぼんとした。色々自分で考えて始め、勝手に落ち込んでいるんだろう。
前々から思っていた事だが、ガチムチは変な所で繊細過ぎる。よくヒーローやれてるなと、真面目に思う。
・・・まぁ、それっていうのはつまり、そういう事なんだろうけど。
落ち込むガチムチをおいてスタート地点へと向かう。
振り返りガチムチを見れば戦意が欠けてるように見える。その見掛けだけは。
「それで止まってくれれば、苦労しないんだけどなぁ」
スタート地点へと向かう途中、どうすべきか改めて考える。はっきり言って策をこうじてどうこう出来る相手だとは思えないけど、それを何とかしないと話にならない。
ガチムチの個性は単純な力の塊。
それだけ聞けばなんて事のない個性に思えるが、その力は極限といえるほど鍛えられ常識を逸脱した性能を発揮する。拳一振りで天気を変え、地面を蹴ればビルより高く飛び上がれる。聞いた話だとUSJの時の脳みそヴィランはガチムチのパンチを受けて雲に届くほど打ち上げられたとか。例をあげて思うけど、やっぱりおかしいわ。
ハンデに体重の半分相当の重りがついてるが、それがどれだけの効果があるのか。体重と同等の重りをつけたって関係なしっぽいのに。
そうなると真っ向からぶつかるのは悪手。
上手く煙に巻いて逃げるに限るけど・・・それも一人でやったら意味がない。
やっぱりかっちゃんか。
「━━かっちゃん、かっちゃん」
声を掛ければしかめっ面のかっちゃんが振り向いた。
顔を見ればもう何となく分かった。
これは前言撤回しないな、と。
それでも勝ち筋はそこにしかない。
だから考えていた事を伝える事にした。
私が伝えたのはバスの中の時と同じもの。
作戦はそう難しいものじゃない。二面奇襲を仕掛け混乱した所でかっちゃんが離脱。出口に向かう。残った私はかっちゃんから貰っておいた汗を使って爆破も組み合わせて戦う。かっちゃんの存在を偽装する。
爆破による煙があるとはいえ、いつまでも誤魔化せないと思う。ガチムチには煙を消し飛ばすパンチがある。けど少しの間ならガチムチにかっちゃんがそこに残ってると思わせる事は出来るだろう。それが五分だか一分だか分からないけど、ある程度走ればヒーロー殺しの時につかった爆速ターボがある。流石のガチムチでも視界の悪い中ひとっ飛びで正確にかっちゃんの元にいけるとは思えない。
その僅かなラグさえあれば、間違いなくかっちゃんは脱出ゲートを潜れるだろう。
一通り説明し終えると、かっちゃんは迷う素振りもなくそっぽを向き「やらねぇ」とほざいてきた。
この野郎ぅ・・・!
人が頑張って作戦考えたのにぃ!!
「じゃぁ!かっちゃんが作戦考えてよ!!ぶっ倒すとか言わないでよねぇ・・・?」
「っせぇわ!!ぶっ倒すっつってんだろ!!!てめぇは端っこで縮こまってろや!!」
「ぶっ倒すって何?まさか真正面からぶつかるつもりじゃないでしょーね?アホなの?死ぬの?かっちゃんが強いのは認めるけど、授業参観の時散々やられたじゃん。勝てないのは分かってんでしょ。だからさ━━━」
「っせってんだよ!!ボケっ!!てめぇは大人しく守られてろや!!」
あまりの物言いに私の堪忍袋の緒も切れた。
幾ら90%の思いやりで出来てる優しく慈愛に満ち満ちてる穏やかな気性をもつ私でも、この物言いは我慢ならない。これはあれだ、プンスコだぞこらぁぁぁぁ!!
「大人しく守られてろって何ですかぁ!!?試験なんですけどぉ!!何もしないで受かれってか!!アホか!!そりゃ楽して受かるなら文句はないけど、そんな簡単に出来る訳ないでしょ!!だから頑張って色々考えてあげてんでしょ!!何、それとも作戦とか意味が分からない系?!何、高校生になったら馬鹿になったの!?ええ!?」
「誰が馬鹿だ!!てめぇが一番の馬鹿だろうが!!なんで俺がてめぇおいて逃げなきゃなんねんだ!!ふざけんな!!逃げんならてめぇが勝手に逃げやがれ!!それが出来ねぇってんなら邪魔だから端っこで隠れてろってんだよ!!分かんねぇのか脳たりん!!」
脳たりん、だと!?
言うに事欠いて脳たりんだとぉ!!
「私の何処が脳たりんだぁ!!天才という名を欲しいままにする、万人に一人の逸材、超絶天才美少女たる私!緑谷双虎の何処が脳たりんだ!!このボンバーヘッド馬鹿!!脳みそに爆薬詰まってるような思考してる癖に、調子こいてほざくんじゃぁないよ!!」
「誰の頭の中が爆薬だぁこらぁ!!!」
「かっちゃんの頭の中ですぅ!!そのボンバーヘッドの中身の事ですっ!!それパカッってやったら、爆弾工場とか入ってんじゃないの!?今日も稼働中ですかぁ!?ねぇねぇ!」
煽るように頭を覗いてやれば、かっちゃんのおでこに青筋が浮いた。
「喧嘩売ってんのかてめぇはよ!?ああ!?今すぐ買ってやんぞ!!」
「上等!!掛かってこいよ、爆発小僧!!ガチムチの前にぶっ飛ばしてやんよぉ!!」
『皆、位置についたね』
突然鳴り響いた放送。
喧嘩を始める寸前だった私は、冷水をぶっかけられたかのように頭が一気に冷えた。
それはかっちゃんも同じだったのか、もう私を見てない。全神経を周囲に向けてる。
『それじゃ今から雄英高1年、期末テストを始めるよ!』
私も周囲を見た。
スタート地点は見通しの良い二車線のど真ん中。
このままここに居続けるのは得策じゃない。開始直後に取り敢えず身を隠せる場所がないか探す。
『レディィィ━━━━』
何とか数ヶ所当たりをつけた私は、それを伝える為にかっちゃんの腕を引っ張った。
「かっちゃん!取り合えず喧嘩中止!始まったらあそこに隠れるよ!!作戦は後で━━━」
「っせぇ!!逃げねぇったろが!!」
「馬鹿のひとつ覚えみたいに!かっちゃんだって分かってんでしょ!!真正面からじゃ勝てないのは!」
理屈で説得しようとしたけど、かっちゃんは私の手を振り払った。
「うるっせぇ!!!真正面から勝たねぇと意味がねぇんだよ!!オールマイトに!!ナンバーワンヒーローに!!じゃねぇと━━━━」
一瞬かっちゃんの視線が私を見た。
怒鳴っていたのに怒ってた筈なのに。
そこに怒りはなかった。
あったのは、授業参観の時に見たあの目。
私が謝れなかった理由。
『━━━ゴォ!!!』
遠ざかってくかっちゃんに、なんて声を掛けたら良いか分からない。
だってかっちゃんがこうしてるのは、多分私のせいだ。
授業参観が終わってから考えてた。
有り得ない話だって思って、見ないようにしながら。
テスト期間中だって事もあって、考えるのすら止めた。
でも、もう無理だ。
分かってしまった。
理解してしまった。
だってあの目は━━━。
けたたましい音と共に風が吹き荒れた。
コンクリートの道路が粘土のようにめくり上がり、周囲を囲むように並ぶビルの窓ガラスが割れていく。近くにあった歩道橋など中央部分が跡形もなく吹き飛んでいる。
何が起きたのか一瞬で理解した。
それには覚えがあったから。
かっちゃんと私を助けた、あの時の。
「街への被害などクソくらえだ」
豪風が起きた先。
砂埃の向こうから声が響く。
「試験なんだと考えてると、痛い目みるぞ」
砂埃を割いて、それは現れた。
「私はヴィランだ、ヒーローよ。真心込めて、掛かってこい!!!」
ポンコツ教師にしてランキングトップに君臨する、ナンバーワンヒーロー。
「ガチムチ・・・・・・!!!」
「・・・緑谷少女、そこはオールマイトと呼んでくれないかな?」
◇( ・_・)ノΞ●~*
おしえて!ととろきせんせい!☆リベンジ☆
Q:やおももさんとふらぐがたったって、ほんとうですか?
A:まぁ、俺ってばイケメンだから。フルポテ発揮したら、ま、おかしくはないね( *・ω・)
・・・あ、違うの!みろりや!きいて!これは違う!違うのぉぉぉ!
おしまーい( *・ω・)ノ