かませですが、なにか?   作:酒井悠人

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 やっと投稿できました……期末テストつらい……


15 クッコロさんだ〜いすき

「くっ……殺せ!」

 

 俺たちの前には、テンプレなセリフを吐いたエルフの美女がいる。

 

 俺たちは修行のために各地の魔境を巡っているのだが、移動はだいたい徒歩だ。

 俺やユーリほどのステータスになるともう馬車とかを使うよりも走った方が速い。

 

 そんなこんなで俺たちは街から街を走って移動し、街では必要なものを買い、魔物などの情報を収集し、強力な魔物が近くにいたら倒しつつ、目的地を目指していたのだが、ある日、道中でエルフの襲撃を受けた。

 

 俺たちはだいたいを外で狩りをして過ごしているし、移動速度もとても速いが、街には立ち寄るし、特にユーリとユークはとても目立つ。

 だから俺たちの居場所がポティマスにバレ、俺を始末するために部隊を送り込んで来たのだろう。

 

 けどまあ、俺のステータスは人族にあるまじきレベルのインフレを起こし、この修行の旅でさらにインフレが加速している。

 ユーナも龍であり、並みのエルフには遅れを取らない。

 

 そうして俺たちはエルフの部隊を殲滅し、情報を確認するために捕らえたのがこの美女だ。

 

 エルフは寿命が長く、成長が遅い種族であるため、体が未熟なうちは物理系ステータスが伸びづらく、能力が肉体の成長に依存しない魔法に偏り易い傾向がある。

 だが、彼女は鎧を身につけ、剣を腰に刷いている。

 

 そう、彼女はエルフのくっ殺女騎士なのだ!

 

「わかりました。しんでください」

「待て」

 

 俺がエルフのくっ殺女騎士の存在に興奮していたら、ユーリが彼女の言うことを真に受けて殺そうとした。

 

「ユーリ。くっ殺さんは殺しちゃダメだ」

「は? クッコロさん……?」

「……なんでですか?」

 

 俺にくっ殺さんを普通に殺すつもりはない。それがくっ殺さんに対しての普通の対応だ。

 しかし、当然といえば当然だが、ユーナはくっ殺のなんたるかについて理解していなかった。

 なので、なぜくっ殺さんは殺してはいけないのかを教えなければならない。

 

「『くっ……殺せ!』なんてことを言う美女がいたら殺さずに陵辱するのがお約束なの。芸人の言う『絶対に押すなよ!』が『押せ!』と言う意味なのと似たようなもので、そのまま殺しちゃダメなの」

「え?」

「でも、えるふはみなごろしっていったのはごしゅじんさまじゃないですか」

 

 たしかにそう言った、エルフを生かしておくメリットも、エルフを殺すことへの忌避感も正直ない。

 

 エルフは元々ポティマスのクローンとその子孫であり、ほとんどのエルフはエルフ以外の種族やハーフのことを見下している。

 

 エルフたちは表向き真の世界平和なんて胡散臭いスローガンを掲げているのだが、それは裏の顔を隠すためのカモフラージュであり、裏では星のエネルギーを搾取し、SFじみた科学技術を持っている、世界の敵とも言える存在だ。

 

 今頃は蜘蛛子と魔王がエルフを滅ぼす準備を進めているし、俺もそれに積極的に加担するつもりだ。

 

 エルフはそんなテンプレファンタジーとは掛け離れた害悪であり、ユーナには皆殺しにするように言ったのだが……くっ殺さんは別だ。

 

「いやそうだけどね、ファンタジー異世界のテンプレというか……ともかく、くっ殺さんをそのまま殺すのはダメ。このエルフを殺すのは※自主規制※や※自主規制※とかして※自主規制※にしてからにすること。わかったか?」

「…………はい」

「おい待て貴様」

 

 俺はユーナにくっ殺について教えていたのだが、それを聞いたくっ殺エルフの顔が、さっきまでの覚悟完了した様子が嘘のように困惑と恐怖に染まっていた。

 

「いや、その、私が言ったのはそういう意味じゃなくてだな……その、普通に殺してくださいお願いします」

「え? 嫌だけど」

「( ゚д゚)」

 

 エルフが逆命乞いをしてきたが断る。エルフに人権はない。

 

 ここに都合よくオークとかがいたらよかったんだけど、この世界にオークはいないし、ゴブリンは普通のラノベと違って修羅気質のいい奴らだ。

 

 だから俺がくっ殺さんにあんなことやこんなこと(意味深)をするのは仕方ないことなんだよ(ゲス顔)。

 

 ふーっふっふ、ふっはっはっはっはっ、ふぁーっはっはっはっ……

 

「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「どぅわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 心の中で三段笑いを浮かべていた俺は、横合いから突如飛んできた闇に飲み込まれた。

 

 闇には高い耐性を持っているはずなのだが、まるで()()()()()()()()()()()()()()()大ダメージを受け、気を抜いていた俺はそのまま気絶したのだった。

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 目が覚めると、そこは更地だった。

 

 はて、俺はくっ殺さんを見つけて興奮していははずなのだが……

 

「ごしゅじんさま、おきましたか?」

「あ、ああ」

 

 目覚めた俺にユーナが挨拶をしてきたのだが……何故かユーナから不穏な雰囲気を感じる。

 

 少し怖いが、どうやら起きていたらしいユーナに話を聞くことにする。

 

「なあユーナ、俺はエルフのくっ殺女騎士を捕らえてい……」

「そんなものさいしょからいませんよ?」

 

 あれ、なんで震えが止まらないんだ?

 

「え? いや、たしかに……」

「いませんよ?」

「ん?」

「いませんよ?」

 

 ……うん! 最初からくっ殺さんなんていなかったみたいだな!

 

 まさかの夢オチとは、俺も疲れているのかな?

 

 まぁいいや、早く次の目的地に向かおう。




 スキル「妬心」
 効果:スキルを封印する。
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