騒々しいアイドル達とプロデューサー お前ら皆落ち着け。    作:べれしーと

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話を終わらせにかかります。多分あと四話。


茜と文香の二人とも好きって人は多いと思う。私もそうだ。

「なあ。」

 

頭の中に声が響く。

 

「気づいてるんだろ?」

 

聞き慣れた声だ。

 

「わざと目をそらしてるんだろ?」

 

しかしこれが誰の声なのかを俺は覚えていない。

 

「疑問には思わないのか。」

 

何を言っているのか理解できない。

 

「お前はそれでいいのか。」

 

理解できない。

 

理解できない。

 

理解できない。

 

 

 

 

 

理解したくない。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

気づくと俺は中空に浮いていた。晴れ空のよく見える広場にて、明るい日差しで目が眩む。

 

(また俺浮いてますね……それじゃあ今の俺は幽霊タイプかな?)

 

真下を見るとそこには俺がいた。臍の緒らしきもので俺と俺は繋がっている。やはり加蓮の時と同じ幽霊タイプらしい。

 

隣には茜。並んで仲良く歩いている。おいおい恋人同士かよお前ら。ってそのうちの一人は俺な訳なんだが(意味不明)

 

(どうやら今日はちひろさんに怒られたあの日じゃないな。あの日は茜とこうやって歩いてた記憶無いし。)

 

あの日とは、茜にストレス解消を勧められたあの日のことである(循環)それはさておきそれじゃあ今日は何日なのかなーなんて考えていると、

 

「プロデューサーって結構足速いんですね!」

 

俺の頭頂部を見ながら彼女がそう言った。おい。髪の毛が抜けるのと同じくらい早いですね!とでも言いたいのか。処刑するぞ貴様。

 

「昔陸上やってたからな。」

 

……?何で俺嘘ついてんだ?

 

運動部に入った事など一度もない。実体のある俺が嘘をついた。おいおい。見栄を張ったなこいつ。モテたいからってホラ吹いちゃ駄目だよ~(自己が自己に話すというよく分からない図)

 

「そうなんですか!?」

 

ほら!茜が興奮し出しちゃったじゃん!どうすんの!

 

「ああ。写真見るか?」

 

え?写真?

 

「見ます見ます!」ピョンピョン

 

「母さんがこの前送ってきた画像に……あ、あった。ほれ。18の時、県大会で優勝した記念の。」

 

そう言って俺は茜にスマホの画面を見せる。

 

隙間から見えたそれは、偽造のものの様に思えなかった。

 

本物にしか見えなかった。

 

(…………ちょ、ちょっと?どういうこと?え?怖くない?てかもうちょいコメディしようよ。これはそういうssなんだしさ。そんな伏線張りみたいな事しなくていいから。)

 

それともこれもギャグの一つかな?いやギャグじゃなくてドッキリかな……ss御用達、ドッキリで本音を見よう!ってやつだと思うんですけど、どうすか?

 

(正解!5ポイント贈呈!)

 

よっしゃァ!!川島さんに並んだぜェ!!ぷろでゅーしゃー、5ちゃいです!

 

って、うわ!

 

な、なになに!?突然の揺れ!?地震ですか!?

 

ちょ!?

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

ちょ、ちょ、ちょ…………ちょっと?ねえちょっと?ねえ?何今の揺れは?マジで何?

 

…………作者?おーい?

 

説明無しっすかそうっすか。不親切な奴だ……ん?あれ?文香?え!?文香!?何で!?は!?急展開すぎだろ!?次の話じゃないの!?

 

(待て待て待て、落ち着け…………いいか落ち着け俺。深呼吸。慌てるな。状況を整理しろ。よし、よし……先ず、さっきまで茜と普通の俺と幽霊の俺が一緒に歩いていた。談話していた。うん。次に突然の揺れ。地震のような大きい横揺れが起きた。んで、それで……一瞬目の前が真っ白になった。その後次第に揺れは収まってゆき、今は全く揺れていない。)

 

そしてその揺れに驚いたのは幽霊の俺だけらしい。茜も普通の俺も、そして、先程まで茜がいた場所に打って変わって立っている文香も平然としていた。

 

(何がどういうことなんだ。全く理解できない。というか茜は何処いったんだよ。)

 

変わらず俺は中空に浮いていた。明るい日差しで目が眩む。

 

(……遡行では、ない、のか?)

 

「県大会で優勝ですか。実力者だったんですね。」

 

「いや、そんなことは……あるかも?」

 

「隣の方はお父さんで?」

 

「そうそう。」

 

「へえ……」

 

どうやら遡行はしていない。茜の存在が文香の存在と変わっただけのようだった。

 

変哲もなく談話している二人。何も起きていないかのように談話している、二人。

 

(は、はは……コ、コメディコメディ。これはギャグss。そう。ずっと気が狂ったもので楽しませるシュールなギャグssだったじゃないか。これも、ど、どうせそういうのだろ?)

 

えっと、例えば……『君の名は』のパロだとか。うん。まさか茜が消えただとか、そんなことは……ねえ?

 

(コメディだよ。遡行がまだ続いてるのも、志希と晶葉が云々とかいうのも、揺れの後から何故か俺の体が動かないのも、全部、笑いのためなんだろ。)

 

そういえば声も出ねえな今。はは。コメディコメディ。シュールなコメディ、コメディ……

 

(………………なわけねえだろマジで意味わかんねえ……どうなってんだくそ……突然すぎんだろ……)

 

あの時軽々しく二人の頼みを受けたのが間違いだったと俺は思い始めてきた。

 

(だってもうこれ意味わかんねえよ……)

 

途中までは良かった。Masque:Radeとハチャメチャしたり、アンデスとじゃれあったり、遡って凛や加蓮や藍子と友好を深めたり。なんらよくあるssと変わりなどなかったのだ。

 

(いつの間にか、歪み始めた。)

 

その時は分からない。智絵里の時だったかもしれないしまゆの時だったかもしれない。しかしそんなことは今どうでもいい。問題なのはこのssがブレにブレているということだ。この話ではそのブレが特に顕著である。

 

ギャグなんだろ。コメディなんだろ。バカやって、騒いで、おもしろくするんだろ。タグにだってそう書いてあるじゃないか。何で俺をこんな目にあわせるんだ。俺は、ギャグssのオリ主主人公で……主人公で…………

 

主人公?

 

何の?

 

ssの主人公だろ。

 

ss?

 

……?

 

__で、

でも__

 

_____かな?

 

 

本当に___

 

_______分かった。

 

 

 

 

 

(…………そういえばssって何だ?)

 

ふと疑問に思う。

 

今までずっとssがーssがーって言ってきたけどそもそもssって何だ?

 

コメディとかギャグとかシリアスとか、何で俺はこの世界が『小説』であるかのように話してるんだ?

 

主人公って何だ?

 

ここは現実で、小説や、その、なんか、よく分からないssとかいうやつでもないだろ?

 

(あれ?でも……え?)

 

なにか、忘れてる気がする。

 

俺、忘れちゃいけない事忘れてる気がする。

 

(ちぐはぐ……)

 

《というかさ、違和感ない?

 

(ちぐはぐというか、変に話が込んでるというか。)》

 

というか忘れちゃいけない事があったかもしれない以前に、

 

(俺、覚えてない。何してたか、覚えてない。)

 

例えば、凛。

 

《それで気絶後、渋谷凛さんには俺の上着を掛けて助けを呼びました。勿論来た人に喚問されました。来た人はアイドルだけだったのでそれは幸いでしたが状況が状況です。》

 

何処に俺は助けを呼びに行った。来たアイドルって誰だ。

 

(分からない。覚えてない。)

 

例えば、まゆ。

 

《仕事が終わり、愛しき我が一軒家に着く。》

 

家に着く以前、何してた。何の仕事だ。外周りか?事務か?打ち合わせか?

 

どうやって帰宅した。徒歩か?自動車か?電車か?

 

(分からない。覚えてない。)

 

例えば、輝子。

 

《あのね、一日中叫び続けてたからかね、誰かに警察呼ばれてた。逮捕されかけた。焦った。馴染みの警察官だったから大事にならずに済んだ。良かった。でもまたお前かみたいな顔された。そうですまた俺です。ごめんね警官さん。》

 

あの後、俺は何をした。どんな仕事をした。馴染みの警察官とは誰だ。

 

(分からない。覚えてない。)

 

『記憶がとんでいる』のだ。何をしていたかを思い出せないのだ。

 

(何故俺は『記憶がとんでいる』ことに今まで疑問を持たなかったんだ。)

 

 

 

 

 

気づくと、いつの間にか、そこは、闇。数ミリ先が分からない程に濃い闇が広がっていた。

 

茜と文香はいないと思われる。さっきまで明るかった広場が突然暗闇になったのだ。当然周囲の状況なんて分からない。したがって断定ができない。が、さっきまで感じていた人の気配が消えた。よっていないと思われるという訳だ。

 

(これはギャグでもコメディでも、ましてやシリアスでもない。造られた世界よりもずっと奇怪なる現実だ。)

 

どんよりとした濁りがすっぽりと取れた様な、そんな気分である。思考のバイアスが抜け、清澄で怜悧な思考が展開出来るようになったおかげで今の俺は状況を正確に判断できる。

 

(ずっと「小説がssが」なんて訳の分からない世迷い言を信じていた。理由もなく盲信していた。)

 

馬鹿か俺は。

 

この世界に、今自分の生きているこの空間が作り物であると本気で信じていて、しかもその想像主と会話が出来るなぞ言う奴が何処にいる。戯けか。

 

(しかしそうすると浮かぶ疑問。)

 

《「おい、作者。話が終わらないからはよ戻せ。」

 

*わるい。ふざけすぎた。》

 

《「おい、作者ァ!説明しろォ!話が進まんぞォ!」

 

ええ……チート使うの……?》

 

(お前は、誰だ。)

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

熟考中、いきなり闇が晴れだした。

 

(はは。本当に事実は小説より奇なりだな。とっくの昔に頭がこの状況に対する理解を拒んじまってる。)

 

酩酊感。それと共に瞼が閉じてゆく。酒に潰れて寝落ちしてしまう感覚と似ていた。

 

(遡行の合図……次は志希か。)

 

……それにしても何で俺には次にとばされる過去がいつも分かるんだろうな。志希と文香と茜の日は2日ずつずれてんのに。もしかしたらその間の日になるかもしれないのに。でも、俺には分かるんだ。次とばされるのは志希のところであると。

 

《「さて、助手よ。」

 

「キミに、過去へ戻ってほしい。」

 

「そして、撒かれる前に原液を回収してほしい。」

 

「やってくれるかな?」》

 

(志希。)

 

お前、何か知ってんだろ。

 

(俺にはもう何が何だかさっぱりだ。理解出来ない事が多過ぎて頭はパンク寸前なんだよ。)

 

教えてくれ。

 

(答えを。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、プロデューサーさんの事が好きです。」

 

 

止めてくれ文香。

 

 

「プロデューサーの事を考えてると、その、心臓がバクバクして、えっと、つまり……す、す、好きです!!」

 

 

違うんだよ茜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでこうなったんだ。

 

 

俺は、ただ…………

 

 

けれど、どうせこうなるんだったら、

 

 

こうなってしまうなら、

 

 

全部、何もかも全部、

 

 

_____




闇=?
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