私の作品である止んだ時雨は宵のうちの過去話となっています。
設定としてはシャルロット・デュノアが宵雨と出会ってしばらく経ってから。
シャルロット・デュノアを宵雨が心から信用したからこそ語った昔の戦い。
連邦をひっくり返した時のことを彼が彼なりに思ったこと聞いたことを交えて語っているその一部。
どこかのパラレルワールドの一角獣と嘆きの妖精の前に立ちはだかった悪夢のお話。


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どうしたのさ、シャル・・・えっ、私の過去が知りたい?
まあ、教えても言いふらさないだろうし教えてもいいけど・・・そこまで面白い話ではないよ?
それに、すべてを知っているわけじゃないし、説明しても訳が分からないかも知れないけれど、それで良いならいいよ。
えっ・・・それでも良いの? じゃあ聞いてもらおうか。

最初に話すのは決別の話
師匠が私達を率いて連邦から離反した時のお話だよ。


反逆の芽 芽吹く

その日は快晴の日だったそうで、そこにある話が転がり込んできたそうだよ。

それを話したのはある高官で、酔っぱらった時のことだったそうで、

曰く気に入らない人間を連邦の高官がジオンであると断じて射殺したと。

それも無抵抗の人間をだよ。

確かに馬が合わない人だっているし、

諍いもあるけれどそれは殺害の理由にはならないんじゃないかと

師匠は一人怒っていたと聞いたよ。

そして私たちを招集した後で本当なのかを調べ始めたそうなんだ。

私も来た後でしばらくして結果は出たのだけど、

結果は本当。自らの言うことに従わない、異を唱える人など人では無いという

よく分からない思考に憑りつかれて

暴虐の限りをふるう人間が人心掌握の末に邪魔な人間をすべて排除しているという状態だったんだ。

それでもしばらくすると良くなると思って

我慢をしていたのだけど、その後すぐにそれができなくなるほどの計画が発覚したんだ。

それは現政府を支持していない団体の支部に脅しをかけ

強制的に取り込み、力を奪って傀儡にするという計画で。

その程度で無力化できると思っている高官たちの浅はかさや、

発覚時の批判のスケープゴート先を用意すらしていない地盤の脆さに呆れながら

もうこのまま放置してはだめだとみんなで顔を見合わせたんだよ。

そして現在の連邦に対するクーデターを計画することにしたんだ。

決行は半年後、それまでに機体を造り、習熟して戦えるようになっていないといけない。

幸いな事と言って良いのか分からないけど私にはGへの耐久と偏差撃ちには適性が有ったから、

航空隊の隊長をすることになって、ある程度機体の自由選択ができたんだよ。

そこで悩みに悩んである時ある機体に出会ったんだ。

 

君も知っているあの機体、そう、メッサーラにね。

最初に造って搭乗してみて、ひどい揺れで気持ち悪くなってしまったけど

重力を振り切るために設計されただけあって

とても速くて気に入ったことを覚えてるよ。

ただそこである問題が浮上したんだ。

メッサーラは宇宙用の試作機で大気圏下での運用を想定していなかったのか、

凄まじいほどのGを軽減するシステムが開発すらされていなかったんだよ。

 

その結果Gの軽減システムの改良とそのままでは重力でバランスが取りにくかったから

姿勢制御システムの搭載から始めたんだけど、どうにも上昇性が足りていない気がしてバイアランのコンセプトである大気圏下で重力に引かれないように戦闘できる機体というものを発展させて、単機で大気圏下を通過できる機体というものを目指してみる事にしたんだ。

 

ただ、完成した機体にはある欠陥が有ったんだよ。

それは姿勢制御システムとG軽減システムと武装の制御を並行して行うのは無理があるという事で、人工知能に半分を任せることで解決はしたんだけど、パイロットの癖や特徴を学ばせるために何度も飛行や戦闘を行うことになって苦労したんだよ。

 

その後、それを五十回位行ったんだけど二十回目位からある変化が起こってしまったんだ。

まあ良い事ではあったんだけどね。

 

それで、起こった変化というのは機体の深海棲艦化だったんだ。

簡単に言うと機体が自立行動できるようになり、現代兵器を弾く装甲を持ち、

人が抱いた憎悪を用いて残弾回復や自身の修理を行えるようになるかわりに人への憎悪で行動するようになり

一部の姫級だとか鬼級と称される存在が統率していないと人を食らうようになるといった感じかな。

ただ基本的に姫級も鬼級も人への憎悪に呑まれているのがほとんどだから基本的には深海棲艦は人の敵だね。

まあここに憎悪に呑まれていない代わりに装甲を持たず、他者を深海棲艦に強制変化させることができる姫級の例外が居るから全てがそうとは言えないわけだけど。

 

と話が逸れたね、そんな風に変化したから最初からプログラムの見直しをしなくちゃいけなくなったわけだよ。

まあその結果装甲の大幅削減に成功して機体がだいぶ軽く出来て、速度が上がったわけだけど。

それを終わらせた後に武装の見直しを行い、

クローを廃してビームサ―ベルに変え、砲を迫撃仕様に変えて、

その日を待つばかりとなったんだ。




これでひとまずは終わりだよ。
話してみてすっきりしたし、時間が有ったらまた続きから話すとするよ。
次のお話は私の公式の場での初戦、練度が比較的低い囮部隊を率いて
連邦軍でも有数の強さを誇るロンド・ベル隊と戦った
第二次トリントン基地襲撃戦のお話で、
最後に単機で行うことになった残党狩りの話をしたら昔話はおしまいだよ。
他にももっと昔のことも有るけど、それは全てを覚えているわけではないから
私よりも師匠たちに聞いてね。


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