騒々しいアイドル達とプロデューサー お前ら皆落ち着け。 作:べれしーと
・主人公と題目
周子とPです。テーマは愛とその欠乏による負の連鎖、自己矛盾です。
・大まかな概要
まずプロデューサーこと塩見英一が産まれます。四年後にその妹、塩見周子が産まれます。更にその四年後に旅行の下見を理由にして塩見兄妹の両親は交通事故で死去。英一は歪み始めます。
東京の大学に行くまで彼は虐められてました。義理の父母にもよく扱われず、性格の歪みは拡大されていきます。反対に周子は甘々と育てられました。けれども兄を気にかける優しさを持ち合わせていて、決して悪い子に育っていた訳ではありませんでした。
英一がプロデューサーになってから(彼が二十二歳で周子が十八歳)スキャンダル云々で二人が殺されるまで(彼が二十五歳直前で周子が二十一歳直前)は本文を参照してください。
そうして美穂と英一が殺された後、なんやかんやで周子はタイムリープ、というよりもタイムループを始める事になりました。美穂ちゃんと兄さんを救う為に、そして皆が幸せな未来を創造する為に周子は自己を省みず、心身を磨耗させて負の連鎖と奮闘します。
因みに作中でも多少言及しましたがループ分の年数を実際の年齢に換算すると、周子は五十代です。ヤバ。
結果として10/20、11/16、11/17の三日間、規定の時間プロデューサーを拘束していれば誰も死なない事が判明しました。しかしその間、英一の自由意志を出来るだけ制御せねばなりません。成功の確率を上げたいからです。したがって用いられた方法が
二十四周目、漸く周子は自我を磨り減らしてでも為そうとした世界を実現させました。誰も死なない世界が誕生したのです。しかし遅すぎた。時間をかけすぎてアイドルの子達の記憶に影響を及ぼしてしまった。加えて英一は
そこで彼は両親を事故から逃し、第二の人生を送り始めます。十数年後、彼はまたプロデューサーとなってスカウトを開始。あの大好きな騒々しさをもう一度__
・第一章について
ここは英一の妄想世界です。変態チックだったり妙に煩かったのは現実もこうであってほしかったという叶わなかった願い、羨望のようなものが反映されているからです。伏線もそこそこあります。というかこのss自体が伏線だらけです。説明しましたがその伏線の多さも彼がそういうミステリー系好きだからという理由からです。いつ回収すんのこの伏線ってやつありましたよね。凛の上着とか。それとネグリジェの表現が変でしたよね。他にもギャグとかじゃ説明のつかない不可思議がちりばめられていた筈です。これらは英一の不安定さが前提となっています。作品内で言及しましたが彼は恋愛関係で間違いを犯してます。殺されてます。アイドル達が狂っていくのを目の当たりにしています。果たしてそんな奴の妄想は正常となるのでしょうか。
一応シリアスの片鱗はまだありませんよね。そりゃそうです。ここまでヤバくする予定じゃなかったし……つーか伏線の回収方法も最初は違ってたんすよ……なーんでこんなことに……
・第二章について
大体一章と言いたい事は同じです。個人的にはミスリード的なものがしたかったからこの章を入れたんですよ。その……まさかタイムリープとか出てきた後に「実はこれ妄想でした~!」とか予想出来へんやろ、よし、やったろみたいな。ゴミすぎるこの作者。
それとこの章に限った事じゃないんですが、色々とそこそこ表現をひねってみたんです。仮想現実とか空想世界とかそういう雰囲気を出したくて。だから「この表現なんや?どういう意味?」って思う人とか出てくると思うんですよ。あんまし気にしないで下さい。あの、自分、物書き始めて一年経ってないんです。ただ下手くそなだけです。なんとなく妄想か~って受け取ってくれればそれが正解です。はい。
・第三章について
現実世界、世界の真実、英一の妄想世界、個人的無意識の世界と様々な世界が繰り広げられてます。難解です。作者も混乱しそうになります。ハチミツ下さいならぬプロット下さい。
一章がシュールギャグ、二章がミステリーだとすれば三章は
『愛なんかで人は変われるのか?』
・英一について
主人公の一人です。何が起きて、何をされて育ったかは全部物語の通りです。最悪です。親を失って、周りから蔑まれ、頼れる人もおらず孤独に近い環境で育った彼は愛が分かりません。信じられません。だから好意に敏感で、恋愛に際しては異常です。妹の周子を無意識では愛してますがそれより上(無意識やらその上やらは後で触れます)では愛していません。だからたった一人の家族だけれども他人のように感じてしまう時があります。無意識より上では美穂と加蓮に恋してました。後者に至っては情交も行っています。ヤバ。
・周子について
もう一人の主人公です。不自由なく暮らしたからこそ不満を持ち(一周目辺り参考)、不自由に暮らしたからこそ満足感を得ている(第二の人生辺り参考)彼女。唯一の家族である兄を好いていて、兄に関して異常となります。だってそうでしょう?周子は何回ループしたの?あの回数、年数、目の前の死、継続される記憶エトセトラ。気狂わない方がおかしいんです。でも彼女は
・他のアイドル達について
副題としてタグにもある通り記憶によって狂わされていきます。死と絶望のデジャヴが表れ続けて精神が錯乱、発狂していった彼女達。分かると思いますがこれはループが重なる毎に状況が酷くなっていくシステムなんです。空のコップに一定量ずつ水を注いでいく感じに近いかもしれません。段々と重くなっていき、いつかは溢れる。加蓮はその水を途中で減らそうとして情事に走り、志希と晶葉はループ扶助の没頭に走った。ある者は自分の命を終わらせる事でそれを成し遂げようともしました。兎に角皆ヤバいってことです。
これに深く関係するのが10/20です。残りの二日間は拘束理由が分かりやすい。英一が殺されないようにするため、といったものですから。では10/20の拘束理由は何か。それがこの記憶継続による狂化を防止するといったものなのです。
……気づいてる人いるかな?てか本文に書いたっけこれ?この10/20は文香と茜が英一に告白する日となってます。つまりこの日に英一を拘束すれば……という訳です。
・ややこしい『世界』について
むやみやたらになんとか世界ってのが本文に出てきてます。説明します。
このお話に出てくる世界体系は層構造になってます。一番上が現実世界です。例としては『N=1』とか『太陽と月』です。その下の世界が妄想世界です。例としては第一章全体です。その更に下の世界が記憶、換言して自己意識世界です。例としては『異常と固執』です。そして最下層の世界が個人的無意識世界です。例としては『プロデューサー』の前半部分です。下層にいけばいく程英一の本質に近づいていきます。英一の無意識、つまり英一の本質は周子を一人の家族として愛し、美穂と加蓮も
これからもこの世界概念でものを考えないとよくわからんところが出てきます。留意しましょう(上から目線)
・「プロデューサーだけ、ホントに過去へ戻れるの。」の真意
これが指すのは辻褄が合わないことじゃありません。そのまま文字通り受け取っては訳ワカメな文章に後々なってしまいます。これは晶葉に向けた言葉ではなく独白めいています。プロデューサーとは彼自身を指しておらず職業自体を指しています。ホントとは第三章のタイトルに載せたように、
あ、あと前述したように本文では『ホント』と『本当』を意味によって使い分けてます。頑張りました。
・『異常と固執』での智絵里と加蓮と美穂について、又、機械人格について
『異常と固執』で起きた出来事は全部英一の想像です。頭の中で起きています。なのでそこで登場した彼女達は彼の担当アイドルに対する純然なイメージです。特に現実世界の智絵里と加蓮と美穂に対する印象は強くて、それにより表現が分かりにくくなっていたと思われます。
智絵里は彼にとって、特別枠でない担当アイドル群の中で最も印象深い人です。長い付き合いですからね。すっげぇ仲良い友人みたいな認識です。彼からすれば。彼女からすれば彼は片思いしてる人。
加蓮は彼にとって、逃げ道でした。苦しさから互いに逃げる為の逃げ道でした。異常の相対性から二人は狂ってしまい、快楽に溺れました。好き合っていたので決して無理矢理だった訳じゃありません。むしろ
「本当にそんなのでいいのか?俺は一人の女の子の人生壊した、」
《愛の寛容とループの恩恵をなめちゃダメだよー?》
「強がりの理解か?」
《…………》
「……ごめんな加蓮。」
《……現実で言ってあげてよ。》
「ああ。」
愛の寛容とは、換言すれば情交の上の同情。ループの恩恵とは、換言すれば現実への理解。そして強がりの理解とは、現実加蓮特有の強がりをプロデューサー内の想像加蓮がトレースしているということを指しています。結局これは二人のやり取りに見えて一人でぶつぶつ喋ってるだけ。空虚と愚かさを表現してみました。
美穂は彼にとって、初めて愛を持った(
《固執です。プロデューサーさんのそれは、ただの固執です。》
この時点で彼の美穂に対する思慕が
《好きな人の顔を忘れますか。ストーキングが好きの証ですか。妄想の物語に私は出てきましたか。俺の太陽って何ですか。わざわざそう言うのは何故ですか。遠ざけたのは何故ですか。》
英一の言う恋というものの異常性と発言の不一致が示されます。これは全て、愛を知らずに育ち、人を恐れて生きてきた人間の結末です。
《小日向美穂は、ただのプロデューサーという立場を守るためだけのマクガフィンですよね?》
マクガフィンとはその登場人物にとって重要なもので、且つ代替可能なものを指してます。つまりこの文章の意味は『英一にとっての小日向美穂はただの道具。プロデューサーという立場を守るのに重要なだけでいくらでも替えはきく存在だ。』というもの。ひっでぇな。
《醜い自分を騙したくて『俺は美穂が好きだ』なんて自己暗示をかけた。滑稽ですね。》
酷い自分が許せなくて自己暗示。『美穂が好き』で全部上書き保存。
《初めての担当。アイドルとプロデューサーの関係の象徴。純朴。それらに固執したプロデューサーさん。》
異常であり、固執でもある。プロデューサーでなきゃ人が怖い。恋とは無縁の
《贖罪の余地はあるんでしょうか?》
本文見れば分かりますが美穂には贖罪してません。謝罪です。贖うのと謝るのとは全然違います。
美穂のパートは全体的に少描写で、突然の愛に対する戸惑いを表現しました。英一君、個人的無意識で愛を知ってるからね。周子を心の底で愛してるからね。だからラーメンのメンマで泣いたんだよ?愛を知らなければ泣けないし。それと『俺の太陽』という表現が何処かに出てきましたね。これも愛の戸惑いです。咄嗟に出たホントです。
さて、やって参りました機械人格。難解なものの一つ。彼(一応そのように呼称しておきます)は英一の記憶群から造られた人格です。分身のようなもの。悪役ぶって英一でさえも救おうと尽力した影の主人公です。彼が生まれたきっかけは晶葉の
彼は物事を円滑に進める為に『人に信じさせる』のではなく『人に疑わせ』ました。必要悪となり、どうせいつか消される自分を犠牲にし、代わりに事象根因(私の造語です)を救わせようとしました。自己内対話という形で彼は英一を啓蒙したのです。これって誰もが経験し得るものですよね。頭の中であーでもないこーでもないってぶつぶつぶつぶつ呟いて。二人の自分が会話してるんすよ。自分は一人でものを考えるのとか大好きなんでこんな経験はよくあります。こういう自己内対話で独りでに啓蒙される事ってまあまああると私は思うんですよね。『**【⊂<>*や**だ』とか『けさ__な___いで_______』とかは機械人格の演技です。
両親について
Pと周子は兄妹です。これは分かりますね。んで、二人の両親。二人は第一の人生に於いては死去しています。つまり原作の和菓子屋とかありません。第二の人生で救ったからこそ周子は和菓子屋で文句を言っています。今の状況に文句を言えるのって、案外幸せなんですよ。
『プロデューサー』での小学生について
無意識の世界で出てきた小学生は子供時代の英一です。両親が生きていて愛を知っていた頃の英一。二人が死んでからはこの愛を知る英一は抑圧されてしまい無意識内に閉じ込められたのです。一種の自閉ですね。だから彼は愛と恋によって苦しめられて、しかもこんな事件が起こったのです。
二十四周目、所謂シンデレラについて
周子が排外的に過ごすようにした二十四周目。小さな問題への干渉を抑えて、ただ根因(前述の三問題)を救う事のみにフォーカスを当てた世界。見た感じ、パパッと素早く片付けられたなあ、ってなりませんでした?重要そうなのに流していくなあ、ってなりませんでした?これも表現です。根因を救うのは簡単だと、ひたすらにその問題に
『N+x=k』について
k周目という風に伝えたかっただけです。Nは1です。タイトルにあります。はい。ごめんなさい。
太陽、星、月について
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最後に
分かんないところや訊きたいところがあったら気軽に言って下さい。私の解釈でいいなら垂れ流します。
結論 プロットは書いた方が良い(白目)