かませですが、なにか?   作:酒井悠人

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 過去話の誤っていた箇所を修正しました。
 ユーナの名前の旧案(ティア)が混じってた……

 あと、書き溜めが尽きかけてきたので、更新ペースは少し落ちると思います。

 拙作ですが、これからもよろしくお願いします。


13 ほら、温泉回だぞ、喜べよ

 どぱーん

 

「あ゛ーいい湯だなぁ」

「いや、ごしゅじんさま、これはちょっと……」

「……(返事がない。ただの案内人のようだ)」

 

 下層と中層の魔物を絶滅しない程度に狩った後、俺は中層にある()()()()()に入っていた。

 

 状態異常無効のスキルがあるから睡眠は不要だと言っても、精神的な疲労は溜まる。睡眠せずに24時間年中無休で活動できるのはごく一部の化け物だけだ。

 

 そして当然といえば当然だが、疲労回復に一番効率がいいのは休息することだ。

 かくいう俺も、何気に初めてである実戦で疲れていたので、こうして風呂を楽しんでいるというわけだ。

 

 俺が浸かっている風呂は少し温度が高い気がするが、強欲の効果で中層の魔物から()()()()のスキルを手に入れたので火傷はしない。

 

 やっぱり元日本人として、風呂に入るのは好きだ。

 

 ああ、いい湯だなぁ。

 

「……ユーゴー様」

「ん? 復活したのか?」

「いやそのっ、()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

 そう、俺は溶岩浴をしている。

 

 溶岩浴と言っても、溶岩でできた石に体を横たえるサウナ風呂の一種ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 視界に広がる溶岩の海はゴポゴポと煮えたぎり、ドロドロと溶岩が海流のように流れている。

 

 直接溶岩に触れなくても、その熱気は並みの生物を苦しめる。

 もし気温を測定したらとんでもない記録が出るだろう。

 

 そんな溶岩に人族が体を浸けるという行為は、炎熱無効が無かったら焼死体が一つ出来上がるだけだろう。

 

 なんでこんなトチ狂ったことをしているのかと言うと、原作で主人公(蜘蛛子)がやっていた溶岩浴を体験してみたかったからだ。

 

 原作で蜘蛛子は、火耐性を上げるために、溶岩に手(?)を突っ込むという凶行に及んだ。

 明らかに頭がイカれているが、それが蜘蛛子クオリティーだ。

 

 けどまあ、炎熱無効を取得した後じゃあ「ドロドロして動きづらい」くらいの感想しか浮かばない。

 かと言って、炎熱無効のスキルをオフにしたら死ぬ。

 

 まったく、ままならないもんだ。

 

「ゴイエフさんも入るか? 火耐性上がるぞ?」

「いや入りませんよ!」

 

 ゴイエフさんは入らないらしい。

 少し残念だ。

 

 ちなみにユーナは、溶岩にちょっと手を浸けて、その後すぐに手を引っ込めて、手に息を吹きかけるというのを繰り返している。

 

 ……ちょっとかわいいと思ったのは秘密だ。

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 しばらくの間のんびりして過ごし、疲労もだいぶ取れたので、そろそろ風呂から上がろうかと思い、ユーナを呼ぼうとしたのだが、ユーナが何かを抱えていることに気づいた。

 

 俺は切っていた各種スキルを発動し、探知で抱えているものが何かを調べたのだが……火竜だった。

 

「はい?」

 

『エルローゲネラッシュ LV1

 ステータス

 HP:132/132(緑)

 MP:106/106(青)

 SP:128/128(黄)

   :125/128(赤)

 平均攻撃能力:70

 平均防御能力:70

 平均魔法能力:68

 平均抵抗能力:67

 平均速度能力:73

 スキル

「火竜LV1」「命中LV1」「遊泳LV1」「炎熱無効」』

 

 手足の生えたタツノオトシゴのような姿。

 下位の竜種であり、この中層の狩りで多く仕留めた魔物の一種だ。

 

 生まれたてなのか、レベルが1のそれをユーナは抱えて俺の方に連れてきたようだが、なぜそんなことになっているのかわからない。

 

 なぁユーナさん。それはなんだい?

 

「ちょうどたまごからうまれたのをみつけたので、つれてきました!」

 

 うん、こんなに「褒めて褒めて」オーラを出されると叱りづらいな。

 

 ここまで連れてきたということは、こいつと契約しろということだろうか。

 

 まあ、ユーナがわざわざ連れてきたこいつを殺すのも何だし、契約してもいいか。

 

「ユーク、お前の名前はユークだ」

 

 こうして俺に新しくペットが増えた。

 

 契約を結び、命名されたその火竜……ユークは、まだ状況がよくわかっていないのか、つぶらな瞳をこちらに向けていて、表情も心なしかきょとんとしているように見える。

 

 鑑定でもあまり頭が良くないと説明されていたが、何も知らない赤子を騙しているようで……いや実際その通りなのだが、ちょっと複雑な気分になった。

 

 ……けどまあ、それはユーナの時も同じだし、いまさらだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()と思っていたし、ユークの存在は俺にとっては都合がいい。

 

 俺はもう止まれないし、止まるつもりもないのだから。

 

「ごしゅじんさま?」

 

 首を傾げるユーナになんでもないと答え、風呂を上がる。

 

 もう休息は十分だ。

 レベリングを再開しよう。

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