日本一のエースと天才バッター 作:四つ葉
「「「健斗く〜ん。」」」
「砂田。期待しているぞ!!」
「……えっ?」
俺は試合終了後、次の試合の偵察にいく途中俺はきょとんとしてしまう。
「あの、御幸先輩?これって。」
「あ、あぁ。お前早いな。」
女子やクラスメイトの言葉に少し俺は御幸先輩に少し聞くと
「追っかけだよ。お前は初めてか?」
「生憎長野のかなり山奥出身ですしね。」
俺は苦笑してしまう。
するとまた歓声が上がると俺はため息を吐く
……野球で目立つのはいいんだけど、こういうの本当に苦手なんだよなぁ。
元々野球部以外のメンバーとは話さないしな
「よし、揃っているな。」
すると監督が来る
「各自ストレッチが終わったら、スタンドで食事を摂れ。」
「「「はい。」」」
「次の第3試合全員で観戦するぞ。勝ったほうが次の対戦相手だ。」
監督の言葉に緊張感が高まる
もう次の対戦はすでに始まっていた。
都郡山対明川の試合は圧倒的な違いがあった
台湾からの留学生か。
楊舜臣。
俺はスタンドで見ていると遠目でも分かる。
……本当に正確なコントロールだな。
速さや鋭くキレる変化球よりも面倒なのはコントロール
それを俺は軟式野球でわかっている
特に低めに投げられてゴロを打たせるよりこのピッチャーは三振を取っていくタイプ
「……嫌な投手だな。」
俺がぼそっと呟く
ボールコースを一杯に使っての留学生は今までの相手とは格が違うようだった。
カーン。
心地よい金属音が鳴り響く
鋭い打球がライト方向へ飛んでいくとそのままスタンドに突き刺さる
「砂田。ラストな。」
先輩がいうと俺は頷くとインコース低めにボールがくると腰を回しコンパクトに振る
するとファースト頭を超えライン上にボールが落ちる
「ありがとうございました。」
するとバッターボックスをならし場を整えると俺はため息をつく
やば、また取材が来ているな
ここのところ活躍したせいか取材が殺到しているんだよなぁ。
特に降谷が取材断っているせいかそのせいで俺ばっかりだ
生憎練習時間が減るのだがそれでも応援してくれる人を増やすっていうのは大切なんだが
さすがに俺もこれ以上の取材断ろうかな
試合に集中したいしなんか練習が最近足りてないんだよなぁ。
「守備練してぇ。」
ぼそっと呟く。最近バッティングメインになっているせいかノックが少なくなっていた。
「お〜い。健斗!!」
するとユニフォーム姿の美帆がやってくる
「お前、何でユニフォーム着ているんだよ。」
「監督に許可もらってバッティングピッチャーやらせてもらうことになったの。私だったら明川にいいでしょ。」
「…はぁ?お前バッティングピッチャーやるのか?」
「いいでしょ。全力で投げていいって言われているし。抑え込むつもりで投げるから。」
「……いつから。」
「これから。先輩変わる予定。」
マジか。それなら
「ちょっと監督のとこ行ってくる。」
「大丈夫よ。スタメン相手に3打席ずつ勝負するらしいから。」
「……へぇ〜打たれて凹んでも知らんぞ。」
「そっちこそ抑えられて調子崩しても知らないから。」
やろう。あいつ絶対に凹ます。
そしてマウンドに向かうライバルに俺は息を吐く。
……そういえば、打席に立つのは久しぶりだな
あいつのピッチング練習に付き合ったりは青道に来てからもあったけど実際に打席に立つのは半年ぶりだ
すると観客からざわざわとした声が上がる
まぁ普通なら女子がピッチャーマウンドに練習とはいえ投げることはまずないしな。
「えっ。もしかして前田さんが投げるの?」
春市が驚いたようにしているけど
「まぁ、監督の許可はもらったらしいしいいんじゃね?」
「でも、大丈夫かな?前田さん。打たれて凹んだりは。」
「あ〜。それは大丈夫だと思うぞ。」
するとバンと大きな音が聞こえ白州先輩も誰もが固まる
アウトロー一杯のストレート
相変わらずのえげつない球投げるなあいつ。
そして白州先輩に対してテンポ良く投げ込む
インハイ。アウトハイ、インロー改めていいスピンがかかっているのが分かる
「あいつも野球に関しては人一倍負けず嫌いだから。」
「……お互いにいい刺激になっているね」
「あいつは俺のライバルだし当然だろ。…逆に先輩たちが凹まないといいけど。」
そして白州先輩がたった12球で3打席が終わる。
「……やっぱいいピッチャーだよなぁ。あいつ。」
「うん。」
「そうだな。本当にうちのピッチャー陣に見習ってほしいよ。」
するといつのまにか来ていた御幸先輩。確か降谷と一緒のメニューだったはずだが
「どうしたんですか?」
「降谷知らね?ランニングの場所探したんだがいないんだけど。」
「降谷?すいません見てません。」
俺はふと思い出す
「もしかして。あいつ北海道出身でしたよね?」
「えっ?あぁそうだけど。」
「……降谷。少し涼んでいる可能性がありますね。あいつ多分こっちの夏初めてですよね?」
「…なるほど。こっちの暑さに慣れてないってことか。」
俺は頷く
元々スタミナ面で課題がある降谷だ
「丹波さんも最悪出番あるかもしれませんね。」
「あぁ、それだけの厳しい試合になることは違いねぇな。」
すると歓声が湧く。
「すげぇ。哲さんを三球三振。」
「あのピッチャー何もんだ。」
「うわぁ。あいつマジで抑えにきているよ。気持ちののったあいつの球かなりきついからなぁ。」
「てか、前田何球種もっているんだ?俺が見た限り6つはあるぞ。」
「俺が知っている限りじゃ8球種ですね。全部あんまり曲がらないけどコントロールや緩急で抑える。……軟式の肘の柔らかさと努力であいつは全国大会と世界大会を投げぬきましたから。」
「なんで健斗くんが自慢げにしているの。」
そりゃ一番自慢の幼なじみですし
「あいつのライバルだから仕方ないじゃないですか。」
男子とも渡り合えるピッチャーにワクワクしてしまう
やばい。久しぶりに楽しみだ。
そしてしばらく見ていると鈍い音ばかりが響く
ここまで捉えたのは結城先輩のシングル一本と小湊先輩のシングル、そして伊佐敷先輩のボテンヒット
明川の投手と異なるのはほぼ低めでゴロを打たせにいっているところか。
高めは滅多に投げたがらないもんなこいつ。
でも、それでも打たれないのがこいつだ
そして俺の打席になる。
するとネット越しに笑っている美帆
俺は息を吸いそして一人のピッチャーに集中する
きた球を打つ
それだけだ
そして初球。
パーンとミットの音が聞こえる
「……やば。」
インコースギリギリ一杯のストレート
全く手がでなかった。
急速は130kmくらいだろうか。でも手元でかなり伸びてくる
久しぶりだなこの感じ
強いピッチャーと本気でやり合うのって
そして2球目。
アウトローにボール半個外れてるスライダーのボールを打ってしまう
あれ美帆の性格からいうと入れてくると思ったんだけどな
コーンと弱いゴロを打たされ1打席目は凡退してしまう
そして2打席目
狙い球の初球のインハイのボールを捉える。
カーンといい金属音が響き渡りスタンドまで持っていく
あいつの癖は分かっているしな
アウトローを投げた時美帆は俺の時はほぼ次の球をインコースに投げる
アウトコースのボールは得意なので無意識に投げたがる癖があるのだ
……てか、本当に球は軽いよなあいつ
硬式になってより明らかになる弱点
それが何となくわかる気がした
次が第三打席目
周りの声は何も聞こえずただ目の前の美帆を見つめる
初球
インローに来たフォークを捉えるがわずかにボールが切れる。
あんやろー何であんなにすれすれにフォークを投げることができるんだよ。
そして2球目
アウトローにスライダーの釣り球を見逃す。
入ってくるボールなので最悪絶好球になるのだがコントロールがいいだけでものすごく捉えづらくなる
そしてテンポよく投げ込んでくる美帆
やば
直球だと絞っていたのだが遅い球を振らされてしまう。
くそ、変化球攻めかよ。
たしかに俺は直球に比べ変化球はそこまで得意ではないのだが
そして4球目もスライダーをカットしてカウントは2ー1
……ふぅ
俺はただそのピッチャーを打ち崩すことだけを考える
ストレートだけ捉えそのほかはカット。
5球目ボールがくると直球の速さでボールがインローへくる
来た
俺はコンパクトにバットを振り抜く。完璧に捉えたとはずだった
そのボールが沈むまでは
コツンと当たったボールはセカンド真っ正面に転がる
……やられた
ツーシームだと気づくのが遅すぎた
すると美帆も不機嫌で納得いってない様子だった
多分ホームランのボールを悔やんでいるんだろう。
「……くそ。」
小さく呟くと俺は弱点も見えてくる
変化量の少ないストレートとほぼ同じ速度の硬式ボール特有の変化球
それが明らかになったといってよかった
「ありがとうございました。」
とバッターボックスをならした後ため息を吐く
……なんか本当に悔しいな
弱点を見抜かれたこと
そして的確に相手の癖を見抜いてくるピッチャーに完敗としかいいようがなかった