騒々しいアイドル達とプロデューサー お前ら皆落ち着け。    作:べれしーと

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世の人間が全て人殺しならば殺人鬼は異常でなく、むしろそうでない者こそが異常者となる。異常は絶対性を孕まず、相対性を孕む。相対性を孕むからこそ誰だって異常になり得るのだ。それが私にはとても恐ろしい。


異常と固執

生まれたくて生まれたんじゃない。

 

お前らの勝手で俺は生まれたんだ。

 

なのにお前らは俺を憎むのか?

 

父母を憎む子の気持ちも今なら分かる。

 

頼んでもねぇのに傲慢なクソ人間。

 

早く死ねよ。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

そこは見慣れた景色だった。自意識の空間であった。

 

質素な空間にポツリと置いてある大きな機械は湯の沸きだつ様な音を携えてそこに君臨している。

 

それ以外に家具らしきものは無く、彼もそこにはいなかった。

 

単一的な空間。無にも似た部屋。

 

しかし何の説明をされていなくても俺には理解出来ていた。

 

モニターに映ったお前がもう一人の俺であると。

 

そしてお前が嘘をついていないと。

 

贖罪を、記憶の代償を求めてお前は俺をここへ呼び込んで。

 

周子という衝動性を利用したのだと。

 

俺はこの不可思議空間を認識した時点でお前に敗北していたのだと。

 

(この部屋にはドアもない。しかし家具でもなく彼でもなくドアでもなく、ただ()()がそこにあるという事は分かる。)

 

()()()()()()()()()

 

俺という人間の完璧な比喩表現だ。

 

(ここは俺の妄想世界を基軸として創造されている。贖罪を求め、且つ、衝動性や比喩を利用した。)

 

鑑みて、おおよその見当はつく。

 

(ウソとホントを了解しろ。)

 

お前は俺だ。これに間違いはないと理解出来ている。

 

(逃げて逃げて立ち向かっても敵わない。なのにまだ向き合えとはお前も意地悪な野郎だ。)

 

生憎とこっちは周子の件でピリピリしてんだ。たとえお前のあれこれを理解していてもな。

 

ほら、滑稽な一人相撲をご覧あれ。塩見英一のクローンさん。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

「輝子、乃々。美嘉に杏。」

 

俺がそう発言するとスライムのように地面が柔らかく伸びだし、彼女達の容姿を()()()()に基づいて形成していった。

 

一寸も違わぬ体を、顔をこちらに向けて。

 

光の灯っていない瞳で彼女達はじろりと俺を睨んでいた。

 

クローンはどうやら意地クソ悪いやつみたいだ。

 

やりたい放題のこの世界でとことん罪悪感を刺激してくる。

 

「ごめん。ずっと嘘ついてて。」

 

心を込めて罪を発する。

 

「全部を包み隠して、何食わぬ顔で、平和を装って。」

 

消えているハイライトを見つめる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

頭をゆっくりと下げて告白を続ける。

 

「もう嘘はつかない。ホントの平和は直ぐ目の前にあるんだ。だから、許してくれ。」

 

そう俺が言い終えて頭を上げると四人は少し笑った後にまた地面の中へ戻っていった。

 

瞳の太陽は灯っていた。

 

 

 

 

 

いつの間にか出来ていたドアに気づいた俺は隣の部屋へと歩いていった。

 

そこにはみくと李衣菜がいた。

 

悲しげな表情だった。

 

「ごめん。みく。巻き込んでしまって。」

 

「真面目にアイドルを頑張ってたのに俺のせいで曇らせてしまった。」

 

「李衣菜。俺なんかを好きになってくれてありがとう。そしてごめん。」

 

「信頼を信頼し過ぎてた。俺が浅はかだった。」

 

「アスタリスクとしての活動もごめん。君達はなんも悪くないのに。」

 

「私事で狂わせてしまって申し訳ない。道を絶ってしまって、申し訳ない。」

 

悲しげな表情だった。

 

変わらずそんな顔を二人はしていた。

 

暫しの沈黙の後、二人は先程と同様に地面の中へ戻っていった。

 

 

 

 

 

また隣の部屋へ入る。

 

そこには文香と茜がいた。

 

ポロポロ泣いていた。

 

「二人ともごめん。泣かないでくれ。」

 

「嫌いだとか好きだとかそういう理由でふったんじゃないんだ。」

 

「あまりに突然だった。予想もつかない告白だった。」

 

「からかわれてるんだと、こんな俺が誰かに好かれる訳がないと、そう思ってたんだ。」

 

「……あんな事になるなんて、知ってたら…………」

 

「許してくれなんて言えないけど謝らせてほしい……」

 

「ごめんなさい……」

 

苦しそうな表情を二人はしていた。

 

俺も多分同じ表情をしている。

 

でも俺より二人の方が、現実の二人の方が辛いに決まってる。

 

俺なんかが被害者面してんじゃねぇよカス……

 

 

 

 

 

その隣の部屋へ入室する。

 

そこには晶葉と志希がいた。

 

彼女達はこちらを一瞥もしない。

 

「その、二人には迷惑かけた。ありがとう。ごめん。」

 

「明確にループを了解していたっていうのは辛い。それを俺は知ってる。」

 

「人格が崩壊してもおかしくないくらいだった筈だ。逃避してもしきれないくらいだった筈だ。」

 

「それでもずっと協力してくれた。周子の側にもいてくれた。」

 

「あいつ言ってたよ。二人がいなきゃおかしくなってたって。」

 

「……ありがとうございます。」

 

この言葉を最後に、彼女達は地面の中へと戻っていった。

 

どんな表情をしていたのかは分からないままだった。

 

 

 

 

 

更に隣の部屋。

 

まゆと藍子が光を灯していない瞳で泣きながらこちらを見ていた。

 

無表情が恐ろしい。

 

「二人ともごめん。ずっと無視していて。」

 

「好意に気づいてからも俺は知らないふりをしていた。アイドルとプロデューサーの関係として振る舞っていた。」

 

「恋ではなく、愛だった。それは全く知らない感情だった。」

 

「困惑して、その感情を否定する事は躊躇われ、結果何も出来なくて。」

 

「無関心なんて最低だよな、俺。」

 

「もう一度言う。本当にごめんなさい。」

 

「きちんと現実で受け止めるから。」

 

そう言うと二人は顔を見合せ、涙を流したままニッコリと笑って地面の中へ戻っていった。

 

(愛に対する無関心、か……)

 

俺はもう慣れてしまった。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

親が早々に死んだ英一は大いにひねくれた。

 

隠しても隠しきれない程にひねくれた。

 

そんな彼は愛を信じられない。

 

親愛なぞ糞くらえだった。

 

だから彼は恋に心酔したのだ。

 

好きならば何をしてもいいと、彼は思った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

つまりそれは___

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

次の部屋へ入ると、そこには凛がいた。

 

心配するような表情をしていた。

 

「ごめんな、凛。迷惑かけて。」

 

「俺ら、なんつーか友だちだった。相棒っぽくもあった。嬉しい時も辛い時も隣を見れば凛がいた。」

 

「名前に違わず凛とした態度。憧れでもあった。だから妄想はあんな事になったのかも。こんなんだったら面白い、って。」

 

「ループを繰り返す度、凛は寡黙になっていた。そして塞ぎこむようになった。」

 

「友だちなのに……俺はなんにもしてやれなかった。」

 

「友だちだから……おかしくなってく皆を見てられなかった。」

 

「友情という雲が太陽を覆い隠してしまった。」

 

「でももう大丈夫だ。全部終わる。」

 

「だから凛。()()()()()()()()()()。」

 

「自分の事ばかり気にかけて友だちを俺は無視していたんだ。」

 

「お願いだ。もう一度、凛と友だちに……」

 

…………笑っていた。

 

言葉の途中、彼女は満足そうに微笑みだして。

 

《やっと私を友だちだって認めてくれた。》

 

そんな声が何処かからか響いた。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

プロデューサーは私と仲が良い。

 

アイドルとの接し方というよりも友だち同士の接し方という方が近い気がする。

 

でも彼は私たちが友だちだという事に否定的だ。

 

共に支え合って、隣で笑い合って、でも彼は遠ざかろうとする。

 

なにかに怯えているよう見える。

 

……友だちですら、ダメなの?

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

次の部屋には夏樹がいた。

 

困惑の表情を隠す気もないらしい。

 

「……俺は夏樹を信頼し過ぎてた。それが重荷になっていた。」

 

「なんとかしなきゃ、アタシが纏めあげなきゃ、皆を元に戻さなきゃ。」

 

「そして病んだ。」

 

「ごめん。沢山背負わせてごめん。」

 

「隠れて泣いていたのも知ってる。弱音を吐いていたのも知ってる。」

 

「でも夏樹だから大丈夫と俺は無視をしてしまった。」

 

「どれが大丈夫なんだよ……俺はバカか……っ!」

 

「……俺は夏樹を、聖人かなんかだと勘違いしていた。変に誇りを感じていた。」

 

「ちげぇよな。夏樹だって悩むし、泣くし、弱くなる。そんな事にさえ俺は気づいていなかった。」

 

「すまなかった。君が背負うべきじゃないものまで背負わせてしまって。」

 

「夏樹だって、一人の女の子なんだもんな。」

 

そう言い終えると彼女は頭を掻いてからボソボソと発言した。

 

《後で愚痴らせろよ、鈍感。》

 

表情に困惑の色はもう見えなかった。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

彼はアタシを信頼していると言った。

 

けれどもアタシはその言葉に嘘を感じた。

 

対人の恐怖。

 

信頼の履き違え。

 

信用への怯え。

 

彼は、根本から捻曲がっている。

 

誰よりも()()()いた。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

次の部屋には智絵里がいた。

 

俺が部屋に入った瞬間、彼女は抱きついて来た。

 

(……)

 

体と声を震わせながら力強く抱き締められる。

 

《置いてかないで……やだ……やです……っ》

 

鼻を啜る音。彼女の頭を優しく撫でながら俺は呟いていく。

 

「智絵里とは長い付き合いだよな。俺からすれば、家族の次に長い。」

 

「だからかな。恋愛的に好きになるだとか孤独感だとか、そういう智絵里の機微に俺は全く気づけなかった。」

 

「最初の頃は智絵里に凄く構ってた。それはもう彼氏彼女の距離なんじゃないかって程に。」

 

「でも人が増えて時間が経って関係を考えて。離れていった。意識的に距離をおいてしまった。」

 

「ごめん。寂しい思いさせてごめん。」

 

《毎日を笑って過ごせれば……それだけで嬉しくて……だから……ひぐっ。》

 

「うん。」

 

《こんな……こんなループを早く終わらせて……》

 

「……うん。」

 

四つ葉のクローバーを模した髪飾りが彼女の髪にかかっていて。

 

体の震えで三つ葉になるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。

 

地の中へ還元された後も、彼女の啜り泣く声が頭の中で反響していた。

 

置いてかないで。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

彼の担当アイドルとしてまだ初期の頃。

 

彼は笑顔を絶やしませんでした。

 

朗らかに笑っていて、私も笑顔になって。

 

幸せでした。

 

いつからでしょう。

 

作り笑顔しかしなくなったのは。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

次の部屋には加蓮がいた。

 

服がはだけていて、顔を仄かに赤くしている彼女は地面に座って壁に背中を預けた状態で発言し出した。

 

《ハロー。セフレさん?》

 

「……違う。そんな、そんなつもりじゃ、」

 

心が乱れる。

 

もう、出てくる人は恐らく二人だけ。

 

どちらも俺にとっては……俺にとって……

 

《そういうつもりでしょ。この姿見てよ。プロデューサーさんのイメージが反映されて形作られたアタシ、完全にやらしい意図あるじゃん。》

 

《アタシもプロデューサーさんも、色に逃げた。快楽で全部忘れようとした。》

 

「止めろ。」

 

《残ってるよねー。生でしちゃった感覚。自分だけど自分じゃない自分が犯した罪。どうやって贖うの?》

 

「止めてくれ。」

 

《プロデューサーさんのイメージでしかないアタシが今プロデューサーさんを責めている。これはつまり罪の意識はあるって事。》

 

《でもそれだけ。反省はしていない。アタシの嬌声がまだ反芻してる。》

 

「止めてくれ……」

 

《止めない。もう目を逸らさないで。》

 

「無理だ……だって()()は犯罪だ……法の関わらない犯罪だ。加蓮も俺も悦んでたんだ。今、そう、()()()()()()()()()()()とか思ってしまっている。」

 

「この罪は贖えない……蛇に唆されてからじゃ遅いんだよ……加蓮だけはダメだ……加蓮は……」

 

《人には誠実がある。》

 

「……?」

 

《異常の相対性に抗えないのが人の悪なら、誠実の絶対性で返そうとするのが人の善だよ。》

 

《反省だって誠実のカタチ。悪の自覚や贖罪だけが贖いのカタチなんじゃない。》

 

「……だから何だ。お前は俺のイメージで、加蓮じゃないんだ。」

 

《約束して。》

 

「何をだよ。」

 

《責任取るって。》

 

「……つまり、それって、」

 

《カタチは変容する。責任の取り方はホントの加蓮が決める。》

 

《だからそれを許容して責任取るって約束してほしい。》

 

「……処女奪ったクソ野郎の反省がそれって……俺は頭イカれてんのか?」

 

《はあ。また好意を無視してる。同意の上の行為ってプロデューサーさんが一番分かってるくせに。》

 

「本当にそんなのでいいのか?俺は一人の女の子の人生壊した、」

 

《愛の寛容とループの恩恵をなめちゃダメだよー?》

 

「強がりの理解か?」

 

《…………》

 

「……ごめんな加蓮。」

 

《……現実で言ってあげてよ。》

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

快楽に逃げて本質を忘れる。

 

現実逃避の最良手段。

 

相手が大好きな人だと尚更良し。

 

伴う罪悪感はまた快楽で消してしまおう。

 

そうやって偽られた幸せでしか生きていけない。

 

アタシはプロデューサーさんを巻き込んだ。

 

ごめんなさい。ありがとう。

 

最高で最悪の夢だった。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

次の部屋に行くのが躊躇われた。

 

もう誰がいるのか分かるから。

 

自分の()()()()だから。

 

怖い。見るのが、贖罪が、怖い。

 

でも行かなければ周子が戻らない。

 

震える手でドアノブに手をかける。

 

入室する前にふと、部屋を見回す。

 

(加蓮……)

 

「行ってくる。」

 

 

 

 

 

中にいた美穂の顔に口以外のパーツは無かった。

 

のっぺらぼうに近い。精巧に造られてるのに歪んでいる。

 

大切な君を、()()()()()()()()()()だ。

 

《恋じゃない。》

 

彼女は、異形はそう否定した。

 

「ちょいちょい……本題をそんな簡単に言わんといてくれや……」

 

《固執です。プロデューサーさんのそれは、ただの固執です。》

 

《好きな人の顔を忘れますか。ストーキングが好きの証ですか。妄想の物語に私は出てきましたか。俺の太陽って何ですか。わざわざそう言うのは何故ですか。遠ざけたのは何故ですか。》

 

《小日向美穂は、ただの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ですよね?》

 

《醜い自分を騙したくて『俺は美穂が好きだ』なんて自己暗示をかけた。滑稽ですね。》

 

《初めての担当。アイドルとプロデューサーの関係の象徴。純朴。それらに固執したプロデューサーさん。》

 

《贖罪の余地はあるんでしょうか?》

 

首を傾げて口端を上げる異形。

 

俺は反駁していく。

 

「……固執か……うん。確かに初めは固執だったよ。戒めとしての固執だった。アイドルとの距離を測る固執だった。」

 

「滑稽な自己暗示。太陽のマクガフィン。否定はしない。」

 

「でも好きという感情に偽りはない。」

 

「気持ちの悪い、醜い『好き』だ。ストーキングの伴う、吐き気さえ催す『好き』だ。」

 

「好きなんだよ。()()()に。」

 

「異常であっても好きなんだ……くそっ、涙が……」

 

「このループが終わったらもう近づかない……この異常が許容されるのはループの間だけだから。それに勿論、彼女には嫌な思いをしてほしくないから。」

 

「お願いだ。俺のイメージ。機械人格。」

 

「大好きな美穂の為にもう一度だけ罪を犯させて下さい。」

 

()()()()()という贖いで、俺を諦めさせて下さい。」

 

「好きだからこそもう関わりたくない。自分が気持ち悪い。」

 

頬を流れる涙を無視して俺は話し終える。

 

()()はこう言った。

 

《駄目ですよプロデューサーさん。》

 

《現実で謝罪してからじゃなきゃ離別なんて許しません。》

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……美穂、」

 

一瞬。

 

瞬きの一時で、彼女は地面の藻屑と同化していった。

 

「…………」

 

目の前にはドア。次の部屋に行くためのドア。

 

もう終わる。

 

これをくぐれば終わる。

 

「…………美穂。」

 

何故か、涙が止まらなかった。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

大都会東京のとある遊歩道を智絵里ちゃんと歩きます。

 

引っ越してきて最初に出来た友だち。

 

ここにも私の居場所はあるんだと安心します。

 

と、目の前からスーツ姿の男の人が。

 

下を向いていたせいかぶつかりそうになります。

 

「わっ……ご、ごめんなさい。」

 

「驚かせてすみません……!」

 

彼が顔を上げて、目が合い。

 

この日から私と智絵里ちゃんの人生は変わり始めました。

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

隣の部屋に入室する。

 

そこは見慣れた景色だった。自意識の空間であった。

 

質素な空間にポツリと置いてある大きな機械は湯の沸きだつ様な音を携えてそこに君臨している。

 

三つの椅子が対面的に並べられていて、そこに彼と周子が座っていた。

 

周子は意識がないようで椅子にくくりつけられている。

 

『自己内対話で感情の整理はついたかな?』

 

『さあ、そこ座って。最期の対談だ。』

 

『今度は独り言じゃない。一人言だ。』

 

彼がそう言った。

 

 

 

 

 

終演は近い。




最も人間的なカタチとは、物事に固執するというカタチである。理性的愛と本能的恋。醜悪な固執はどちらにも当てはまらないヒト特有の現象である。だからこそ私は、この醜さを愛したい。

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