エルロー大迷宮の近くに転移でやってきた俺たちは、まずは案内人を雇いに向かった。
エルロー大迷宮は、ダズドルディア大陸とカサナガラ大陸を繋ぐ世界最大の迷宮であり、世界最悪の難易度を誇る人外魔境だ。
実質的な人類の探索可能な範囲である上層、マグマの溢れる灼熱地獄である中層、強力な魔物が跋扈する下層、謎に包まれた最下層の四層から構成されていて、とんでもなく広い。
そんな広いエルロー大迷宮は、案内人の案内が無ければすぐに迷ってしまうだろう。
今回雇うことができた案内人は、ゴイエフという名前の中年の男だ。
そう、原作のS編でちょっと出てきた案内人であり、本編でも出てきた案内人バスガスの息子だ。
最初は、俺たちの子供な見た目に加え、二人という少人数なので危険だという理由から依頼を断ろうとしたが、俺たちのステータスを見せると顔を引きつらせながらも了承してくれた。
さて、世界最大の大迷宮にして、蜘蛛子が育った場所なわけだが、どんな所なのだろうか。
エルロー大迷宮の上層は、かなり楽だった。
というのも、魔物が俺たちを恐れて近づいてこない。
ゴイエフさんは、こんなことは今までの仕事で初めてだと言っていた。
道中でほとんど消耗していないので、ルートも最短ルートを選択し、どんどん迷宮を進んでいったが、途中でゴイエフさんが何度も休憩を要求してきた。
ゴイエフさんのステータスは俺たちよりも遥か下なので、いくら迷宮慣れしていても俺たちよりも早く根を上げることになった。
休憩中の見張りに関しても、睡眠無効を持つ俺には睡眠は必要無いので、時間節約のためにもほとんど俺が見張りをすることになった。
睡眠無効のスキルを持っているので睡眠は要らないと言った時には、ゴイエフさんの目が死んでいた。
ちなみに、一度だけ大通路で地竜に遭遇したが、ユーナのパンチ一発で死んだ。
ゴイエフさんは、その頃になると「ユーゴー様達だからしょうがない」という顔をするようになっていた。
そんなこんなで中継地点に着いた。
「え、ここ降りるんですか?」
「はい」
「あの、ここは
俺たちの目の前には、(一般人には)底が見えない大穴(千里眼のスキルを使えば見える)が空いている。
この大穴は最下層まで続いていて、蜘蛛の女王クイーンタラテクトが、産卵期には上層への移動に使用する。
最下層はクイーンタラテクトや古参勢の地龍が棲息している(地龍は魔王アリエルがほとんど殺したが)超危険地帯だ。
そこまで行かなくても、下層の時点でも強力な魔物が棲み、ほとんどの人間にとっては入ったらすぐ死ねる場所だ。
なので。
「はい。下層まで降りましょう」
レベル上げには結構便利な場所だ。
ほら。だから逃げるなゴイエフさん。
「HAHAHA!!」
「こしゅじんさまのために、しんでください」
「ぎゃああああああ!!」
今俺は、下層の魔物達を相手に無双している。
下層の魔物とはいえ、インフレし始めているステータスを持つ俺の敵では無い。
スキルで強化した剣は魔物を一撃で真っ二つにし、並列意思をフル稼働して放たれる魔法は魔物を消し飛ばしていく。
ユーナも問題無く魔物を虐殺している。
ゴイエフさん?
格闘ゲーム界には、「
それが全てだ。
多くの魔物は俺たちから逃げ出したが、復讐猿ことアノグラッチや、一部の強い魔物は俺たちに向かってきた。
もちろん全て倒し、逃げ出した魔物も、遠距離攻撃魔法でほとんどを撃ち殺した。
そうして多くの魔物を虐殺している内に、「魔物殺し」「魔物の殺戮者」の称号を手に入れた。
強欲の、ステータス、スキル、スキルポイントの内のどれかの一部を奪う効果もあって、ステータスやスキルポイントがどんどん増加している。
「ふはははははははは!! 貧弱!貧弱ゥ! ははははははははは!!」
大蛇の首を切断した後、後ろから飛びかかってくる複数の復讐猿を剣で全て叩き落とす。
足下に転がってきたタニシ虫を踏み潰して、逃げ出した謎生物に呪怨の邪眼を向けてSPを吸い尽くした。
復讐猿が数をさらに増やして来たが、広域魔法で一気に殲滅する。
「さあ! 次に行くぞ!」
「もう嫌だぁぁぁぁぁ!」
下層の魔物が少なくなるまで、俺たちは魔物を狩り続けた。
「思ったより早く魔物がいなくなったな」
蜘蛛子が魔物を狩りまくった影響がまだ残っているのか、魔物の数が思ったより少ない。
これ以上ここで狩りをするのは効率が悪いので、この辺りで下層での狩りは終わりにすることにした。
「ようやく……終わっ……」
「よし。中層でも狩りをするか」
「わかりました。ごしゅじんさま」
「えっ」
獲物は中層の魔物を狩ることで埋め合わせにしようと思う。
ゴイエフさんがなんか言っていたが知らん。